ねぇ、いつまで黙っているつもりなの?
もう限界だよ・・・。























心の傷−願い−



By なかはらゆう様






Side:Aoko



青子は知ってしまったの。
快斗が隠していた秘密に。
多分、ううん、絶対に知られたくないって思ってる秘密に。
だから、青子は気付いてないフリをした。
あくまでKIDは嫌い、と言い続けた。
そう口にする度に、青子の心に傷が入る事は承知の上で。
いいの、青子の傷なんて、快斗が背負うものより、仕事の代償の傷より、軽いから。
日に日に傷が増えて行く快斗。
転んだとか、ドジったとか、何でもないって言うけど、そんなの青子には通じないよ。
今、快斗の心がどれだけ傷ついてるか、ちゃんと知ってるんだから。
快斗が秘密にしたいっていう理由も判るよ。
きっと知ってしまったら、青子が危険なんだよね。
そうして、青子は快斗の足をひっばる事になるんだよね。
でも、でもね。
もう限界なんだよ。
増えた心の傷は、もう隙間がないぐらいにいっぱい。
ちょっと触れただけで破裂してしまいそうだよ。
破裂したら、青子はどうなるか、自分でも判らない。
快斗の秘密、誰かに話してしまうかもしれない。
そうなる前に自分で自分を殺してしまうかもしれない。


ねぇ、お願い。
ちゃんと話して。
快斗が背負っているもの、青子も一緒に背負いたいよ・・・。









Side:Ran



新一がいなくなって、コナン君がやってきて、どれくらいたった?
ごめんね、新一。
気付いちゃったんだ。
コナン君が新一だってことに。
どうしてなのか、何度も何度も考えた。
きっと、私の理解を超えた、何かが起こったんだって。
新一が消えた理由。
その事実に気付いた時、自分を責めた。
あの日、あの場所へ行かなければ・・・、と。
そして、体を小さくされても、私の側にいたいと思ってくれた事に、涙が出た。
私を巻き込まないために、何も言わない新一の気持ち。
嬉しかった。
だから、気付かないフリをした。
「いつ帰ってくるの?」
そう聞くたびに、心に傷が出来た。
それでもいいと思った。
新一が受けた傷よりは、遥かに軽いから。
大丈夫、姿は違うけど、新一は側に居る、コナン君となって側にいてくれている。
そう言い聞かせた。
でも、でもね。
もう限界なんだよ。
空手やってたって、心は弱い。
増えた傷は、新一じゃないと、治せない。
このままで、心が壊れないっていう自信はない。


ねぇ、お願い。
ちゃんと話して。
新一を、コナン君を守りたいよ・・・。



Fin…….



**********************************


作者様後書き


黄昏の秋ではないんですが、ちょっと乙女2人の気持ちでタソガレてみました。
本当は、更に和葉も書きたかった(コナン君を「工藤」と呼んでる事を知ってる、みたいな話)んですが、関西弁がどうにも難しくて、出来ませんでした。
どなたか、続けて下さいませんか〜(爆)



戻る時はブラウザの「戻る」で。