C-K Generations Alpha to Ωmega



By 東海帝皇&ドミ



第二部 勇者激闘編



Vol.15 大財閥御曹司誘拐事件



3月13日火曜日の夕方午後6時30分……。



ファーンファーン!!


虎姫邸の駐車場に、一台の赤い大型トラックが到着した。
それに続くように、3台の覆面パトカーも到着する。

「よっと。」

赤いトラック――ランドフォートレスから服部初音警視長が、覆面パトカーから佐藤警部や高木警部補、目暮警部や白鳥警部、千葉刑事がそれぞれ現れた。


警察官一同は、応接室に通された。
そこにいる小五郎とコナンの姿に、目暮警部が思わず顔をしかめた。

「また君達かね?どうも君達2人は、事件を呼び寄せる厄病神としか思えんよ。」
「え、その、あの……。」
「いやあ、それは……。」

苦笑いするコナンと小五郎。
が、その言葉に桐華が反応し、

「お言葉ですが目暮警部、こちらの毛利探偵や江戸川コナン君達は、ワタクシ達がお招きした客人ですのよ。その客人を馬鹿になさるのは、このワタクシ達をも馬鹿にするのと同義でございません事?」

目暮警部を鋭い目で睨みつける。

「ええっ!?い、いや、決してそのようなつもりで……。」

たじろぐ目暮警部。

「……メグレン、まだ誘拐されただけで殺された訳やあらへんのやから、アンタの発言の方が不穏当やな。」
「は、はあ、申し訳ございません……。」

初音の言葉に、目暮警部も失言を詫びるしかなかった。
白鳥警部が、手帳のメモを見ながら言った。

「ところで、今回の件は、ただの誘拐ではなくシャドウエンパイアが関わっていると聞きましたが。」
「ちょっと解せないのですが、何故それが分かったんですか?」

目暮警部が後を受けて言った。

「武琉さんには、充分に護身術を仕込んでおりますから、普通の誘拐犯に誘拐出来る筈など、ないのです。」
「しかし、いくら腕に覚えがあっても、隙を突かれるという事も……。」
「武琉さんが持っている携帯電話は、勿論、GPS機能がついておりますのよ。子供用の携帯なので、電源を切っても再度入るようになっているのです。なのに、GPSで追跡が出来ない。」
「そ、そうか。シャドウエンパイアのジャミングで邪魔されている可能性があると……。」
「それに、実は、誘拐犯からの電話で、武琉さんと話をした時、肉食獣のような唸り声が聞こえたのです。」
「に、肉食獣……?」
「あれは、恐竜の声だったよ。」

コナンの言葉に、一同は驚く。
白鳥警部がコナンの前で屈み込んで訊いた。

「どうして、そんな事が分かるんだい?」
「以前、恐竜展で、頭蓋骨の構造から割り出した恐竜の声ってのが、流されてたんだ。今回の声は、その中でも獰猛だって言われるスピノサウルスって恐竜の声に、そっくりだったよ。」
「スピノサウルスって、背中に巨大な背びれがある恐竜の事かい?」

千葉刑事が、オタクの真価を発揮して、コナンに問う。

「そうそう、それ。」
「……成程。同じものだと断定はできないにしても、シャドウエンパイアが作り出した怪物の可能性が充分ありそうだって事だね。」
「うん!」

白鳥警部とコナンとの会話をよそに、佐藤警部がボソリと呟く。

「千葉君って、本当に何でも知ってるのね。」
「佐藤さん、そこは突っ込みどころじゃないでしょう。」

高木警部補が、額に汗を貼りつかせて言った。

「さて……。」

目暮警部は、応接室にいる虎姫・籏本両家の関係者を見回した。

ミカエルグループ会長の虎姫功志郎。
息子で社長の虎姫圭。
その妻の虎姫明日奈。
孫娘の虎姫桐華。

亡き籏本豪蔵会長の長女・籏本麻里子。
麻里子の夫で婿養子の籏本北郎。
豪蔵の長男・籏本将一の長女・籏本秋江。
将一の次女・籏本夏江。
夏江の夫・籏本武。
豪蔵の次男・籏本祥二。


籏本家の人々は、武琉の件を聞いて、急きょ、駆けつけて来たのだ。
(ただし勿論、獄中にいる、籏本麻里子・北郎夫妻の長男・一郎を除いてであるが。)

