黄昏の倫敦物語



byドミ



最近の帝丹高校の修学旅行は、外国と相場が決まっているが、昨今アジア地域は色々な意味で危険が多く、今年はヨーロッパに決定した。

3学年のゴールデンウィーク期間に行われる修学旅行。
これが終われば後は受験一色となるので、高校生活最後の息抜きと捉えている者も多かった。

今年の帝丹高校3年B組は、進級する時期になっても休学中の工藤新一を欠いたままの修学旅行となった。
出席日数に大らかな私立帝丹高校は、一応休学中の者でもそのまま進級させてくれる。
但し、復学した時の成績次第では容赦なく落第させてしまうが。

頭脳明晰な工藤新一なら、復学後に優秀な成績を収める事は可能であろうが、そもそも彼は復学出来るのか、それはいつか、知る者はいなかった。
彼と親しかった筈の幼馴染の少女でさえも。



「新一が好きなホームズの国に・・・まさか私が先に来る事になるなんて思わなかった・・・」

毛利蘭は、青く澄んだ空を見詰めながら呟いた。

新一とは幼馴染でずっとずっと一緒だった。
学校行事も、何もかも。
けれど、一緒に帝丹高校に入学した新一は、既に1年近く休学しており、学校行事のハイライトとも言える修学旅行に、とうとう姿を見せなかった。

新一の両親は世界中を飛び回っており、東京・米花町にある家の他に、アメリカのロスに家を持ち、数箇所の別荘もある。
だから新一はハワイやロスやニューヨークには何度も訪れた事がある。
けれど、新一が憧れて止まない、ホームズ縁のロンドンには、確かまだ来た事がなかった筈だ。

「新一・・・修学旅行にはきっと来るって・・・思ってたのに・・・」

新一は、休学中でもたまに姿を現した事がある。
学園祭ではいつの間にか新出医師に代わって黒衣の騎士として登場したりしたのだ。

だから、旅行先がヨーロッパとあれば、しかもロンドンがコースにあるとなれば、きっとひょっこり姿を現すに違いないと、ギリギリまで蘭は期待していた。
けれど、新一はここにいない。

イタリアのローマから始まりその後は列車で、スイスのチューリヒ、ベルギーのブリュッセル、フランスのパリ、駆け足で巡った旅行も、いよいよここロンドンが最後である。

ゴールデンウィークの頃のヨーロッパは、花の盛りで美しい時期である。
どこもかしこも絵葉書さながらの美しい光景に、帝丹高校生達も目を奪われていた。
斜陽の大英帝国、霧の都ロンドン。
テレビや映画やお話の中だけで垣間見た事のある世界。

今のロンドンは、「霧の都」である事は少なくなったが、建物や町全体は何となくくすんだ印象である。
華やかなパリの町並みを見たばかりの帝丹高校生達の目には、重厚で地味な印象を与える町だ。
けれどやはり、5月の風は優しく花々は美しい。

蘭はずっと、園子を含めた数人のグループで行動していたのだが、ここロンドンでは(学校側から本当は禁止されているけれど)園子に断りを入れて1人で街を歩いていた。

新一が愛したホームズの街を、余人を交えずに歩いてみたかったのだ。

本当なら、新一と2人、ここを歩きたかった・・・その街を、今、蘭は1人で歩いていた。



蘭は、ふと視線を感じてそちらに目を向けた。
思いがけない人物をそこに認め、息を呑む。

「コナンくん・・・!」

蘭の家で暫く預かっていた子供・江戸川コナンが、ロンドンの街角に立っていた。


コナンは今、両親と共にアメリカに居る筈。
春休みに入ったばかりの日に、コナンの母親・文代が迎えに来て、連れて行ったのだ。

蘭が思わず駆け寄ると、コナンは真直ぐに蘭を見た。

「蘭姉ちゃん」
「コナンくん・・・どうしてここに居るの?」
「お父さんとお母さんに、大好きなホームズの町に行きたいって頼んで、連れて来てもらったんだ」
「でも、学校は?」
「ちゃんとアメリカの日本人学校に編入するよ。でも、プレゼントにちょっとだけサボらせてもらったんだ。明日は僕の誕生日だから」

コナンは新一と同じで、5月4日が誕生日だった。
新一は毎年自分の誕生日を忘れている。
コナンも昨年は自分の誕生日を忘れている風だったのに、今年は誕生日プレゼントを親にねだっていたというのが、不思議な感じがした。

「そうだったわね・・・コナンくんも8歳になるのか。1日早いけど、お誕生日おめでとう」
「ううん、そんなに早くはないよ。日本だったら、あと数時間で4日になるからね」

