盆踊り



By 谷本篤史様



きょうは帝丹小学校の盆踊り大会を兼ねた夏祭りだ。
おれ工藤新一は、蘭に連れられてお祭りに来た。
依頼が殺到していたところを、蘭がせがむから2時間だけの約束で夕方の2時間だけ時間をとって無理して時間をつくり、蘭のリクエストに応えたのだ。
日も傾いた夕ぐれで、すでに大勢の来客で盛り上がっていた。
会場ではPTAの人たちが色々な出店を出して盛り上がっていた。
「新一おいしそうな屋台ばかりだね。ねえあそこにある河豚の白子の唐揚げ買ってよ」
「どれどれなんだたけえな500円もするのか。まあいいや買ってやろう」
「やったー!新一ありがとう❤」
「あ、あそこにはすっぽんの刺身だ!新一おねがーい」
「今度は1000円か。仕方ない、蘭のためならば」
「アリガトアリガト新一!」
「(やれやれなんだってこんな高級な物ばかり蘭は食べたがるのかね)」
蘭は河豚の白子の唐揚げとすっぽんの刺身に舌鼓を打ちながら幸せそうだった。
その様子を見て、合計1500円も決して高くない気がした。
蘭は半分残して俺に渡した。
おれはいぶかしくおもって訊いた。
「蘭どうしたもういらねえのか」
「新一にも食べてほしくて」
「あ、ああ、食べよう」
まずは河豚の白子の唐揚げだ。濃厚な白子の風味が口いっぱいに広がる。
「うん、うめえや」
「新一、次はすっぽんの刺身ね」
すっぽんの刺身を食べる。すっぽんというのはこんなに味わい深い者だったかと感心した。
「おおこりゃうめえ、こりゃ大金出して買った甲斐があるぜ」
「そうでしょう。でも私が新一に河豚とすっぽんをねだったのは、たんにおいしいからじゃないんだよ。あとのおたのしみもあるからね」
「あとのおたのしみ?なんだそれ」
「ふふふ、秘密」
河豚とすっぽんを食べ終わり、そうこうしているうちに盆踊り大会が始まった。
「新一、踊ろう踊ろう」蘭は手を引きつつこういう」
「あ、ああ・・・。」
そうしておれは17にもなって恥ずかしいと思いつつも輪の中に入った。
蘭が俺の真ん前に陣取っていた。

盆踊りが始まった。

東京音頭、炭鉱節、オバQ音頭、ルパン音頭とおなじみの曲が次々と掛かる。
蘭の踊る様子を見ながら、俺は踊りもそこそこに見とれていた。
曲が進むにつれ、蘭が色っぽく感じられるようになった。それとともに体が熱くなりつつあった。
そして10曲も踊ったころだろうか、突如蘭が振り返っておれに迫った。
「新一、そろそろ二人になろ❤」
蘭はおれの手を引いた。蘭に触れられたおれはいっそうその気持ちの高ぶりを感じた。

そこでおれは初めて気が付いた。
「そうか、河豚の白子もすっぽんも、強精作用が半端ない食べ物・・・蘭もしや」
「だって最近事件だ事件だってぜんぜんかまってくれないんだもん」
「蘭、オメー意外と計画犯だな」
「そういうこと、ちょっと休んでいこ❤」
そう言って蘭は、校内を離れ、ブティックホテルが立ち並ぶ地域におれの手をひいていった。



おわり




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