高木刑事の災難?



by 槇野知宏様



 事件の現場等で工藤くんや毛利さんと顔を合わせる事が多い。
しかし最近になって、オレに向けられるマナザシは、オレと美和子さんが付き合っている時に同業者から向けられていたそれと同じになってきた。
オレとしては避けたいのだが、現場では必ず顔を合わさなければならず、そして今日も二人の名探偵に睨まれる。

「た〜か〜ぎ〜ィ〜」
「な、何ですかっ!?」
「何ですか、じゃないですよ。高木刑事」

工藤くんと毛利さんが殺気の籠もった視線と共にオレに近寄ってくる。二人が言わんとする事は分かるが、当事者レヴェルの問題であり、オレや美和子さんが関与する話じゃない。

「テメーの息子がオレの可愛い孫娘にチョッカイ出してるんだがなあ、どーいう事か説明して貰おうか?」
「そ、それは子供たちの問題であって、親が口出す必要は無いと思うんですけど?」
「高木刑事、あなたのお子さんがオレの可愛い娘に手を出したんですよ?父親がそんな悠長な事言って良いんですか?」

手を出した―――思いっきり語弊があるが、さっき仲良く手を繋いで学校から下校していただけであって、いくらなんでも言い過ぎである。
もっとも正論を言ったところで目の前にいる二人が納得するハズもなく、反論したら何をされるか知れたものじゃあない。

「いや、ですからね・・・」

二人に圧倒されつつ、助けを待っていたら、救助部隊がやって来た。

「「新一っ(あなたっ)!!」」

声は静かな声だけど、全身から立ち上ってるオーラは半端なモノじゃない。
バックミュージックで「怒りの獣神」か「サンライズ」が欲しいな、と、バカな事を考えてしまうほど、二人の女性が放つ怒りのオーラは相変わらず凄い。

「高木刑事。新一とお父さんが何時もご迷惑を掛けてすみません」
「うちのバカ亭主と娘婿が何時も迷惑掛けてごめんなさいね」

オレに対して向けられた表情と声は柔らかだったが、それぞれの夫に向けられた表情と声は、怖い、と、しか言いようがなかった。
 




終わり



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