そして時を遡り、イベント終了後のロイヤルガード達は…。








その1 黒羽家の場合。



すっかり無人となったバルコニーで怪盗キッドは獲物を月夜にかざしていた。
もう1つの獲物と共に…。

「残念、やっぱハズレだ…。」
「快斗、それが本物なの?」
「ああ、そうさ。さっき言ったろ?“奥さんに成りすましていた”って…。あの時本物を青子の胸に飾らせるように仕組んだのさ。」
「じゃあ、快斗は最初から本物が青子の胸にあったて気付いていたの?!」
「いや、正確には今日の昼間、青子と式を挙げた後に調べたんだ…。奥さんがいってた様に一目では見分けがつかない程精工だったみてーだし…。」
「でも快斗、あんな短期間によくあれだけの仕掛けを設置できたねぇ?会場の下見は工藤君達も一緒だったんでしょ?」
「あの時既に仕掛けていたんだぜ?寺井ちゃんに頼んで特製花火と砂鉄を用意させたんだ。今回は俺が完全に囮役だったからな…。」
「そうだったの…。でも、それじゃあ紅子ちゃんや和葉ちゃんの“人魚の瞳”を盗む必要無かったんじゃあ…?」
「バーロ、そんな事すれば俺がキッドだと完全に認めちまうだろーが!新一も平も自力で調べあげたんだぜ?白馬のヤローもそれぐらい努力してもらわねーと…。」
「でも、青子には言ってくれたよ?」
「あのなー、俺が自分から正体を言ったのは世界で二人だけだぜ。」
「一人は青子だね…。じゃあもう一人は?快斗のお母さん?」
「いや、母さんじゃねー…。俺が最初にキッドをやった“月の瞳”を盗んだ時に寺井ちゃんにな…。」
「もしかして、その時快斗が失敗して助けてもらったんじゃあ…。」
「ち、違うぅ!!あの時はキッドの正体を探ればオヤジがキッドをやっていた理由が判ると思ってキッドの扮装で行ったんだ!!だから予告状も出してねーよ!!第一、キッドはそれより前に復活していたじゃねーか!!」
「言われてみればそうだね…。じゃあ、あの時予告を出したり、復活したキッドをやっていたのって…?」
「寺井ちゃんだよ…。あの時、オヤジが事故で死んだんじゃねーかも知れねーって聞かされてつい…。」
「そうだったんだ…。」

青子はそう言って悲しそうに佇んでいると、不意に抱き抱えられた。(もちろんお姫様抱っこで)

「か、か、快斗っ!!!」(/////)
「動くと落ちますよ…。」

そう不敵に微笑むと、キッドはグライダーを開き、颯爽と夜の町並みに飛び出した。
その時、抱き抱えられたまま空を飛ぶ恐怖感に青子は目を潤ませながら快斗に話し掛けた。

「か、か、快斗ぉ、何でこんな事するのよぉ…。」(//////)
「おや、中森警部から聞いてませんでしたか?キッドは獲物を盗んで逃げる時は必ず空からだと言う事を…。」
「で、でもそれはダミーだったって…。」
「確かにダミーの時もありますが基本的に本物ですよ…。」
「な、何で…?」
「それは当然、キッドのビクトリーフライトだからですよ。」
「ビクトリーフライトって?」
「そのままの意味ですよ?」

そのまま不敵な顔で微笑むキッド(快斗)に青子が何も言い返せ無くなったのは言うまでも無いだろう…。
その日、悠然と明け方近い夜の町並みに飛行する1つのグライダーが目撃された事を付け加えておこう…。
なお、快斗と青子は何時の間にかキッドのせいで目が眩んだ警官達と共に病院に担ぎ込まれた事になっていた…。