東京とロンドンでは、9時間の時差がある。
ロンドンの5月3日15時が、東京の5月4日0時になる。

今年こそ、新一にハッピーバースデイも言えないのだ。
思い出させる事も出来ないのだ。


一応駄目元で新一にメールと電話をしてみる積りではいる。
ここ最近、新一の携帯はいつも留守電で、メールの返事も暫くないので、望み薄だとは思っていたけれども。


「コナ〜ン」

向こうから手を振って呼ぶ声がした。
そこに居るのは、小太りで眼鏡をかけた、おっとりした様子の婦人。
コナンの母親・文代に間違いない。

「蘭姉ちゃん、ボク、もう行かなきゃ」
「うん、そうだね・・・コナンくんが元気そうで安心しちゃった。また・・・連絡してね」

蘭は、胸にぽっかりと穴が開くような喪失感を覚えながら、笑顔でそう言った。

「あ、そうそう。蘭姉ちゃん。ボクね、蘭姉ちゃんが修学旅行でロンドンに来てる事知ってて・・・もし会えたら、携帯のメールを見て欲しいって伝言頼まれたんだ」
「え・・・?」

「あ、本当に、ボク行かなくちゃ。またね、蘭姉ちゃん」

蘭が誰から?と問うより早く、コナンは手を振って駆け去って行った。



蘭は携帯を持って来ていたし、国際的に使える機種だと分かっていたのだが、本当に誰かから連絡が入るとは思っていなかったので、バッグの中にしまいこんだままになっていた。
それを取り出して、着信メールを見た。

着信してからそれ程の時間は経っていない。
蘭は送信者を見て、涙が出そうになる。

ずっとずっと会いたくて、会えなくて。
ここ最近は連絡すら取れなかった、蘭の幼馴染で想い人。
ここロンドンの地を一緒に歩きたかった、当の相手。

新一から久し振りに届いたメールの文面が、以下のものだった。

「今日、現地時間正午に、ベーカーストリート221b番地シャーロック・ホームズ博物館前で待ってる。ロンドンのタクシーは、通りと番地を伝えたら正確にそこまで送ってくれるから、方向音痴の蘭でも間違う心配はない。それじゃ」



「何よ何よ、いつも一方的に、勝手に・・・!」

携帯に向かってそう毒づきながらも、蘭の胸は甘酸っぱい想いでいっぱいになる。
新一に会える、このロンドンの地で。

腕時計を見ると、8時を指していた。
ロンドン時間で午前11時である。
かすかに鐘の音がしてふと振り仰ぐと遠くにビッグベンが見え・・・それは11時を指していた。
蘭は急いでタクシー乗り場へと向かった。



蘭は約束の時間よりも随分早くシャーロック・ホームズ博物館前に着き、手持ち無沙汰になりながら待っていた。
待望の人影が見えたのは、正午ピッタリだった。

「よお。蘭」

まるで昨日別れたばかりのように軽く手を上げて、新一は声をかけて来た。

「新一・・・」

蘭は、色々言いたい事があったような気がするのだが、言葉が続かなかった。

「こっちに来てるんなら、修学旅行に参加すればよかったのに・・・」

言いたい事とはまったく別の言葉を口にしてしまう。

「わりぃ。関わってた事件が大詰めでさ。そっちの関係でこっちまで来たんだ」

新一の言葉に蘭は驚く。

「え?じゃあ、新一が関わっている事件って、国際的なものなの?」
「ああ、まあそうだな。日米が中心で・・・だからこそ、奴らに気付かれずに行動する為に、オレ達は今、あえてヨーロッパで活動してる」
「ええ?奴らって?それに『オレ達』って・・・新一、仲間が居るの?」
「ストップ!・・・なあ、蘭。オレ今さ、無理言って2日間、個人的な時間を取らせてもらってるんだ。話はおいおいするとして・・・今はロンドンの町を楽しもうぜ!手始めに、まずはここ、ホームズ博物館からだな。ずっと蘭と一緒に来たいと思ってたんだ」

蘭の頭の中には様々な疑問符が渦巻いていたが、新一にそう言われて取り合えず今は2人の時間を楽しもうと思った。
1階には当時の警察官の格好をした人が立っていて、館内の案内をしてくれる。
博物館は2階から上で、新一は蘭の分と合わせて10ポンドの入館料を支払い、2人は中に入った。

再現されたホームズの部屋では、暖炉前の椅子に誰もが腰掛けられるようになっている。

「新一、座ったら?写真撮ってあげるよ」
「・・・いいよ、写真は。またいずれ、来た時で」

いずれまた来るって事が、あるのだろうか?
何となく胸騒ぎがしながら、蘭は新一を見る。

「今回は、本当に駆け足なんだ。それに・・・写真は取って置けない。奴らとの決着がつくまでは、携帯も身につけていられねーから」
「新一・・・?」
「ごめんな、ずっと連絡取れなくて。携帯も今は、母さんの手元にある。もしもの時は、母さんの方から蘭に連絡が行く筈だから」

蘭の体を衝撃が貫いた。
新一の関わった事件はどんなものなのだろうと不安に思う事は時々あったが、いつも弱音を吐かない新一が「もしもの時」などと口にするとは、余程の事であろうと思わせられた。

