忘れられない、忘れたくない、大切なひと



by white‐bear様



第一章 よく似た影



「そっか・・・呼んだのボクだけじゃなかったんだね・・・蘭姉ちゃん。」

江戸川君に変装した私が言ったセリフ。

帝丹高校の学園祭の夜、彼が帰ってきて幸せそうな、けれどまたいなくなってしまうのではないかと不安そうな彼女を数回「蘭姉ちゃん」と呼んだ。

‘‘蘭姉ちゃん’’・・・お姉ちゃん・・・。

すごく久しぶりに言った言葉。
彼女を呼ぶたびに胸が苦しくなるのは、きっとこのことも
関係しているのね。
彼女はお姉ちゃんと同じような笑顔を見せるから。
優しくて、明るくて、時折切なそうな瞳をむける
お姉ちゃんによく似ているから・・・。


きっと彼女は自分と目を合わせようとしない私を見て、
自分の何がいけないのだろうと考えているのよね。
彼女は何も悪くないのに・・・。
そして、あなたはそんな彼女を見て、

「あ〜あ、あいつは・・・」

な〜んて呆れつつ、優しい彼女をいとおしく感じるのでしょう?


ごめんなさいね、工藤君。
私、まだ彼女の瞳をまっすぐ見ることができない。
彼女が悲しむことを分かっていても。
どうしても・・・・・・。



to be countinued…….




 に続く。