C-K Generations Alpha to Ωmega



By 東海帝皇(制作協力 ドミ)



第一部 勇者誕生編



Vol.3 新宿御苑大騒乱 見参!アルファトゥオメガ



1月20日金曜日の昼下がりの新宿御苑にて……。


「な、何だあれ!?」
「ば、化け物!?」
「きゃあーーーっっ!!」

目の前に現れた異形の者達を前に、大騒ぎになるコナン達。
そこへ、

「あんた達、何者なの!?」

鋭い目を向けながら問いかける舞。
それに対し、

「我等は『シャドウエンパイア』のシャドウドール。」
「我が主、ダルクマドンナの命により、江戸川コナンと黒羽快斗の命をもらいに着た。」

返答する怪物達。

「何ぃっ!?」
「シャドウエンパイア!?」

驚くコナンと快斗達。

「そのシャドウエンパイアが何で工藤達を狙うんや!?」
(え、工藤君!?)

平次の問いかけを耳に挟んだ和葉。
その問いに対し、

「答える必要など……無い!」

コナン達に突進するサイの怪物。
そこへ、

どがーーーん!

「ぐうっ!?」

怪物の前で爆発が起こり、その動きが止まる。

「ここから先へは進ませないわよ!」

護符を構えた舞が怪物の前に立ちはだかる。

「貴様、符術士か!?」
「ええ、そうよ。あんた達の相手は、『マジックギルド』の討魔隊、『アルファ トゥ オメガ』陰陽師の『スカーレットフェアリー』こと、焔野舞がしてあげるわ!」

身構える舞。

「ま、舞ちゃん……。」
「あ、あの子にあんな力が……。」

蘭と園子は、自分達の同級生にそのような力がある事を知って、驚きを隠せなかった。

「おっと、拙者もいるでござるよ。」

両手に懐刀を構える風吹。

「己も退魔士か!?」

と問うカマキリの怪物。

「如何にも。拙者は『アルファ トゥ オメガ』の伊賀上忍、『ホワイトエイプ』雪野風吹でござる。」

と言いながら怪物を牽制する風吹。

「も、風吹ちゃんってホントの忍者だったの!?」
「しかも上忍だなんてよ……。」

蘭達同様、驚きの目で風吹を見る青子と快斗。

「ウチもいてるで!」

怪物達に向けて日本刀を構える菫。

「貴様もか、小娘!?」
「ああ、そや。ウチは『アルファ トゥ オメガ』の神鳴流剣士、『セイバー・ザ・バイオレット』こと御剣菫や!よーく覚えときい!!」

牛の怪物を前に啖呵を切る菫。

「み、御剣……。」
「菫ちゃん……。」

いつものペーペーの女子高生の顔とは別の、勝負の時の厳しい顔つきになっている菫を見て、息を飲む平次と和葉。

「……あの三人、化け物相手に顔色一つ変えずにいられるなんて、かなりの手錬れみたいだな。」
「そのようね。」

コナンと哀も、三人の居ずまいに驚嘆する。

「コ、コナン君!早く逃げましょうよ!!」
「灰原さんも!」
「ガタガタガタ……。」

未知の恐怖におののく少年探偵団。

「ああ、ここは彼女達に任せて、早く逃げようぜ。さあ、蘭姉ちゃん達も!!」
「で、でも舞ちゃん達を見捨てて……。」
「彼女達なら大丈夫だよ!俺達がここにいると、却って彼女達の足手まといになる。」
「工藤の言う通りや!御剣の事なら心配いらへんから早う!」
「う、うん!」

