どんな時でも・・


By 佐倉井梢様


「え〜!!!青子イヤだよ!!!そんなの!!」
「そんなこと言わないでくれよ青子・・・」
ここは中森家・・・。
この響く声は一人娘の中森青子の声だった。
そして謝っているのは父、銀三だった。
なぜこうなったかというと、話は数時間前にさかのぼる。

「え?お父さんクリスマスいないの?」
「そうなんだ・・・。警部に呼ばれてパーティーに呼ばれてね・・」
「そうなんだ・・・。じゃぁ今年のクリスマスは・・・」
ご飯を食べながら青子は考えていた。
(じゃぁ〜クリスマス、快斗と一緒に過ごせるかな〜vv)
少し嬉しそうに笑っていた。
「だから青子!!おまえをそのパーティーに連れて行こうと思う!!」
「青子をパーティーに・・?」
青子はそれを聞き黙ったままはしを落とした。
そして目は点になっていた。
「来てくれるかい?」
「じょ、冗談じゃないよ、お父さん!!!!青子絶対行かないよ!!」
青子はテーブルを叩き立ち上がった。
「そこには白馬くんも来るんだよ?」
「白馬くんは違うの!!」

こんな感じであった。
青子は父、銀三に連れて行かれるはめになった。
しかも今日がクリスマスだった。
青子はしょげた顔で用意してもらった車に乗り込んだ。
銀三は嬉しそうに助手席に座って楽しく話していた。
青子は後ろの方で窓を見ていた。
(快斗・・・怒るかな・・?怒るよね・・)
「ハァー・・・」
溜息をつきながら約束をしたときのことを思い出す・・・。

それは今から1週間前のことだった・・。


「青子、クリスマス暇?」
「え?暇・・だけどそれが・・?」
「クリスマスさぁ〜一緒にいない?」
「一緒にってどれくらい・・」
「一晩中ずっとvvv」
「・・・・」
「オレさぁ・・青子と一緒にいてやれる時間が少なかっただろ・・。だから・・あと青子の欲しかったもの買ってやるよvv」
「ホント〜!!!やったありがとうvvv」
青子は快斗に飛びついた。
そんな快斗の顔は赤く染まっていた。
優しく笑って青子を抱いてくれた。

そのことを思い浮かべると青子は切なくなってきた・・。
せっかく青子のために時間をとってくれたのに・・・青子はそんな快斗を裏切るの・・?
「快斗・・・」
そんなことを考えている間についてしまった。

青子は車から降りて中に入り始めた。
下を向いたまま暗い感じだった。
青子は警察のみなからも「明るい元気のある子」として見られている。
だか今はそんな青子ではなかった。
青子の元気の元はいつも隣に快斗がいたことであった。
いつも隣にいて笑ってくれた・・。
「どうしよう・・」
青子はなにがなんだかわからなくなり椅子に腰掛けた。
「青子さん・・?」
青子はそんの声を聞き顔を上げた。
「は、白馬くん・・?」
「青子さんも呼ばれたんですね」
青子はそのまま“コクン”とうなずいた。
その表情はいつのもの青子ではないことがわかる。
「快斗くんはどうしたんですか?」
「今日はいないよ・・。ここにくるはずないし・・」
「そうですよね・・。」
「紅子ちゃんと一緒じゃないの白馬くんは・・?」
「え、紅子さんとですか・・?」
「うん」
「あの方には色々迷惑かけていますね。やはり。いつも淋しい思いをさせてしまったり・・。本当はずっと傍にいたいのですが・・。だから此が終わってからあの方に会いに行くつもりです。」
「終わってから・・?」
「はい。きっと怒っているかもしれませんが・・・でも私はあの方を一人にはしません。」
「白馬くん・・・」
そんな白馬の言葉を聞いて青子はおもってしまう・・・。
(快斗も前に同じこといってた・・。青子のことをそんなふうに思ってくれてるの・・)
そんなことを考えると涙が溢れてきた・・。
「快斗に合いたいよぉ・・」
「大丈夫ですよ、あの人は青子さんを一人にはしませんよ」
微笑んで青子に話しかけた。
「本当に・・?」
「はい、きっと・・ですから元気をだしてください。ここから好きな飲み物でも飲んでください」
「ありがとう・・。少し元気でたかもしれない!!」
「よかった。」
そう言って白馬その場から去っていった。
「快斗にあとで謝ろう・・・。」
そう思いながらジュースを飲み干したが・・、なぜかそれはジュースではなかった。


「こ、これお酒・・?」
その時にはもう遅く酔っぱらっていた。
「なんだか楽しくなって来ちゃったvvv」
笑いながら窓のある方に歩き始めた。
窓の方に歩いて行ってみるとそこには一人の男性が立っていた。
そしてそって青子を抱き上げた。
「ったく・・探したんだぞ、青子・・?」
「かい・・とぉ・?」
「電話しても出ねぇーしなんかあったかと思ったんだぞ?来てみれば酔っぱらってるし・・。」
青子はそんなふうに話しかけてくる快斗に抱きついた。
「あ、あおこ?!」
「お、怒ってないの・・。青子のこと・・・」
涙を流しながら快斗に問いかける・・・。
「なんで怒る必要があるわけ・・?」
「え・・?」
「おめぇーが悪いわけでもないのになんで怒る必要があるんだ。」
「かぃいとぉ〜・・ゴメンね・・。だから青子のこと嫌いにならないで・・」
「ならないよ・・。おめぇーを嫌いになることなんてオレにはできないからな・・」

「優しすぎる・・・」
「だからオレはおめぇーなしじゃ生きていけねぇーの!!」
その言葉を聞き安心した青子だった。
「快斗・・このまま帰ろう・・青子快斗の傍にいたいの・・」
「じゃぁこのまま連れて行っても良いのですか・・・?私のお姫様vvv」
「お願いvv」
青子はそう言うと寝ていた。
スヤスヤと天使のような寝顔をしながら・・・。
そんな青子が愛しい・・・。
「青子・・・メリークリスマスvvv」
快斗は眠り姫のように眠る青子に口づけをした・・・。

今宵は月が満月・・・。
そんな月はきっと二人を見守ってくれていることだろ・・。
雪は降り注ぐ・・・。
どんな時でも同じ気持ちで繋がっている・・。
こんな時間がとても大切な時間である・・・。


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