あの子はだあれ?



By 大井彩花様



「あの子、どこの子やろ?」
「あ、あの子私知っとるで!キッドキラーの江戸川コナン君や!3年前ぐらいにニュースでやっとったやろ?うち、キッドめっちゃ好きやねん!記事にのっとったで!」
「にしても、可愛いなー!」
「なぁ、和葉もそう思わへん?」
「なに?ごめん、聞いてへんかったわ。もういっぺん言ってくれるか?」

和葉と呼ばれたポニーテールの少女が、改方学園大学棟の窓から顔を出した。

「あそこにいる、江戸川コナン君が可愛いなーって話しとったんよ!和葉もそう思わへん?」
「コ、コナン君!?」

そう言うと和葉は教室の方へ走って行ってしまった。

「慌ただしいなぁ。」

そんな和葉を見た友人は嘆いていたーーー。

「平次!コナン君が帰って来たで!」

教室では西の大学生探偵、服部平次が友人と談笑していた。

「ハア?そんなわけないやろ!」
「とりあえず見てーな!ほんまにコナン君やったもん!」
「……………嘘やろ!?」

窓の外を見た平次は驚愕の表情。

「起こしに行ってくる!和葉はバッグ持ってすぐ来い!」
「わかった!」




改方学園大学棟校門ーーーー。

「おい、工藤?工藤!起きんかい、このボケー!」

周りの生徒は、服部が子供に乱暴をしている!と驚いている。

「んー。よく寝た。」

ふぁぁとあくびをして立ち上がったのは平次にボケー!と怒鳴られていた少年。

「工藤!お前、元に戻ったんと違うんか!?」
「………………どなたですか?」
「はぁ?おまえ、また記憶喪失になったんか?」
「いや。あなた、人違いしてるんじゃないですか?」

可愛い顔に似合わず他人行儀な話し方をする友人に、ちょっと面食らう。
そこに、スーツ姿の一人の青年がやって来た。

「すみません。こいつ、何かしました?」

それは、東の大学生探偵、工藤新一、そして妻の毛利蘭だった。

「工藤!?毛利、いや、工藤のねーちゃんまで。どないした!」
「服部!?おめー、どうしてここに!」
「服部君じゃない!和葉ちゃんは?」

それぞれが驚きの声をあげていると、和葉がやって来た。

「工藤君に蘭ちゃん!元気にしとったー?」
「和葉ちゃん!ひさしぶりー!」

それぞれが感動(?)の再会をしていると、少年が蘭と新一の服の裾を引っ張った。

「パパ、ママ、この人たちだれ?」
「あ、そっか。優一は知らないっけ。パパとママのお友達の、服部平次君と服部和葉ちゃんよ。」
「蘭ちゃん!人の名前、勝手に変えんといてーな!」

真っ赤な顔で抗議する和葉。

「んもう!顔が真っ赤だよ、和葉ちゃん。かわいー!」
きゃっきゃと話すママ(?)を尻目に、優一と言われた少年は新一に要求をした。
「パパー!抱っこして!」
「ったく。ほら。」

呆れたような顔をしながらも蘭を見つめる時とおなじ、優しい瞳で優一を見つめる新一。

「工藤。お前、子供いたんか?」

びっくりしたような顔で新一に問う平次。

「蘭ちゃん所もラブラブやん!」
「「ち、違うわよ!(ちげーよ!)」」

真っ赤な顔で否定する蘭と新一。

そこに、「新ちゃーん、蘭ちゃーん、優ちゃーん!」という女性の声が聞こえて来た

「「「父さん、母さん!(お父様、お母様!)」」」

三人の声が見事にハモる。

「工藤、なんや、話が全然わからんのやけど、教えてくれるか?」

困った顔の平次が、新一に問う。




所変わってホテルの一室。

「母さん!なんで優一に俺と蘭の事をパパママって言わせんだよ!?」

そう、優一は新一の実の弟なのである。

「母さん、パパが怒ってるけど、なにしたの?」

わけが分からず能天気な発言をする優一。
そんな優一をぎゅっと抱きしめる有紀子。
こんな生活が、蘭&新一にも訪れるのもそう先のことではない筈ーーー。

「にしても工藤と姉ちゃん、どう見ても子持ちの夫婦やって!」

と平次は一人叫んでいたーーー。



END.



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