籏本豪蔵会長・長男の将一は既に故人であるが、その事情に関しては原作第3巻を参照の事。

武琉の従兄弟伯父に当たる籏本祥二は、

「武琉君は、大丈夫なんですか!?」

と、心底、心配したように言った。

「今のところは……しかし、いくらご親戚とは言え、そう近い縁でもなく、籏本家から養子に出された虎姫会長の孫である武琉君の為に、全員素早く勢ぞろいとは……。」

目暮警部が、呆れたとも感心ともつかない表情で言った。

「そうですね。以前、籏本豪蔵会長が殺された時も、この方達は、豪蔵さんの弟である筈の功志郎さんの事を、全く思い出しもしなかった位ですから。一部を除き性格も悪いようでしたし。」
(おいおい、おっちゃん……いくら本当の事でも、そりゃ、今口に出す事じゃねえだろうに。)

小五郎の台詞に、ジト目で呆れるコナン。

「わかったぞ!ふっふっふ、警部殿。謎は解けました!」
「何!?本当かね、毛利君!?」
「はい。籏本グループは、昨年、会長である豪蔵氏を失い、しかも下手人は孫の一郎氏であった事、まともな後継ぎ候補が残っていない事から、ガタガタだったんですよ。」
「まともな後継ぎ候補がいないとは何事ですの、失礼な!」

豪蔵会長の長女・麻里子が、エキサイトした。

「ほう?そんな事を言っていられる立場ですか?あなた達の一人息子・一郎君は、豪蔵氏を殺めた罪で獄中にあるばかりではなく、後継者としての資格も完全に失った……。」
「うっ……!」
「二男の祥二氏は、早くに後継ぎの座を捨てて料理人としての道を志し、豪蔵氏の亡き長男の次女である夏江さんも、あの事件の後、夫である武さん共々、やはり後継ぎの座を捨てて、牧場経営に従事なされている。秋江さんも残念ながらあの事件で夫を失い、寡婦の身で、子供もいない。どうです、まともに後を継げる人材が、籏本家にはもういないじゃないですか?」
「な、なる程……。」

小五郎の流れるような弁舌に、目暮警部達は感心したように聞き入っていた。(コナンなど、呆れて聞いていた者もあったが。)

「そして!その籏本グループに、ミカエルグループが救いの手という名の元に、吸収合併の話を持ちかけた。となると、二つの大財閥を同時に受け継ぐのは、武琉君その人だ。それを妬み恨みに思った籏本家の誰かが、シャドウエンパイアと手を組み、武琉君を亡き者にせんと……。」
「毛利さん。黙って聞いていれば……昨年、事件の解決ではお世話になったし、あの時のあなたの推理能力には本当に感心したが。今日のあなたの無理な推論決め付けは、あの時とは別人のようだ!」
「あら。そうでもないんじゃない、武君?あの事件の時も、毛利探偵は、最初、デタラメばかり言っていたじゃないの。だからきっと、今回も、今はデタラメばかり言っているけど、最終的には素晴らしい推理を……。」
「そうそう、そうですわ!毛利探偵は、それがウリですから!」

秋江の言葉に、眠りの小五郎の真実を知る桐華が、助け船を出した。

「そ、そうでしたね……。」

落ち着く武。

「まあ、確かに、そうだな。今回、毛利君は、まだ眠っとらんし。」
「警部殿ぉ。それは、酷いですよ!」
「事実じゃないか。」

そのやり取りを聞いていた、園子・蘭・コナンの3人は、「ハハハ……。」と、苦笑いするしかなかった。
と、そこへ。

その時、虎姫会長の携帯が鳴った。

「もしもし!」
『今から、身代金を用意しろ。』
「いくらだ。」
『さすが虎姫会長、話が早いな。30億円。勿論、番号はバラバラの現金でだ。』
「……わかった、いいだろう。」
『今は午後の7時だから……3時間後、夜の10時までに現金を揃えて指定の場所に持って来い。』
「し、指定の場所とは!?」
『それは、追って連絡する。』

