プレゼント



By 佐倉井梢様


街の中はもうクリスマスの光景になっていた。
街のもの達はそのイベントに向けていろいろな準備をしている。
誰もが慌てている。
一番楽しみにしているその年最後の最大イベントだった。


ここは毛利家の家の中。
そこには一人の少女がいた。
このころはまだ蘭が小さいときの話である・・・。



「今年もサンタクロースのおじさんくるのか・・?」
まだまだ子供蘭は窓を見つめていた。
雪が少しずつ降る風景・・・。
なによりもこの風景が大好きな蘭であった。
「ねぇーお母さん・・。サンタさんくるよね?」
「ええ、きっと来るわよvvでも蘭がいい子にしていればね?」
「え〜いい子の所じゃないとこないのかな・・。」
「そうね・・・。」
「私いい子じゃなかったもん・・・。きっとサンタさん来ないよ・・」
大きな瞳に涙を溜めて悲しく話す蘭の姿があった。
それを見た母、英理は優しく頭を撫でた。
「そんなことはないわよ蘭?蘭は良いこと沢山やったじゃない。だからサンタさん来てくれるわよ。待っててあげなさい。サンタさんもきっと蘭に会えるの楽しみにしてるわよvv」
「ホント!!!蘭に会えるの楽しみにしてくれてるの!!」
さっきまで泣いていた顔がもう笑顔に戻っていた。
英理はホッとした。
「だらか泣かないのvv」
涙をそっと拭いてあげた。
そしてご機嫌になった蘭は台所を出でいった。
「お母さん!!新一のお家に行って来てもいい?」
「今から行くの?」
「うん、時間までにはきちんと戻って来るから!!」
「じゃぁ・・きおつけてね。滑るから・・」
「は〜い!!行って来ます〜!!」
蘭は元気よく走って家を出ていった。
新一のまでの距離はそれほどでもないが、こどもにとっては以外にある距離だった。
蘭はそんなことはおかまいなしに歩いていた。
(新一今頃・・・、何してるのかぁ・・・)
そんなことを思いながら歩いていた。


そして新一の家の門の前まで来てみるとそこには空をみやげながら立っている新一の姿があった。
それはきっと蘭が来るから待っていたのであろう・・・。頭に雪が積もるくらい・・。
「新一?!こんなところで何やってるの?風邪ひいちゃうよ?」
「ただ雪を見たかっただけだよ・・」
「頭に雪が雪が積もるくらい・・?」
「う゛・・・」
「本当はなにやってたの・・?」
不思議そうに新一に聞く蘭だった。
「ホントにただ雪を見たかっただけなんだよ!!!」
本当のことは言えるはずもなかった・・・。


“蘭が来るのを待っていた”など・・。

「いいからなかはいれよ!!おめぇーも風邪ひくぞ!!」
「う、うん・・。新一大丈夫?顔赤いよ?」
「へ、平気だよ!!」
そして新一の家の中に入っていく。


いつ見ても中は広かった。
大きくて蘭の家の何倍だろうか・・・。
「オレの部屋に来いよ!!」
「うん!!あ、そうだ・・」
「どうした?」
「おばさん、おじさんこんにちは!!」
「あら、蘭ちゃんいらしゃいvvv」
「良くいたね蘭ちゃん。ゆっくりしていきなさい。」
父、優作、母、有希子だった。
そういうと新一の所に走っていった。
そんな姿を見て有希子がつぶやいた。
「蘭ちゃんがお嫁さんに来てくれないかしらねvv」
「どうかな・・・。新一の気持ちの問題かな・・?」
「そうよね・・・。新ちゃんが問題よね〜。素直じゃないから」
「誰に似たのか・・?」
「後でしっかりきたえないと!!!」
有希子はそんなことで燃えていた・・・。
(全く余計なことで燃えるんだから・・・)
少し呆れながら新聞を捲っていた。


そんなころ新一と蘭は新一の部屋にいた。
「新一?」
「なんだよ・・?」
「どうして私を呼んだの?」
「そ、それは・・・」
「なんで?」
また顔が赤くなっていた。
新一は本当に素直になれないようだ・・・・。
聞いてくる蘭が可愛くて仕方がなかった・・。
「新一・・?」
「・・・これ・・・!!」
新一が手にとって蘭に小さな箱渡した。
蘭は何がなんだかさっぱりわからないままそれを受け取った。
「これ開けていいの?」
「いいにきまってんだろ!!」
「じゃぁ開けるねvv」
そしてドキドキしながら箱をそっと開けた。
そこには小さくて可愛いイルカのペンダントが入っていた。
「わぁ〜可愛いよ新一!!」
「だろ?オレもおまえが気に入ってくれると思ってさぁー・・。あ・・・」
「じゃぁ私のために・・・?」
「あ、そ、それは・・・。そうだよ、おめぇーが喜ぶと思って・・・。」
「ありがとう、新一vvvすっごく嬉しいvv」
蘭は満面の笑みで新一に笑いかけた。
その笑顔を見たとき新一は真っ赤になってしまった。
よっぽどその笑顔が可愛いかったのだろ・・・。
「でも私新一にプレゼント持ってきて無いよ・・。新一はなにが欲しいの??」
「オレは・・・・」
しばらく考え込む・・・。

数分かして悩んでいた顔を蘭の方に向けた。
「オレはこれで十分幸せさvv」
そして蘭の小さな唇に軽くキスをした。
「し、しんいち!!」
「真っ赤でやんの!!」
「バカ!!」




「蘭、起きろよこんなところで寝たら風邪ひくぞ?」
新一に肩を叩かれ目が覚めた。
「え・・・、新一?」
「何寝てんだよ・・」
笑いながら蘭に話しかけた。
(今のって夢だったの・・。すっごくリアル・・)
まだ唇が少し熱かった・・。
「どうしたんだよ・・・蘭?」
「え、あ・・、ちょっと昔の夢を見ちゃって・・しかも凄くリアルだったの・・」
「どんな夢?」
新一に聞かれ恥ずかしいそうに話していく蘭の姿があった。
「懐かしいなその話vv確かファーストキスだっけそれ?」
「そうだよ・・。いきなりだったからびっくりしたんだよ・・」
「ゴメンゴメン・・」
「でも今でもあげたペンダント付けててくれてんだろ?ありがとな!!」
少し赤くなりながら新一は答えた。
「だって凄く大切な思い出だもん・・。それにすっごく嬉しかったからvvv」
「蘭・・・・」
新一は蘭をそっと抱きよせた。
なんて温かい身体・・・。
細い腕・・・。
綺麗な髪・・。
「新一・・・、苦しい・・」
「ゴメン・・。少し本気が入ってたみたい・・」
「も〜う」
「蘭・・、これオレからのプレゼントvv」
「え?」
左手の薬指に指輪をはめた。
「これって・・」
「蘭は“オレのもの”ってこと!!あとおめぇーからのプレゼントはもらったからvv」
「え、“オレのもの”って???私プレゼントあげてないよ!!」
そんな蘭の唇に手を触れて言った。
「もらったよ、ここからvvv」
「し、しんいち/////!!」


蘭が新一にあげたというか奪われたとうかのプレゼントはまだ暖かった。
二人にとって大切な日・・。
メリークリスマスvvv





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