C-K Generations Alpha to Ωmega
By 東海帝皇&ドミ
第一部 勇者誕生編
Vol.7 覚醒!C-Kジェネレーションズ
1月22日深夜の横浜みなとみらい……。
「一体、何がどうなってるのかしら……。青子、大丈夫かなあ?」
蘭や青子達がランドフォートレスから出てった後の留守を任されていた恵子達だったが、恵子は居ても立ってもいられない様子で、立ったり座ったりしていた。
残った4人でトランプのババ抜きをしていたのだが、段々退屈になって来てもいた。
トラックの中には、小さなテレビも備え付けられているが、流石にゲーム機も無ければネットに繋げる訳でもない。
今時の高校生が、トランプゲームだけで間を持たせるには、限度があるのだ。
「そう言わないの。蘭達が帰ってくるまで、しっかりとお留守番してなきゃ。」
「そりゃそうなんですけど……。」
「う〜〜〜〜、でも何か気になるのよねえ……よっと!」
恵子はやおら立ち上がった。
「よし、やっぱり行って見る!青子がどうしても気になるもの!!」
「えっ、ちょ、恵子ちゃん!?」
「それに園子ちゃんも、真さんの事が気になるでしょ?」
「う゛……。」
図星を突かれる園子。
「……ふう、全くしょうがないわね……。」
多少呆れ気味の哀だが、
「じゃあ、ちょっとだけ様子を見にいきましょうか。」
「わあ、哀ちゃんって、話がわかるのね。」
「けど、青子さん達を確認できたら、すぐに戻るのよ。」
「わかってるって、そん位。」
後の三人も立ち上がり、それぞれに上着を羽織って、ランドフォートレスから降りて行った。
何しろ夜道であるから、園子は「いざとなった時の痴漢撃退用に」と、ランドフォートレスの中に置かれてあったテニスラケットを抱えた。
スポーツ用具はいくつか置いてあったのだが、一応テニス部在籍の園子には、それが一番シックリ来るものだったからである。
哀と恵子は、やはり護身用に、何故かここに置いてあったパチンコを手にした。
女性三人が歩き始めた後、瑛祐は立ち止まる。
「えーと、ちゃんと戸締りはしとかないと……。」
ランドフォートレスのドアをきっちりと閉めた瑛祐は、園子達の後を追った。
「瑛祐君は何も持っていないけど、大丈夫かしら?」
「彼、一応男の子だけど?」
「でも、ちょっと見た目には間違われそうだし……。」
「いくら非力に見えても、それなりの力はある筈だと思うわ。……多分……。」
「戸締りは大丈夫です、さあ、行きましょう。」
瑛祐は、女性三人に失礼な事を言われているとは露知らず、後を追って合流して来た。
その直後、
ブオオオオン……。
ブオオオオン……。
ブオオオオン……。
園子達の背後に、不気味に光る目が多数出現していた。
☆☆☆
その頃、横浜美術館では……。
「ふう。結局またしても、してやられたか……。」
「パララケルス王国にお叱りを受けそうですな。」
「だが、相手はキッドだ。……と言っても、好意で王家の秘宝を貸し出してくれたあの国に、何と申し開きすればいいものやら。」
小五郎と中森警部が嘆いていた。
その時。
「たっ、大変です、中森警部!!」
「どうした、キッドでも見つかったのか!?」
「そ、それが……このみなとみらいに巨大なアリが……。」
「は?巨大アリ?」
「何ふざけた事言っとるのだ!?そんな下らない報告を一々ワシによこす……な……。」
「ギギギギ……。」
警官を注意している中森警部や小五郎の目の前に、頭部は蟻で身体は人間型の、まるで仮面ヤイバーに出て来そうなアリの怪人、ダークネスアントが姿を現した。
「……な……な……。」
「何だコイツは!?」
ダークネスアントを前に言葉を失う小五郎と、怒鳴る中森警部。
「ギギッ!!」
「うわっ!?」
「おわあっと!?」
ダークネスアントが振り下ろした手を間一髪避ける小五郎と中森警部。
だが、
「ひっ、ひえ〜〜〜〜〜っっ!!?」
「な……!?」
ダークネスアントが振り下ろした手が、足下のアスファルトをぶち割ったのを見て、小五郎は震え上がり、中森警部は絶句する。
「警部!」
ズドーーーン!!
ズドーーーン!!
ズドーーーン!!
警官達が二人を助けようと、ダークネスアントに向かって一斉に発砲する。
だが、
「ギギギギ……。」
なんと、ダークネスアントには実弾が全く通用しなかった。
「な、何てヤツだ……!?」
「バ、バケモノ……!」
ダークネスアントから離れた二人は、ダークネスアントのその驚異的な能力に恐怖感を感じる。
そして、
「ギギギギ……。」
ダークネスアントが再び小五郎や中森警部達の所に近づいてきた。
それも十数体。
「総員、退避!退避しろおーーーーーーっっ!!」
危険を感じた中森警部が、警察官に対し退避を命じた。
「うっ、うわあーーーーーっっ!!」
命令を受けた警察官達は、怪物への恐怖感から一斉に逃げ出して行った。
「さあ、ワシ等も!」
最後に残った中森警部と小五郎も駆け出した。
だが、
「おわあっ!!」
小五郎が躓いて転んでしまう。
「毛利探偵!!」
「痛ててて……え?」
小五郎が起き上がろうとした時、目の前のダークネスアントが、今にも小五郎に手を振り下ろそうとしていた。
「ひ……ひ……ひ……。」
小五郎は目の前の恐怖感から、金縛りにあったかのように動けずにいる。
そして、
「ギギッ!!」
ダークネスアントが腕を振り下ろそうとしたその時!
ドキューーーーン!!
「グガウッッ!!」
一筋の光がダークネスアントを貫き、木っ端微塵に破壊した。
「え……?」
「な……い、今のは……?」
小五郎と中森警部が周囲を見回すと、
「大丈夫ですか、毛利さん!?」
「もう心配はいりませんよ!」
「なっ、た、高木警部補!?」
「さ、佐藤警部!?」
その視線の先では、高木渉警部補と佐藤美和子警部が、拳銃を身構えていた。
「ほへ〜〜〜〜、た、助かった……。」
安堵する小五郎。
「しかし高木、一体どうやってあの蟻んこを破壊できたんだ!?」
「このライフリボルバーのおかげですよ。」
「おお、これは確か、自分の体力を弾丸にする銃だったな。」
「はい。服部警視長の話では、あのシャドウエンパイアのシャドウドールは、実弾が全く効かなくて、『気』や『魔力』で破壊するしか無いそうです。」
「シャ、シャドウエンパイア?」
「何だね、それは!?」
「かの黒の組織の一員だったダルクマドンナという者が組織崩壊後に立ち上げた邪悪な組織で、キッドの命を狙っているそうです。」
「なっ、何い!?キッドの命を狙っとるだあ!?」
激昂する中森警部。
「それよりも中森警部、ここは僕等に任せて、早く退避を!」
「そして、神奈川県警に、『特殊能力犯罪法』に基づいて、みなとみらい全域を封鎖するよう、要請を!上層部は知ってる筈ですから!!」
「わ、わかった!」
「けど、あまり無理はするなよ!!」
「わかってます、我々の役目は被害を最小限に食い止める事、いざとなったら退避するのが鉄則ですから!」
小五郎と中森警部は、ここで踏み止まると邪魔になるだけだとわかっていたので、速やかに退避して行った。
二人を見送った高木警部補は、
「佐藤さん。」
「何、高木君?」
「恐くないですか?」
「何が?」
「あれです。」
自分達の周りを取り囲んでいるダークネスアントの大群を指し示した。
「まあ、恐くないと言えば、嘘になるかな。どっちかと言えば、恐いというより、生理的に気持ち悪いのかも。」
「正直言うと、僕もです。」
「でしょうね。でも、やるしかないわよね。」
「勿論ですとも。」
あまり多弁を要さずに、以心伝心でやり取りする二人。
「じゃあ、行きますか。」
「そうね。」
ズドーーーン!