そこまで言って、電話は切れた。

「30億円を現金で!?この時間に!?そんな事、出来るんですか!?」

高木刑事が叫んだ。

「そら、無茶やな。まず普通は無理やろ。」

初音が言う。

「虎姫グループの総力をかけて、何としてでもお金は集める!圭、すぐに指令を!」
「はい、お父さん!」

功志郎と圭のやり取りに、

「まあまあ、落ち着きいや。」

と初音が制す。

「これが、落ち着いていられるか!アンタは、ワシの孫じゃないから!」
「お、お父さん、落ち着いて!」

激高する功志郎を宥める圭。

「そら、ウチには孫もおらへんし……って、そないな話してんのとちゃう。なあ、これ、本気で営利誘拐や思うんか?」
「何?」
「営利誘拐やったら、銀行も閉まっとるこないな時間に、そないな無茶な要求せえへんで?無理やっちゅう事は分かるさかいな。」
「それは……犯人がそこまでの事、解ってないからじゃ……。」
「営利誘拐で、武琉君を攫えるだけの力持った奴が、そないなザルな事、やるかいな?こら、嫌がらせやで。」
「い……嫌がらせ?」
「アンタらを苦しめるんが、犯人の狙いやろ。心当たりは……。」
「あり過ぎて解らん。」
「ま、財閥の当主ともなれば、そないやろうな。」
「とにかく、犯人の狙いが本当は何であろうと、少しでも武琉を救う手立てを取りたい。現金は急ぎ揃える!」


やり取りを見ていた蘭が、こっそりコナンに耳打ちする。

「ねえ、新一。営利誘拐の場合でも、誘拐された人が無事戻った例は、殆どないんだよね?」
「ああ。足がつかねえように、殺されちまうからな。」
「だったら。わたし達はわたし達で、別行動で助けに行きましょうよ。」
「ほう。蘭。すげえな。」
「じゃあ、すぐに!」
「ちょっと待て。もう、既に、京極さんと瑛祐が向かってる。百鬼夜行桐華組も一緒だしな。オレ達は、もう少しこちらで情報を集めて……。」
「そっか。わかったわ。」


そして、午後10時が近づいた時、犯人から再度指令の電話があった。
現金を用意した旨を伝えた後、置く場所を指定される。

『現金を入れたアタッシュケースを置いて、その場に、虎姫圭社長が1人だけ、残れ。』
「何?」
『現金だけを置いて行かれたのでは、どんな罠があるかわからないからな。私は遠くから見張っている。たばかろうと思っても良いが、武琉の命を縮めるだけだぞ。』
「わ、分かった……。」


現金30億円分となれば、かなり膨大な量であり、アタッシュケース数台分になった。
そして、それらをライトバンに搭載していった。

「……さて、準備が出来た所で、これから何人か私と同行してもらいたいのですが。」

圭が周囲を見回しながら言った。

「それは誰ですかな、虎姫社長?」

目暮警部が尋ねると。

「佐藤警部と高木警部補のご両名を。」
「えっ、わ、私達が?」
「僕も……ですか?」

指名に驚く両名。

「ええ。お二人とも娘の桐華や息子の武琉のお友達ですから。」
「なっ、なんと!?」

目暮警部も同様に驚く。

「いや、これは意外でしたね。二人が虎姫家のご子息とそのような関係にあったとは。」

白鳥警部も予想外の事に驚く。

「え、ええ、まあ……。」
「私達、蘭さん達の縁で知り合いになりまして……。」

ちょっぴり汗をたらす二人。

「それともう1人……。」

圭が更に周囲を見回し、視線を止める。

「君にも来てもらおうかな、小さな探偵君。」
「えっ、ぼ、僕!?」

コナンも指名に驚く。

「なっ、しゃ、社長!?い、いくら何でも、こんな坊主が役に立つとは……。」

小五郎も思わず戸惑う。

「いや、彼は今まで数多くの事件を解決する一助を成したと子供達から聞きましてね。今回もそれにあやかろうと思いまして。」

あっさりと言ってのける圭。

「は、はあ……。」

目暮警部もなんともいえない表情で応える。

「……では、そろそろ参りましょうか。」

圭がライトバンの運転席に乗り込もうとすると、

「あ、社長、運転は俺が……。」

高木警部補が代わりを申し出るが、

「いやいや、これは俺が直接関わってますので、俺に運転させて下さい。」
「そ、そうですか……。」

圭の謝辞にあっさりと引き下がる。
高木警部補と佐藤警部は後部座席に乗り込み、コナンは圭の隣の前部座席に乗り込んだ。

「圭、頼んだぞ!」
「分かりました、父さん。」
「佐藤君、高木君!くれぐれも気をつけてくれたまえ!!」
「「分かりました!!」」
「コナン、足手まといになるんじゃねーぞ!!」
「うん、分かったよ!!」

