貴方の為に私らしく



By なかはらゆう様



──お菓子業界に乗せられたバレンタインは卒業しよう──


女子高校生の間に密かに流れた今年の流行。

チョコではなく、相手が一番好きなものを───


快斗が一番好きなもの。

甘いもの。

やっばりチョコになっちゃうよね。
でも、せっかくだから、一番、一番好きなものをあげたい。

幼馴染としての長い歴史があるんだもの。
青子だけが知ってる、快斗が一番、一番好きなもの。

記憶という名の引出しを全て開けて、考える。



「ねぇ、かいと。かいとがいちばんすきなものってなぁに?」

幼い頃、深い意味もなしに聞いた時の記憶。


「いちばんすきなもの? あおこだよ」
「ちがうよ〜、たべものとかだよ〜」
「でもおれはあおこがいちばんすきだよ」



食べ物よりも自分を好きだと言った快斗に贈れるものは・・・





リボンを巻いた青子・・・かな?









──お菓子業界に乗せられたホワイトデーは卒業しよう──


一部の男子高校生の間に流れた暗黙の了解。

品物ではなく、素敵な刻を──


青子が一番好きな時間

俺といる時間。
それは疑ってない。

ならば、今まで一番素敵な時間をあげよう。

幼馴染として過ごした時間は無駄じゃない。
俺だけが知ってる、青子が一番喜ぶ演出。
記憶を掘り起こすまでもなく、俺のマジック。



「あおこね、かいとのマジックがいちばんすきだよ」

『すき』の意味さえ判ってなかっただろう、幼い頃。

「とうさんじゃないのか?」
「おじさまのもすきだよ、でもねやっぱりかいとのがいちばんすきvv」
「おう、またしんさくみせてやるからな!」


父よりも自分のマジックを好きだと言った青子に贈れる刻は・・・





青子だけにしか見せないマジックショーをしよう。




Fin…….



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