ズドーーーン!
「グギャウッ!?」
「ごがあっっ!!」
二人は、一撃必殺の構えでダークネスアントを破壊していき、瞬く間に自分達の周囲にいた群れを全滅させた。
「やるじゃない、高木君!」
「いやあ、佐藤さんも!」
「でも、油断は禁物よ。」
「わかってますって。」
ズドーーーン!
ズドーーーン!
高木警部補と佐藤警部は、新たに出現したダークネスアントの群れに次々と銃火を浴びせていった。
☆☆☆
「神鳴流奥義、斬岩剣!」
「天空の雷鳴よ、悪しき影を打ち砕け!」
「グガウッッ!!」
「ギギャウッ!?」
「グギャウッ!?」
菫と紅子が、奥義を繰り出して、多数のダークネスアントを次々と葬り去っていく。
「うわあ、凄いなあ……、さすがは本職なだけの事はあるやん……。」
感心する和葉。
その時、
「ぐごうっっ!!」
「おわっと!?」
和葉に対して、全身真っ黒のダークネスアントとは体色が違う、胴体部が赤い、グンタイアリ型のシャドウソルジャー・暗黒兵隊蟻ダークネスウォーリアが襲ってきた。
「な、何や、新手か!?」
「油断すんなや、和葉!コイツは黒い雑魚とはちと違うみたいやで!!」
「わかっとるわな、平次!とりゃあーーっっ!!」
ガシャーーーン!!
和葉はすかさず、ダークネスウォーリアに回転投げをぶちかまして破壊した。
「ハハハハ、どーやらいらん警告やったな……。」
和葉の強さに改めて脱帽する平次だった。
☆☆☆
「あら、何かしら、アレ?」
園子は、やや向こうの方で、何やらどんぱちやっているのを見かけた。
「何か喧嘩でもやってるんでしょうか……。」
「喧嘩?って事は、もしかして暴走族の抗争!?」
「いや、それにしては爆発音が頻発しているような……えっ!?」
「どうしたの、哀ちゃん!?」
「みんな、今すぐトラックに戻るのよ!」
「えっ、どうしてです?」
「あれは暴走族の抗争じゃないわ!工藤君達がシャドウドールと戦っている所よ!」
「なっ……!?」
哀の話に真っ青になる園子。
「?シャドウドール?」
「それに工藤君って?」
「んな事どうでもいいの!早く戻りま……。」
踵を返して戻ろうとした園子だったが、
「ギギギギ……。」
「ギギギギ……。」
「ギギギギ……。」
ランドフォートレスへの道は既に、ダークネスアントの大群によって、塞がれてしまっていた。
「なっ、何これ!?」
「ばっ、化け物〜〜〜〜っっ!?」
闇に蠢くダークネスアントに慄く恵子と瑛祐。
その時、
「ギギッ!!」
一体のダークネスアントが、園子に飛び掛ってきた。
「あっ、園子さん!?」
「危ない!!」
「きゃあーーっっ!?」
「い……いやあーーーーーっっ!!」
園子は絶叫しながら、手に持っていたラケットを思いっきり振り回した。
すると、
バキイッ!!
「グガウッッ!!」
ダークネスアントは吹っ飛んだ後に、木っ端微塵に砕け散った。
「え……?」
「な、何……今の……?」
「そ、園子さん……!?」
園子がダークネスアントを破壊したのを見て、当の本人は勿論の事、恵子や瑛祐も面食らったような顔付きになっていた。
が、一人哀は、
「!」
腕輪が光っているのを見て、
「もしかして……。」
何かに気づいたような表情になり、おもむろに足元の小石を拾い上げ、持っていたパチンコに装填した。
そして、
ひゅんっっ!!
「グガウッッ!!」
哀がパチンコで撃った小石が、ダークネスアントにヒットし、園子の時と同様、ダークネスアントは木っ端微塵に砕け散った。
「えっ、なっ、何!?」
「やはりね。」
「ど、どう言う事なの!?」
「これを見て。」
哀は左腕に装着された『光の腕輪』を見せた。
「あっ、これ初音さんが僕達にくれた腕輪じゃないですか!」
「そう。つまり、この腕輪をつけていれば、あのバケモノ蟻と戦う事が出来るって訳。」
「えっ、そ、そうなの?」
「じゃあ、私がラケットであのバケモノを破壊できたのも……。」
「そう。その腕輪の力で、どんなものでも怪物を倒せる武器になるって事。恐らく、素手でも破壊する事が可能でしょうね。」
「どんなものでも武器に……それなら!!」
恵子も、足元の小石を拾ってパチンコにセットし、ダークネスアントに向けて撃った。
すると、
「グガウッッ!!」
同様にダークネスアントが爆散した。
「やったあ!」
「よーし、これならいけるわ!!」
俄然、やる気が出てきた恵子や園子に対して、
「あ、あの……ぼ、僕……。こ、こういったバトルは……。」
瑛祐は少し気弱な面を見せるが、
「あなた、以前黒尽くめの組織とだって戦ったくせに、何を今更……。」
哀に突っ込まれる。
「で、でも、幾らなんでも相手が……。」
躊躇する瑛祐に、
「ギギッ!!」
「ギギッ!!」
「ギギッ!!」
ダークネスアントが三体同時に飛び掛ってきた。
「あっ、危ない!」
瑛祐を助けようと、三人が武器を構えた時、
「うっ、うわあーーーーっっっ!!!」
ブウォンッッッ!!!
ぶわきっっっっ!!!
「ぎゃうっ!!」
「ごがあっっ!!」
「ぐきゃあっ!!」
瑛祐は反射的に足元に転がっていた旗竿を振り回し、三体のダークネスアントをいっぺんに破壊した。
「え、瑛祐君やるじゃん……。」
「見た目からはとても想像つかないわね……。」
「彼、棒術と槍術の才能あるのかしら?」
「ぼ、僕にもやれた…………よーし、来い!!!」
さっきの気弱ぶりは何処へやら、瑛祐はダークネスアントに対して旗竿を身構えた。
「ギギッ!!」
「ギギッ!!」
「ギギッ!!」
それを受けてダークネスアント達は、一斉に園子達に襲い掛かった。
「いやあーーーーっっ、真さあーーーーーんっっ!!」
どがっ!
バキッッッ!!
グシャッッッ!!!