こうして、圭達四人は指定場所へと向かっていった。



  ☆☆☆



「さて、もうそろそろ目的の場所に到着だな。」

圭は提向津港の倉庫街を走っていた。
が、ライトバンの車内には、圭以外の者は誰も乗っていなかった。

そして、指定場所の波止場に到着すると、圭はジュラルミンケースを持ってライトバンから降り、

「俺はミカエルホールディングス社長の虎姫圭だ!約束通り身代金は持ってきたぞ!!」

誰もいない波止場で声高く呼びかけた。
そこへ、

『よく来たな、虎姫圭。』

何処から圭への返答が返って来た。

「俺は出来る約束はちゃんと果たす主義でな。さあ、約束通り武琉を出してもらおうか!」
『いいだろう、さあ、行け!!』

と、次の瞬間、

ドシン、ドシン……。

「!?」

何やら巨大獣が歩くような大きな足音が圭の耳に入ってきた。
その方向に圭が向いた時。

「ガウォォォォォォォッッッ!!!」

大きな雄叫びを上げながら、全身が骨だけの巨大肉食恐竜のような巨獣が姿を現した。

「ちっ、やっぱコナン君が言ってた通りか……!」

圭の目の前に現れた巨大骨獣は、ワニのような長い顎と背骨から生えた長い棘を有する、スピノサウルスのような姿をしていた。
そしてその右手には、

「父さん!!」
「武琉!!」

鉄の鎖で全身を縛られた武琉を掴んでいた。

「ガウゥゥゥゥゥゥ……。」

巨大骨獣は圭を見据えながら唸り声を上げて威嚇する。

「おいおい、いい加減息子を降ろしてくんねーかなあ。ちゃんと金は持ってきたんだからさあ。」

圭は軽口を叩きながらも、巨大骨獣をきっちりと見据えている。

『いいだろう。降ろせ。』

何処からの声に従い、巨大骨獣は武琉を放り投げ、素早く身代金を拾って後退する。
いくつものジュラルミンケースを掴みあげるスピードは、驚異的だった。

「うわあああっ!」
「武琉!!」

放り出された武琉の元に、圭がスピノサウルスも顔負けのスピードで駆け寄り、地面に叩きつけられる前に受け止めた。

「武琉、大丈夫か!?」
「と、父さん……。ありがとう……。」
「怪我は!?どこか痛いところはないか!?」
「僕は大丈夫です。今も、父さんが受け止めてくれたし。」
「いや、ホント無事で良かった。」
「ごめんなさい、父さん。お爺様達にも色々と迷惑をかけてしまって……。」
「いやいや、お前は何も悪くないさ。」

と、その時。

「「!」」

圭と武琉は何かの気配を感じ取り、周囲を見回した。
すると。

『グルルルルルル……!』

先ほどの巨大骨獣よりもずっと小さい、同じく全身骨だらけのヴェロキラブトルのような怪物が多数、圭と武琉を囲むように接近してきた。

「こ、これは……シャドウソルジャー!??」
「やはりこう来たか。」

小型骨獣は圭と武琉に対し、今にも飛び掛かろうとする姿勢をとっていた。
そして、

『やれ、スカルラプター!!』
「グワオッ!」

ヴェロキラプトル型のシャドウソルジャー・暗黒骨竜スカルラプターが飛び掛った時!

ガシャーーーーンッッ!!

「グオウッ!」

圭の蹴りがスカルラプターに炸裂し、木っ端微塵になった。

『グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!

怯むスカルラプター。

「言っとくけど俺は、若い頃はこのテの魔道兵器とは幾度となくバトルしてるんでね。」

身構える圭。

『な゛っ……こ、こんなバカな……!』

何処からの声も動揺してるのがありありと感じられる。

『え、えーーーい、何をしてる!!ヤツを殺れえ!!』
『グワオッ!』

スカルラプターが一斉に圭に襲いかかろうとしたが。

ズドーーーーン!!
ズドーーーーン!!