「止めて止めて!もしもの時なんて・・・っ!」

蘭の声はつい大きくなってしまい、メイド姿の案内嬢や他の観光客から、目を丸くして見られてしまった。
蘭は慌てて口元を押さえた。

「蘭。オレは、ホームズと違って、たとえ公共の利益の為にでも『身を捧げる』気は全くねえ。けど、今回ばかりは『万一』って事も考えなくちゃなんねえんだ」

新一が蘭を真直ぐ見詰めるその目は真剣で、蘭の視界は涙でぼやけてしまう。

「・・・ごめんな。泣かせたくねえのに、いつも泣かせちまって」
「ううん・・・ごめんね、私・・・つい泣いてしまって・・・」

「あのな。オレは必ず、蘭と一緒に、またここに来る。写真はその時、一緒に撮ろう」
「・・・うん、分かった」

今度は蘭は素直に頷いた。
そういった未来の約束ならば、良いと思ったから。
いつ果たされるのか分からなくても、新一が必ずと約束してくれたのだから。

「万一の時」などと言われるよりも、ずっと良い。


2人は、ホームズ記念館を後にして、ロンドンの観光地巡りをした。
と言っても、それ程時間がある訳ではないので駆け足である。
ビッグベン、トラファルガー広場、バッキンガム宮殿、ピカデリーサーカス。
名前を聞いた事や、写真で見た事がある場所を、次々と巡って行く。
名物の2階建てのバスに乗ったり、タクシーを使ったり、地下鉄を利用したりして。

「で、これがロンドンブリッジ。石造りの橋。ホラ、歌があるだろ、『London bridge is falling down…』って。アレの・・・何だよ?」

蘭が思わず笑ったので、新一が不機嫌そうな顔で蘭を見やった。

「ううん、相変わらずだなあって思って」
「相変わらず、音痴は治らないのね〜だろ?」

新一はますます仏頂面になった。

「それに・・・新一ってば、自分もロンドン初めてのクセして、相変わらず薀蓄たれなんだもん」

そう言って、蘭はまた笑う。
新一はますます仏頂面になり、そっぽを向いた。
蘭は流石に怒らせたか?と気にして、笑いをおさめて新一の方を見やる。

「憧れのホームズの町だから、色々と調べていたんだよ。それこそ、目を瞑っても歩ける位、地図は頭に入っているし。・・・蘭と一緒に来たかった。初めてロンドンを訪れるのは、蘭と一緒が良いって思ってた・・・」

そう言って振り返った新一の顔は、思いがけない程に優しい微笑をたたえていた。

蘭は胸が高鳴るのを覚えた。

それは、何故?
そんな事言われたら、期待しちゃうよ?
新一は私の事、どう思ってるの?

それらの言葉が、口から出そうになり・・・けれど蘭はそれを飲み込んでしまった。


蘭は時計を見る。
そろそろだ。

「ハッピーバースデイ、新一」

新一はちょっと目を見張って蘭を見た。

「今、日本では丁度5月4日の0時よ。新一、今年も自分の誕生日忘れてたの?」
「ああ・・・ありがとな。毎年、蘭に教えて貰ってたんだよな・・・」
「でもごめん、今年こっちで会えるって思わなかったから。プレゼント、何も用意してないの」
「いや。オレには、蘭とこうして会えて、一緒にロンドンでの時間を過ごせるってだけで、最高のプレゼントだから」

「新一・・・本当にどうしちゃったの?前はそんな事・・・言わなかったじゃない」
「そうか?・・・蘭と会うのが久し振りだから、そのせいかもな」

新一が照れずに蘭をからかう事もせずに、こうして一緒にいる事が嬉しいとストレートに言ってくれるなんて、どうかしたのではないかと蘭は思う。
久し振りとか、そういう理由ではないだろう。

不意に。
蘭の心に、コナンを通しての伝言として聞いた、新一の言葉が甦った。

『いつか死んでも必ず蘭のところに戻るから・・・』
『だからそれまで蘭に待ってて欲しい』


新一の戦いは、死地に赴く位に厳しいものであるのだと、だから今日の新一は妙に優しいのだろうと、蘭は思った。

死んでも、なんて、そんなのは絶対嫌だ。
今日みたいに優しくなくて良いから・・・だから、だから、生きて、帰って来て!

蘭は心の中で、悲鳴のように声をあげる。

新一を、信じている。
新一の探偵としての能力も、信じている。

その新一が、弱音を吐く。
いつも前しか見ない新一が、いつも生きる事しか考えていない新一が、今、死を見詰めている。

どうしたら、新一の目に今映っているだろう死の夢を覚ます事が出来るだろうか?
どうすれば、新一がいつも通り、命だけを見詰めていてくれるだろうか?