絶叫しながらも園子は、ダークネスアント達をラケットで次々と葬っていく。
「すごい、何か戦闘能力ないような事言ってた割に、最強なんじゃないですか、園子さんって」
瑛祐が、状況を忘れて思わず感心してしまう。
☆☆☆
「!園子さん!?」
「どうした、真!?」
「今、園子さんの声が……。」
「えっ!?」
真の話を聞いた陽介が、ふと、周囲を見回してみると、
「あっ、あれは!?」
遠くの方で、何者かがダークネスアントの別の群れと戦っているのを発見した。
「あっ、そ、園子さん!?」
何とそれは、ラケットを振り回して、ダークネスアントの大群と戦っている園子達であった。
「なっ、何で園子さんがあんな所に!?」
「わからん!でも、このままだと彼女達が危険だ。早く行ってやれ!!」
「すまない、陽介君!」
真は大急ぎで園子達の元へ向かった。
☆☆☆
「あっ、園子さん、危ない!」
「きゃあっ!?」
ホンの一瞬の隙を突いて、ダークネスアントが園子に襲い掛かって来た。
だが、
「たあっ!!」
バキッッ!!
「グギャウッ!?」
「え……ま、真さん!?」
間一髪、真がダークネスアントを蹴り潰して、園子をガードした。
「大丈夫ですか、園子さん?」
「え、ええ!ありがとう!!」
「はあ……助かった……。」
「ホントね〜〜〜。」
「『地獄に仏』とは、正にこの事ね……。」
真の来援に安堵する一同。
「しかしそれにしても、凄い数のシャドウドールですね。」
多数のダークネスアントを見回す真。
「えっ、シャドウドールって……真さん、どうしてアレがシャドウドールだと!!つーか、何で化け物相手に冷静なの!?」
「実は私、小さい頃から陽介君の助手として、何度か式神を倒した事がありまして……ハイッ!!」
園子と話しながらも、真は近づいてきたダークネスアントを瞬時に蹴り飛ばした。
「でも、園子さんに話しても信じてもらえないと思いまして、今まで黙ってたんですよ。」
「いや、それも無理ないわね。でも、この有様を見ると、嫌でも真実と認識せざるを得ないわね……おらあっ!」
園子も、近づいてきたダークネスアントを、ラケットでぶっ叩いて破壊した。
「園子さん、結構そのテの才能もあるのでは……。」
園子の強さに息を呑む真。
「あっ、それよりも、早く陽介君達と合流しましょう。その方が危険も薄らぎますから。」
「そっ、そうね。早く行きましょ、みんな!」
「う、うん!!」
「さあ、急ぐわよ!!」
「あっ、ま、待って下さあーーい!!」
真に連れられて、園子達は一目散にコナン達と合流して行った。
☆☆☆
「ハア、ハア、な、何て数なんですか、アレ……。」
「さすがに体力がヤバくなってきたわね……。」
ライフリボルバーで多数のダークネスアントを撃破してきた高木警部補と佐藤警部だが、数で攻めて来るダークネスアント相手に、体力が尽きかけてきた。
そこへ、
「ぐおうっ!!」
がしっっ!
「うわっ!?」
「たっ、高木君!?」
高木警部補は、ダークネスアントにライフリボルバーをはじかれて倒れてしまう。
「ぐわおう!!」
「うわあっっ!!」
「高木君!!」
高木警部補が攻撃され掛けたその時、
ズドーーーン!
「ぎゃわうっ!!」
ライフリボルバーの光弾がダークネスアントを破壊した。
「え……?」
「い、今のは……?」
二人は驚きながら、ライフリボルバーが撃たれた方を見ると、
「つったく、いい若いモンがだらしねえなあ。」
「「も、毛利さん!!」」
そこには、ライフリボルバーを構えた小五郎の姿があった。
「ほう、中々の腕前だな、毛利探偵。」
小五郎と共に退避したはずの中森警部も驚嘆する。
「お、お二人とも、退避されたはずでは!?」
「バーロー!!あれだけの事をやられて、黙ってる訳にはいかねーだろ!!さあ、こっから後は俺に任せて、少しは休んでろ。」
「で、ですが……。」
「ここは毛利探偵の言う通りにしておけ。さあ、佐藤警部も。」
「は、はい……。」
佐藤警部もライフリボルバーを中森警部に手渡した。
「ほう、警部殿もやる気ですな。」
「当たり前だ。ワシの獲物のキッドを消そうとする奴等を許しておけるものか!」
ズドーン!
中森警部がすかさず、近寄ってきたダークネスアントを狙撃して破壊した。
「おう、やりますな、警部殿!!」
「フッ、まだまだ若いモンには負けはせんわい!!」
二人は群がるダークネスアント達を次々と撃破していく。
「……いやあ、あの二人結構凄いですね……。」
「ホント、目暮警部が言ってた話の通り、大したもんだわ……。(毛利探偵が警察官時代は、今の名探偵振りが信じられない位、捜査能力はからきし駄目だったけど、射撃の腕前だけは凄かったと言ってたわね。)」
高木警部補と佐藤警部は、小五郎と中森警部の射撃の腕前に、改めて驚嘆していた。
☆☆☆
「それにしても、何と言う数ですの、アレ等は?」
「シャドウエンパイアもかなりマジになってるようだね、姉さん。」
戦場と化したみなとみらいを見回す一組の姉弟。
「ならば、ワタクシ達も参りますわよ、武琉さん。」
「OK、桐華姉さん!」
ポニーテールに革ジャン、スパッツ姿と、昼間の礼装とは打って変わった服装の桐華が、胸元から百枚束のお札を取り出した。
一方、手に対魔法兵器格闘戦用の拳『ストライクナックル』を装着した武琉が、ダークネスアントの大軍の中へ攻め込んだ。
「とりゃあーーーーっっ。」
ヴァキッッッ!!
「ぎゃうっ!!」
「ごがあっっ!!」
武琉は俊敏な動きで、瞬く間にダークネスアントを破壊していった。
「武琉君、凄おい!」
「真さんと同じ動きで蟻んこ達をやっつけるなんて、さすがは弟子ね〜〜。」
驚嘆する青子と園子。
「アイツ、ホントに小学校四年生かよ……。」
コナンも武琉の強さに冷や汗をたらす。
(お前が言うなや、工藤……。)
そんなコナンを、平次が心の中で突っ込んだ。
その一方で、
「さあ、お行きなさい!『百鬼夜行桐華組』の皆さん!!」
そう叫ぶや桐華は、百枚のお札を天にばら撒いた。
すると、
「おおおーーーっっ!!」
「うらあーーーっっ!!」
「てぇぇーーーい!!」
何とお札が次々と、輪入道や唐傘小僧、猫又や一反木綿等の日本の妖怪の姿へと変化していき、ダークネスアントやダークネスウォーリア達を攻撃し始めた。
「なっ、何だアレ!?」
「妖怪達が、蟻んこと戦うてるで!?」
突如出現した多数の『援軍』を見て、驚くコナン達。
「ちょ、ちょっと!私、オバケはダメなのよ〜〜〜〜っっ!!」
お化け嫌いな蘭は、震え上がってしまう。
だが、
「それなら心配ないわ、蘭ちゃん。」
「えっ、どうして?」
「あれは『百鬼夜行桐華組』と言って、桐華さんが操る妖怪型の式神なの。」
「えっ、式神って事は、あれ、本物じゃないの?」
「そうよ。」
「ああ、良かった。」
舞の説明でほっと一安心する。
☆☆☆
「ハア、ハア……なんつー多さだ、全く……。」
「これしきの事でへばるとは……ワシも年をとったのかな……。」
ライフリボルバーで多くのダークネスアント達を撃破してきた小五郎と中森警部だが、彼等もあまりの敵の多さに、体力が消耗していた。
「毛利さん、僕の体力が戻ってきたみたいなので、交替しましょう!」
「後は私達が!」
「おお、すまねえな。」
だがそこへ、
「グオウッ!!」
交替の合間にダークネスウォーリアが襲い掛かってきた。
「あぶないっ!!」
「毛利さんっ!!」
「ひ、ひえ〜〜〜〜〜っっ!!」
真っ青になる小五郎。
が、その時、
「うおうっ!」
バキッ!