ガシャーーーーンッッ!!

『グオウッ!!』

どこかからの銃撃で破壊される。

「えっ、アレは!?」

武琉が銃撃した方を向くと。

「そこまでだ!!」
「さあ、観念なさい!!」

ライフリボルバーを構えた高木渉警部補と佐藤美和子警部の姿が。

『貴様!一人で来いと言った筈なのに、約束を破ったな!!』

何処からの声が怒りに震えている。
が。

「はて?俺は最初から一人で来たぜ。」
「悪いけど、私達が勝手に付けさせてもらったわ。」

圭と美和子はあっさりと答える。
その一方で。

「高木刑事、父さん達はああ言ってますけど……。」
「君の思ってる通りだよ、武琉君。」

渉はライフリボルバーの銃口から、精神力の銃弾であるライフバレットをナイフ状に形成し、武琉を縛ってる鉄の鎖を切断している。

「さあ、これでもう大丈夫だよ。」
「ありがとうございます!さあ、いくぞ!!」

自由の身になった武琉は、立ち上がるやスカルラプターの群れに対して身構えた。

「た、武琉君!!いきなりそんな……!」
「無理は禁物よ!!」
「いえ、皆様方にご迷惑をかけた以上、黙って見てる訳にはいきません!ていやあーーーーっっ!!」

ガシャーーーン!!

「ギャウッ!!」

武琉の鉄拳が一撃でスカルラプターを破壊する。

「た、武琉君、ずっと鉄鎖で縛られてたのに……。」
「小さくても只者ではないって事ね。」

驚く渉に、感心する美和子。
その時、

「ガウォォォォォォォッッッ!!!」

先ほどの巨大骨竜が再び圭達の前に現れた。

「あっ、さっきの巨大竜!!?」
「あのデカさからして、再生能力を持つシャドウロードの可能性があるから、気を付けて!!」

圭や武琉を守るように、高木警部補と佐藤警部がライフリボルバーを身構えて警戒する。

『さあ行け、スカルスパイナー!奴等を皆殺しにしろ!!』
「ガウォォォォォォォッッッ!!!」

スカルスパイナーと呼ばれた大型シャドウドールが何者かの指示を受けて、突撃を開始する。
が。

ドゴーーーーーーンッッ!!

「ガウォッ!?」

いずこから発射された光の玉の直撃を食らい、スカルスパイナーは衝撃でバラバラになってしまう。
そこへ。

「おーい、大丈夫かあ!?」
「コナンさん、皆さん!」

駆けつけてきたのは、コナン・蘭・園子の3人であった。

「先ほどの光の玉は、園子さんですか?」
「ええ、そうよ!間に合って良かった。」

園子のフォースウェポン・ホーリーラケットは、必殺技のパワードスマッシュを発動させた直後で、スパークを発していた。

「人間相手の試合の時より、腕が良いんじゃねえか?」
「言ったわね!新一君!そのカラダで光の玉の威力を受け止めたいようね!」
「わわわ!冗談だってば。」
「冗談に聞こえないわ!」
「2人とも!今はそんなこと言い合ってる場合じゃないでしょ!」

蘭が一喝し、コナンと園子は表情を改めて敵に向き合う。
2人とも、光の玉でスカルスパイナーが倒れたのを見たため、少し気が緩んでいたようだ。

「それにしても、あっけなかったわよね~。」
「ふふん。この園子様の光のパワーが、それだけ上がったってことよね!」
「後は、あのシャドウソルジャー達を全滅させるだけだ!」

皆、気を引き締めて、スカルラプターに向かい合った。

が、その時、

「ガウォォォォォォォッッッ!!!」

スカルスパイナーの頭がい骨が大きく吠えた直後、

「え、ええっ!?」
「何いっ!?」

何と、バラバラになったはずのスカルスパイナー が結合し、再び動き出した。

「う、嘘でしょ!?」
「光の力で破壊したはずなのに!?」

予想外の出来事に真っ青になる蘭と園子。

「ならば私が!フォースウェポンセットアップ、ファレノプシス!!

すぐに気を取り直した蘭がエンジェルグローブを装着し、

ファレノプシス彗星拳、セットアップ!

