好き



By 飛香里様



リビングのソファで寝転がって推理小説を読んでいると、蘭が部屋に駆け込んできた。
「新一!」
「ん? どうした?」
彼女は俺の前にペタリと座り込む。
「新一、好きって言って」
「何だよ、急に」
「いいから、私のこと好きって言って! それとも…言えない?」
いつになく不安そうな声に俺は身体を起こした。蘭の身体を引き寄せ、腕の中に閉じ込める。
「好きだよ、蘭。世界中の誰よりもオメーが好きだ」
「ホント?」
「ああ。心配なら何度でも言ってやる。自分でもどうしようもないくらいオメーに惚れちまってるよ。
どうした? 何かあったのか?」
彼女の顔をのぞきこむと蘭は俺の胸に顔をうずめて首を振った。
「何もないの。ただ…」
「ただ?」
続きを促したが、蘭は耳まで真っ赤に染めたまま答えない。
「もしかして…急に俺に甘えたくなった?」
蘭の身体がビクリと反応する。それが返事だった。
「俺はオメーのそういうところもすげー可愛くて好きだぜ」
耳元で囁くとさらに赤みを増した頬に音を立ててキスをした。

≪終≫


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