クリスマス――――聖なるこの日に・・・――――



By佐倉井梢様




クリスマスは、人々にとって大切な日にでもあった。
人々はその日を盛大に祝う・・・。
そして、大切な人と一緒に過ごす日でもあった。

街は、笑いで溢れている・・・。
彼氏と彼女で二人で歩き手を繋いで笑いながら歩いている人々が多い。
最高の日を過ごすために・・・。
それを見ながら白い息を出している。

工藤新一・・・・高校生探偵で知られ警察からも救世主とも呼ばれている。

毎日の様に事件で呼ばれ走り回る。
はっきり言えば休みがなかった。
こんなに事件が起こるこの国も国だが・・・。
探偵としての血は騒ぐが・・・流石には体力には勝てない。
疲れて歩くのも疲れるぐらい・・・。

「もうクリスマスかぁ・・・早ぇなぁ・・・一年って・・」

いつの間にかクリスマスツリーやクリスマスの飾り付けされていることに気付かず辺りを見回す。
そうもう想いながら家に足を向ける。



  ☆☆☆



家に着きドアノブに手を伸ばしてドアを開く。

「ただいまぁ・・・・」

元気の無い声が玄関に響く。
そうすると奥の方からパタパタとスリッパの音が聞こえた。

「あ、お帰りなさい〜〜〜vvお疲れ様vv」

新一の目の前に現れたのは・・・・。

毛利蘭・・・今は新一の彼女。

「ただいま・・・遅くなってゴメンな・・・蘭?」
「いいよ、遅くなるのことわ。」

ニッコリ笑い返していった。
その笑顔を見たとき気持ちが暖かくなれた・・・。
靴を脱ぎ中に入って行く。
蘭は新一から背広を受け取り別な方に歩いていった。







テーブルの上にはいつもよりも沢山のご馳走があった。

「蘭・・・今日は・・・なんでこんなに・・・あるんだ?」

驚いた顔をで蘭に問いかける。

「もーうなに言ってるの新一?今日はクリスマスだよ?」
「あーそっかクリスマスかぁ〜・・・・はぁっっ!!マジかよ!??」

驚いた新一の反応に蘭もビックリした。

「な、なんでそんなに驚くの・・・?」
「い、いや・・・だって・・・」

だってオレ蘭になにもプレゼント買ってねぇーよ・・・。

顔に手を当ててガックリきていた。
そんな新一を見ながら蘭はきょとんとした顔をしていた。

「ほらっ!!早くご飯食べよう?」
「あ・・・ああ・・・」

背中を押されて椅子に座る。
間近で見る食べ物の数は半端じゃない・・・。

「蘭・・・これ全部オメェーが作ったのか?」
「え?そうだよ?」
「す、すげぇー美味そう・・・」

思わず息を飲む。

「ほら、食べてvv沢山あるからv」

そして口にした味は素晴らしいものだった。
いつも食べているがそれ以上だった。

蘭は美味しそうに食べている新一の姿を見て笑っていた。

「うふっvv美味しい?」
「ああ、すっげぇー美味いよ、蘭!!」

無邪気な子供の様に笑顔で答えた。
それに思わずぷっと笑ってしまった。

「な、なに笑ってんだよ・・・蘭?」

赤くなりながら蘭に言う。

「だって新一、可愛いんだもんvv」

笑いながら食事は進み話は弾んだ。



  ☆☆☆



食事が終わると蘭は食器を片付け始めた。
キッチンではご機嫌そうな蘭の声が聞こえてきた。
新聞を見ていた新一は立ち上がりキッチンの方に足を向ける。

新一は食器を洗っている蘭の後ろ姿をみなら笑っていた。
新一は蘭の顔の隣に顔出した。
それに蘭はビックリした。

「きゃっっ!!なに、新一どうしたの・・?」
「いや・・・ただなんとなくな・・」

蘭は耳まで真っ赤になっていた。

「嘘よぉ!!どうしたの?」

それを聞かれ・・・焦る新一・・・・。

