オレが心から願う誕生日



By 佐倉井梢様



年に一度の大切な日・・・。
それは・・・誕生日・・・。
大切な彼女の誕生日だった。
いつも一緒にいてやりたいのに・・いてやれない・・。
だから誕生日は・・オレからの最高の贈り物を贈りたい・・。
彼女だけに捧げる・・・。

「青子、なにやってんだ?」
「あ、快斗!!今帰り?」
「ああ・・そうだけど・・・」

今日は別々に帰った。
青子は快斗より早く帰った。
快斗が青子を誘ったのだが・・断られた。
気分は・・ブルーな状態だった。
そんな気分のまま歩いていると・・・青子いた。
なにやら玄関の掃除中・・・

「・・でなにやってるわけ?」
「えっ?ちょっと周りの掃除をしてたの。掃除しなくっちゃって思って」
「それで急いで帰って来たわけか?」
「うん!!丁度整理したかったしねvv」
「ふ〜ん・・」

その話しを聞きながら青子らしいと思った。
青子の方を見ると笑顔で笑いかけた。
笑った顔をみて思わず顔が赤くなる・・・。

「あれ〜〜?快斗・・顔・・赤いよ?」
「あ、赤くねぇーよ!!」
「だって!!」
「違うってーの!!」

しゃがみ混んでしまった。
恥ずかしい・・・・。
青子にはポーカーフェイスも全く歯が立たないなのである。
青子はなにかを想いだしたように声をあげた。

「そーだvv快斗今日ね、誕生日プレゼント沢山もらったのvv」

笑いながら快斗に話す。

「誕生日ねぇ・・・」
「いろんな人から貰ったのvv」
「へぇ――誰だよ?」
「誰って・・・えーっと惠子でしょ、あと白馬くん、蘭ちゃん、工藤くん、あと紅子ちゃんvv他にもクラスの人や近所のおばさんおじさんからもvv」

えへっと笑って快斗に言う。

「あとね、和葉ちゃんも服部くんもくれるって言ってたvv」

いろんなヤツの名前が出てくる。
特に気に入らない名前もでてくる・・・。
例えば・・工藤とか白馬とか、あと服部とか・・・
気にいらねぇ・・・
そう呟きそうになったが口を押さえて止める。
青子が怒るだろうから・・・。

「じゃぁ・・オレから・・青子への誕生日プレゼントは・・」

ハンカチを取りだして青子に見せる。

「もしかしてマジック?」
「まぁ・・・それもあるけど・・他に・・」
「えっ?なに?」

ドキドキしながらみていた。
快斗は青子の手を取り両手にハンカチを広げた。

「ハッピーバースーディ・・・青子vv」

青子の手の中には沢山の華があった。

華は・・リンドウ・・・・

9月の花言葉・・。
花言葉の意味は・・・「悲しむ君が好き」
青子には向日葵をよく渡すが・・今回は別・・・。

「わぁ・・リンドウだ・・綺麗・・・・」
「花言葉は“悲しむ君が好き”ってんだ」
「“悲しむ君が好き”?」
「青子は笑っているときがオレは一番好きだ」
「ほへ!?」

いきなり好きという言葉をぶつけられてビックリする。

「だけどな、悲しんでいる青子好きなんだ」
「どうして・・・嫌じゃないの?」
「嫌なわけねぇーだろ?むしろ・・惚れるよ・・・」
「ど、どうして惚れるの!?」
「なんんだか・・言い方可笑しいかもしんねぇーけど・・綺麗なんだ・・悲しんでいるところが・・。」

照れながら話しを続ける。

「だから・・余計に守ってやりたくなるんだ・・」
「快斗・・・」

悲しんでいる君を見れば強くなれるんだ・・・
しっかり守ってやらなきゃいけない気になる。
悲しんでいる時も笑っている時も大好きな君だから・・。
快斗からの言葉を聞くと青子は耳まで赤くして下を向いてしまう。
そんな青子を見ながらクスっと笑って青子の耳元に口を近付けて囁く。

「まぁ…オレはどんな青子も好きだけどね?」

余計に真っ赤になる青子が可愛かった。
頭に手をやって撫でる。
青子は恥ずかしそうに快斗に抱き付く。
それを抱き締めかえす。

「…快斗…青子ね…どんな誕生日プレゼントよりも…快斗のプレゼントが一番嬉しいよ…」

一番嬉しい言葉…。
本当は誰よりも早く伝えたかった。

「よし!!青子今日はオレが何処か連れていってやるよ!!」
「ホント?」
「ああ、勿論おごってやるよ!!」

青子は快斗の手を握り歩き始めた。

誰よりも守りたい君だから…
だからずっと傍にいたい……いさせて……?
だから泣いてもいいから……。
その分オレが君に幸せを捧げるから……。

心から愛する君へ


“ハッピーバースーディ……青子”



FIN…….



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