「がぎゃっ!!」
巨大な赤鬼が、棍棒でダークネスウォーリアを叩き飛ばし、小五郎達をガードした。
「……な、なんだあ、このでっけーヤツは!?」
「ワ、ワシ等を助けたのか!?」
赤鬼の姿に面食らう小五郎と中森警部。
「どうやらそうみたいですね。アレを見て下さい。」
「あっ、あれは!?」
佐藤警部が示した所を見て、高木警部補達は驚いた。
そこでは、多数の日本の妖怪達が、ダークネスアント達を撃破していたからだ。
「高木君、あの妖怪達は私達の味方らしいから、蟻んこ達だけを撃つのよ!」
「はい、佐藤さん!」
再びライフリボルバーを手にした佐藤警部と高木警部補は、ダークネスアント達を撃ち倒し始めた。
「ハハハハ……もう何がなんだか……。」
「何かもう、普通の生活には戻れそうも無いな……。」
目の前の展開に、ただただ脱力する小五郎と中森警部であった。
☆☆☆
「ちいっ!これじゃあきりがねーぜ!」
多数のダークネスアントやダークネスウォーリアを相手に、さすがの快斗も体力が切れ掛かっていた。
そこへ、
「おわっと!」
ダークネスウォーリアの攻撃を避けた際に、誤って尻餅をついてしまった。
「あっ、快斗!」
青子が助けに向かおうとしたその時、
「てえいっ!」
「がぎゃっ!!」
何と探が、ダークネスウォーリアを破壊して、快斗を助けた。
「大丈夫ですか、黒羽君!」
「は、白馬、オメー……。」
「申し訳無いけど、先ほどの発言、撤回させてもらいますよ。さっきのコナン君、いや、工藤君の発言と、この怪物達を見て、本当の真実が何処にあるかが見えたような気がしてきましてね。」
「ほう、なるほどな。」
「それに青子さん、先ほどの貴女への無礼、本当に申し訳ございませんでした。はいっ!」
ガシャーンッ!!
快斗達への会話の間でも、探はすかさずダークネスアントを破壊する。
「白馬君……。」
「流石ですわね、白馬君……。」
「フッ、中々やるじゃねーか。」
青子や紅子、それにコナンも、探の殊勝な態度に大いに感心していた。
☆☆☆
「横溝警部!みなとみらい全域の封鎖、完了しました!!」
「おう、ご苦労。」
ランドマークタワー近くの非常線で報告を受けた横溝重吾警部は、
「しっかし、今この目の前の光景を見てると、何か夢でも見てるんじゃねーかと思えてくるぜ。」
非常線の向こうで繰り広げられているダークネスアントと日本の妖怪達との激闘を目の当たりにして、偽らざる本音を口にした。
一応一般人は全て避難させている筈だが、この非常線が保ちきれるのか。
何しろ今迄全く経験もノウハウもない事態なので、見当もつかない。
横溝警部は、警察官としての使命の為にこの場所に踏みとどまっているが、彼とて、怖くないわけではないのだ。
横溝警部は、ふと女性の声が聞こえた気がして、そちらを見た。
すると、何とした事か。
一般人は全て退避している筈のエリアで、テレビカメラが回り、女性アナウンサーとおぼしき人影がマイクを手にしているのだった。
カメラには、「日売テレビ」の文字とマークが入っている。
「何という事でしょう!皆様、これはドッキリでも何でもありません、特撮でもCGでもありません、今現実に、このみなとみらいで起こっている事です!この怪人達は、全てホンモノです!」
「こら!貴様ら、退避命令が出ているのを聞かなかったのか!?早く退避しろ、死にてえのか!?」
横溝警部がテレビスタッフ達に向けて怒鳴った。
日売テレビのアナウンサー水無怜奈は、動じる事なく報道を続ける。
「みなとみらいには現在非常線が張られ、犠牲が出ないように退避命令が出されています。我々は、その現状を皆様に知って頂こうと、この場に踏みとどまって報道を続けています。」
「おい!貴様ら、まさかこれを生中継してるのか!?」
横溝警部がディレクター(と思われる人物)に向けて怒鳴った。
ディレクターらしき男は、震えながらも毅然として答えた。
「我々は、報道に携るものとして、真実を国民に知らせる義務があります。決して、人命を犠牲にしないようにという警察や国家の配慮に反するものではありません。」
「なら、これだけ報道すればもう充分だろう、早く退避しろ!」
横溝警部がテレビスタッフ達に怒鳴った時、
「ギギギ……。」
何と、ダークネスアントが横溝警部達がいる非常線のすぐ近くまでやって来た。
「なっ……!?」
怪物を近くにして、さすがの横溝警部も青ざめる。
その一方で、
「見て下さい!この恐るべき怪物を!!一体何者がこのような怪物を呼び寄せたのでしょうか!?」
怜奈は危険に動じる事も無く、実況に力を入れていた。
「ギギッ!!」
ダークネスアントが非常線を突破しようとしたその時!
ズドーーーン!
