恋の種
By ドミ
(41)
蘭と園子と和葉は、仲良く露天風呂付き大浴場に行き、部屋に戻ってからは、それぞれのベッドに寝そべりながら、お喋りをしていた。
「はあ……ええ湯やったな〜」
「伊豆は、良い温泉が多いわ」
「日本は火山国で全国各地に温泉はある、関西にもあるけどやな、ちょっと足延ばさなアカンとこが多いねん」
「明日の瓦屋旅館の温泉も、すっごく良いお湯だから、楽しみにしてて!大浴場の規模は小さいけど」
「ほなまた、明日も女同士で風呂入りに行こうな」
「うん。こじんまりしてる分、隣り合った男性風呂と、会話も出来るし!プールはないけど、今日堪能したから、良いわよね」
3人は、海だけでなく、せっかくだからとホテルのプールにも入っていた。高層階にあるプールからの眺望も絶景で、とても楽しめた。残念ながら新一と平次はその間事件を追っていたためいなかったが。
ホテルのプールなので、入れるのは宿泊客だけだが、何せ巨大ホテルであるため、プールにも割と人が多かった。
京極真はその間、やはりプールサイドに居て、3人はいぶかったものだった。真はプールサイドでも、何人もの男の人相手に話をしている風だったので、3人の女性陣は首を傾げたものだった。
京極真が、露天風呂付きの部屋を押さえていることなど露知らず、女性陣は明日のお風呂の話で盛り上がっていた。
女同士、話は尽きないが。やはり話の中心は「恋バナ」になる。
「彼氏が幼馴染じゃないのって、わたしだけか〜」
園子がそう言って息をつく。
「せやけど、周り見てても、幼馴染同士でカップルって方が少ないで?」
「あ、確かにそうよね……幼い頃からただ傍に居る、ってだけでは、大人になってからも仲が良いとは限らないんだよね。異性でも、同性でも……」
「そうねえ。女同士の友人でも、今でもすごく親しい相手っていったら、園子くらいだもんね」
「確かにね。子どもの頃からずっと今も、ものすごく仲が良い相手って、蘭だけかな……まあ別に、仲が悪くなったわけじゃないけど、自然と疎遠になってるっていうか……」
「アタシも、会うたら話が弾むような幼馴染はおんねんけど、親友っていえる相手は、高校以降の友だちが多いな……」
「何も考えてなかった幼い頃はともかく、やっぱり色々と知って成長して、自分なりの価値観とか考え方とか持つようになるじゃない?そうなると、ただ傍に居たってだけじゃ、話も合わなくなってくるよね」
その後、ちょっとだけ沈黙が下りる。3人ともに分かっていた。人の気持ちは、永遠ではなく、変わっていく。人間関係は、お互いに相手を大切にし、心通い合わせようとするからこそ、続いていくのだと。
友情も、恋も、家族関係も。相性は大きいが、お互いの努力が大切だ。
「蘭たちは、幼馴染って歴史があった分、かえって大変だったみたいだしね」
「うん……わたし、新一とどういう出会い方をしても、恋に落ちたんじゃないかって思うけど……ただ、小さい頃から新一がわたしにくれた沢山の優しさと愛は、ものすごい宝物だなって、今は思う……」
蘭の言葉に、園子と和葉は、真っ赤になり目を丸くして蘭を見た。
「どうだろ……!1年前には、『新一のこと大好きだけど恋じゃない』って言ってた蘭が、これだもんねえ……」
「あはは、ホンマやな!……アタシも、平次とどないな出会い方しても恋に落ちたかもしれへん思うけど……子どもの頃からの平次との思い出はぎょうさんあんねんけど、平次からの愛だの優しさだの積み重なった気はせえへんなあ……そこは、どっちが片想いやったかの違いかもしれへんで」
「え?和葉ちゃんと服部君って……和葉ちゃんの方が片想いだったの?」
「ハッキリ聞いたわけやあれへんけど……高校2年の時平次が告白してくれたんやけど、どうやら平次の方は、アタシのこと女として意識し始めたんは、その告白の少し前ごろからやったらしいねん。ホンマ、中学の頃告らんで良かった思うで」
「そっかー。幼い頃の真さんとの思い出がないのは、ちょっぴり寂しいけど、幼馴染ってのも大変そうね」
