肩揉み


By N-Faither


とある春の良く晴れた日……。


「ふーっ、終わった終わった。」
「ご苦労さん。」
と、勉強を終えてホッと一息つく新一と蘭。
「あー、やれやれ。」
と言いながら新一は、左肩をトントンと叩き始めた。。
「あらどしたの新一?肩でも凝ってるの?」
「まあな。」
「やっぱし事件の推理とか、徹夜で小説読んでるのとかが影響してんじゃないの?最近そういうのが多いじゃない。」
「ありうるな、それ。」
「でしょ?それにたかが肩こりだと侮っていると、スッゴク危険よ。肩こりは一歩間違えると命にかかわるって言う話を、私以前テレビで見た事あるんだから。」
「そっか、そいつはちとやべーな……。」
と、少し考え込む新一。
「ねえ、新一。」
「ん?」
「良かったら私が肩揉んであげようか?」
「えっ、いいのか?」
「うん。私も少しぐらいは新一の役に立ちたいもん。」
「そっか。じゃあ頼むぜ。」
「任せといてよ。」

ゴキッ、ゴキッ……。

「おい、なんだよ、今の音は。」
と、変な音に思わず振り向く新一。
「何って、ウォーミングアップに指を軽く鳴らしただけなんだけど。」
「ハハハ、そっか……。(あれで軽く鳴らしたつもりかよ……。)」
と、ちょっぴり不安がる新一。
「ささ、早速始めるからちょっと正面向いてね。」
「おう。」
と蘭は、新一の両肩に手を添えた。
すると、
「うわあ、あんたの肩、スッゴク凝ってるじゃない。」
「えっ、そう?」
「うん。だって肩に触れただけで判るもん。」
「ハハハ、俺の肩こりってそんなにひどかったのか……。」
と自分自身に呆れる新一。
「それじゃいくわよ。」
「オッケー。」
と、新一が合図したのと同時に蘭は指に力を入れた。
すると、

ぎゅっ。

「おわああっっっ!!!」
「ひゃあっ!?」
蘭が肩を揉み始めたとたん、新一は奇声を上げながら飛び上がった。
「……ご、ごめん、新一……、痛かった?」
と申し訳なさそうに尋ねる蘭。
が、
「い、いや……、別に痛くはねーんだけど、今オメーの指が俺のツボにもろにヒットしたような感じがしてな。それがすっげー気持ち良かったんで、思わず変な声が出ちまったんだ。」
「まあ、そうだったの。」
「ああ、オメーこういうのけっこーうまいかもしんねーな。」
「あらやだ、新一ったら★」
と新一に褒め称えられて照れる蘭。
「じゃあ早速続きを頼むぜ。」
「ええ、いいわよ。」

ギュッ。

「おわあっ!!」

ギュッ。

「はにゃあっ!!」

ギュッ。

「もみゃひゃう!!」

蘭の指が新一の肩のツボにヒットする度に、奇声を上げまくる新一。
しかし蘭はそれが気持ちよさから来るものだとわかっているので、構わずに新一の肩をもみ続けた。


 ☆☆☆


そして20分後……。


「ふに〜〜〜〜〜〜。」
肩揉みが済んで、完全にフニャフニャ状態の新一。
「どうだった、新一?」
「いやあ、ホントーによかったぜ、オメーの肩揉み。おかけで身も心もリフレッシュしたみたいだ。」
「まあ良かった。新一に気に入ってもらえて。」
と、新一の役に立った事を心から喜ぶ蘭。
「また機会があったらよろしく頼むぜ。」
「うん、いいわよ。なんだったら、毎日してあげよっか?」
「いや、遠慮しとくよ。いくら気持ちいいといっても、そう毎日やったら、却って逆効果になる上に、オメー自身が疲れちまうかもしんねーからな。」
「あ、そう言えばそうよね。」
「だからこういうのは時折やるのが一番なのさ。」
「うん、そうだね。あっ、でもね、新一。」
「ん?」
「一番いいのはちゃんとした規則正しい生活を送る事よ。そうすればここまで肩が凝るなんて事は無いんだから。」
「ハハハ、確かにそうだよな……。」
と、ちょっぴり苦笑いする新一。
「でも今日はホントにありがとよ、蘭。」
と言いながら新一は蘭に顔を近づけ、
「え……?」

CHU♪

「ひゃあっ!な゛っ、何今の!?」
蘭は新一に突然軽くキスされて顔を真っ赤にしながら慌てふためく。
「今のマッサージの軽いお礼さ。」
「お、お礼って……もうやだあ、新一ったらあ★」
「ハハハハ……。」
「ウフフフ……。」


とある春の一日の出来事であった……。




Fin…….


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