FLIERS LOVE



by.中村亮輔様



〈1〉



オレは工藤新一25歳。
大手航空会社NALで機長をしている。
オレがこの仕事を選んだのは、子供の頃よく一緒に遊んだ同い年の女の子「ラン」を探す為だ。
「ラン」は、よくオレに『大きくなったら、スチュワーデスになりたい!』と言っていた。
因みに「ラン」の父親は凄腕だが、酒好きな為、『リカーキャプテン』と呼ばれた機長、毛利小五郎、母親は敏速に的確な指示を出す為、『大空の女王』と呼ばれた管制官、妃英理(毛利英理)だ。
「ラン」がスチュワーデスを夢見たのは、両親の影響だったと思う。
「ラン」はとても両親思いだったからだ。

「ラン」とは小学五年生の時にオレの両親(父親は世界屈指の推理作家、工藤優作で、母親は銀幕の映画スター、工藤有希子だ。)の都合でアメリカのロサンゼルス(以下ロスと表記)に移住した際に別れてしまった。
この別れの時に「ラン」は、オレは「ラン」と大人になったらまた逢おうと約束した。


それから数年後、オレがロスで大学を卒業し(勿論スキップで)、日本に1人で帰ってきて、「ラン」の家を訪ねると、そこには、『入居者募集中』の貼り紙がされていた。
だからオレが隣にある喫茶店「ポアロ」に挨拶がてら話を訊く為に、入店した。

『いらっしゃいませ。』という響きの良いソプラノが聞こえてきた。
そのあと、『工藤くんじゃない!久しぶり!』と言いながら、この店でウエートレスとして働いている梓さんが駆け寄ってきた。
オレはそこで話を訊くと、『毛利さん一家なら、2年前に引っ越しちゃいましたよ。』と言われた。
だからオレは、父親譲りの能力で独自に調査をしたが、見つけられなかった。
そこでオレは、「ラン」が『大きくなったら、スチュワーデスになりたい!』と言っていた事を思い出し、この会社に入社したのだ。



〈2〉に続く





 〈2〉に続く。