蘭ちゃんは、ええな。
何でそないなこと考えてまうんかはあの“西の名探偵”だの“西の高校生探偵”だのと称されとるアイツのせい。



優先順位と愛情



By 羽月紗羅様



蘭ちゃんは、ええな。
いつからそないなこと考えるようになったんやろか。
そんなん、わからへん。
気がついたら、思うようになってた。

蘭ちゃんの彼氏の工藤君は“西の服部、東の工藤”と称されている東西名探偵コンビの“東の工藤”の方。
あの“工藤新一”。

こんなこと言うたら平次が怒るかもしれんけど。
この際言うてまう。

“エエオトコ”。

ルックスはもちろん。
性格もええ。
蘭ちゃん思い。
言いたいことは言うタイプみたいやけど、平次みたいに口が悪くない。
優しく言って、叱る時は“叱る”っちゅーより“諭す”タイプやと思う。
頭ごなしに叱る、っちゅータイプでないことは、確か。

そのうえ、愛情表現がストレート・・・・らしい。
当たり前やけど、アタシが口説かれたわけやないからわからん。
でも蘭ちゃんと電話で話しとると、そーいうタイプや、って伝わってくる。

あー・・・うらやましいっ!


その点平次は“愛情表現”なんて無に等しい。
いや、“無”とはちょっと違うんやけど・・・・なんちゅーか・・・・
そや。“不器用”なんや。

好きな子いじめるタイプが、平次。
好きな子大事にするタイプが、工藤君。

この差はなんやねんっ!

相変わらず事件と聞いたら地の果てまで飛んでってまうようなタイプやし。
・・・っとこれは工藤君も同じや―て蘭ちゃん言うとったな。

事件といたときのキラッキラした顔・・・なんやむかつくねん。
アタシより事件の方が好きなん?って思うてしもたり・・・・・・
剣道やっとるときの顔も同じや。
アタシって、何番目?
一に事件。
二に工藤君。
三に剣道・・・・

なんや。
思い出しとったらアタシは4番目やないか。

愛されてへんねやろか。


アタシはホントに4番目?
アタシはアンタのイチバンにはなれへんの?

蘭ちゃんの場合はどうなんやろう。

アタシなりに解析してみた。

夏休みの真ん中へんに1週間泊まりに行った時に観察した結果はたぶん

一に蘭ちゃん
二に事件
三に推理小説
四にサッカー


・・・・イチバン、や。
蘭ちゃんは工藤君の、イチバン。

・・・・うらやましい。

大事な人のイチバン。
このポジション、欲しいのに。

なんやの。
“欲しい”って。
学ランの第二ボタンやあるまいし。

でも仕方ないねん。
アタシは平次のイチバンになりたいんやから。

でもな、もうええわ。

平次の一番でも二番でも順位外でも。

いや、この際順位外の方が幸せかも・・・・


“順位になんか入れられないほど、大事な女(ひと)”


最終目標は、コレかな。

せやったらまずは

平次に事件よりアタシを見てもらわな。


あーアタシは欲張りや。
欲張る天才や。

ま、ええか。
アイツにぶいから、今度露出の高い服でも着て、誘惑したろかな・・・・・・



Fin


戻る時はブラウザの「戻る」で。