「ぎゃわうっ!!」
一筋の光弾がダークネスアントを破壊した。
「な……い、今のは……!?」
目の前でダークネスアントが爆散したのを見た横溝警部は、信じられないような顔つきになった。
「つったく、ホント危ねえトコだったなあ。」
「あ、アンタはまさか……。」
「あっ、あれは、毛利探偵!?」
その光弾を撃った主――毛利小五郎の姿を見て、横溝警部や怜奈達は一様に絶句した。
「な、何で毛利探偵がここに!?」
「キッドから宝石を守るよう依頼を受けてここに来たら、このような事に巻き込まれてしまいまして……。」
「あんた……本当に災厄を呼ぶ男だな……。」
助けてくれた相手への言葉としてはあまりな言い草であるが、横溝警部が毛利小五郎と会う時は、大抵血生臭い事件と共にであったから、無理もない。
「皆様、何と、眠りの小五郎です!彼は優秀な探偵ですが、どうやら、この怪人達とも戦っている模様です!」
「フッ……怜奈さん達のようなご婦人をお守りするのが、私の役目ですから。」
すかさず、ポーズを決めてカメラに向かう小五郎を、横溝警部は半ば呆れて見ていた。
「流石は、毛利さん。人々の幸せを守る為には、探偵以外の活動もなさっているようです!」
「いや〜、今回はたまたま、ヨーコちゃ……い、いや、宝石をキッドから守る為に、横浜美術館で警護をしておりますと、このような事態になりまして、やむなく銃を取った次第です。」
「勿論、警察の方々も、あの怪人達を食い止め、私達を守る為に奮闘しています。私達は、真実をお伝えする為に踏みとどまっておりましたが、これ以上毛利探偵や警察の方々の邪魔にならないよう、退避する事にいたします。以上、水無がお伝えしました。」
怜奈のこの言葉をきっかけに、日売テレビスタッフは速やかに撤収していく。
「お前達は、非常線を下げて警護に当たれ!」
横溝警部が部下に命じた。
「ハッ!しかし、警部殿は?」
「俺は、ここで戦う。」
「し、しかし……。」
「一応一般人の毛利探偵が戦ってるんだ、守られて撤退する訳には行かんだろう。さあ、早く行け!」
部下達は一瞬顔を見合わせたが、踏みとどまるのも足手まといと判断して、警部の命令に従い撤収して行った。
「ふう。警察官になって色々な事件に関わってきたが、まさか、子供向け番組のような戦いに加わる事になるとは、予想もしていなかったぜ。」
そう言いながら、横溝警部は、銃を構えようとした。
その時、
「横溝警部殿。あのアリンコ達には、実弾は通用しませんぜ。」
「何っ!?じゃあ、あんたはどうやって!?」
小五郎は、自分の持っているライフリボルバーを、横溝警部に渡した。
「あん?これは?」
「服部初音警視長が発明した、自分の体力を弾丸にする銃です。」
「服部初音警視長って……一昨日(金曜日)キッドを一度は捕まえたあの女か!?」
「ええ、そうです。警視長殿の話では、奴らは、これでしか倒せないそうです。」
「ほう、けったいなものだな。あん?体力を弾丸にするという事は、もしや!?」
「はひー、もう私、体力の限界でして〜〜。」
「おいおい、冗談じゃねえぜ!」
そうぼやきながら、横溝警部はその場に現れたダークネスアントにライフリボルバーを向けて撃った。
「ぐぎゃう!?」
「す、すげー……。こんな物を発明するなんて、あの女、マジで只者じゃねーな……。」
横溝警部は、改めて初音の凄さを知った思いだった。
☆☆☆
「しっかし何なの、このむっちゃくちゃな蟻んこの大群は!?」
「そもそもこの蟻んこ達、一体どっから湧き出てるのよお!」
嫌気がさした園子と青子が叫んだ時、
「どっから!?」
コナンは何かに気づいた。
「どうしたの、新一!?」
「なあ、蘭。アリの群れって、何で構成されてるっけ?」
「何よ、こんな状況で。まあ、働きアリと兵隊アリ、雄アリと女王アリ……あっ、もしかして!?」
「そうだ。コイツ等を生み出している女王アリがこの辺りのどっかに潜んでいるって事さ。」
「そうか工藤!その女王アリを叩き潰せば、コイツ等も終わりっちゅー訳やな!!」
「そう言う事さ。」
「でもその女王アリは一体何処に?」
「こいつ等の出現密度を見れば……。」
コナンは周囲を見回し、
「風吹さん!」
「どうしたでござるか!?」
「あの廃土の山に、彗星斬を叩き込んでくれ!あそこに女王アリが!!」
「!なるほど、判ったでござる!!アデアット、南十字星!!」
ピカアーーーッッ!
風吹はマジカルウェポン召喚呪文を唱え、目の前の魔方陣から出現した巨大な十字手裏剣・南十字星を掴み、回転させて上空へと舞い上がった。
そして、
「伊賀忍法奥義・彗星斬!」
と叫ぶや、廃土の山目掛けて急降下し、南十字星を突き刺した。
すると、
ドガーーーーーン!!
廃土の山が豪快に吹き飛んだ。
そして、
「フフフハハハハハ……、さすがは江戸川コナン、いや、工藤新一。このわらわを見つけ出すとはまさしく天晴れなり!」
舞い上がった残土の塵の中から、頭に昆虫を思わせる兜と、全身黒と銀で彩られたローブを身にまとわせた、身の丈2mはある四本腕の女性型のシャドウドールが姿を現した。
「なっ、何アレ!?」
「虫にも見えるし、人間にも見えるな。」
「テメエが女王アリか。」
「如何にも。わらわの名はダークネスクイーン。ダークネスアントの女王なり。」
さすがに女王アリらしく、ダークネスアントやダークネスウォーリアとはまるで違う威厳を漂わせていた。
「フッ、ようやく女王アリのお出ましって訳ね。なら、アンタをやっつけて、一気にケリをつけてやるわ!!」
身構えた舞の上空で、ドラグファイヤーがコイル状に旋回していた。
「とおっ!」
ドラグファイヤーの中へハイジャンプした舞は、
「バーニングドラゴンキイーーック!」
とドラグファイヤーの炎で加速をつけて、ダークネスクイーンにキックを直撃させた。
「やったあ!」
「舞凄おい!!」
「これで決まりね!」
ガッツポーズを決める舞。
だが、
「フフフフ、これでわらわを倒したつもりか。ハアッ!!」
「えっ、う、うそお!?」
何とダークネスクイーンは、舞に蹴られて出来た傷口を見る見るうちに回復させていく。
「な、何で!?何で私の必殺技が効かないの!?」
自分の必殺技を破られて、動揺する舞。
そこへ、
「なら、今度はウチが相手や!!」
菫が闘気刃をまとわせた村雨を、ダークネスクイーンに対して身構えた。
「おお、御剣ならいけるかも!」
「スミレちゃん頑張れーーーっっ!!」
応援に熱が入る和葉。
「冥府魔道がアンタを呼んどるで…………神鳴流奥義・菫刃魔破斬(きんじんまっはざん)!」
菫は刀を振り下ろしたまま、ダークネスクイーンに猛スピードで突進し、すれ違いざまに村雨を振り上げた。
「ヨッシャ、決まったあ!」
「スミレちゃん、かっこエエ!!」
驚嘆する平次と和葉。
だが、
「まだ安心するな、服部!見ろ!!」
「えっ、う、嘘やろ!?」
何とダークネスクイーンは、菫に切られた時の傷口も見る見る間に修復した。
「なっ、ちょ、ちょっと!そんなん反則やん!!」
「フフフハハハハ、どうした、それで終わりか。ならば、ハアッ!!」
ドガーーーン!!
