ボイス☆14



By 架望様



(後編)



5月4日


「おはよ〜新ちゃん、夜の8時から新ちゃんの誕生日会やるからそれまでには部活終わらせて帰ってきてね。」

あと5時間後に迫った誕生日会のため有希子は大忙しで料理を作っていた。

「はぁ?なんで今更誕生日会なんてやるんだよ?ガキじゃあるまいし・・」

スポーツバッグにサッカーで使う道具をいれながら新一は答えた。
その瞬間

ガッ・シャーン!

キッチンの方で何かが凄い音を立てて割れた。

「おっおい、母さん!大丈夫かよ?今すっげーここ(台所)で食器割れたような気がするけど・・どうしたんだよ?母さん」

急いで新一がキッチンに駆けつけると有希子がビックリした様子で新一の方を指さしていた。

「どうしたんだよ母さん、ゴキブリでも出たのか?」
「しっ新ちゃん・・声・・」
「はぁ?俺の声がどうしたんだよ」
「きゃ〜新ちゃん完璧に声変わりしてる!声変わりする前の新ちゃんの声も良かったけど、今の新ちゃんの声もとっても素敵よ!」

そう有希子に指摘されて初めて新一は自分が声変わりしていることに気が付いた。

「あ〜最近喉がいがらっぽかったからな・・そっか俺声変わりしてたんだ」
「新ちゃん、気付いてなかったの?蘭ちゃんに報告したほうが良いんじゃない?」
「別に気にしてなかったし、忘れてた。それに別に声変わりぐらいで蘭に報告しなくてもいいだろ?っとそろそろ時間だし俺部活に行くから」
「いってらっしゃい、8時には部活終わらせて帰ってきてね」
「分かったよ、行って来ます」

そういって新一は家を出た。

(げっ!母さんの所為で完璧遅刻だぜ、今日はサッカー部の次のキャプテン決めっていうのに・・遅れたらなんか嫌な予感がする・・)



  ☆☆☆



集合時間に十分遅れて新一はサッカー部のグラウンドへ着いた。

「すみません、工藤遅れました!」

みんなやっと来たかという目で新一を睨む・・そんな中、今の部長・大本が新一の方へ向かってスタスタと歩いてきた。

「工藤、お前に一つ報告したいことがある・・・」

緊迫した空気がサッカー部を包み込んだ。

「何でしょうか、先輩(俺先輩になんか気に障ることしたっけ?)」
「・・・・・・お前はたった今満場一致で次のサッカー部キャプテン(部長)に決まった!喜べ!」
「おっ俺が次のキャプテンですか?しかも満場一致って・・お前等・・」

新一があたりを見回すとメンバーは笑いながら答えた

「だってさ、お前にサッカーの腕(足)で叶う奴は帝丹中学にはいないしさ〜」
「お前だったら俺は一生着いていくぜ?中学にいる間」
「バカだな〜木村、一生なのか中学に居る間なのかハッキリしろよ。って言うより工藤の一生のパートナーは彼女だろ?」
「おっおい、斉藤!俺は蘭を嫁に向かえる気はねーぞ?!」

そう新一が言った瞬間部員達はしてやったりと言った顔をした。

「自爆してしまったな工藤よ、俺は彼女とは言ったが毛利とは言っていないぜ」
「あっ・・・んな、バカな事言ってないで練習さっさと始めるぞ!お前等」
「はいはい×40人」



部活が終わった後キャプテンが替わったからか、それとも蘭との関係を冷やかされたからか部員は今日の練習は死ぬほど疲れた(新一は疲れて無いが)気がした部員達の中では「練習前に工藤をからかうと死ぬほど疲れる練習をさせられるので練習前には工藤をからかわない」という鉄則が生まれた。

(えっと、おば様から新一の誕生日会の招待状が来たけど・・この格好変じゃないかな?プレゼントもサッカーで使ってほしいからタオルにしちゃった、そろそろ時間だから出発した方がいいよね?一応お父さんに言っておこう)

「ねぇ、お父さん〜って、ま〜た昼間っからお酒飲んじゃって!もう・・一応書き置きしておこう『新一の誕生日会に行ってきます。ご飯は台所にあるからレンジで温めて食べてね。蘭より』っと、じゃあ行って来ま〜す」

戸締まりをきちんとして蘭は家を出た。

(誕生日会は8時からで、私の家から新一の家まで走って5分・歩いて10分余裕で着くわね。どうしよう・・早く着いても困るだろうし・・あっそうだここの近くに公園があるんだった!そこで時間を潰して行こうっと)

蘭は幼すぎた、この時間に公園でいや一人で居ることがどれほど危険という事かを・・


「わ〜懐かしい、中学生になって公園なんて全然来なかったし・・ブランコがある、あそこで新一とどっちが高くこげれるか競争したっけ・・それで私がブランコから落ちちゃって・・あんまり高いところから落ちた訳じゃないからケガは無かったんだけど泣きやまなくってそうしたら新一が「痛いの痛いの飛んで行け〜」ってなぐさめてくれたんだよね〜相変わらず音痴だったけど・・」