コナンや平次に促されて蘭達は、一斉にその場から逃げ出した。

「おのれ、逃がすかあ!!」

サイの怪物がコナン達の後を追おうとする。
しかし、

「おっと、あんた達の相手は私達よ!」
「ここから先へは行かさんでござる!!」
「覚悟しい!」

『アルファ トゥ オメガ』の三人が立ちはだかった。

「えーい、小癪な!ならば貴様等から、このグレイエラスモン様のドリルの錆にしてくれるわ!」

と、大きな一本角を持つ古代サイ・エラスモテリウム型のシャドウファイター・一角巨獣グレイエラスモンが角のドリルを回転させる。

「このラベンダーマンティスの鎌の味を思い知れ!」

同じく、ハナカマキリ型のシャドウファイター・花弁蟷螂ラベンダーマンティスが両手の鎌を稼動させる。

「このインディゴガウルの斧を食らえい!」

同様に、ミノタウロス型のシャドウファイター・牛頭巨人インディゴガウルが巨大な斧を構える。

「さあ、行くわよ、風吹さんに菫ちゃん!」
「了解!」
「OK!」
「「「ハアッ!」」」

掛け声一閃、舞達は散開する。

「ハイッ!」

ヒュンッ!

舞は飛び上がるや、グレイエラスモンに数枚の札を投げ貼り付けた。

「な、何だこれは!?」

体に張り付いた札を剥がそうとするグレイエラスモンだが、なかなか剥がれずにいた。
そこへ、

「炎の精霊よ、邪悪なる者に業火の裁きを!!」

と舞が呪文を唱えた瞬間、

ドゴーーーーン!

「ごふぁっっ!!」

グレイエラスモンに張り付いた札が爆発し、ダメージを受けた怪物は倒れた。



「それっっっ!!」

シュシュッ!!

舞と同時に飛び上がった風吹は、ラベンダーマンティスに棒手裏剣を投げつけた。

「なんのっ!」

両手の鎌で棒手裏剣を叩き落とすラベンダーマンティス。
だが、その棒手裏剣はそのまま落ちずに、地面に突き刺さった。
これを見た風吹が、

「伊賀忍法・退魔氷弾!!」

との呪文を唱えた瞬間、

ドーーン!!

棒手裏剣が炸裂し、その瞬間、中から鋭くとがった氷の刃が飛び出し、ラベンダーマンティスに突き刺さった。

「ぐおあっっっ!!」

強烈な冷気のダメージを受けて、膝をつくラベンダーマンティス。



「ん゛もぉぉーーーーーっっ!!」

大きな斧を振り上げながら菫に向かって突進するインディゴガウル。
が、菫は相手を見据えながらその場を動こうともしない。
そして、

すちゃっ!

真剣を大きく振り上げ、

「神鳴流奥義・斬岩剣!!」

ぶぅおんっっ!!

の掛け声と共に剣を振り下ろした。
その瞬間、

ドガーーーン!!

「ほぶわああっっ!!」

真剣から発せられた衝撃波の直撃を受けたインディゴガウルは、大きく吹っ飛んだ。




「す、凄い……。」
「何て奴等なんだ……。」
「とても人間技とは思えへんで……!」

茂みに隠れて、舞達の戦況を見守るコナン達。

「それにしても舞ちゃん、ただの神子さんじゃなかったのね……。」
「完全に実戦慣れしてるようね。」
「風吹ちゃんもあんな化け物と平気でバトルするなんて、凄いなあ……。」
「スミレちゃん、マジ凄いわあ……。」

蘭たちも戦いの様子をじっと見詰めている。

「けどあの人たち、結構カッコいいじゃない。」
「何だか仮面ヤイバーみてーだな!」
「あの人達なら、あんな化け物など簡単にやっつける事ができますよ!」

少年探偵団もエキサイトしだす。

「もはや、常識以前の問題ね、あれは。」
「いや、常識どころか、未知なる世界の領域と言っても良いくらいだな、ありゃ。」

と、実感するコナン。
その時、

「グワオンッッ!」
「「何っ!?」」

茂みの中から何かが向かってきたのを察知するコナンと快斗。
だが、

バキッッ!

