今そこにある危機



By トモ様



〜プロローグ〜



「見ろよ!宇宙の花火だ!黒の組織の最後だぜ!」

江戸川コナンは落下する体を、怪盗キッドに支えられながら、黒の組織のボスを始め幹部を乗せたヘリが爆発するのを見ていた。

「しかし・・・どうやら俺達も最後らしい」
「え?」
「ハングライダーの翼が、外れかけているのさ。地上に降りるまで二人を支えるのは無理みたいだ」

コナンがキッドのハングライダーを見ると、確かに片方の翼が外れかけていた。

「ヘリから脱出する際、組織の連中に傷つけられてな・・・悪いな・・・せっかく助けに来たのにさ」
「キッド!!」

コナンは慌ててキッドの腕の中から離れようとしたが、キッドは意地でもコナンを離すつもりはないようだ。

「こ、この手を離せっ離してくれ!お前一人なら助かるかもしれないじゃないか!」
「そうはいかないよ」
「だ、駄目だ駄目だぁ!キッド、無駄死にしては・・・」
「おっと、もう遅い・・・翼が外れる」
キッドが言うと同時に翼が外れて、落下速度が勢いを増した。
「新一、君は何処に落ちたい?」
「・・・・・」



  ☆☆☆



コナン達が黒の組織との最後の戦いを終えた時刻、遠く離れた地、米花町で夜空を見上げる三人の子供がいた。
「あっほら・・・あれ!」
「流れ星だぁ!」

少女が指差した先には流れ星が見えていた。
三人は知る由もないが、流れ星に見れたそれは黒の組織を乗せていたヘリが落下する光だった。

「・・・綺麗」
「そうですねぇ」
「元太君と光彦君は何をお願いしたの?」
「俺は世界中のうな重を食べること!」
「僕は玩具のライフル銃が欲しいって願いました」
「まあ、あきれた!」

二人の願い事を聞いた少女はそう言って頬を膨らませた。

「じゃあ歩美ちゃんは何て願ったんですか?」
「歩美?歩美はね・・・世界に戦争がなくなりますように・・・世界中の人が仲良く平和に暮らせますようにって願ったわ」

少女はもう一度夜空を見上げる。
夜空には既に光は見えなかった。



to be continued…….





 次回に続く。