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By えいも様



工藤蘭は寝室で一人、うつむいていた。
夫である工藤新一とは、高校卒業と同時に、結婚したのだ。

結婚の申し込みをした時は、新一の両親からは喜んで受け入れられたのだが、蘭の両親、特に父の小五郎からは猛反対されていたのだ。

「つたく!あの探偵ボウズと結婚するんだと!?オレは絶対許さん!!」

だが、父も最終的には蘭たちの思いに負け、結婚を許可したのだ。
結婚して二年後には息子が生まれ、さらに三年後には娘が生まれた。
息子は新一に、娘は蘭に似ていた。どちらも父親譲りの頭脳と母親譲りの運動神経が備わっていた。
息子は新一から、よく叱られるけれども、親子仲は良いのだ。

さきほど、新一と蘭の子どもたち(息子と娘)を、寝かしつけていたが、娘が泣きながら

「お父さん、絶対帰ってくるよね!!」

蘭は内心、胸を痛めたが、笑顔でこう答えた。

「大丈夫よ。絶対帰ってくるわよ!」

気がつけばもう日付が変わっていた。新一がいつまでも帰ってこないことに、不安を覚え始めていた。悲しみが蘭を鋭く襲う。

(もし帰ってこなかったら…。新一ぃ…)

「蘭?」

蘭がはっとして、顔をあげると新一が帰っていた。
蘭は涙をふき、笑顔で新一に駆け寄った。

「お帰り!事件はどうだった?」

「ああ、いつも通りに解決したぜ!それより。なにかあったのか?」
新一が蘭の顔を覗き込んで、笑顔を見せると、蘭は涙であふれていた。
「蘭!?」

蘭は新一に抱きつき泣き叫んだ。新一は蘭の髪をやさしくなでた。
そのしぐさに安心したのか蘭は徐々に落ち着きを取り戻した。

「新一…、いかないで。私や子どもたちを置いていかないで…。お願い」
新一は蘭をきつく抱きしめ、触れるだけのキスをした。
「バーロ…、蘭やあいつらを残して、置いていけるかよ…。」

新一がどんなに危険な状況にいても、蘭の所に帰ってきてくれた。

蘭の顔に笑みが戻って、新一に抱きついた。

やがて、新一と蘭は眠りについた。

明日も子どもたちの声が聞こえる。
 



FIN…….



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