I need you 〜アナタガヒツヨウダカラ・・・〜



By 佐倉井梢様




どうしてここまであなたが愛しいの?

どうして私の心をこんなににも虜にするの?

どうして・・・あなたが好きなんだろう・・・・。

胸が・・・苦しくて・・・締め付けられる気分がする・・・。

傍に居て欲しい・・・。

我が儘かもしれないけど・・・やっぱり・・・
あなたが・・・好きなんです・・・。





「さぁー、今日も頑張らなくちゃ!!!」

外にでて気合を入れた。
そうしないとなんか・・・辛いから・・・。




外は春から夏へと変わっていた。
衣替え・・・。
初夏と言って言いぐらい夏という感じがした。
でもこんな暑さが・・・好きなのかもしれない・・・。
冷たくて凍りつくような冬よりもずっと・・・。




「蘭ちゃぁーーんvv」
「あれ・・・青子ちゃん?どうしてこっちの方向なの・・・違うよね・・?」
「今日はね、学校の開校記念日でお休みなんだぁ〜vv」
「あ、それでなんだね」
「うん!!蘭ちゃんこれから学校・・・?」
「え、あ、うん。そうだよ」
「じゃぁ、近くまで着いていってもいい?」
「良いよvじゃぁ、行こう?」
「やったvv」




中森青子・・・・蘭の親友だ。
新一の友人(悪友?)の快斗の彼女。
天然さが可愛く、快斗もよく振り回させることが多い・・・。
たまに肩をガクッと落とすときもあるくらい天然。
蘭はそんな青子が可愛かった。
青子からしてみれば蘭は大人っぽくて綺麗でスタイルよくて
文句なしの完璧な女の子に見える。
特によく自分の胸とちょっと比較・・・。

「もうー青子ちゃんたら!!!」

とよく言われる。
そんな蘭だがたまに悲しい表情(かお)をみせる。
それが青子にはたまらなく胸が痛んだ。

「あれ・・・?そういえば・・・新一君は?」
「新一?うぅ〜・・・まだ帰ってきてないのかなぁ〜・・・」
「えええっ!?嘘!!!こんなににもかかるの!?」
「う・・・うん・・・。よくあることだよ・・。」
「そんな〜・・・」

下を向き元気がなくなる蘭が・・・辛そうだった。

「でも・・・いいの。私・・・新一には自分が一番好きなことをやっていて欲しいの。だから探偵やっていて欲しいの。その時の新一は・・・すっごくカッコイイの・・・。
見てる私が・・・頬赤く染めてた。」

新一のことを話す蘭は嬉しそうだった。

「蘭ちゃん・・・」


”好きなことをやっていて欲しい”



それは青子も同じだった。
快斗は世の中を騒がせる”怪盗キッド”。
人に迷惑沢山かけてる・・・凄く・・・悪いことしてる。
でも・・・快斗はその仕事に誇りを持っている。
だから・・・キッドは・・・人を傷つけたりしない・・・。
キッドの時の快斗はまるで別人で・・・凄く気障で・・・
でもかっこよくて・・・惚れている自分がよくわかる。
絶対に無理をしないで欲しいといっても絶対聞かない・・・。
だから・・・辛かったり淋しかったら・・・
いつでも・・・抱きしめてあげるから・・・。
そう言っていつも彼を送り出す。