「……新一が、中学の時にわたしに告白してきた時は、わたしの方はまだそういう感情を持ってないことに新一は気付いていたらしいんだけど……ご両親がアメリカに行く時に、『蘭ちゃんと恋人同士になったら日本に残るのを許してあげる』って、おば様が言ったからだったらしいわ……」
「「ええええ〜ッ!!」」
蘭の言葉に、園子と和葉が同時に大声を上げた。
「新一君、そんなこと、蘭に言ったの!?」
「新一は、言わないわよ、そんなこと。おば様……ううん、お義母様から聞いたの。で、アメリカに行ったら、とんでもない組織との戦いになって、新一も否応なく巻き込まれて、日本にいる親しい人と連絡を取ることも出来ない状態になったんですって」
「ほえ〜」
「そらまた、えらい話やなあ」
「服部君が留学した頃は、ほぼケリがついてたらしいんだけどね」
「な〜んか、ホント、小説か何かの話みたい!」
それからまた、学校の話、級友の話、卒論のテーマについて、など、色々と話がそれていく。
しかし、結局また、それぞれの愛しい男性のことに話が戻って行くのだった。
「あー。それにしてもさあ……エッチ、嫌いじゃないけど……真さんに抱かれるのは好きだけど、でも、エッチなしで抱き締めて欲しいって思うこと、あるんだよねえ……」
「あー。とっても分かる、それ」
「アタシも、分かるで」
園子が、溜息をついて言い、蘭と和葉もそれに賛同した。
愛する人とのスキンシップは、好きだ。ただ、エッチは時々あれば、普通は、ハグだけとかで十分満たされるのに。男性は、ハグだけでは物足りないらしい。
愛する男性に抱かれるのは、決して、嫌ではない。一つになっている瞬間は、確かに幸せなのだし。それに、回数を重ねる中で、その「気持ち良さ」も理解している。けれど、それ「だけ」というのは、嫌なのだ。エッチ以外の愛情表現と交流が、欲しい。
「真さんってば、昨日、散々、わたしの体に印をつけまくったのに。なんか、今夜も、明日も、エッチしまくる気満々だったみたいなんだよねえ」
「あー、新一も、そうみたいだった」
「平次もや。ま、蘭ちゃんとこみたいに結婚してるわけやあらへんから、たまの泊り、がっつくのも分かるんやけど……」
「真さんも、普段、遠距離のことが多いから、久しぶりに会った時はって思うんだろうけど……」
「新一なんか、毎晩何度もエッチなんだから、たまには女子会させてもらっても、良いと思うの!今日は、せっかく海に来たのに、ずっと砂浜にいたし、一体何が楽しかったんだろうね?」
「せやせや、あんなあっついところで、理解でけへんわ、ほんま」
「真さんと一緒に海を楽しみたかったのになあ」
「新一は服部君と仲が良いし、浜辺ではしばらく一緒に居たから、今頃は京極さんとも仲良くなってるんじゃないかな?」
「せや。男子会を楽しんでるんやあらへんかな」
女性三人は、男子部屋のズーンと暗い空気を知らないまま、無邪気に言った。
お喋りは尽きない。夜は更けていき、いつの間にか、日付をまたいでいた。
朝。
蘭と和葉は、普通は早起きだが、今日は、園子と共に寝坊して、朝食が食べられるギリギリの時間に食堂に行った。男性三人は、先に食堂にいたが、何となく遠目にも、雰囲気が暗い。しかし、女性三人の姿を認めると(正確には、自分の妻・婚約者の姿を認めると、だが)、ぱあっと明るい顔になった。
今日は、あちこち観光しながら、瓦屋旅館まで行く。昨夜泊まったホテルも、瓦屋旅館も、海辺にある。伊豆は、山が海に迫っている地形なので、海だけでなく山の方にも観光地が沢山ある。
自然の地形を活かした水族館、山肌のロープウェイからの絶景、昼食に寄ったのはイタリアンレストランだが、伊豆の山の幸・海の幸をふんだんに使っておりとても美味しかった。
車での移動はカップルごとで、各観光地でも、今日はカプごとに行動する。蘭はそっと新一の横顔をうかがった。昨日とは違い、大分温和な印象ではあるが……。
(新一……もしかして旅行、楽しめていないのかな?)