「「ぐわあっ!」」

その何かから体当たりを食らって、二人とも茂みから叩き出されてしまう。

「新一!」
「快斗!」

たまらず身を乗り出す蘭と青子。

「痛ててて……って、な、何だ……!?」
「あれって一体……!?」

快斗は、自分の目の前に立ちはだかる、ゴリラよりも大きな巨大マントヒヒの怪物に驚く。



「あっ、快斗殿!」

快斗が怪物に襲われているのを見た風吹が、快斗の元に行こうとしたが、

「何処へ行く!」

ラベンダーマンティスが鎌を振り下ろして、行く手をさえぎる。

「くっ!」

間一髪、よける風吹。



「テ、テメエは……。」
「なっ、なんだあ……?」

目前のマントヒヒの怪物に叩き出されて、腰をついているコナンと快斗。
それに対し、

「グハハハハ、ワシは『シャドウエンパイア』のシャドウドール、オリーブバブーン。ダルクマドンナ様の命により、貴様等の命を貰い受けに参った、江戸川コナンに黒羽快斗。いや、工藤新一と怪盗キッドよ!」
「「な!?」」

コナンと快斗は、マントヒヒ型のシャドウファイター・闇狒々人オリーブバブーンに正体を言い当てられて、驚愕する。

「こ、コナン君が新一君!?それに怪盗キッド様が黒羽君ですって!?」
「う、ウソやろ!?」

様子を見ていた園子と和葉も、一様に驚きを隠せずにいた。
しかし、

「でもあの化け物、何で快斗の正体を……!?」
「あ、青子ちゃん!?」

蘭は、青子が快斗=キッドだと知ってた事に更に驚く。
その時、

ビュンッッ!!

「うわあっ!?」
「きゃあっ!?」

突然、蘭や青子達が触手のような物に巻きつかれる。

「ら、蘭!」
「あ、青子!?」
「グフフハハハハ……。」

との笑い声と共に、巨大なクラゲの怪物が蘭達を絡め取りながら魔方陣から出現した。



「あっ、蘭ちゃん!」
「青子殿!」
「和葉ちゃん!」

舞達は、大きなクラゲの化け物が蘭達を巻きつけているのをみて、血相を変える。



「グフフハハハ……。」
「この化け物、蘭を離せ!」
「テメエ、何者だ!?」
「俺はユニバースジェル。ダルクマドンナ様の命により、貴様等の命を貰い受けに参った。」

と、カツオノエボシ型のシャドウファイター・魔道電気クラゲユニバースジェルが名乗りを上げた。

「とっとと降ろせや、この化けモンがぁ!」
「助けて下さーい!」
「コナンくーん!」
「この変態!早く降ろしなさいよ!」

ユニバースジェルに怒鳴る一同。

「ええい、黙れ!」

ビビビビビ……。

「「「うわあーーーーーっっ!!!」」」
「「「「「きゃあーーーーーっっ!!!」」」」」

怒ったユニバースジェルが、蘭達に電撃を食らわせる。

「ら、らーーーーん!!」
「あ、青子ーーーーっ!!」

蘭達の危難を見たコナンと快斗は、ユニバースジェルの所へと駆け出そうとしたが、

「そうはさせんぞ!」

オリーブバブーンが二人の前に立ちはだかる。

「邪魔だあ!」

快斗はすぐさまトランプ銃を抜き、オリーブバブーンに向けて発射した。
だが、オリーブバブーンはそれをはたき落とした。

「くっ……!」
「なら、これはどうだあ!?」

ドゴーーン!

コナンは、快斗がトランプ銃を撃ってる間に、ボール射出ベルトから出したサッカーボールを、キック力増強シューズでオリーブバブーンめがけて蹴り飛ばした。
しかし、

「ふんっっ!」

バンッッ!!

オリーブバブーンは片手でサッカーボールをあっさりと叩き落とした。

「あ、あんだけの威力のシュートを……!」
「な、何て奴だ……!」
「ふふふふ、それで終わりか、ならばっっ!!」

がしっっ!!

「「ぐわあっ!!」」

オリーブバブーンがその豪腕で二人を高々と締め上げた。

「し、新一ーーーっっ!!」
「快斗ーーーーっっ!!」

二人の危機を見て、血相を変えて叫ぶ蘭と青子。

「グハハハハ、このまま絞め殺してくれん。」
「ぐぐ……。」
「がは……。」

コナンと快斗を締め上げる手に更に力を加えるオリーブバブーン。


「コ、コナン君!!」
「快斗殿!」

コナン達が締め上げられているのを見た舞と風吹は、直ぐに助け出そうと駆け出したが、

「そうはさせんぞ!」

ドガッッ!!

