パパは小学一年生(闇の男爵娘編)
By トモ様
(3)
「俺は工藤優一、17才」
「私は工藤夕貴、18才よ」
「アタシは服部和菜、17才です」
落ち着いたところで未来から来た3人が自己紹介をした。
「ったく、何で俺が親父の為にテストを受けなきゃなんねーんだよ!!」
優一は志保に眠らされて過去に連れて来られたのがシャクなのか、いまだに納得していない。
「えーやん別に、アタシはせっかく過去に来たんやから夕貴さんと観光でもしてるわ」
夕貴と和菜は観光気分みたいだ。
「和菜さんは良いけど夕貴さんは駄目よ」
いつの間にか戻って来ていた哀が口を挟んだ。
「親父、もしかしてこいつ志保なのか?」
優一は哀を指さしてコナン聞いた。
「・・・そうだけど」
コナンは小学生の姿なのに親父呼ばわりされて複雑な気分みたいだ。
優一は哀に近づくと襟首を捕まえて持ち上げた。
「・・・何するの」
「黙れ、このマッドサイエンティストが!!勝手に過去に連れて来やがって・・・一発殴らせろ!!」
物騒な事を言う優一を慌てて和菜が止めた。
「やめときーや優一。もしかして優一が小さい頃から志保さんに人体実験にされてたんって、この時代で志保さんを苛めた事が原因とちゃうの?」
和菜の言葉に優一が慌てて志保を離した。
「・・・もう遅いわよ」
哀は妖しく笑い冷たく言った。
生まれる前に自分が志保にモルモット扱いされる事が確定したのを悟り優一はガックリと肩を落とした。
「・・・それで、何で夕貴さんはアカンの?」
和菜は優一に少し同情したが無視して、さっき哀が言ってた事を聞いた。
「車を調べていたら、もう一つ私宛のメッセージを見つけたの・・・彼女にはある事をしてもらうわ」
「ある事?」
「内緒よ」
哀はそれ以上話そうとしなかった。
「俺は親父のフリをしてテストを受けに行けば良いんだな?」
優一はどうやら諦めて新一のフリをする事にした様子だ。
「でも、新一の偽者だってバレないかしら?」
蘭が心配そうに言うと優一はニヤっと笑って蘭に近づき抱き締めた。
「親父と母さん、いつもラブラブだったから、こうやっていちゃついていればバレないよ」
優一の行動にコナンと和菜が固まった。
(4)
「新一君、帰ってきたんだ!」
鈴木園子は朝の登校中に蘭を見つけたが隣に新一がいたので驚いた。
「げっ園子おばさん」
優一におばさん呼ばわりされて園子はむっとした。
「久しぶりに会ったというのに私をおばさん呼ばわりするのかアンタは!!」
「わっわりー・・・園子さん」
今度は悪寒が走った園子。
「アンタ、何か変な物でも食べたんじゃないの?」
園子にジト目で睨まれ焦る優一。
「園子よ園子」
蘭に園子の呼び方を小声で囁かれる。
「じょっ冗談だよ園子」
しばらく優一を睨んでいた園子だったが今度はからかいモードになった。
「それにしても早速、仲良く夫婦で登校なのね♪」
毎度お馴染みの園子のからかいに蘭は赤くなったが優一は平然と蘭の肩を抱き寄せた。
「わりーかよ」
どうやら優一はこの時代から両親がラブラブだったと思い込んでる様だ。
そんな様子を少し離れた所から見つめる二つの影がドス黒いオーラを放っていた。
(優一、蘭に近づき過ぎだ!!)
(優一、実の母親になんちゅー事するんや!!)
コナンは息子に、和菜は想い人の母親に焼きもちを妬き、尾行していたのだった。
(5)
「有希子さんじゃないかね!!」
目暮警部は有希子がいきなり警視庁に訪ねて来たので驚いた。
「お久しぶりです。警部さん」
「しばらく見ない内に若返ったみたいだよ!」
「まあ♪お世辞がお上手ですわね」
夕貴は有希子の血を色濃く受け継いでいるのか演技力は抜群の様だ。
「それで今日はどうしたのかね?」
「実は息子の事で・・・」
「目暮警部!!米花公園で殺人事件が起こったと連絡がありました!!」
夕貴が用件を言おうとした時に、高木刑事が割り込んできた。
「よし、すぐに現場に向かうぞ!!・・・スマンが有希子さん、話しは帰ってからにしてくれんかね?」
「・・・私も連れて行ってください」
夕貴はニヤっと笑った。
どうやら兄の影響を受けているのか殺人事件と聞くと血
が騒ぐ夕貴だった。
(6)
「・・・と言う訳で犯人はあなたしか考えられないのよ」
夕貴の推理で犯人は観念してうずくまった。
「すごいじゃないか!!さすが優作君の妻だ」
目暮警部に絶賛され胸を張る夕貴。
「まるで工藤君の推理を見てるみたいでしたよ」
高木の言葉に夕貴は目を輝かせて彼に詰めよった。
「私と新ちゃんのどっちが優秀だった?」
「え?・・・いや・・・あの・・・」
夕貴に迫られ赤くなる高木に後ろから冷たい言葉があびせられる。
「高木く〜ん・・・何してるのかな〜?」
高木が振り向くと彼の恋人の佐藤美和子が睨んでいた。
「さっ佐藤さん・・・誤解ですよ〜」
(高木夫妻に悪い事しちゃったわね)
怒って向こうに行ってしまった美和子を慌てて追いかけて行った高木を見て夕貴は頭を掻いた。
「何をやっとるんだ、あの二人は・・・有希子さん、それで話しって何だね?」
目暮がさっきの用件を聞くと夕貴は手を合わせて目暮に頼み込んだ。
「実は私と一緒に帝丹高校に行って欲しいんです」
ーもう少し続きます
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