「蘭ちゃん!!青子もその気持ちよくわかるよ!!」
「ありがとうvv青子ちゃんvvv」


二人は笑いあった。
やっぱり彼が好き。
好きでたまらない・・・。
どうしてだろうね・・・。
好きなことをしている彼が一番輝いているから・・・。


「・・・青子・・・なにやってんだよ・・・・?」
「か、かいとぉ!?どうしてここにいるのよーーー!!!」

青子は目の前に現れた快斗に吃驚する。
快斗は少し呆れながら頭をかいた。

「青子が待ち合わせの時間にもなってこねぇーから探しに来たんだよ!!アホ子が!!」

思いっきり言われた。
青子はえっと言う顔をしながら快斗を見ていた。

「あ・・・ご・・・ゴメンなさい・・・。青子・・・」
「おめぇーだろ!?遅刻しないでよっていったのは!!!」
「あ・・・うん〜・・・」

青子はちょっと暗い感じになってしまった。
折角約束したのに忘れていた・・・。
でも快斗は青子に手を伸ばした。

「ほら、行くぞ?」
「か、かいと・・・?」
「蘭ちゃんもこれから学校なのに遅刻させるのかよ!?」
「あ・・・う・・・!!」
「別に良かったのに、快斗くんv」
「ゴメン、蘭ちゃん!!」
「蘭ちゃん、また今度お話沢山しようねvv」
「うんvv」

青子は快斗に引っ張られながらも手を振って消えていった。


ヒトリボッチ・・・。

この空気の中で一人・・・。
瞼が熱くなる・・・。
涙・・・なのかな・・・・


「新一・・・会いたいよう〜・・・・」

顔を両手で覆った。
強くなくて・・・弱くて脆い自分・・・。
すぐにでも崩れてしまいそう・・・。
あなたが居ないと・・・ダメなんだ・・・。


「蘭・・・?」

前から聞きなれた声が聞こえてきた。

「し・・・んい・・・ち・・・?」
「ああ、今帰ってきたところ。今回長びーてさぁ〜・・・
蘭・・・どうした?」

新一は蘭に歩みよって行きそっと蘭の頬に手を当てた。
綺麗な瞳は涙で濡れていた。

「わ・・・私・・・・」

必死に涙を堪えようとするが止め処なく流れ落ちる宝石のようだった。
蘭をそっと抱き寄せた。

「・・・辛かったんんだよな・・・・淋しかったんだよな?ゴメンな・・・」

優しいトーンで新一の声が耳に響く・・・。
温かくて・・・ホッとする一言一言・・・。

「なぁ・・・蘭?」
「な、なあに・・・・?」
「今日・・・学校サボろうぜv」
「えっ・・・?」

そう言って新一は蘭の手首を掴んで走り出した。

「気晴らしにどっかいこーぜ?」
「し、しんいち!!!」

怒りたいけど・・・怒れない・・・。
だって嬉しいんだもん・・・貴方と過ごせる時間が・・・
かけがえなくて・・・大切で・・・。



暫く走りちょっと疲れて歩きだした。
その時には涙は風が癒してくれたようだ。
新一は蘭の手首を離した。

「たまには・・・サボりもいいだろ?」
「・・・たまにはね・・・vv」

クスッと笑顔を見せた蘭に新一はホッとした。
どうしていつも辛い顔ばかりさせてしまうのだろう・・・。
どうして淋しい顔ばかり・・・。
新一はグッと拳を握り閉めてそれを解き放ち蘭を抱きかかえた。



「新一!?ど、どうしたの急に!!」
「蘭にいつも笑顔でいて欲しい・・・。」
「あ・・・」
「だから俺が・・・精一杯蘭を幸せにする。いつも笑ってくれるお前でいて欲しいから。それが俺のエネルギーさ!!」
「私が・・?」

驚いた顔をしながら新一を上から見つめる。

「いつまでも傍にいて欲しい君だから・・・。愛してる・・・誰よりも・・・ずっと・・・」

その言葉が嬉しくて新一の顔に手を伸ばして唇を重ねた。

「私も・・・貴方が・・・誰よりも好きだよ?愛してる・・・」



淋しい時があるかもしれない・・・
辛いときがあるかもしれない・・・
泣きたい時だってある・・・
でも・・・あなたがいるから乗り越えられる。
あたながいるから生きていける。
どちらも欠けてはならない存在だから・・・
お互いの存在を確かめあいながら生きて行こう?
歩んで行こう?




Fin…….



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