「きゃあっ!」
「ぐはっっ!!」
ダークネスクイーンの四つの手から発せられた火炎弾で、舞と菫が吹き飛ばされてしまう。
「舞ちゃん!!」
「スミレちゃん!!」
血相を変えた蘭と和葉達が、二人の元に駆け寄った。
「大丈夫、舞!?」
「な、何とかね……。」
「御剣、しっかりせえ!」
「へ、へーたん、アイツ結構強いね……。」
「な、何と言うヤツでござるか、ならば、拙者の彗星斬で!!」
「待ちたまえ、風吹君!」
南十字星で飛翔しようとした風吹を、探が止めた。
「な、何故止めるでござるか!?」
「あの二人の必殺技でも倒せない敵を、君の必殺技で倒せるわけが無いでしょう!」
「し、しかし……。」
「あのダークネスクイーンを倒すには、再生能力がネックになりそうですわね。」
赤魔術師として、冷徹に分析する紅子。
「テメエ、それだけの再生能力を持つって事は、今までのよりも上位にいる存在のようだな。」
「如何にも。わらわはダルクマドンナ様からじかに魔力の供給をうける高貴なシャドウロード。並のシャドウソルジャーやシャドウファイターとは違うのだ!!」
力強く言い放つ、サムライアリ型のシャドウロード・暗黒女王蟻ダークネスクイーン。
だか、その時、
「なら、私が相手になってやるわ!」
「なっ、ら、蘭!?」
ダークネスクイーンの相手に蘭が名乗りを上げ、真っ青になるコナン。
「ちょっと待て、蘭!相手は強大な再生能力を持つ奴だぞ!?焔野でも倒せない化け物をお前が……。」
「そんな事は無いわ、新一。普通の魔法がダメでも、この光の力なら何とかなるかもしれないでしょ?」
「光の力!?」
蘭の言葉に、何かを感じ取ったコナン。
「フフフフ、さあ、どこからでもかかって来い!!」
「なら、行くわよ!とりゃあーーーーっっ!!」
ドガッッ!!
「ぐぬうっ!?」
蘭はいきなり、ダークネスクイーンに飛び蹴りを食らわせ、ダークネスクイーンはその衝撃に顔を歪ませた。
「おお、凄え!」
「何て攻撃力なんですか!」
「蘭さんの飛び蹴り、かなり効いてるようね。」
「すっげーパワーね、蘭ちゃん!!」
「蘭ちゃん、カッコいい!!」
「さすがでござる、蘭殿!」
快斗達も蘭の強さに息を呑む。
「ハイッ!!」
バキッ!!
「ぐわっっ!?」
蘭の鉄拳が、ダークネスクイーンの顔面にヒット!
「いける、いけるで、姉ちゃん!!」
「蘭ちゃん、頑張れーっ!!」
「ウチ等も負けられへんでえ!!」
平次達も、ダークネスウォーリアと戦いつつ、蘭を応援する。
(蘭……、もし何かがあった時は、俺が囮になってでも、オメーを助け出すぜ……!)
その思いを秘めながら、コナンは蘭の邪魔にならない程度の距離で、彼女を見守っていた。
「てえいっっ!!」
ガシャャャャャン!!
「ぐおあっっ!!?」
蘭のハイキックがダークネスクイーンの右メインアームを破壊した。
「な、何て強さなんですか、蘭さんは!?」
「本当に見事ね、蘭さん。」
瑛祐と哀も蘭の強さに驚嘆する。
「さあ、観念なさい、ダークネスクイーン!!」
「観念だと?フフフフフ、誰に向かってそのような戯言をほざいておる?」
ダークネスクイーンは、二本の左腕から、宝珠のような物を出現させ、
「出でよ、ダークネスガード!!」
と足元に投げつけた。
すると、
「ギギギギギ……。」
「ガハアアアアア……。」
宝珠が変形して、ダークネスアントと同じ、アリ型のシャドウドールが出現した。
「ちょ、ちょっとなによこれ!?」
「テメエ、雄アリを出すなんてずるいぞ!!」
「フフフハハハハ……、戦いにズルイもへったくれもあるものか!さあ、やれ!!」
「「ハハッ!!」」
ダークネスクイーンの命に従い、蘭に襲い掛かる、ブルドックアリ型のシャドウファイター・暗黒雄蟻ダークネスガードアインとツヴァイ。
「くっ!」
「ヤロオ!そうはさせるか!!」
ダークネスガード相手に身構える蘭と、彼女に加勢しようと駆け出すコナン。
だが、そこへ、、
「「とりゃあーーーーーっっ!!」」
バキッッッ!!!
「おわあーーっ!!」
「ぐおあーーっ!!」
陽介と武琉がダークネスガードを蹴り飛ばした。
「折角の勝負を邪魔するんじゃねえ!!テメエ等の相手は俺達だ!!」
「蘭さん達には指一本触れさせないぞ!!」
二人は蘭をガードするように立ちはだかる。
「あ、ありがとう、陽介さんに武琉君!!」
「恩に切るぜ!」
「なーに、良いって事よ。この雄アリ達は俺達に任せときな!!」
「頑張って下さい!!」
蘭やコナンを激励する陽介と武琉。
「ぐぐぐ……おのれえーーーっっ!!」
「我等をなめるなあーーーーっっ!!」
怒ったアインとツヴァイが二人に襲い掛かってきた。
だが、
「ていやあーーーっっ!!」
「とあーーーーっっ!!」
バキッッ!!
「「ぐわああっ!!」」
陽介と武琉の鉄拳が炸裂!!
「さあ、俺達も行こうぜ、蘭!」
「OK、新一!!」
「うぬう、小癪なあ、ハアッ!!」
ダークネスクイーンが二人に雷撃を発射した。
「うわっと!!」
「おおっと!!」
が、二人は絶妙な呼吸でこれをかわしていく。
そして、
「ハイッッ!!」
「ヤアッッ!!」
ドガッッ!!
「ぐおああっっ!!」
蘭の鉄拳が今度はダークネスクイーンの兜を叩き割った。
同時に、コナンのハイキックが、ダークネスクイーンの左サブアームを破壊した。
「おお、何て絶妙なんだ!?」
「あの二人、息ぴったりやん!!」
コナンと蘭のコンビプレーに驚嘆する一同。
「さあ、今度こそいい加減になさい!!」
「もう年貢の納め時だぜ!!」
「フッ、何をたわ言を申すか。このわらわをなめてもらっては困る!!」
ダークネスクイーンは邪悪な笑みを浮かべながら、破壊された右メインアームや左サブアームを再生させた。
「えっ、ちょっと!?」
「やっぱり光の力でもダメなの!?」
「ん!?」
蘭と園子が困惑する中で、コナンは何かに気づいたような顔つきをした。
「フフフハハハハハ。如何にうぬ等がわらわに攻撃してこようとも、ダルクマドンナ様からの魔力を受け続ける限り、わらわは不死身じゃ。ハーッハハハハハ……。」
高笑いするダークネスクイーン。
「くっ……、でも何かあるはずやで、奴を確実に倒す方法が……。」
「せめて、ダルクマドンナからの魔力を上回る光のエネルギーを奴に叩き込めれば……。」
「ああ、そうだな。ただ、そういった武器があれば可能かもしれねえが……。」
「えっ、新一!?」
平次や快斗が焦燥に駆られた時、コナンは一人何かを感じ取り、その様子に蘭は驚いた。
その時、
ピカッ!
「「!」」
コナンと快斗は光の腕輪が光った事に気がついた。
「!もしかして……。」
「何かヒントが……。」
二人はすかさず、腕輪に手を当てた。
そして、
「!」
「こんなのがあったのかよ!」
「どうしたの、新一!?」
「ついに見つけたぜ、あの女王アリをやっつける武器を。」
「え!?」
「これがあれば、一気に形勢逆転だ!さあ、いくぜ!!」
「おう!フォースウェポンセットアップ、グランドコナン!!」
「フォースウェポンセットアップ、キッドジュニア!!」
ピカアーーーーーッッ!!