ふっと、その疑念が、蘭の胸に浮かぶ。考えてみたら、今回の旅行は蘭と園子が発案者となり、和葉も大喜びで乗って来たけれど、男性陣の気持ちはどうだったのだろう?
新一は、二つ返事でOKしてくれたから、新一も旅行を楽しみにしてくれていると思っていたのに。
「ん?蘭、どうした?」
新一が、蘭の方を見て言った。蘭の額の髪をかきあげ、自分の額を蘭の額に当てる。
「え……な……っ!」
「熱は、無さそうだな……」
「え?だ、大丈夫!ちょっと疲れただけだから!」
蘭は、浮かない表情をしていたのだろうか?新一に心配かけてダメだなと、蘭は自分の額をこつんと叩いた。
「なら良いけど……じゃ、ちょっと休憩すっか?ここから少し行ったところに、地元のフルーツを使ったスイーツが有名な、しゃれたカフェがあるんだ」
「新一……長いこと日本に居なかったくせに、よくそんなとこ、知ってるね……」
蘭が感心して言うと、新一は少し頬を染めてそっぽを向いた。
「バーロ。オレだって、下調べくらいするっつーの」
今回、宿泊場所と、主な行きたいところは、園子中心に女子どうして決めていたが、新一はどうやら、そのルート沿いにあるスポットや店を調べてくれていたものらしい。
カフェは、結構盛況だったので、カプごとには座れず、男女に別れて座った。窓際の見晴らしのいい席に女性陣を座らせ、男性陣は出入り口近くの席に座った。
伊豆産のイチゴ・メロン・ニューサマーオレンジなどのフルーツをふんだんに使ったパフェやクリームあんみつなど、蘭たちが頭を悩ませながらスイーツを選ぶ一方で、男性陣は、アイスコーヒーやアイスティだけで済ませているらしい。3人でそれなりに会話はしている様子だったので、蘭はホッとする。
「ねえねえ、園子、和葉ちゃん」
「ん?なに、蘭?」
「どないしたん、蘭ちゃん?」
「6人で楽しく過ごそうと思ってこの旅行企画したけど、もしかしたら楽しいのは、女子3人だけなのかなって、ちょっと心配になっちゃって……」
「そうねえ……わたしも真さんに聞いたのよ。どこか行きたいところとか見たいところとか、ないのかって。でも、園子さんのお好きなところにどうぞとしか、言わないんだよねえ」
「あー。平次も、そないかも……オレは別にどこでもかまへん、ってそんな感じで……普段、結構勝手に行先決めてまうんやけどな。今回の旅行ではなんや遠慮がちいうか……」
女性陣三人は、溜息をついた。すると、離れた席に居る男性陣三人が、一斉にこちらを見た。蘭たちは慌てて手を振って、何でもないよとサインを送る。
スイーツを堪能した後は、瓦屋旅館へ。それぞれの部屋に荷物を置いた後、着替えて海へと向かった。
女性陣は当然、今回もキッチリとパーカーを着込んでいる。
夕飯まで時間がいくらもなかったから、今日は短時間だけだ。こちらはプライベートビーチではないので、海水浴の人は多い。
そして男性陣はやはり、砂浜でパラソルの下に座り、見守っていた。
夕ご飯は、瓦屋旅館の食堂で、海鮮料理に舌鼓をうった。夕食時、この旅館の次期女将である、真の妹が挨拶に来た。
「兄と、瓦屋旅館を、今後ともよろしくお願いします」
真は長男であるが鈴木家に婿入りし、瓦屋旅館は、真の妹が跡を継ぐことになっているのだ。旅館は女将が中心で回し、男衆は縁の下の力持ちなので、それで良いのだという。
夕食後、それぞれカップルに分かれて、部屋に引き上げる。今日はさすがに、女性陣全員、「抱きつぶされるかも」覚悟をしている。
「新一……わたし、お風呂に……」
「ダメ」
