エリーmyLove



byトモ様



〜法廷の対決!!妃VS園子 第一幕〜



鈴木園子は機嫌が悪かった。
原因は一つ前の席に座っている親友の毛利蘭と高校生探偵の工藤新一だった。

「えーウソー」
「ホントだって」

園子は額に青筋を一つ貼りつけた。

(コラコラ、アンタ達、HRとはいえ今は授業中なのよ!!)

園子は新一が長い間行方不明だった時の蘭がどれだけ寂しい思いをしていたのか、よく分かっていた。
それだけに新一が帰ってきて蘭と恋人同士になったと知った時は自分の事のように喜んだ。
・・・しかし。

(アンタ等、私が滅多に真さんと逢えずに寂しいってのに、毎日毎日私の席の目の前でラブラブ光線出し合ってんじゃないわよ!!)

・・・ようするに羨ましいようだ。

「コラ!!そこの作者!!一言余計よ!!」

スミマセン・・・(どうやらメチャクチャ機嫌が悪いみたいだ)

「ねえ園子。今年は何をするつもりなの?」

新一とのラブラブタイムを一息ついた蘭が後ろの席の園子に話しかけてきた。
実はこの時間のHRで学園祭のクラスの出し物を今年も園子がアイデアを練る事に決まったのだった。

「そおねえ・・・」

(新一君もいる事だし、去年途中で中止になったシャッフルロマンスの再演なんてイイかも)

「まさか去年中止になったあの劇の再演をするつもりじゃねーだろーな?」

ギク・・・新一がジト目で園子を見ている。

「まっまさか・・・そんなワケないわよ」

(さすがに鋭いわね)

「・・・まあ俺としては、あの時やりそこねた蘭とのキスを再演してーから、やってもいいんだけどな♪」
「しっ新一。何言ってんのよ!」
「へへー♪」

意地悪そうな新一と真っ赤になって文句を言う蘭を見た園子は俯いてしまった。

(・・・決めたわ。今年の学園祭は新一君、アンタをとんでもない目に遭わせるわ!!)

新一は園子の逆鱗に触れた事に不幸にも気づいていなかった。



  ☆☆☆



「と、決意したものの・・・問題はどうやってアヤツに一杯食わせる事が出来るかよね」

昼休みに屋上にやって来た園子は新一を陥れる策を練っていた。

(新一君と蘭にラブラブな事をやらせても蘭には効果があっても新一君は喜ぶだけだし、蘭と他の男子生徒を主役にラブラブな劇を・・・ダメだわ、嫉妬した新一君の報復を恐れて誰もやってくれないわね)

いろいろ策を練るが、なかなか良い案が浮かばない。
そんな悩める園子に後ろから声がかかった。

「ちょっといいかしら?」
「・・・宮野さん」

園子に話しかけてきたのは新一達が3年に進級したと同時にクラスに転入してきた宮野志保だった。
志保は既にアメリカで高校過程は終了していたが阿笠博士に「一年ぐらい日本の学校で青春時代を楽しんだらどうじゃ?」と進められて帝丹高校に入ったのだった。

「あの二人の席の後ろになるなんて災難だったわね」

志保が同情したように言う。
席が離れている志保でさえ、あの二人のラブラブは目の毒なのだ。

「そーなのよ!それで今度の学園祭で、あの自信満々な名探偵をギャフンと言わせようと計画を考えてるのよ!」
「気持ちは良く分るわ、私も協力するわよ」
「ホント!!」

園子は志保という優秀なブレーンを得てニンマリとした。

「私も工藤君にはキツイお灸を据えたいと思ってた所なのよ。彼に裁きを与えるには今回の学園祭は良い機会だわ」
「裁き・・・それだわ!!」

園子は何か思いついて大声をあげた。

「ふっふっふ・・・見てなさいよ工藤新一!!アンタに天罰を与えてやるわ!!」

志保には握りこぶしを作っている園子の後ろに炎が浮かび上がっているのが見えた気がした。

(フフ・・・面白い事になりそうだわ。博士の言ってた通り、楽しい学園生活を送れそうね)



  ☆☆☆



「妃先生、色々お世話になりました」

杉原莢香と丹羽明夫は妃英理に頭を下げた。

「そんな、本当に頑張ったのは貴方達なんだから」

英理は二人を微笑ましく見つめた。
英理にお礼を言っている男性の方の明夫は恋愛関係の縺れから付き合っていた女性を殺害してしまった。
幼馴染である莢香の元に助けを求めてきた明夫に莢香は明夫を説得して自首させた。
そして、莢香の依頼で英理は明夫の弁護を引き受けたのが3年前だった。

