the seventh night of July; the Star Festival
By なかはらゆう様
七月七日、いわずと知れた七夕、牽牛と織姫の年一度の逢瀬の日。
七夕特別企画とやらで出展された宝石を頂戴しに行った快斗の帰りを待ちながら、青子は二人で七夕祭りをやろう、と準備にいそしんでいた。
バレンタインやクリスマスなど、イベントの日には必ずと言って良いほど仕事がある為、快斗はもちろん青子の父、銀三も警察に缶詰状態となる。
その度に一人になる青子に申し訳なく、平謝りする快斗に、
「気にしないで。そりゃ、仕事がある分、快斗と一緒にいる時間は少なくなっちゃうから、淋しくないって言ったら嘘になるよ。でも快斗が仕事って事は、お父さんも仕事でしょ? 青子一人の方が自由に行動できるもん。それにお父さんいたら、快斗、うちに来れないし、青子も外出出来ないよ?」
そう言って、快斗を感動させた。
「快斗、まだかなぁ。お父さん、妙に張りきってたから、怪我とかしてなきゃいいけど・・・」
TVのニュースで、各地の七夕祭りの中継を見ながら、ふと呟く。
「年に一度の逢瀬かぁ。淋しくないのかなぁ、たった一日だなんて・・・」
青子だったらどうする?
年に一度、一日しか快斗に逢えない。
残りの364日をどうやって過ごす?
星空の神話に自分達を重ねて考えて、青子は何故か涙が出てきた。
(そんなの嫌だ! 快斗に逢えないなんて、絶対に嫌だ! 青子は蘭ちゃんみたいには出来ないよ・・・)
理由も知らされる事無く、最愛の人と離れなくてはならなかった友人を想い、彼女の強さに改めて感服する。
マイナス思考は、自分で立ち切らない限り止まることはない。
青子の心は、次第に重く、悲しいもので溢れてしまっていた。
「快斗ぉ・・・」
「ただいま・・・っと、どうした? 青子?」
帰りが遅かったか、と青くなった快斗に
「快斗・・・、快斗はどこにも行かないよね、青子を一人にしないよね」
「は? どうしたんだよ。俺はどこにも行かねーぞ」
「青子は織姫みたいには出来ないよ、蘭ちゃんみたいにも出来ないよ」
「織姫って・・・、あぁ、年に一度の逢瀬ってヤツか」
「うん」
涙でぐちゃぐちゃになった青子の顔に手をやり、その雫をすくう。
「心配するなって、どこにも行かない。もし行く時はちゃんと話す。絶対一人にはしないから」
(俺だって、一人は嫌だからな)
「快斗・・・」
ようやく笑顔を見せた青子に、安心させる為の小さなキスをする。
「ん・・・、ダメだよ。織姫と彦星が見てる・・・」
「見せてやろうぜ、どうせ二人だって同じ事してるよ」
「バカ・・・」
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「七夕のお祝いなのかな、月が綺麗だね」
「あぁ、雲一つ無かったぜ」
「二人、ちゃんと逢えたかな」
「逢えただろ。月が逢わせてくれてるよ」
年に一度の逢瀬。
二人も青子たちみたいに甘い時間、過ごせたよね・・・。
終
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