「あ、あのな・・・蘭・・・オレ・・・プレゼント買ってないんだ・・・」
「プレゼント?」
「ああ・・・その・・・クリスマスプレゼントを・・・」

きっと蘭はガッカリすると事を覚悟でいった。

「ゴメン・・蘭・・・」

額を蘭の肩に付けて謝った。
蘭はクスッと笑って話し始めた。

「プレゼントなんていいよ、新一?私は、新一が私の傍にずっと居てくれればそれがプレゼントだよ?」

優しい言葉を新一に問いかける。

「蘭・・・おまえ・・・・」

そんな蘭の言葉に胸が熱くなる・・・・。
胸の高鳴りがする・・・。

新一は蘭を力強く抱きしめた。

「し、新一!?」

いきなり抱きしめられ蘭はビックリした。

「いつもオレ・・・オメェーに迷惑ばっかかけてんのに・・・」

新一の言葉を聞き蘭は新一の頭を優しく撫でた。

「だって仕方が無いじゃん?新一は忙しんだもん。そりゃ・・私も辛いけど・・・待ってあげれるんだもん。」
「蘭・・・大好きだ・・・愛してる・・・」

甘い甘い言葉が耳許に響く・・・。
蘭は身体中が熱くなる。

「私も・・・だよ、新一・・」





暫くの間この状態が続いていたが・・・・。

「蘭・・・これからどっか行かねぇー?」
「えっ?これから・・・?」
「ああ、蘭に見せたいモンがあるんだ。」
「私に・・・?」

蘭は新一が言う見せたいものとは何かわからず準備を始めた。



  ☆☆☆



外はもう冷え込んでいて暖かい姿をして出かける。
ドアを開けて外に出ると息は白くなっていた。

「わぁ・・・寒いね・・・」

ハァーっと息をする。

「そうだな・・・しかも今夜中だしなっ」

笑いながら言った。

「ねぇーいったい何を見せたいの〜〜?」
「まだ、秘密だ」

えっーっと言って蘭は少し拗ねた。
拗ねた蘭のご機嫌を取るために新一は少し苦労していた。
それから二人は手を繋ぎ歩き始めた。


そしてどれくらい歩いたのだろう・・・。
いつも間に高い丘の公園に来ていた。

「どうしてここに・・?」
「それはな・・・これを見せたかったんだ・・・・」

高くて大きな杉の木を指指した。

「わぁvv綺麗・・・」
「だろ?今の季節だけこの杉の木は街から見えるようにツリーにしてあるんだ」
「なんで知ってるの?」
「いや、帰りに丁度見つけてさぁー。それでプレゼント忘れたってのもあるんだけどな・・」

照れながら頬赤くする新一をみて蘭はクスッと笑って抱きついた。

「ありがとう新一vvすっごく嬉しいよvv」
「お、おい!?」

抱きつかれたので焦る。
蘭は真っ赤にして抱きついていた。
その姿にフッと笑って抱きしめた。

「ほら・・・寒いだろ?」
「あっ・・・・」

蘭の後ろからそっと自分のコートで包んだ。

暖かい温もりが伝わってくる・・・。
ドキドキする胸の高鳴りが止まらない・・・。

「ゴメンな・・・プレゼント・・・」
「そんなこといいよ・・・これが最高のプレゼントだよvv」
「蘭・・・・」
「新一?」
「ん?どうした?」

空から降る雪を眺めながら話しだす。

「来年も・・・一緒に来ようね・・・ここ?」
「勿論だ。でも、来年だけじゃねぇーよ、これからずっと一緒だ・・・」
「うんっv」

二人は笑い合いあった。




クリスマスは二人を待っていたかの様だった。
二人だけの特別なクリスマス・・・・・。
いつも以上に暖かさがましている。
そしてお互いの絆を確かめあうようにして・・・・。
聖なる夜に天使は降り立った・・・。





FIN…….



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