そう言ってブランコをこいでいるといきなり不良の高校生五人に絡まれた。

「おい姉ちゃん、この公園は俺等の指定席なんだけどよ〜知っててここに来たんだよな?」
「あっ、ごめんなさい知らなくって・・今出ていきますから!」
「まあ、いいじゃんかよ急いで出ていかなくってもさ・・彼女俺達と遊ばない?」
「ごめんなさい、私これから用事があるんで!」

そういって逃げようとした瞬間腕を掴まれた。

「いや!放して!」

ドガッ

蘭の腕を掴んでいた男の頭にサッカーボールが命中しその衝撃で男は蘭の腕を放しその瞬間蘭は男から逃げる事ができた。

「蘭っ!こっちだ!」

新一が助けに来てくれたことが嬉しかった。
新一の元へ急いで走ると私達はあの人達から逃げた


「ここまで来ればもう大丈夫だろうな・・おい蘭っ!分かってるのかよ!?夜、誰も居ない公園で女が一人いたら普通なにされるか分からねぇのかよ!お前はもう中二!子供じゃねーんだぞ!」
「ゴメン・・」
「まあ、蘭が無事で良かった・・なんであんな所にいたんだ?」
「だって8時から新一の誕生日会でしょ?あんまり早く行ったら迷惑じゃない?」
「別に迷惑じゃねーよ・・って蘭お前指ケガしてるぞ?」
「えっ?嘘・・逃げるときブランコで切ったんだ・・あのブランコ木だから・・」
「ほら、見せて見ろよ!」

優しく蘭の手を取ると血が出ている指を自分の方へ持ってきて口に含んだ

「はぐ・・新一・・私手洗ってないし汚いからやめなさいよ〜」
「大丈夫、俺と蘭は血液型同じだし・・一応消毒代わりになるしさ破傷風になったらどうするんだよ、俺の家に行ったらすぐ消毒してやるから!蘭ハンカチか何か持ってるか?」
「えっと・・新一のプレゼント用に持ってきたタオルならあるけど・・」
「じゃあ、それくれるか?」
「うん・・」

蘭は綺麗にラッピングしたタオルを新一に渡した、新一は丁寧にラッピングをほどくとタオルを取り出し縦細く破いた。

「あ〜せっかくのプレゼントが!なにするのよ!」
「だってこれ俺のだろ?だったら俺がどう使ってもいいじゃねーかよ、蘭のケガに使われる方がこのタオルも使いがいがあるって!」

そういって細く破いたタオルを蘭の指に丁寧に巻いた。

「ありがとう・・私新一に言いたいことがあるんだった!」
「なっなんだよ?(まっまさか・・告白か?まてそれは不味い、女から告らせるなんてかっこわりぃじゃんか)」

外は暗いので新一が顔を真っ赤にしていることは分からなかったが、蘭は息を吸い込むと歌を歌い出した。

「Happy Birthday to you〜Happy Birthday to you〜Happy Birthday dear Shinichi〜Happy birthday to you〜♪誕生日おめでとう新一」
「さっサンキュ、蘭・・・これからずっと俺の誕生日祝ってくれるか?」
「あっ!もうすぐ8時がくるよ新一!はやく新一の家行かなきゃ!」
「おっおう(今、話をはぐらかされた気が・・まっいいか、その答え聞くの今はまだ保留で)」

そう言って二人は工藤家にむかって走り出した、新一の誕生日会が終わって無事新一に蘭を家まで送り届け新一が帰ってきた後、有希子が二人とも8時に来なかった(帰らなかった)のをネタに新一をからかったのは言うまでもない

(新一・・あなたが嫌がっても私はずっと新一の誕生日祝ってあげるからね、だって新一誰かが言わないと自分の誕生日忘れちゃうから)



FIN…….







あとがき

やっと書き終わった・・本当に蘭ちゃんが酷い目にあうシーンは書きたくなかったのよ!でも書かなかったら話は繋がらないし・・なるべく少ない行で書く事になりました。
この小説で書きたかったのは「声変わり・蘭ちゃんを助ける工藤氏・指パク・布を切り裂いて蘭ちゃんの指に巻く」です!無事全部詰め込めましたね!
声変わりがこんなに長く続くのか?破傷風ってこんな風になるんだっけ?って突っ込んではいけません!
本屋&学校で医学書を開く勇気はありませんでしたから、記憶のみで書かせて頂きました。
まあそんな話はおいといて、本題は工藤氏は何時から蘭ちゃんラブだったか?
私の中では小学校3年の頃から蘭ちゃんラブだったのです、あの男は!少ないかしら?いったい何時だべさ!
前回のあとがきで訂正させて欲しいところがあります。
黒羽快斗氏の声変わり前の声を当ててる方は山口さんでした、この場をかりてお詫び申し上げます。



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