「えっ!?」
浴衣に着替えて立ち上がった蘭は、新一に背後から抱き締められる。
「風呂なら、ここについてる。温泉の露天風呂が……」
「えええっ!?」
それこそ、「露天風呂付きの部屋をおさえているなんて、聞いてないよー」状態だったのだが。何しろ一行の中にこの旅館経営者の息子・京極真がいるのだ。
「蘭。一緒に入ろう」
ついこのあいだ、「新一と一緒にお風呂には入らない」と決意したばかりだというのに。
「なあ、蘭。いいだろ?」
耳元で、低く甘い声で囁かれて……蘭は陥落した。
「し、新一……」
「ん?」
「お、お風呂エッチだけは、やめてね……」
「はは。それは、しねえよ」
「ホント?」
「ああ。ここの露天風呂でエッチしたら、蘭の色っぺー声が他のヤツに聞かれてしまうから……」
そういう理由でなのかと、蘭は内心突っ込みを入れたが。どういう理由であれ、新一がしないと約束してくれたのだから、それを信じることにする。
しかし。新一が蘭を抱き込み、なまめかしく撫でまわすものだから、蘭は声をこらえるのが大変で、息が上がってしまった。
「もう我慢できねえ。あがるぞ!」
新一は蘭を抱えあげると、部屋に入り、あらかじめバスタオルを敷いていた上に蘭をおろした。
そして……一昨日、蘭の体中に印をつけたばかりだというのに、久しぶりであるかのように、激しく何度も求められた。
ようやく、新一が満足した様子で、蘭の隣に体を横たえた。
その、満足しきって緩み切った表情を見た時、蘭の眦から涙が溢れて流れた。新一は蘭の涙に気付き、ガバッと体を起こした。
「ら、蘭!?どうした!?」
「新一……新一にとっては……わ、わたしの体だけ……なの?」
「はあッ!?」
新一が目を見開く。そして、ブンブンと首を横に振った。
「お、オレは……そりゃ、蘭とひとつになるのがスゲー幸せで、オメーの体を求めちまうけど、でもぜってー、それだけってワケじゃ!」
新一の慌てまくった様子に、蘭は目を瞬いて、笑顔を作る。
「あ、ごめんね、新一……新一が体目当てとか、そんな意味で言ったんじゃ……」
「蘭……?」
「今回の旅行……楽しみにしてたのはわたしだけで、新一にはつまんなかったのかなって……わたしを抱く以外には、何も楽しくなかったのかなって……何だか、申し訳なくて……」
「蘭。ちげーよ。オレだって今回の旅行楽しみにしてたし、実際、楽しかった。昨夜お預けだったのはちょっとショックだったけど……」
「でも……一緒に海に入らないし、素敵な景色を見ても、美味しいものを食べても、何だかうわの空で……」
「蘭。オレはな……綺麗な景色にオメーが見惚れているのとか、美味しいものを食べてオメーが嬉しそうにしているのとか、そういうのを見るのが、嬉しいんだ」
「新一?」
「園子や和葉ちゃんと一緒に、楽しそうにしているオメーの姿を見ただけで、オレは……この旅行に来て、良かったって思うよ」
「ホントに?」
「ああ……まあ、夜だけは二人が良かったなとか思ったけど、でも、たまには女子のお泊り会も良いんじゃねえか?ただ、次の時は騙し討ちじゃなくて事前に言って欲しいって思うけどよ」
新一の表情は優しく、蘭は、新一が建前でなく本当にそう思ってくれていることを感じた。
「さあ。明日も、海に入るんだろ?もう、寝よう」
「うん!」
その後、蘭は新一の腕の中で安心して眠りに就いたのだった。
翌朝。
食堂に揃った6人全員、笑顔でスッキリした顔をしていて。園子と真も、平次と和葉も、それぞれに良い夜を過ごせたようだと、蘭は思った。ただ、色黒な真と平次だが、頬にかすかに赤い手形がついており……コミュニケーションの中で園子と和葉の平手が炸裂したのだろうと思われる。