蘭にはどうしたら良いのか分からないままに、ロンドン観光地巡りは続く。
ロンドンブリッジから見えたロンドンタワーブリッジ、そしてロンドンタワー。
ロンドンタワーは、元々宮殿の建物として作られたものだが、後には城塞や牢獄として使われ、今では牢獄のイメージが強い。
中にあるジュエルハウスには、世界最大のダイヤ「アフリカの星」が飾ってある。

2人がジュエルハウスに入った時は、もう閉館時刻も近かった。

「うわあ・・・壮観・・・」
「キッドが涎垂らしそうなダイヤだな」
「もう、新一ったら」
「これだけの大きさがあるのに、すげー透明度が高くて純粋で。存在自体が奇跡に近いけど、他の宝石だとこんな事絶対有り得ねえそうだ」
「ダイヤモンドって、まさしく、宝石の王様なのね」

暫く見ていたかったが、閉館時刻になる為止むを得ずそこを出て。
ロイヤルオペラハウスを、外から見る。
ホームズが唯一認めた女性アイリーン・アドラーが、歌手として活躍したとされるそこは、白亜の美しい建物だった。

「オペラ鑑賞は、時間もねえし、またの機会だな。蘭。そろそろ、宿に戻らねえといけねえだろ?」

楽しい時間はあっという間に過ぎるとよく言われるが、本当にその通りで。
北国のロンドンではまだ空が明るいが、もう、時刻は夜の7時に近く。
そろそろ修学旅行中の帝丹高校生は、ホテルに集合して点呼を受けなければならない時刻だった。

「送って行くよ。何てホテルなんだ?」

蘭はじっと新一を見詰めると、おもむろに携帯を取り出した。

「もしもし、園子?私、蘭。悪いけど、今夜と明日の朝、点呼を誤魔化してくれる?最後の空港には、必ず間に合うように行くから」

新一が息を呑むのが分かったが、蘭はそのまま会話を続けた。

「今夜は・・・新一と一緒なの」

電話の向こうで園子が興奮して大騒ぎしている。
それは新一にも聞こえている筈だ。

「うん、はっきりしてなかったから園子にも黙ってたけど、もし都合が付けば、ロンドンで会う約束してたんだ。だから・・・お願いね」

蘭が携帯を仕舞い、新一に向き直ると、新一は目を丸くして蘭を見ていた。

「蘭・・・」
「決めたの。ロンドンを離れるまで、新一と一緒にいる。新一も、明日までしか時間取れないんでしょ?だから・・・」
「けど・・・どうする気だ?こっちには、日本と違って24時間営業の店なんか殆どねえぞ」
「新一、こっちにいるって事はホテル取ってんでしょ?そこで、一緒に語り明かしましょうよ、ね?」
「オメーな・・・オレだって一応男なのに、そんな事考えてねえだろ」

新一がそう言って溜息をついた。

蘭は複雑な気持ちになる。
新一こそ、普段こちらが女であるという事を、全く考えている風ではなかったのに、と思う。
新一にも、年頃の男性としての欲求・欲望といったものはあるのだろうと、蘭は思っている。
けれど、蘭に対してそういう気持ちになる事はないのだろうとも思っていた。
長い間幼馴染として傍に居て、女性扱いされた事はあんまりなかったから。

危急の時に守ってくれたり、そういった「騎士道精神の表れ」のような行動はあったけれど。
それは蘭を女性としてみているというのとは違うと、蘭は思っていた。

だから今回の新一の言葉は。
単に、「男相手には一応警戒しておけよ」という、「一般的忠告」の類として捉えていたのである。


   ☆☆☆


2人は、食料や飲み物などを買い込んで、新一が暫く泊まっているというホテルへと向かった。

「昨夜までは、母さんが一緒だったんだけど・・・今夜は、オレ1人なんだ」

そう言って新一に案内されたのは、ベッドルームが2つある、かなり贅沢な作りの部屋だった。

「昨日まで母さんがこっちの部屋使ってたから。寝る時は、こっち使えよ」

新一がそう言って片方の部屋を指差したので、蘭は少しガッカリした。

考えてみたら当然の配慮とも言えるのだが。
蘭の心のどこかで、何故かこの事態に落胆している部分があったのだ。

『私ったら。一体何を、期待していたと・・・だって、私がどんなに新一の事好きでも、私達はただの幼馴染。最初から、何も・・・ある筈はないって、分かっているのに』

やはり新一にとっては、戯れでも仮初めでもそのような事を考える対象ですらないのだと、蘭は感じていたのである。


新一のベッドルームで。
新一がベッドに、蘭がソファーに腰掛けて。
色々と他愛のない話をした。
今日見たロンドンの風物、修学旅行中の出来事、最近の帝丹高校事情。
蘭は取り留めなくそういった事を話す。

新一からは殆ど、今迄どうしていたかの話がなかったので、蘭は水を向けてみた。

「新一は・・・?いつから、外国に居たの?」
「ああ・・・およそ2ヶ月弱、かな。最初はハワイ経由でアメリカに渡って。ヨーロッパに来たのは、ほんの最近だ」
「どうやって、帝丹高校の修学旅行の日程とか知ったの?」
「帝丹高校のホームページを見て、だよ」
「そっか・・・そう言えば、最近ホームページが出来てるって言ってたなあ。新一、高校の修学旅行の思い出、作りそびれちゃったね・・・」
「いや。まあ、全く寂しくねえっつったら嘘になっちまうけどよ。オメーと一緒にロンドン歩けたんだから、それだけで。修学旅行の思い出は充分過ぎる位あるさ」

蘭は落ち着かなくなった。
新一がもし本気で言ってくれているのだとしたら嬉しいが、どうして今日はこうも、いつもと違う歯の浮くような言葉ばかり吐き出すのだろう?

