恋の種



By ドミ



番外編・プレゼント7つ



「蘭。誕生日おめでとう」

 0時になると同時に、新一から電話が掛かり、園子からメールが入った。

 新一の誕生日は5月4日で、再会した時にはもう、21歳の誕生日を過ぎてしまっていたけれど。
 次の、新一22歳の誕生日の時は、新一は果たして自分の誕生日を覚えているだろうか?いつも器用に自分の誕生日だけは忘れるお男だった。

 けれども。蘭の誕生日は忘れず、ずっと欠かさずプレゼントが届いていた。中2の終わり、新一がアメリカに行ってしまうまでは。

 蘭はこの日、昼間は新一と会い、夜は両親と食事をすることにしている。両親も蘭の誕生日を忘れることは無く、この日、小五郎・英理・蘭の親子3人揃っての食事だけは、欠かすことが無かった。
 けれど、両親と水入らずの食事会は、そろそろ、最後になるかもしれない。新一といずれ結婚となったら、さすがに夫婦での晩餐になるだろうから。

 新一と遊びに行き、昼食は、ちょっとしゃれたレストランに行った。レストランでは、誕生日を迎えた人にケーキと「ハッピーバースデイ」の歌のサービスをしてくれる。

 新一から、誕生日プレゼントに渡されたもの……それは……。


「これが、15歳のプレゼント。そしてこれが……」

 蘭の15歳から21歳まで、合計7つのプレゼントだった。
 オルゴールとかブローチとか口紅とか香水とか……。

「ま、期限があるものは、さすがに買い直したけどよ。その時々で、蘭を想って、毎回、ずっとプレゼントを買っていたんだ。どうぞ、受け取ってください」

 蘭の頬を、涙が幾筋も流れ落ちた。


Fin.


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<後書き>

 蘭ちゃんの誕生日が不明の為、本編に入れることが出来ず、季節をぼかし、番外編という形にしました。
 新一君とはお付き合いを始めている設定ですが、まあ、蘭ちゃんの誕生日がお付き合い始め以前なら、タイムパラドックスが生じますけど、ご容赦を。


2021年12月8日脱稿


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