自動販売機



BY 緑川さつき様



報告書を書くのは苦手だ。けれど事件解決後、必ず通過しなくてはならない作業である。
今も、先日まで関わっていた事件に決着が着き、その報告書を書いてはいるのだが・・・うまく纏められずにいた。
「・・・・・よしっ!」
と、立ち上がり気分転換にコーヒーを買いに部屋をでた。肩をまわしながら自動販売機の前で
出来上がるのを待っていると 『ピピッ』と出来上がりを知らせる電子音が鳴り、カップを取ると香ばしいかおりがホットさせ、ふいに一日を振り返ってみた。
「そういえば・・・佐藤さん、千葉と聞き込みだったなぁ」
最近、追っていた事件も違って、あんまり顔をみてないなぁ。と、ため息を付きながらコーヒーを口にする。
「あら、何飲んでいるの?」
不意に後ろから声をかけられ、しかも今自分が思っていた人が、佐藤さんが此処にいるとは!
変に慌てて言葉を返す。
「な・なんで此処にいるんですか!」
「失礼ね!今、戻ったのよ聞き込みから。」
「ははっ、そうですよね。(睨まれてる・・・・。)」
「それでは、失礼な事を言ったお詫びに、頂戴ね♪」
と、落としそうになった紙コップを、すっと抜き取るとひと口飲んだ。
「佐藤さん、先に行ってますよ。」
廊下の角で顔を覗かせながら、千葉は声をかけると
「今、行くわ。」と返事をして、奪い取ったコーヒーを高木の手に渡して
「はい、あげる♪」
ウインク一つ高木に向けて、そして千葉の後を追いかけていった。
「・・・・あっ、いいですよ!こ、れ・・・・・。」
言葉を返したが、すでに佐藤の姿はそこにはなく。手元に残った紙コップの温もりを感じてい、
ふとそれに目を落とすと、うっすらと美和子の口紅の後が付いていた。
しっかり3秒、そこを見つめて、一気に残りのコーヒーを飲み干した。
「よし!!」
ほんの少し顔を赤らめながら、カップをゴミ箱に捨てて。 
勿論その訳は、美和子から元気をもらったからで。
高木は足早に自分のデスクに戻っていった。



FIN…….


  



あとがき

すいません、まるで学生チックな二人です☆大変お粗末さまでした。もちろん美和子から元気をもらった高木であった。


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