ボタン
By 東海帝皇
ある日のこと、江古田町界隈にお買い物帰りの快斗と青子の姿があった。
二人とも両手に買い物袋をぶら下げており、かなりの買い物をした事が伺える。
「ふー、しかし母さんの奴、いくらスーパーの特売セールだからって、こんなに買い物を頼むこたあねーじゃねえか。」
とぼやく快斗。
「何言ってんのよ、快斗。男なんだから、それくらいの事はどうって事ないでしょ?」
「へーへー。」
そう会話しつつ、二人は家路に付いていた。
と、ある横断歩道に着いた時、
「ありゃ、この信号、押しボタン式じゃねーか。こりゃボタンを押さねーと何時まで経っても渡れねーぜ。」
「そう、じゃあ快斗。信号機のボタン押してくれない?私、両手が塞がっていて。」
「おいおい、俺だって両手が塞がってんだぜ?」
「いいじゃないの、これくらい。」
「へいへい。わかりましたよ。」
そう言いながら快斗は右手の荷物を降ろし、指を伸ばした。
ぽちっ。
「…………何してんの、快斗?」
「えーと、オメーの快楽のボタンを……。」
ドカッ!
バキッッ!!
グシャッッッ!!!
「このバ快斗!人の胸を指で押しといて、何戯言ほざいてんのよっっっ!!!」
「ううう……ホンの冗談のつもりだったのに……。」
怒りに震える青子の足元で、快斗が節々から煙を噴出しながらピク付いていた。
彼はどうやら地獄へのボタンを押してしまったようである。
合掌。
FIN…….
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