秋の空

 

 

空が高くなって

吹き付ける風もすがすがしい

そんな秋。

 

なのに・・・。

 

「なんでマツタケなの!?」

 

「いいじゃねーかよ、べつに。」

「まぁまぁ蘭君。」

「そうですよ!蘭おねぇさん!」

「ここ、前にコナン君と来たことあるよね♪」

「コナン、いまごろ何してっかなぁ?」

「なつかしいわね」

 

みんな口々に私に言う。

 

『明日、開いてる?』

昨日突然新一から言われた言葉。

とびっきりおしゃれして新一の家の前に行ったのに

なぜかそこに居たのは博士達だった。

そして今、私達は山の中・・・

 

今年大学受験を控えた私達の久しぶりのデートだったのに・・。

新一が遊ぼうっていってくれてすごく嬉しかったのにぃ。

どーせなら二人がよかったなぁ。

 

「蘭、何ふくれてんだよ」

隅の方で口を膨らませている私に新一が寄ってくる。

「だって、デートだと思ってたし。」

「しゃーねーだろ?歩美たちが今年もマツタケ狩に行きたいってーんだから。」

「だからって私達まで来ることないじゃない」

「それは・・・保護者としてだな・・ここ、熊とかも出て危ないし」

「博士がいるじゃない。」

「あのなぁ。多いに越したことないだろ?あいつらやんちゃだし」

「じゃあ新一だけくればよかったのに」

「わかったからほら、こいよ!」

 

機嫌の直らない私の手を引いて新一はみんなの輪に入る。

「見てみて―蘭おねえちゃん!」

歩美ちゃんがマツタケを持って顔いっぱいの笑顔を私に向ける

「こっちにもありますよ!」

光彦君が私を手招きでよぶ。

そんな無邪気な顔見てたらどーでもよくなっちゃうな。

 

微妙に微笑み

私も輪の中に入っていった。

 

 

「蘭おねえちゃん、楽しくない?」

歩美ちゃんが私の顔を覗き込んで言う。

「え?」

「だって、ずっと端っこにいたから。」

「そんなことないよ!すごく楽しい♪」

「よかった♪♪ね、こっちにね、たーっくさんマツタケ生えてるんだよ!」

歩美ちゃんが少し先に駆けて行って

その後を元太君たちや博士が追う。

 

落ち葉の中はしゃぐ子供達がとてもかわいらしくて

 

「みんな心配してたんだよ。」

ふと後ろから声がして、振り向いた。

「新一・・」

「まぁ、ほんとうのデートは日を改めてってことでv」

「もちろん新一のおごりよね」

「・・・・考慮しとく。」

いたずらっぽく言う私に新一は苦笑する。

 

なんだか急に楽しくなって私は落ち葉の中を駆けていった。

 

「おい、転ぶぞ?」

「転ばないよ〜!」

 

そい言った瞬間、私は大きく落ち葉の中に倒れた。

「いった〜」

「だからいったんだよ、ほら、大丈夫か?」

半ばあきれ気味で新一が手を差し出しす

少しの間の後、その手を無視して私は落ち葉の中に寝転んだ。

 

「おい・・・。」

「落ち葉って暖かいんだよ。とっても・・・」

 

 

 

寝転んで笑う私の隣りに、新一も腰を降ろす。

「虫が沢山いそうだけどな・・。」

 

「そういうこと言わないでよ・・・」

 

 

 

 

 

「あー二人ともこんなところにいた!」

「だめですよ!ちゃんと松茸探さないと!!

「あっちに沢山あったぜ!!」

 

歩美ちゃんと光彦君と元太君に見つかって

静かな空間が一気ににぎやかになった。

 

 

「よし、新一!いこう!!」

「はいはい、お姫様。」

「なによそれ!」

 

横目で新一を軽く睨みながら

私は歩美ちゃんたちのところへ駆けて行った。

 

 

 

 

空が高くて、吹き付ける風もすがすがしい

そんな

 

 

 

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