「ねえ新一。いつ頃・・・帰って来れそうなの・・・?」

蘭がそう切り出すと、新一の瞳が僅かに揺れた。

「さあ・・・?1ヶ月か2ヶ月か・・・それとも、もしかして・・・」

新一の弱気な物言いに胸騒ぎがする。
蘭は、殊更に明るく冗談めいた口調で言った。

「・・・あんまり新一が帰って来ないと、私・・・待てないかもよ」
「ああ。いいよ、待たなくて」

返って来た新一の言葉は、とても投げやりで冷たいもので。
蘭は胸潰れる思いだった。
顔から血の気が引くのが、自分でも分かった。

「ごめんな。以前は・・・待ってて欲しいなんて・・・余計な事言っちまってよ」
「新・・・一・・・?」
「いっそ、オレの事は、忘れ去って貰った方が。オレも、気が楽だ」
「本気で・・・言ってるの・・・?」

新一は黙って目を伏せたまま。
蘭の方を見ようとはしなかった。

「じゃあ。何で、ロンドンの町を私と一緒に歩きたかったとか・・・そんな・・・そんな事、言ったの?何で・・・私に会いに来たの?忘れて欲しかったんなら、そっとして置いてくれれば・・・っ!」

冷静に話そうとしたのに、蘭の感情は昂って。
胸が詰まって声が出せなくなる。
堪えようとした涙が零れ落ち、鼻の奥がつんと苦くなって。
堪えきれない嗚咽が口から漏れる。


『最低、最低、私って最低!!どうして、どうして・・・!!新一を困らせるような事、言ってしまうの!?』

「・・・悪かった。蘭。オメーがこのロンドンに居るって思ったら・・・これが最後かも知れねえって思うと、どうしても、会いたくて。オメーに忘れて欲しいって言いながら・・・最低だよな・・・」

蘭は必至で涙を堪えようと努力しながら、新一の方を見た。
新一が思いの外優しい眼差しで蘭を見詰めている。

新一は、新一で。
蘭を大切には思ってくれているのだろう。
それが、恋愛感情などではなく、ただの、幼馴染へ向ける友情の一種であったとしても。

蘭が新一の事を好きだからって、新一にも同じ想いを返して欲しいなんて、我儘勝手というものだ。
こうして、会いに来てくれただけで、充分ではないか。

そう自分に言い聞かせながらも、蘭の気持ちは昂って。
辛くて辛くて、どうしようもない。


新一が蘭を恋愛対象に見てくれていないだろう事よりも、もっと辛いのが。
新一がどうやら、心の底から帰って来ようとは考えていないらしい事。
どこか遠くへ気持ちが飛んで行ってしまっているらしい事。

『お願いだから、生きて帰って来て。たとえ私の事、見てくれなくても良いから。たとえ生涯、ただの幼馴染でも、ううん、友達でさえなくなっても、それでも、それでも、構わないからっ!』

新一が見詰めているらしい、彼方の世界が蘭には怖い。

新一が、死ぬ可能性がある危険を冒してでも事件に飛び込んで行く事は、今までにも何度もあったと思う。
けれど、今回のはそれとは違う。
単に、それだけの危険を覚悟しているとか、そういう問題ではなく。

今の新一は、決して死にたいと思っている訳ではないだろうが、覚悟を決めていると言うよりは、多分死んでしまうだろうと諦めている風に感じられた。

その絶望を、何とかしたい。
どうにかして、引き止めたい。
新一が戦いに行く事をではなく、絶望と共に行こうとしているのを、引き止めたい。

けれど、どうすればそれが叶うのだろう?



「蘭。オレそろそろ・・・シャワー浴びてえんだけど。蘭もあっちの部屋で、風呂に入ったら?・・・夜遅くなると、周りの部屋に迷惑だし」
「うん・・・。ねえ、その後、またここに戻って来て、いい?」
「蘭は、一晩中語り明かす積りなんだろ?」


蘭は、有希子が泊まっていたという部屋に向かい、そこのバスルームに向かった。
新一の居る部屋は、バスはなくシャワーだけが備え付けらしい。
それでも、それぞれの部屋にシャワーとバスルームがあるなど、かなり贅沢な作りの部屋だと言える。