両手に光を集める。
そして、

「いっけえええええええっっ!!」

ズドーーーーン!!

スカルスパイナーに対し光の闘気を撃った。

ドゴーーーーーーンッッ!!

「ガウォォッッ!!!」

光の闘気はスカルスパイナーに命中し、スカルスパイナーは再びバラバラになった。

「ふー、やれやれ……。」
「今度こそは大丈夫よね。」

一息つく蘭に、安心気に見やる園子。
が、

「ガウォォォォォォォッッッ!!!」

スカルスパイナーの頭がい骨が再び大きく吠えた後、骨が再び結合し、再起動した。

「な、何よこれえ!!?」
「こいつもしかして、シャドウロード!?」

さらに真っ青になる蘭と園子。

「いや、シャドウロードなら、必殺技を2度食らうと完全に爆散するはずだ!」
「でも新一!こいつ2度も復活してるじゃない!!」
「もしかして、新手のドールじゃないの!?」
「新手のドール!?」

園子の言にハッと気づくコナンは、

「そう言えばシャドウロードは、かなり高度な自我を有してるけど、こいつはシャドウソルジャーのように自我を全く有していない、機械然としたドールだ。その分、復活用のエネルギーを何らかの手段で複数有していると言うことか……!?」

と推測する。



「み、美和子さん……!!」
「光の力が利かないなんて、どう言うドールなの、あれ!?」

予想外の事態に困惑する渉と美和子。
そこへ、

「落ち着いて下さい、二人とも。」

圭が慌てるそぶりを全く見せずに、語り掛ける。

「と、虎姫社長!」
「いかに再生能力を持ってるとは言え、それは決して無限ではないはず。彼らならきっと何とかしますよ。」
「……そうですね。」
「コナン君たちなら絶対何とかしてくれそうですね。」

護衛対象の圭に逆に諭され、二人は落ち着きを取り戻す。



「ガウゥゥゥゥゥゥ……。」
『グルルルルルル……!』


唸り声をあげながら、コナン達を威嚇するスカルスパイナーとスカルラプターの大群。

「ど、どうしよう、新一……。」
「必殺技が全く通用しない相手に、どう戦えって言うのよ!!」

蘭と園子も、さすがに弱音を吐かずにはいられなかった。
が、

「二人とも諦めるな!突破口はきっとある!!」

コナンが二人を励ますが。

(だが、こいつのエネルギー源って一体どこにあるんだ!?)

未だかつて無い事態に、さすがのコナンも焦燥感を隠さずにはいられなかった。

そして、

「ガウォォォォォォォッッッ!!!」
『グワオッ!』


スカルスパイナーとスカルラプターが再び動き出したその時!

ドガーンッ!
ドガアーーーン!!


「ギャウッ!!」
「ギャワウッ!!」


天から火炎弾が降り、その直撃を食らったスカルラプターが次々と爆発した。

「こ、これは!?」

コナンが天を仰ぐと。

「グウォォォーーーーーーーーーッッッ!!!」

ドラグファイヤーが天を舞うように周回していた。

「無事だった、みんな!?」

ドラグファイヤーから舞が呼びかけた。

「焔野!」
「舞ちゃん!!」
「舞!!」

援軍の登場に安堵するコナン達。

そして更に。

「とりゃあああーーーーー!!」

どがっっ!!

「ガウォォッ!?」

舞とは別の何者かが、ドラグファイヤーから飛び降り、そのままスカルスパイナーを蹴り倒してしまう。

「おお、凄い!!」
「なんてキック力!!」

驚嘆する園子と蘭。

「い、一体誰が!?」

とコナンがその相手を見ると。

「やあ、お待ちどうさま。」
「オ、オメーは!?」
「あ、あなたは!?」
「せ、世良さん!?」

そこには、蘭達の前のクラスメイトで、今は日本にはいないはずの世良真純の姿があった。

「な、何でオメーがここに!?」

とのコナンの問いに対し、

「決まってるだろ?ボクもC-Kジェネレーションの一員として参戦しに来たのさ。」

と力強く答える真純。

「い、一員!?」
「せ、世良さんが!?」
「そ。ボクはプリンセスアルテイシア世良真純。これからも宜しくね★」

そう答える真純の腕には、光の勇者の証である光の腕輪が煌めいていた。




To be continued…….