あの夏 僕は彷徨える旅人
取り囲むのは 夏なのに北風
登る階段が消えかかった時
心のコートを剥ぎ取ってくれたのは
君の灼熱の太陽だったんだ



『青子様へ・・・』



Byなかはらゆう様



青子様
お元気でいらっしゃいますか?
貴女とお会いしてから、いくつの時が過ぎたのでしょう。
私の人生のなかで、貴女と過ごした時が一番安らかな時間でした。
貴女が私を快く思ってらっしゃらないのは、存じておりました。
ですから、私の素性を貴女にあかした時、どんな罵倒も甘んじてお受けしようと、思っておりました。
貴女は、何もおっしゃらなかった。
ただ私の心を心配して下さった。
迫り来る時に焦り、なりふり構わずに仕事をし、荒んでゆく私の心に、ひとときの安らぎを下さった。

今日、私はこの人生にピリオドを打ちます。
もうお会いすることもないでしょう。
最後に貴女にどうしてもお詫びとお礼がしたくて、こうしてペンを執りました。
このような形でしか、貴女にお詫びが出来ない事が口惜しくてなりません。
貴女に与えてしまった苦悩の分だけ、私の手で幸せをあげたい。
ですが、それは、貴女の隣にいる黒羽氏に託す事にします。

貴女に、幸多からん事を祈ります。



KID



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筆者後書き


暑中お見舞申し上げます。なかはらです。

Yellow Generationというバンドの歌に、ぴったり当てはまるのを見つけまして、思いついたものです。
KIDが稼業を廃業した時に青子に宛てた手紙を綴ってみました。
青子は、快斗とKIDを分けてはいないのでしょうが、快斗は違う人格としてとらえているのでは?と推測しまして、このようなものとなりました。
お気に召していただければ、幸いです。

暑くなりました。ご自愛を。
では、また。


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