違い



By ドミ



オレは、高校生探偵の工藤新一。

高校2年になったばかりのある日、クラスの中で、それぞれが持っている携帯電話の話題になった。

「今、わざわざデジカメ持つヤツも少なくなったよなー」
「ああ。携帯からだとデータ転送も楽だしな……そう言えばオレは、親がアメリカに行った中2の時に、すぐに連絡が取れるようにって親が買ってくれたんだった……」
「で?毛利の写真とか、撮ってんのか?」
「は?んなわけ……いや待てよ……」

オレは、今までのことを思い返す。

『新一。園子とわたしの写真、撮って』
『ん?オレの携帯でか?』
『うん!後で園子のパソコンにデータ送ってね!』

という、蘭の依頼で、中学校から今まで、蘭と園子のツーショットを撮ったことが何度かある……という話をクラスでしたら。

クラスメートたち皆から、「見せて!」と言われたため、中坊から今に至るまで何度か撮っていた、二人の写真を見せたのだが。

「へえ」
「ほう」
「……すごいね……こんなに違うんだ……」

みんな、妙に感心して見ている。

「そりゃ、わたしたちも少しはオトナになったよー。制服も違うしー」

蘭が苦笑する。
すると園子が、突然「あーっ!」と大声を出した。

「確かに!蘭、変わったよね!」
「うんうん!境目は……やっぱ高校生になってから?」
「だねー」
「蘭!何があったのか、この園子様に、さあ、吐きなさい!」

園子に迫られた蘭が、目を白黒させている。
オレも慌てて何枚かの写真を見比べるが、園子やクラスメートが言う「違い」が、一向に分からない。

『蘭は昔から超可愛かったし……中学の時のあどけない笑顔もなかなか……でも今の少し大人っぽくなった姿ももちろん……』

とか、考えていると、園子がニヒッと笑った。

「これに気付いてないのは、蘭本人と新一君くらいだよね」

クラスメートたちがうんうんと頷いている。

何だ!?
いったい、何が違うんだ!?

オレはパニックになりかけていた。
蘭も首をかしげて、皆が何を言っているのか、分からない風だった。



   ☆☆☆



時が流れ。
今のオレは残念ながら体が縮んで「江戸川コナン」と名乗っているが、無事、蘭と恋人同士になった。

蘭とは変声器使って電話越しで話をしたり、メッセージを送り合ったりしている。

ある日オレは、携帯電話に残っていた写真データを見ていた。
そして、ようやく、園子たちが言っていた蘭の「違い」に、気が付いた。

高校生になった後の蘭の眼差しが……撮影者への……つまりオレへの……何とも言えない柔らかい、愛のこもった眼差しに変わっていたことに。
一方、中学時代の蘭の眼差しは、コナンを見る時と、さほど変わらない。
そこが、蘭の中での、工藤新一と江戸川コナンの差、なのだ。

「一刻も早く、元の姿に戻らなければ!」

蘭のあの眼差しを、早くまた見たい。
オレは心中で拳を握りしめていた。



END



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