蘭はボーっとしたままに、水道のコックを捻り。
そして、頭から冷水を被ってしまった。


「キャッ!」

つい、短い悲鳴を上げ、慌てて水を止めた。


「蘭、どうしたっ!?」

蘭の悲鳴を聞きつけたのか、新一が慌ててすっ飛んで来た。

「キャアアッ!!」

飛んで来た新一が(シャワーを浴びる為だろう)上半身裸だったので、蘭は今度は大きな悲鳴を上げてしまった。

「蘭!?」
「新一!服、服着て〜〜〜っ!!」
「・・・んだよ。オレの裸くれー、海とかプールとかで何度も見た事あんだろ?」
「そ、そりゃ、そうだけど・・・っ!」

確かに蘭は今迄、新一の水泳パンツ一枚の姿は何度も見た事がある。
しかし、高校1年の時より今の方が、服の上からは分からないがずっと逞しくなっていたし、第一ここは海辺でもプールでもなく、覚悟もなくいきなり見たものだからドギマギしていた。

「で、さっきのは何だったんだよ?」
「ごめん、ただ、水のシャワーで慌てただけだから」
「・・・何だ。驚いたぜ。人騒がせな悲鳴上げんなよな」

そう言いながら、新一は隣の部屋に戻って行く。

最後は憎まれ口になりながらも、蘭が悲鳴を上げるとすぐに飛んで来てくれた。
新一は昔からそうだ。
意地悪な事を言うけれど、でも、本当のところではいつも優しく、蘭に何かあると必ず飛んで来て助けてくれたものだった。


そして・・・蘭は、見てしまったのだ。
新一の下腹部に、以前は見た事がなかった傷跡を。
そしてそれは、蘭の家でずっと家族同然に過ごしていた江戸川コナンの下腹部にあった銃創と、同じものだったのだ。


   ☆☆☆


蘭がお風呂に入った後、再び新一の部屋を訪れた時。
新一は微妙に動揺した様子で蘭を出迎えた。

「蘭、その格好・・・」
「小母様のらしいのがあったから、借りたわ。お風呂に入った後に、外出用の服を着るのって、窮屈なんだもん」

蘭は、部屋に置いてあったバスローブを身に着けていたのだ。
殊更に何でもない振りをしながら、蘭は胸がドキドキしていた。

新一と共に少しでも長く過ごしたいと思いながらも、蘭はお風呂で体の隅々まで磨き上げ、長い髪も丁寧に洗ってドライヤーで乾かして来たのだ。
どうしても、多少の時間は掛かってしまった。


そして蘭は、ソファーに腰掛けず。
ベッドに座る新一の隣に、腰掛けた。


「・・・あ、あのなあ、蘭」
「ん?新一、何?」
「オレだってその・・・17歳の男子なんだぞ。分かってんのかよ?」
「あら。18歳になったでしょ?」
「混ぜっ返すなよ!だから、オレが言いてえのは・・・!」

蘭は腰を上げ、新一に向かい合って立った。
そして蘭は、羞恥心を捻じ伏せ、バスローブをするりと脱ぐ。
下着は何も着けていなかった。

新一はあまりの事に言葉が出せない様子で、ただ呆然としていた。
蘭は新一の頬に手をかけ、ありったけの勇気を振り絞って、自分から新一の唇に自分のそれを重ねた。
蘭が唇を離した時、新一は今の出来事が信じられないかのように目を丸くして、蘭を見ていた。

「新一。私を、新一のお嫁さんにして」
「蘭。オレは・・・」
「今夜一晩だけで良いの。私のところに帰って来てくれって我儘も言わないから。だから・・・お願い」


蘭に、勝算があった訳ではない。
新一に何かを望んでいた訳でもない。
新一が受け入れてくれるのかどうか、それすらも全く分からない賭けであった。

ただ、新一がどういう積りであれ、新一に生きて帰って来て欲しいという切なる願いを、蘭なりに示したかったのだ。
そして、蘭の心が生涯新一のものであり、身も心も他の男のものになる事はないという、蘭自身の秘められた決意もあった。


ずっとずっと、コナンの正体は誤魔化されてきた。
蘭が幾度疑念を持っても、それを必ず否定されてきた。

そうしながら、ずっとコナンの姿で蘭の傍に居た新一。


新一の蘭に対する気持ちに恋愛感情が皆無であったにしろ、少なくとも蘭を大切に思ってくれて守ろうとしてくれていたのは、自惚れなどではなく確かな事だと蘭は確信している。
蘭をからかう為だけに、あんなに長い間わざわざ子供の姿で傍に居るとは考えられないからだ。



蘭はいきなり、新一に強い力で抱き締められたかと思うと、次の瞬間にはベッドの上に横たえられ、新一に上から見下ろされていた。
新一が真剣な眼差しで問う。

「蘭。本当に、良いのか?」
「うん」
「途中でどんなに嫌って言っても、もう止められねーぞ。後悔したっておせーからな」
「・・・後悔なんか・・・しないよ・・・」

ここで何もないままに、ただの幼馴染のままに、新一が行ってしまって。そしてもしもの事があったとしたら。
絶対に後悔する。

でも、この先どうなっても何があっても。
新一に抱かれた事を後悔する事だけは、有り得ない。

「オレは・・・もしもの時オメーが傷付くのがぜってー嫌だから、オレの気持ちを抑えてたってのによ」
「新一・・・」
「蘭。ずっとオメーが、好きだった。・・・ずっと・・・オメーとこうなりてえって、思ってた・・・」