コナンと快斗が叫ぶと同時に、腕輪が強烈に光り始め、コナンの足元や快斗の目の前に光り輝く魔法陣が出現した。
「おお!」
「あれは!!」
驚く一同。
そして、魔法陣上のコナンが浮遊すると同時に、魔法陣から光り輝くスパイクが出現し、コナンのキック力増強シューズに装着された。
また、快斗が目の前の魔法陣に手を突っ込み、その中から黄金に輝く拳銃を取り出した。
「な、なに、あの武器は……!?」
「強い光を発してますね。」
「アレこそが光のフォースウェポン、フォトンスパイクとムーンマグナムや。」
「初姉?」
「何でそんなん知ってるん?」
「知ってるも何も、アレ作ったんはウチやさかいなあ。」
『えーーーーーっっ!?』
思わず叫ぶ一同。
「さあ、決着をつけようじゃねーか、女王アリよお。」
「フッ、そのようなこけ脅しが、わらわに通用するとおもうてか!?」
「そんなんやってみねーとわかんねーだろーが!!いくぜ、ムーンライトシュート、セットオン!!」
快斗の詠唱と同時に、ムーンマグナムの銃口に光が集まりだした。
そして、
「いっけえーーーーーっっ!!」
ドキューーーーーン!!
快斗がムーンマグナムのトリガーを引くと同時に、光の銃弾が勢いよく火を噴いた。
「むうっ!」
ダークネスクイーンはこれを避けようとしたが、
ドゴーーーン!!
「ぐおっっ!!」
ムーンマグナムから発射された光の銃弾が、ダークネスクイーンの右メインアームとサブアームを吹き飛ばした。
「くっ、なかなかやるのう。だが、わらわの再生能力の前には……なっ、なにぃ!?」
ムーンマグナムで吹き飛ばされた右腕部が再生されない事に驚くダークネスクイーン。
「ばっ、バカな!?何故再生が出来な……ぐっ!?」
ドゴーーーン!!
ドガーーーーン!!
ドグォーーーーーン!!
「ぐぎゃあああああ!!」
ダークネスクイーンの体が次々と誘爆を起こしはじめた。
「す、凄え……。」
「これが……フォースウェポンの力か……!」
快斗達は改めて、フォースウェポンの力を目の当たりにして、息を呑んだ。
更に、
バシュッ!!
バシュッ!!
バシュッ!!
周囲の多数のダークネスアントが、突然粉々に砕けながら消滅し始めた。
「なっ、何!?何かありんこ達がみんな消え始めとるで!?」
「一蓮托生の働きアリ達もアウトになる位のごっつ凄いダメージのようやな。」
分析する平次。
「なっ、じょ、女王様!?」
「そ、そんなバカな!?」
ダークネスクイーンが大ダメージを受け、更にダークネスアント達が消滅していくのに驚くダークネスガード。
そこへ、
「もらったあ!サイコスラッシャー!!」
グサッ!!
「ごわああああ!!」
一瞬の隙も見逃さず、陽介が必殺技のサイコスラッシャーで、ダークネスガードアインにイーグルウィングを突き刺した。
「お、おの……れ……。」
ドゴォォォォォォォォン!!!
ダークネスガードアインは木っ端微塵に吹き飛んだ。
「おお、流石は陽介君。お見事!!」
「王子様、かっこいい!!」
「やるでござるな、主殿。」
「ダーリン、素敵や〜〜〜ん♪」
陽介を絶賛する一同。
「ア、アイン!!」
相方の敗死に驚愕するダークネスガードツヴァイ。
そこへ、
「とりゃあーーーーっっ!!」
ドゴオッッ!!
「ぐ……は……。」
武琉がストライクナックルをツヴァイに打ち込み、
「ストライクカノン!!」
ドガーーーーン!!
「ぎゃあーーーーっっ!!」
ドゴォォォォォォォォン!!!
魔力の気を一気に打ち込んで、ダークネスガードツヴァイを爆散させた。
「うわあ、武琉君もやるじゃん!」
「武琉君、流石ね!!」
「い、いや、そんな……。」
舞に褒められて、照れる武琉。
「あっ、そう言えばダークネスクイーンは!?」
ふと見ると、
「ぐうっ……、だ、だが……わらわはまだ負けて……負けては……おらぬぞ……!!」
ダークネスクイーンは、誘爆でボロボロになりながらも、鬼のような形相で、怒りに震えながら、なおも立ち続けていた。
「なっ、何やこいつ、まだ生きとるで!?!」
「フォースウェポンでもだめなんか!?」
平次達にほんの一瞬、絶望の色が見え始めたその時、
「フッ、やっぱりロード級のシャドウドールは一撃では倒せねーか。」
何と快斗は、既に予期していたかのように、平然としていた。
「どうやら本当にそうみてーだな。なら、これでホントに終わりにしてやるぜ!!」
そう言いながらコナンは、腕を交差させて、両手から光の輪を出し、
「フォトン・ホールディング!!」
との一喝と同時に、光の輪をダークネスクイーンに投げつけた。
ガシッッ!!
「ぐっ!!」
光の輪フォトン・ホールディングがダークネスクイーンを拘束する。
「おお!」
「凄い!!」
「くっ、これでわらわを縛るとは笑わせる!こんなもの打ち破って……。」
ダークネスクイーンがフォトン・ホールディングを破ろうとしたが、
バババババ……!!
「ぐっ、ぐうぉああああーーーーー!!!」
光の輪のスパークで更なるダメージを受け、絶叫を上げる。
「なっ、何故だ!?何故わらわの再生能力が……!?」
「簡単な事さ。黒羽の一撃はオメーそのものを倒す為じゃなくて、オメーの再生能力と魔力受信能力を破壊する為だったんだからよ。」
「なっ、何だと!?」
「オメーを操るダルクマドンナの魔力の凄さは、昨日俺達に襲い掛かった複数のシャドウファイター達を同時に操ったのと、今このみなとみらいをうじゃうじゃと荒らし回っている蟻んこ達を操っているのとで、わかったからな。それに、蘭の光の力の攻撃を受けた後の再生速度が遅かったのに気づいて、テメーにはより強大な光の力が有効だと思ってたが、見事に的中したって訳さ。」
「そーゆー奴が操るテメーを、俺一人の光の力だけで倒すには、やはり無理があるから、二人でならいけると思ったのさ。それがその成果さ!!」
「す、凄い、新一……。」
「このような状況でも、アレだけの敵を倒す方法を考え出すなんて……。」
「さすがやな、工藤……。」
「それにすぐに応じる快斗も凄いわ……。」
コナンと快斗の作戦能力に脱帽する一同。
「さあ、これでテメーの最期だ!!」
コナンは膝をついて、右手で右足のキック力増強シューズのダイヤルをMAXにし、左手でボール射出ベルトのスイッチを入れた。
同時に、シューズに装着されたフォトンスパイクが強く光りだした。
「フォトンドライブシュート、READY……GO!!」
と詠唱しながら、コナンはダークネスクイーンめがけてボールを力強く蹴った。
同時に、フォトンスパイクの光がボールに宿り、ダークネスクイーンめがけて猛スピードで飛んでいく。
そして、
「なっ!?」
ドガッッッッ!!
