パパは小学一年生(遭遇編)



By トモ様



プロローグ



「夕貴さん、優一ドコおるか知らん?」
「優ちゃんならさっき、志保さんに呼ばれて隣の阿笠博士の家に行ったよ和菜ちゃん」
「ふーん、じゃあアタシ達も行ってみようや」
「テメー、さっきの飲物に何入れやがった!!」
「・・・睡眠薬よ」
「な・・・ん・・・だ・・・と」
「ちょっと優一の奴、志保さんに眠らされてもーたで」
「・・・また何かの人体実験をするのかしら?・・・和菜ちゃん、とばっちりを喰わされたらたまらないから見なかった事にして逃げましょう!!」
「・・・もう遅いわよ・・・二人とも」
「「・・・!!」」
「・・・人は時の流れに逆らえるというのが、あの時に分かったのよ」

志保は眠ってしまった3人を見つめて妖しい笑みを浮かべていた。









(1)



「新一、どうするの?来週のテストを受けないと留年するのよ!!」

毛利蘭の叫び声が阿笠邸に響いた。

「だからこうして灰原に頼みに来ているだろう」

江戸川コナンは来週のテストを受けに高校に来なければ留年決定と蘭に聞き、哀に即席解毒剤を作ってもらう様に頼みに来ていた。

「工藤君、前に言ったでしょう。これ以上の中途半端な薬の投与は免疫ができてしまい完成品が出来た時に元に戻らなくなる危険があるって事が解ったんだって」

灰原哀はそんなコナンと蘭を冷たく見据えて言った。

「じゃあ黙って留年しろって言うのかよ?」

コナンの問いに哀は妖しく笑い答える。

「・・・今、私と博士でタイムマシンの開発をしてるから完成したら未来の工藤君を連れてきてあげるから代わりにテストを受けさせましょう」
「・・・オメー、解毒剤の研究もせずにそんな非現実的な物を作っていたのか」

コナンは哀が平和になった途端に博士と一緒に妖しい研究をしているのを知っていたが、まさかタイムマシンを開発してるなんて夢にも思ってなかったので呆れていた。

「あら、理論的にはタイムトラベルは可能なのよ」

哀は目を輝かせている。

「凄いね哀ちゃん!!で・・・いつ完成するの?」

蘭はワクワクしながら哀に訪ねた。

「・・・20年後かしら」

哀は平然と答えて飲みかけの紅茶に口をつけた。

「・・・そんな出来もしねー物作っている暇があるなら、さっさと完全に元に戻れる解毒剤を完成させろ!!」

最近どんどん博士の影響を受けてき妖しい発明をしている哀にコナンは頭を痛めた。

ドッカーン!!

その時、庭で大きな爆発音が聞こえたので3人は慌てて庭に向かった。

「博士、どうしたんだ!!」
「何かが急に庭に現れたんじゃ!!」

庭に立ち尽くしている博士にコナンが訪ねると博士は庭の奥を指さした。
その方向を見てみると煙をあげている車が止まっていた。中には人が乗っており気を失って乗っている様だった。

コナン達は車に近づき中を覗いてみて唖然とした。

「新一と和葉ちゃんと新一のお母さん!!」

蘭が中で気を失っている3人を見て叫んだ。









(2)



「一体、何者なんじゃ?あの3人は」

とりあえず、眠ったままの3人を家の中に運んだコナン達だが、あらためて3人の顔を覗き込んだ博士がみんなが思っている疑問を口にした。

「新一はともかく、和葉ちゃんと新一のお母さんのそっくりさんが何で帝丹高校の制服を着ているの?」
「それに工藤君のお母さん、いくらなんでも若すぎると思わない?」

蘭と哀も疑問を口にするが誰も答えられない。

「車の中にこんな物があったぜ」

車を調べていたコナンがフロッピーディスクを持ってやってきた。

「さっそくパソコンで調べてみよう」

博士はパソコンを立ち上げてフロッピーを起動させた。

「何かの手紙みたいじゃのう?」

みんなモニターを見てみた。

『工藤君へ・・・さっきあなたに言ってたタイムマシンが完成したので、あなたの息子をそっちの時代に送り込んだわよ。他の二人はどうして連れて来たかって思ってるでしょう?私がそっちの時代の時もその二人と一緒にやってきたので、タイムパラドックスの原理に従って送り込んだのよ。これであなたの息子にテストを受けさせに行かせれば留年は回避できるのでありがたく思いなさい。PS.テストが終わったらさっさと3人を帰す事。ー宮野志保ー』

