すれ違う心



By なかはらゆう様



【2】



「そっか、快斗が話してた子、哀ちゃんって言うんだ」

共に事件と仕事に彼氏をとられた乙女が3人。
街角のカフェで深刻な顔。

「うん、阿笠博士のところにいるんだけど、親戚なのか、その辺はよく判らなくて・・・」

ロングヘアの乙女が溜息をついている。

「何してるんだろうね、快斗も工藤君も」

知らない人が見たら、双子かと思うほど似通っている、もう一人の乙女の溜息。

「判らない、新一、何も話してくれない、会ってもくれない」
「快斗もだよ。学校終わると、青子の顔を見ずに飛び出して行っちゃう・・・」
「何してんやろな、2人とも」

ポニーテールの乙女の溜息。

「お世話になってた人がどうとかって言ってたけど、それ以上は教えてくれなくて・・・」
「うん、今度も青子達は知っちゃいけない事なんだろうね」
「そうやってまた秘密を増やしていくんだ、新一は・・・」
「「蘭ちゃん・・・」」

蘭、と呼ばれた乙女がジュースのストローを回しながら、今にも泣きそうな顔をしている。

「新一がコナン君だった事、気付いてたんだ・・・」
「そ・・・うだったの?」
「うん、新一、言いたくないみたいだったから、知らないフリしてたんだけどね」
「そうやったん。それで平次、コナン君のこと工藤って呼んでたんや」
「うん、私もそれは気付いてた。だってコナン君の苗字は江戸川だもの。おかしいなって思って、すぐにピンときたから」
「けど何で黒羽君まで? 関係ないんとちゃう?」
「判らない・・・、その哀ちゃんと快斗がどういう関係なのか、青子は知らないし。ただ、コナン君、工藤君とは前から知り合いだったみたい」

自分を名で呼んでいる乙女も同じく泣きそうな顔をしている。

「新一と?」
「怪盗KIDって知ってるよね?」
「知ってるよ」
「大阪にも来たやん」
「あれ、快斗なんだよ」
「え? ホント?」
「青子にはすぐ判ったよ。あぁ、快斗だって。お父さんが追いかけてるから、どうしてか、なんて聞かなかったけど」
「「そう・・・」」
「快斗は理由もなしにあんなことしないし、絶対何かあるんだって思ったから。快斗が話すまでは知らないフリしようって。でもね、ケガとかしてるくとどうしても言いたくなっちゃうんだ。正直、苦しかった」
「「青子ちゃん・・・」」
「ホラ、青子って嘘つけないから、苦しくなってるのが快斗にバレちゃったんだ。快斗を責める事は絶対にしたくないから、一生懸命ごまかしたんだけど、できなくて・・・。そしたら、快斗、話してくれた。自分がKIDだって。詳しい事までは話してくれなかったけど、今は、KIDをやめる事はできないって」
「お父さんには?」
「言わなかったよ。言うつもりもなかったもん。快斗が捕まっちゃうなんて絶対嫌だったし。話してくれたのは、青子を信じてくれたからだって思ったから」
「そう・・・」
「平次はニ人のサポートみたいな事してたんやな。事件でもないのにしょっちゅう東京行っとったから」
「ごめんね、和葉ちゃんまで巻き込んだみたいで・・・」

和葉と呼ばれた乙女は、そんな二人の相談相手だろうか。

「そんなん、気にせんといて。勝手に首つっこむ平次が悪いんやし」
「もう、終わりなのかな、私達・・・」
「そうだね、信じたくないけど・・・、そうなのかな・・・」

「何言うとんの! 二人とも早まったらアカンて!」

思いもかけない言葉を出されて、和葉の声が少し高くなる。

「「う・・・ん」」
「工藤君も黒羽君も、ちゃんと話してくれるって。信じてなアカンよ」
「信じたいけど・・・」
「うん・・・」

完全に意気消沈している二人。

「ちょぉ、待って。 アタシ、平次に聞いてみるから、絶対早まったらアカンで!」



to be countinued…….




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