ペアルック



byドミ



俺は江戸川コナン、探偵だ。
体は訳あって六,7歳の姿になってしまっているが、本来の姿は高校2年生、「平成のホームズ」「日本警察の救世主」と謳われた、高校生探偵の工藤新一だ。

けれど今の俺は、頭脳はともかく体はどこからどう見ても非力な子供。
同級生で幼馴染、そして俺の想い人でもある毛利蘭の家に転がり込んで居候の身である。
心優しい蘭は、俺の事を実の弟であるかのように親身になって面倒見てくれる。
それは本当に嬉しいんだけどよぉ。

「ほら、コナンくん、新しいパジャマよ〜」

蘭が真新しいパジャマを持って来た。
おまけに嬉々として着替えさせようとするので、

「着替え位自分で出来るよ、蘭姉ちゃん!」

そう言って蘭を部屋から追い出した。

ったく、蘭のやつ、いつも人を子ども扱いしやがって。
っても、体は確かに子供なんだから仕方がないんだけどよ。
子供の体だと、実の所確かに美味しい思いもたくさんさせて貰えるが、やっぱり早く元の姿に戻りてえ!

俺はブツブツ言いながら、蘭に渡された真新しいブルーのパジャマに袖を通した。

「蘭姉ちゃん、着替えたよ」

俺は茶の間に行って蘭に告げた。

「コナンくん、良く似合ってるよ」
「えへへ、そお?ありがとう、蘭姉ちゃん」

子供の演技もすっかり板に着いてしまった俺は、笑って答える。
俺が着替えている間に、蘭も着替えを済ませたらしい。
黄色の真新しいパジャマ姿になっていた。

「蘭姉ちゃんのパジャマも新しいやつだね」
「うん、似合う?」
「とっても似合うよ、蘭姉ちゃん」

お世辞抜きで、蘭はどんな格好をしていても滅茶苦茶に可愛い。
けど、せっかくだからもう少し色気のある格好をしてもバチは当たらねえと思うぞ。
ピンクの可愛いネグリジェ姿なども見てみたいなあ、スタイル良いからきっと似合うだろうな。
で、将来は俺だけに寝巻きを全部取った姿も・・・あ、いや、コホン。

じっと蘭のパジャマ姿を見ていた俺は、ある事に気が付いた。

「あれ、蘭姉ちゃん、そのパジャマ・・・」
「あ、気が付いた?コナンくんとお揃いだよ」

そう、蘭のパジャマは俺と色は違うがデザインが同じ物だったのだ。

「えへへ、『親子ペアルック』のコーナーで、可愛いデザインだったから買って来たんだ♪」

おおお親子ペアルック〜〜〜ぅ!?

嬉しくない!はっきり言って嬉しくないぞ!

俺はあまりの情け無さに涙が出そうになった。

「お、親子って、蘭姉ちゃん、まだ若いのに・・・」

俺はそう力無く言って、空しい笑い声を上げた。

くっそ〜〜〜っ、早く元の姿に戻りて〜〜〜〜〜っ!!



  ☆☆☆



蘭は寝室に引き上げると、タンスの引き出しを開けた。
そこには、もう1つ新しいブルーのパジャマが入っている。

「新一・・・」

蘭は想い人の名をそっと呟く。

今日店で見かけたお揃いのパジャマは、「家族用」であったが、デザインは高校生である蘭が見ても充分に可愛い物だった。
蘭は新一とお揃いのパジャマでリビングでくつろぐ姿を想像してしまい、つい買ってしまったのである。
だからこのパジャマは、新一に着せる機会が出来るかどうかはわからないけれど、父親・毛利小五郎に着せるつもりは無かった。
ただ、今の新一には、このパジャマは大き過ぎる。
そこでもう1枚、子供用のパジャマを買ったのだった。
小さな彼は、「お揃い」と聞いてちょっぴり迷惑そうな感じではあったけれど。



「新一、お休みなさい」

蘭は、コナンが寝ている毛利小五郎の寝室に向かってそっと呟くと、ベッドに横になった。







Fin.



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作者後書き


「れいるすたあ」様のトップページの新蘭ペアルックパジャマ姿に触発されて、思い付きで書いた突発駄文です。
なのに何故か「コ蘭」(爆)

この駄文では、「蘭ちゃん気付いてる」設定になっています。


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