これは新一君と蘭ちゃんが中学2年生の頃のお話・・



ボイス☆14



By 架望様



(前編)



4月25日



ピピピピッ

枕元で目覚ましがうるさく鳴いている、針は7時を指していた。
それでもこの目覚ましの主は置きようとしない・・・

「新ちゃん?朝よ、起きないと遅刻するわよ!」

目覚ましが止まらないのに気付いた母・有希子は新一の部屋に入って行き乱暴に体を揺すった。
枕元には遅くまで読んでいて、寝坊の原因であろうと思われる推理小説の新巻が置いてあった。

「ったく、さすが優作の子ね・・推理が好きなんて。でもいい加減に起きないと、あっそうだ・・良いこと思いついちゃったv」

自分で思いついたこのアイディアにクスクスと笑みをこぼしながら

「新ちゃん、新ちゃん?」

耳元で優しく有希子が語りかける・・

「ん・・なんだよ、母さん・・」

大分起きてきた様子だがまだ大半は寝ているらしい。

「外で蘭ちゃんが知らない男子生徒と手を繋いでるわよ〜?」

バサッ!

一気に脳が起きたらしく新一は急いでベットから飛び降りると窓の外の景色を慌てて見た。

「おはよ〜新ちゃん、起きた?」

外で蘭が他の男子生徒と手を繋いでるというのが、はったりだと安心している新一の後ろで有希子が楽しそうに言った。

「なんだよ、母さ・・、何朝っぱらから息子からかって遊んでんだよ・・」

そう発言した後、新一はゴホゴホとせき込んだ。

「あら、新ちゃん風邪?」
「嫌、風邪じゃねえよ。熱ねぇし・・」

そう発言したつもりが声がかすれて上手くでない言葉(単語)もある。
有希子は人差し指を宙でクルクルと回しながら当ててある一つの仮説を立てていた、

「ねぇ、新ちゃん・・新ちゃんって今年でいくつになったけ?」
「確かまだ、たん・うび(誕生日)来てねぇけど・・中二だから14だな・・」
「あっそれなら新ちゃんは風邪じゃないわ、ほらもう15分よ!はやく中学校の支度する!」
「支度すっからさっさと、かはさん(母さん)は出てく!」

有希子は鼻歌を歌いながら台所へ降りていった。

「ついに新ちゃんも一歩大人の階段のぼるのね♪」

という発言を聞いたので新一は

(はぁ?俺の家は大人と認められる歳の設定が平安時代なのか?)

と心の中でほざいていた。


ピンポーン


「新一?今日も一緒に学校行こ?」

登校時間になったのか、蘭が工藤邸を訪ねて来た。

「ほら、新ちゃん蘭ちゃん来たわよ」
「分かってうよ(分かってるよ)!」

スクール鞄を持つと急いで玄関に行った。

「おはよ、新一。学校行こ」
「あぁ、おはよー蘭」

そう発言した後喉に来たのかゴホゴホとまたせき込んでしまった。

「どうしたの?新一風邪?」

心配そうに蘭が新一の顔を覗き込む、さらりと流れる長い髪に戸惑いながら

「いや、風邪じゃねぇよ」

顔を真っ赤にしながら新一は視線をそらした。

「新一、顔真っ赤だけど・・やっぱり風邪なんじゃない。5月4日までには治しておいてよ?」
「5月4日って言ったら9日後じゃねぇか?その日特別な用事でもあんのか?」
「ううん、別になんでもないの!」

両手を必死にパタパタと空中で泳がせながら話を誤魔化す事にした。

「ねっねぇ?新一は今のサッカー部の3年の先輩が居なくなったら当然新一が次のキャプテンやるんでしょ?」
「あっ・・あぁ、サッカー部のキャプテン決め?知らねぇよだってキャプテン決めは部員全員で投票でやるから・・それに
キャプテン=部長だろ?部長だけは勘弁、生徒総会とか出たりしないといけねぇし・・」
「でも、新一ならぜったいキャプテンに成れると思うな〜」
「俺はともかく・・蘭なら空手部の次期部長に成れると思うぜ?」

そう言った新一が行った後、蘭は顔を真っ赤にして走り去って行ってしまった。

「おっおぃ!蘭!なんで急に走り出すんだよ!俺なんかしたか?!」

自分が何をしたのかサッパリ分からない様子で走って行った蘭の後を追う事にした。

(えっ?さっきの声って新一だったよね・・私の知ってる新一の声じゃなくって・・すっごく大人っぽかった・・優作おじ様ぽかったけど・・・
あれは新一の声・・優しいテノールが入ってて聞いてたら安心するっていうか、優しく包まれてる感じがする・・って私ったら何考えてるのよ!偶然よ、偶然!周りの民家のTVの音よ!蘭って名前の空手部の子もたくさん居るだろうし!とにかくあれは偶然よ!偶然!落ち着け・・私)

「おい、なんで急に走り出したりするんだよ!」

パニックになっている頭を落ち着かせようとしている途中、蘭は後ろからガシッと力強い手で肩を掴まれた。

「キャァッ!」

ついとっさに最近空手部で編み出した裏拳を肩を掴んだ人に掛けようと腕を振り下ろした瞬間

パシッ

「おっおい、落ち着けよ蘭!俺だってば」
「えっ、新一?」
「お前ホントどうかしてるぞ?急に走り出したり、曜日を気にしたり、俺相手に裏拳使ったり・・なんかあったのか?」
「うっううん、なんでもないよ?!急に走り出したりしてごめんね。一緒に学校行こう?」
「なら、いいけどよ・・。」

(新一サッカーやってるからかな、私の肩を掴んだ瞬間ちょっぴり痛かった。あ〜ぁ、普段は気付かないけど小学校までは背は一緒だったのに中学校に入ってからグングン背が伸びちゃってる・・このまま行くと新一170cmは越すかな〜私新一に追いつけるかな・・そういえば新一声がいがらっぽかったけど・・あれって声変わりなのかな?ずるい・・ずるいよ新一、新一だけ先に大人の階段上っていっちゃう・・私は置いてけぼりなのかな?なんだか急に新一が違う誰かに見えちゃった・・ちょっと寂しいな・・それって)

蘭は知らない、自分も一段一段階段を上っていってる事を・・・

時間はあっという間に過ぎていきついに明日が新一の誕生日になってしまった。

先に大人の階段を上ったのは誰?



後編へ続く






あとがき

はい、最後の締めくくりがあまりにも意味不明ですみません!
工藤氏の声変わりを書こうとしたきっかけは、映画のオープニングのあれです。

「組織に毒薬を飲まされ・・目が覚めたら」
「体が縮んでしまっていた!」

山口勝平ボイスからいっきに高山みなみボイスにかわるあれです。
ちゃんと声まで子供化してるんですね(笑)う〜む奥が深い
山口さんの声のことを「カッペイボイス」と呼ぶらしいですが、サイト中で勝手にそう読んでいたら「そう呼んでもいいですよ」と書き込んでもらい「勝平さん公認用語」となったのは本当の話です。

この小説を内容を工藤氏の変わりに服部氏・黒羽氏 蘭ちゃんの変わりに和葉ちゃん・青子ちゃんに変換してもかなり面白いです!特に平和が・・平和が・・
だけど快青は高山さん疲れますね、声を当てると・・

黒羽氏の子供の頃・・高山みなみボイス 中森青子ちゃん・・高山みなみボイス

もし、工藤氏と蘭ちゃんが黒羽盗一さんのマジックショーに行き黒羽氏と青子ちゃんに出会って仲良くなったら・・
高山さん大変そう・・一気に三人の声を当てるんだから・・


 後編に続く。