新一の告白に、蘭は幸福のあまり体が震えた。

「新一・・・私も・・・新一の事・・・」
「蘭。愛してる」


次の瞬間、蘭は新一に強い力で抱きすくめられ、そして激しく口付けられた。


   ☆☆☆


新一は、初めての蘭を気遣いながらも、激しく蘭を求めた。
蘭の耳には、繰り返し、愛の言葉が囁かれた。

そして2人は、1つになった。


蘭の体を満たすのは。
痛みではなく、快楽でもなく。
蘭の新一への想いと、新一の蘭への想い。

蘭の心を満たすのは。
不安ではなく、希望でもなく。
新一が必ず蘭の元へ帰って来るという確信。


いつの間に、ロンドンでの0時を迎えたものか、2人には分からない。
お互いの存在だけを感じ、身も心もひとつに溶け合って。

気がつけば、朝が早いヨーロッパの初夏、空がすっかり明るくなっていた。



「蘭。もうそろそろ、身支度して出かける用意をしねえと」
「うん・・・」

気持ちが通じ合って結ばれた喜びは大きいけれど。
また、暫しのお別れをしなければならない。


不意に蘭は、朝の明るい光の中、新一にマジマジと見詰められているのに気付いて、真っ赤になった。

「あの・・・新一・・・あんまり見ないで・・・」

既に全てを許し合った仲とは言え、裸を真正面から見られるのは、やはり恥ずかしいものがある。

「蘭。オメーの姿を、目に焼き付けておきたい。オレ、それを心の支えに、頑張るからよ」
「新一・・・?」
「ぜってー、帰って来る。オメーの元に」
「新一・・・」

蘭の目から、涙が溢れて流れた。
新一の眼差しはもう迷いがなく、力強さを取り戻している。
もはや、別世界を見詰めてなどおらず、以前のように、常に前を見詰める強い眼差しに戻っていた。

蘭はその積りで新一とのひと時を望んだ訳ではなかったが、昨夜2人が結ばれた事で、新一が希望と前向きの姿勢を取り戻し、以前のように決して諦めない不屈の精神を取り戻せたのなら、これ程に嬉しい事はなかった。

蘭は、新一の下腹部にある銃創にそっと触れて、言った。

「これで本当に暫くの間、お別れだね。コナン君」
「・・・ああ。これで、今度こそ気付いちまったのか」
「うん」
「騙してたって、怒らねえのか?」
「怒りたい気持ちよりも。もっと別の気持ちが大きいから」

新一は、蘭を抱き締め、目を覗き込んで言った。

「オレが、どうしてあの姿にならなきゃならなかったのか。色々な事は、戻って来たら、全部話すよ。オレの今の戦いは、あの姿になった事と、関係あるんだ。今はやっと、元の姿を取り戻せたけど。まだ、戦いは終わっていない。決着をつけなきゃ、オレには明日はねえし、・・・それに、奴等の存在を許したままだと、世界はいずれ、闇に飲み込まれる」
「新一・・・」
「コナンが正体を隠していたのは、工藤新一が生きていると奴等に知られたら、オレの周りの人達にまで危険が及ぶから、だった」

蘭は息を呑んだ。
コナンが新一であるという事実を「隠していた」のは、新一にとって大切な人達を守る為で。
その中には蘭も含まれているのだという事が、今の蘭には素直に信じられた。

「けどよ。本当は、姿を隠して親父の元にでも身を寄せた方が、誰も巻き込まねえし1番良いと分かってたのに。オレがコナンの姿で、ずっとオメーのところに居候してたのは・・・最初は阿笠博士に言われたからだけど・・・実を言うと、オメーの傍に居たかったっていう、オレ自身の我儘だったんだ・・・」
「新一・・・」

蘭が新一の不在で寂しがっていたのを新一は知っていたのに、新一の方はちゃっかり蘭の傍に陣取って寂しさとは無縁だったのかと思うと、何やら不公平な気がしないでもないが。
それでも、新一が蘭の傍に居たかったと言ってくれた事は、新一が蘭の存在に甘えていたと知った事は、やはり嬉しかった。

「蘭。オメーを他の男に取られるのは、ぜってーイヤだ。けどその為には、生きて戻って来なきゃな」
「もう。馬鹿・・・」
「オメーはもう、オレの・・・奥さんなんだから。浮気すんなよ」
「馬鹿っ!!浮気なんか、しないわよ!新一の方こそ、浮気なんかしたら、許さないんだからね!」
「それだけは、天地が引っくり返っても有り得ねえ。ずっとずっと、蘭だけを見て来たんだ。他の女なんて、考えられねえよ」
「・・・帰って来なきゃ、本当に許さないんだからね・・・」
「ああ。蘭を『未亡人』にはぜってーしねえよ」
「私が諦めて再婚しようってなる前に、絶対帰って来てね・・・」
「そんなに長く待たせやしねえよ」