「服部はまだともかく。京極さんに手形をつけられるのって、この世の中で園子くらいだろうなあ」
と新一が言ったが、蘭も同感だった。仮に、園子以外の女性から手を上げられたとして、真は反撃はしないまでも、避けるであろう。園子からの平手だから、甘んじて受けたのだ。
園子と和葉が手を出すなんて、どういう話の流れになったのか、とても気になったけれど、今4人とも笑顔なので、そこは突っ込まない方が良いだろうと、蘭は思った。
そして……。
「新一も、海に入ろうよ!」
「あ?ああ……」
「真さんも……」
「はい……」
「平次も……」
「お、おう……」
男性陣も、それぞれの妻・婚約者に腕を引っ張られて、海に入った。
「ねえ、新一……海水浴、本当は嫌いだった?」
「え?あ、や……別に嫌いじゃねえけど……」
「新一にとっては、8年ぶりの海なのかな?」
「いや、あっちでも海水浴くらい行ったことはある」
「ふうん……」
新一は、じっと蘭を見詰めた。
「西海岸・東海岸・ハワイ、それぞれ海水浴でにぎわうビーチも、観光向きのビーチも、沢山あっからな。でも、あっちには……」
「ん?」
「オメーが居なかったから……」
蘭は息を呑んで、新一を見上げる。新一の頬は染まり、その視線が微妙に泳いでいた。
「アザラシがいっぱいいる海岸では、蘭がこういうの見たらきっと喜ぶだろうなって思ったし……何を見ても、蘭を想わない時は、なかった……」
蘭は、新一の胸に自分の顔を寄せる。
「蘭?」
「新一。これから、沢山、思い出を作って行こうね……」
「ああ……」
「もしかしたら……」
「ん?蘭、どうした?」
蘭は、みんなとの旅行も楽しかったけど、夏が終わる前に、新一と2人だけでまた海に行こうと思った。
来年の春、結婚式を挙げた後は、避妊を辞める積りだから、今後、2人だけで海に行く機会はないのかもしれないから。
ふと気づくと、浜辺から、熱いのにスーツを着た男性が、こちらに向かって手を振っているのが見えた。
「あ!ワカメ頭刑事や!」
「横溝警部?ってことは、事件か!?」
平次が「ワカメ頭」と評したのも無理ないくらい、横溝警部は、髪型が妙にカクカクと特徴ある形をしていた。
「ワカメというより……どちらかというたら、昔話の挿絵にあるようなサンゴの形やあらへん?」
「やかましい!オレがワカメいうたら、ワカメなんじゃ!」
平次と和葉は、不毛なやり取りをしていた。
「それより、服部……事件らしいぞ……」
一昨日は新一たちを胡散臭げに見ていた横溝警部も、二人が事件を見事解いたことで、すっかり信用してくれるようになったようである。
「蘭……ごめん、オレ……」
「何を謝ってるの?あなたは探偵なんだから、行かなきゃ」
そう言いながら、蘭が先に浜辺に向かい始める。
「蘭!?」
「新一。何してるの、行くわよ!じゃあ園子、今回はここで」
「はいはい。またね、蘭、和葉ちゃん」
蘭と和葉は、さっさと浜辺に上がると、パーカーを羽織った。ふたりが、新一と平次のパートナーとして、事件現場に一緒に行く積りなのだ。新一と平次は、最初目を丸くしていたが、不敵な笑顔になり、蘭と和葉の後を追う。
蘭は探偵新一の、和葉は探偵平次の、パートナーなのだった。
(42)に続く
2022年2月6日脱稿
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