今日、仮出所になった明夫と共に莢香は英理の事務所に挨拶に来ていた。

「明夫君、これから色々と大変かもしれないけど頑張るのよ」
「妃先生には感謝しています。世間の風当たりはキツイと思いますが、負けずに頑張ります」
「それで?これからどうするつもりなの?」

英理の問いに二人は恥ずかしそうに手を繋ぐと

「すぐにと言う訳にはいかないかもしれませんが・・・私達、結婚します」

莢香の言葉に英理は驚いた。
幼馴染だった二人は高校時代に付き合っていたが大学に入ると明夫が他に女性と交際を始めて別れてしまったと英理は莢香から聞いていたからだ。

「今回の事で僕も莢香もお互い、本当に愛してるのだと気づきました。これからの人生は莢香と共に歩んでいきます」
「そう・・・良かったわね莢香さん。二人ともオメデトウ」

英理は二人を心から祝福した。



二人が帰ると英理は椅子にもたれて、ため息をついた。

「仲たがいした幼馴染が再び絆を深めて共に歩くか・・・私とあの人にも、そんな時が来るのかしら?」

英理は夫である毛利小五郎を思い浮かべた。

(そんな時は訪れないかもしれない・・・でも、そう望んでる心も私の中にはある)

英理が物思いに耽っていると秘書の栗山緑が部屋に入ってきた。

「先生、園子ちゃんが来てるんですが」
「園子さんが・・・何かしら?いいわ、入ってもらって」

栗山に通されて入ってきたのは園子と見覚えの無い女性だった。

「おば様、ごぶさたしてます・・・あっこちらは私のクラスメートで友人の宮野志保さんです」

園子に紹介された志保は軽く英理にお辞儀した。

「それで?蘭に何かあったの?」
「あっ今日は蘭の事じゃなくて、おば様にお願いがあって来たんです」
「私に・・・何かしら?」
「実は・・・」

園子は英理に耳打ちした。

「えー!!今度の学園祭のクラスの出し物で仮想裁判を開きたいから私に裁判の弁護を勤めて欲しいですって」
「ええ、現役の弁護士であるおば様に是非、やってもらいたいんです」
「でもねぇ・・・学園祭なんかに私が出てもいいのかしら?」
「大丈夫ですよ。おば様、ウチの学校のOBなんですから」
「だけどねぇ・・・」

渋る英理を見て志保が口を開いた。

「私達、学園生活最後の学園祭を有意義のある物にしたいんです」

志保の神妙な面持ちに英理はたじろいだが園子にはもちろん演技だと分っていた。

(へえ、宮野さんって役者の才能もありそうね)

園子は志保という優秀な参謀を得た事に、とても満足していた。
迷った英理は栗山に学園祭の日の予定を聞くと何も予定は入ってなかった。

「・・・分かったわ、引き受けましょう」
「ホント!おば様ありがとう♪」

園子達の熱意に負けた英理は弁護を引き受ける事を了承した。

「あの、私から提案があるんですけど」
「何かしら?」
「私は長い間アメリカで生活していたので、みんなにあっちの裁判制度を知って欲しくて陪審制度の裁判にしたいと思うんです」
「あら、それは面白そうね・・・それでどんな訴訟の裁判にするつもりなの?」
「まあそれは追々決めますんで」

園子は上手く誤魔化すと二人は事務所を後にした。

「上手くいったわね」
「ええ・・・次は陪審委員を集めるわよ」



  ☆☆☆



「ばいしんいいん?何だそれ?」
「陪審委員ってのはですね元太君、一般人から選出された人達が裁判を傍聴して、その訴訟が有罪か無罪かを決める人達の事ですよ」

小学2年生にしては、ある意味恐ろしい知識を持っている円谷光彦が説明する。

「うわー面白そう♪志保お姉さん、それを私達にやらせてくれるの?」
「ええ、やってくれるかしら?」
「「「もちろん!!」」」




「・・・つまり学園祭でやる仮想裁判の陪審委員に僕達をという事かい?園子君」
「ええ」
「面白そうじゃない♪やってみようよワタル君」
「美和子さんがそう言うなら」




「陪審委員・・・おもろそうやん!よっしゃ俺等も参加するで・・・ああ、和葉には俺からゆうとくさかい」
「平次、電話誰からやったん?」
「ああ、灰原やのーて宮野の姉ちゃんからで何でも学園祭でやる仮想裁判の陪審委員を俺等にやって欲しいんやと」
「おもろそうやね♪当然参加するんやろ?」
「当たり前やないか。久しぶりに工藤の顔も見たいしな♪」

園子と志保の最強タッグの形成により工藤新一を陥れる計画が着々と進行しているのだった。





to be countinued…….



 に続く。