〜Seven Daffodils〜



Byなかはらゆう様



下見で出かけた、遠くの町。

通り道の花屋で、見なれない花を見付けた。



『Daffodil〜ラッパスイセン』



何となく記憶に残ってしまい、自宅で辞書を開いた。

産地や季節を読み流し、目に止まったのは、花言葉。




あなたを待つ

報われない恋

尊敬

自己愛





「報われない恋・・・か」



ギリシャ神話に出てくる話は、これを指すのだろう。

自分自身に恋をしたナルキッソスが、実らぬ恋に焦がれ、身を投げた池のほとりに咲いた花。


俺の相手は自分じゃないけど、その言葉に暗い気持ちがよぎる。



「快斗? どうしたの?」


突然黙り込んだ俺を不審に思ったのか、傍へ来て、顔を覗き込む。

視線の先の、辞書と見比べて、青子の吐息が洩れた。

おもむろにペンを取り出し、4つある花言葉の、2番目に線を引く。


「青子?」

「これはいらないよ?」

「・・・・・・・」

「青子のキモチはね、コレとコレ」


指したのは、1番目と3番目の言葉。



今度、花屋さんで買おうね。

幸せを願って、ラッキー7でね。

青子のキモチ、快斗に贈りたいから。



「サンキュ」



マジックを贈るのもいいけれど、たまにはこういうのも良いのかもしれない。


込められたキモチが、何よりも嬉しいのだから。




FIN…….



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