手紙を見終わって全員しばらく唖然としていた。

「おおっワシと哀君の理論は正しかったんじゃな!」
「博士、あの車を調べたら今すぐタイムマシンが完成するかも!」

博士と哀は興奮して車に戻っていった。
これを機会に更に妖しげな研究に没頭する事は間違いないだろう。



「本当に未来から来た俺の息子かよ?」

(母親は蘭なのかな?)

コナンはいまだに信じられない気分だった。

(新一のお母さんに似てる。この女の子は兄弟?・・・母親は私なのかしら?)

コナンも蘭も母親が誰なのかが重要な様だ。

「う〜ん・・・あれ・・・母さん?」

コナンの未来の子供が目を覚ました。
蘭を見るなり母さんと言った事実にコナンと蘭は嬉しさと恥ずかしさが入り混じった様子で二人とも赤くなっていたが・・・

「母さん・・・なに若作りしてんだよ」

次に発せられた一言に蘭はむっとした。

「あれ、おばちゃん?アタシ何で此処におんの?」

続いて和葉のそっくりさんも目を覚ました。

(大阪弁・・・母親は和葉ちゃんに間違いないな)
(おばちゃん・・・この私がおばちゃん)

コナンは母親が和葉だと確信し、蘭はおばちゃんと呼ばれてショックを受けている。

「あれ〜おば様?」

最後に目が覚めた有希子のそくっりさんの言葉に蘭は更にショックを受けた。

(おば様・・・この娘は私と新一の子供じゃないの?)

蘭はコナンを睨んで詰めよった。

「新一!!何処で浮気したの!!」
「しっ知らねーよ」

未来の事なのだから知らないのは当たり前なのだが蘭に詰めよられコナンは青くなっていた。

「新一って・・・まさか俺達、志保の発明したタイムマシンで過去に連れて来られたのか!!」

新一のそっくりさんは自分のおかれてる状況を理解したのか大声で叫んだ。

「え?じゃあこの子、もしかして夕貴さんのお兄さんやないの?話には聞いてたけどホンマに小さくなってたんやな〜」

和葉のそっくりさんの言葉に夕貴と呼ばれた女の子はコナンを見つめると近づいてきて抱き締めた。

「キャ〜可愛い♪これがあの生意気な新一兄さんだとは信じられないわ〜」
「離せ〜・・・って兄さんだと!!」

trrrrrr trrrrrrr

コナンが驚いていると居間に電話が掛かってきた。
この家の住人は戻って来ず、コナンは抱き締められてるので蘭が電話に出た。

「もしもし」
『あれ・・・蘭ちゃん?』
「新一のお母さん!!」

電話は新一の母の有希子からだった。

『蘭ちゃんの家にも私の家にも電話したんだけど新ちゃんいなかったから此処に電話したんだけど新ちゃんいる?』
「あっはい・・・代わります」

コナンは夕貴の腕から抜け出し蘭から電話を受け取った。

「母さんか?今、スッゲー取り込んでるんだけど・・・」
『新ちゃ〜ん!!ビックニュースよ!!』

コナンの話など聞いてない様子で有希子はハイテンションに話しだした。

『私ね、妊娠したみたいなのよ〜♪新ちゃんに兄弟が出来るのよ』

有希子の衝撃発言により、コナンは夕貴と呼ばれている女の子の正体が解った。

『新ちゃん驚かないのね〜?生まれてくるのは男の子かな〜?女の子かな〜?』
「・・・間違いなく女だと思う」
コナンは疲れた顔をして答えた。



続く




 (闇の男爵娘編)に続く。