「ぎゃあああああああああーーーーーーーーーっっっ!!」
光のボールがダークネスクイーンを直撃した。
「やったあ!!」
「コナン君、凄おい!!」
「やったで、工藤!」
コナンの必殺の一撃に、勝利を確信する蘭達。
「ぐ……おお……こ、こんな……ば……か……な……!!」
ピカッ!
ドカアーーーーーーーーーーン!!
ダークネスクイーンは大音響と共に木っ端微塵に吹き飛んだ。
と同時に、
パーン!
パパーン!!
パパパーン!!
ダークネスクイーンの消滅と共に、ダークネスアントやダークネスウォーリアも次々と消滅していった。
☆☆☆
パーン!
パパーン!!
パパパーン!!
「えっ!?」
「こ、これは……?」
多数のダークネスアント達が次々と消滅していくのを見て驚く高木警部補達。
「な、何だ!?」
「何かありんこ達が急に消滅してるが……。」
「一体何があったんだ!?」
小五郎や中森警部、そして横溝警部も驚きを禁じえない。
「はっ、もしや……。」
「どうしたの、高木君?」
「きっと初音さんが、女王アリを退治したんですよ。」
「女王アリを?」
「ええ。ほら、僕達を助けて働きアリをやっつけていたお化け達が次々と消えていくじゃないですか。」
高木警部補達をサポートしていた百鬼夜行桐華組の妖怪達がお札に戻って、ある方向へと飛んでいった。
「あ、ホントだわ。という事は、働きアリを操っていた女王アリが消えた事で、魔力を絶たれた働きアリ達が活動を維持できなくなったって訳ね。」
「ほへ〜〜〜っ、や、やっと終わった……。」
「は〜〜〜っ、何か疲れたわい……。」
「こんな事件に遭遇したの、生まれて初めてだぜ……。」
疲労感丸出しで道路に座り込む小五郎と中森警部、横溝警部。
「はあ〜っ、そうですね。こんなに銃撃戦をやったのは、生まれて初めてですから、僕も体力が……。」
高木警部補も釣られてへたり込む。
「まあ、無理も無いわね。こんな事なんて未だかつて無い訳だし。でも、特殊能力捜査部の一員として、これ等が日常茶飯事になるかもしれないから、私達ももっと頑張らないとね、高木君。」
「そ、そんな、とほほほ……。」
「つーか、さすがにそこまでは……。」
「やっぱり専門外の事に下手に首を突っ込むもんじゃないな……。」
「もうこんな事件、願い下げだぞ……。」
元気な佐藤警部に対して、男性陣はさすがに元気が無かった。
本当にお疲れ様。
☆☆☆
「……ふーっ、やっと終わったか……。」
強敵を倒し、一息つくコナン。
そこへ、
「やったね、新一!!」
「わわっ、ら、蘭!?」
コナンは蘭に抱きつかれて、顔が一挙に真っ赤になる。
「ホンマに凄いで、工藤!」
「コナン君、なかなかやるやん!!」
「伊達に修羅場をくぐりまくっただけの事はあるわ!」
「いやいや、ホント大したものです。」
「君、マジで強いじゃないですか!」
平次達もコナンを取り囲み、彼を絶賛する。
その一方で、
「快斗、ホントにかっこいいよ!」
「私、見直しちゃったよ!」
「正に勇者の中の勇者でござるよ!!」
青子達も快斗を絶賛する。
「さすがですわね、黒羽君。」
「あのような状況で、敵の特質に合わせて対処するなんて、僕もホント脱帽しましたよ。さすがは怪盗キッド……と言った所ですか。」
遂にキッドの正体を掴んだ探だが、ここは素直に快斗の殊勲を称えていた。
「いやいや、コナン君も黒羽君も本当に凄いわね。」
「へーたんがコナン君に『惚れる』のも頷けるなあ。」
「お見事の一言に尽きますわね。」
そう言う桐華の手の上には、百鬼夜行桐華組の妖怪の札が次々と戻って来ていた。
「僕もあの二人のように、もっと強くなりたいです。」
「真も園子さんとの息がピッタリ合ってて、かっこ良かったぜ。」
アルファトゥオメガの面々も、コナンや快斗達を大絶賛していた。
「さすがは工藤君ね。どんな状況でも決して諦めずに、的確に対処していく。探偵としての特質が見事に生かされてるわ。」
「快斗も同様やな。アイツは怪盗の特質の応用がメッチャ上手うて、もしかしたら、探偵としてもやっていけるんやないかな。」
「かも知れないわね。」
哀と初音も、コナンと快斗を絶賛する。
「さて、アンタやコナン達も晴れて光勇者としてデビューした訳やから、何かチーム名を付けてやらんとあかんなあ。」
「チーム名?って言うか、私達、チームなわけ?」
「そや。」
「見た所、既に何か考えていそうだけど、良かったら教えてもらえないかしら?」
「ああ、ええとも。ずばり、『C-Kジェネレーションズ』や!」
力強く発表する初音。
「CはCONANのC、KはKIDのK、つまり、コナン・キッド世代って訳ね。」
「ご名答や。」
「……ふーっ、何かあなたのネーミングセンスって、工藤君と五十歩百歩ね。」
「悪いか?」
「いえ、別に。……私達13人で、ひとつのチームなの?」
「せやで?」
「ふう。きっと、いっぱい文句が出そうよね。江戸川君と黒羽君がリーダーって事だったら、それに反発する人もいると思うんだけど。」
溜め息をつく哀だったが、初音は聞いているのかいないのか、
「ユニフォームなんかも揃えたらおもろいかもなあ。」
とはしゃいでいた。
「ユニフォームなんて……この腕輪で充分過ぎるでしょ。」
そう言いながら、哀が、コナンや快斗達の方を見る。
肝心のコナン達は、自分達がいつの間にか、サッカーよりも二人多い13人のチームにされている事など露知らず、お互いの健闘を称えたり苦労をねぎらったりしていた。
そこへ、
ピロロロロロ……。
「ん、何やろ?」
初音は自分にかかってきたケータイをとる。
「おお、ワタルか。……ああ、こっちも蟻んこ達は全滅しとるで。何たって、女王アリを駆除したさかいなあ。……ふん、ふんふん……わかった、今からウチも行くわ。」
ピッ!
「ほな、ウチちょっとこれから、美術館に行ってくるわ。」
「後始末、大変ね。」
「まあ、これも仕事やさかい。あ、そや。もし良かったら、ランドフォートレスで仮眠取りいや。ほな、これで。」
連絡を受けた初音は、横浜美術館へと駆け出して行った。
彼女を見送った哀は、
「……さて、これからは色々と大変そうだけど、あなた達なら絶対にパンドラをゲット出来そうね。そうでしょ、工藤君?」
まだまだ夜深い天の満月を見上げた。
今、光の勇者達の伝説の幕が上がった!!
To be continued…….
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