新一の唇が蘭の唇を優しく覆った。


   ☆☆☆


ヒースロー空港にて。
帝丹高校の生徒達が集まっている中。
園子が時計を気にしながら待っていた。

蘭の荷物はホテルから運びだし、持って来ている。
最悪、蘭がここに来られなくても、新一がついているのなら後から帰国する事も可能であろう。

ただ、帰国便をすっぽかしたりすると、後々蘭が高校側からどんなお咎めを受けるか、分からない。



突然、生徒達の中からざわめきが起こった。
園子がそちらの方を見ると、紛れもなく、園子が待っていた親友と、その幼馴染で・・・多分今は恋人になったであろう人物が、連れ立って駆けて来ていたのだった。


園子は、文句の1つも言ってやろうと思っていたのだが、止めた。
今の2人に関わって、馬に蹴られたくはなかった。


新一と蘭は、いつまでも名残惜しそうに。
衆人環視の中で、時間の許す限り、熱い抱擁と口付けを交し合っていた。

   ☆

そして、帝丹高校生達は、機上の人になる。
蘭はずっと、窓からロンドンの地を見下ろしていた。
蘭が、窓外を向いたまま、ポツリと言った。

「園子、ありがとう・・・」
「どう致しまして。その様子だと、昨夜は無事、新一君と初夜を迎えたみたいね」

蘭がこくりと頷く。
耳までが熱くなっているので、背中を向けていても、きっと園子には蘭が真っ赤になっている事が分かっているだろう。

「1年も不在だったくせに。ちゃっかり、美味しいとこ取りしちゃってさ。罪なヤツよね、あいつも」

そう言って園子は溜息をつく。
蘭を気遣っている為の発言だと分かるだけに、蘭は苦笑するしかない。

今はまだ、園子にも何も話せないけれど。
いつか、この一番の親友に全てを語ろうと、蘭は思う。


蘭の左手の薬指には、新一が別れ際にはめてくれた指輪が、光っていた。


   ☆☆☆


新一が帰って来たのは、それから間もなく。
蘭が18歳の誕生日を迎えた日であった。


「ただいま、蘭」
「お帰りなさい、新一」


もう、2人が離れる事は、2度とない。



Fin.




++++++++++++++++++++++++


<後書き>

このお話は。
2004年、工藤新一君お誕生日記念企画で、リク権をゲットされた、泉智様リクエスト小説です。
お題は、「(私・ドミが考える)ロンドン編・新蘭ラブ決戦」。

ロンドン編と言えば!!
いずれ、青山御大が描かれる予定で「ラブコメの終結」と発言されたお話ですよ!
どひ〜〜〜!!

で、単なる予測も難しいので、私なりに願望妄想を炸裂させて、書いてみました。
私が書くと、ラブコメの決戦となれば、どうしても2人が一線を越えてしまう。
もう私には、ほのぼの話は書けないです(汗)。

青山御大が描かれる場合、少年サンデーでもあるし、まあ多分キス止まり・・・ですよね。
それでも良いけど、キスの1つ位はないとイヤだな。
そして多分、蘭ちゃんも最終決戦には何らかの形で関わってくる模様。
だから、私が書いたような「戦いについてはノータッチ」という事も、ないと思う。

ただ、私、どういう形で蘭ちゃんが関わるのか、皆目見当がつかないんですよ。
でもまあ、「私の」ロンドン編だから、これで良いかと。

それにしても、リク受けてから1年半以上。いつまでお待たせしてたんだよって話ですね(汗)。
書き上げる前に青山御大が描かれる本家コナンで、ロンドン編が始まったらどうしようと、ビクビクしてました。(マジで)
何とか、間に合ったようです。
それにしても私には、キリ番リクなど受けるのは不可能だって事、良く分かりました(滝汗)。

でも、リク受ける事で構想が生まれる事もあるし。
企画でリク権ゲットされたお二方(もうお1人の、お忍び温泉宿:ゆう様のリク小説は、そちらに掲載されています。今のところ、エースヘブンにアップ予定はありません)とも、リクエスト内容が私にとっては難しく、新しい挑戦でした。でも、とても楽しかったです。
時間は掛かりましたが、お陰で今までの自分にはない話を書けたかなと思っています。
新しい挑戦をさせて頂いたお2人には、本当に感謝です。


2人が「夫婦になる」事は決めていたのですが、そのきっかけになるものが中々思い浮かべなくて、のた打ち回りました。
そしてこのお話、流石に裏行きにはしたくなかったので、ギリギリのところで踏ん張りました。何とか、セーフですか?


今は、いずれ来るべき本家コナンのロンドン編を楽しみに待っています。

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