「きゃあっ!」
「うわあっ!」

グレイエラスモンが二人をタックルで吹き飛ばした。

「あっ、舞ちゃん、風吹はん!!」

二人が倒されたのを見て、驚く菫。
その時、

「どこを見てる!!」

ラベンダーマンティスが鎌を振り下ろした。

「くっ!」

間一髪、逃れた菫だが、

(どないしよ……、これでは和葉ちゃんやへーたん達が……。)

焦りの色を見せ始める。

その時、

ヒュンヒュンヒュン……。

ザキンッ!
シャキッッ!!
ジャキィッッッ!!!


「ぐぅおあっっっ!!!」

どこからか飛んできた何かが、ユニバースジェルの触手を次々に切断した。

「きゃあっ!」
「おわあっ!」

触手が切断された事により束縛から逃れ、地面に落ちる蘭達。

「な、何事だ!?」

オリーブバブーンが驚いた直後、

ズドーーーーン!

ドガーーーーーン!

「ごふあっっ!!!」

レーザーの様な光がオリーブバブーンを直撃し、その衝撃でコナンと快斗を締め上げていた手が緩んだ。


「あいててて……。」
「げほっ、げほっ……あー、苦しかったぜ……。」

地面に落ちた二人は、咽びながらもすぐさまその場を離れ、同じくユニバースジェルから開放された蘭達と合流した。

「大丈夫か、蘭、服部、それにみんな!?」
「ええ、大丈夫よ。」
「何とか無事やで……。」
「でも円谷君達が……。」

哀は、平次や和葉、園子が抱えている探偵団達を心配そうに見る。

「快斗、快斗は!?」
「ああ、何とかぴんぴんしてるぜ。」
「ほっ、良かった……。」
「しかし今のは……。」

誘爆中の二体のシャドウドールに目を移すコナン達。

ドガーン!
ドゴーーン!!
ドグゥーーーン!!!

「お、おのれ……、ぐおお……!!」
「このワシをここまで追い詰めるとは、貴様等何奴だ……!?」

との問いに対し、

「普通の市民を人質にするなんて、この俺が許さないぜ。」

と言いながら、白いキャップ帽にジージャン姿の少年が自分の手元に戻ってきた大型のブーメランを受け止める。

「あっ、あれは……王子様!」
「主殿!」
「ダーリン!!」

その少年の姿を見て、歓喜する舞達。
更に、

「フッ、見たかいな。ウチのピースメーカーの威力を。」

色黒な金髪の女性が、コナン達の元で悠然と銃を構えていた。

「あっ、アンタは……!?」
「い、一体……!?」

いつの間にか自分達の所に現れた女性を見て驚くコナン達。
が、それ以上に、

「なっ……!?は……はは……初姉!?」
「は……初ちゃん!?」

その女性を見て、更に驚く平次と和葉。
そんな二人を見て、

「よー、久しぶりやな、平次に和葉。」

にこやかな顔を向けて挨拶する関西弁の超美人。

「お、おい、服部、オメー、この人知ってんのか!?」
「知ってるも何も、ここにおるんはオレの従姉妹や!」
「い、従姉妹!?」
「は、服部君の!!!?」
「そや。ウチは服部平次の従姉妹、『アルファ トゥ オメガ』のリーダーでハンターの『ブラウンフォックス』服部初音。よろしゅう頼むで★」

ウィンクする初音。

「同じく、俺は『アルファ トゥ オメガ』のレンジャー、『ゴールデンイーグル』こと風見原陽介。よろしく頼むぜ☆」

親指を立てて返答する少年。

「か、風見原陽介……?」
「えっ、あ、あの人が……?」
「ゴールデン……イーグル?」

名乗りを上げた少年――ゴールデンイーグルこと風見原陽介をみて驚く園子達。

「おい、どうしたんだ、一体?」
「どうしたもこうしたも無いわよ!まさかあの超人気アイドルが……。」
「スミレちゃんの『ダーリン』やったなんて!」
「風吹ちゃんの『主殿』!?」
「舞の『王子様』って、何それ!?」
「ははは、もう何がなんだか……。」

ただただ呆れるだけのコナン。



「お、おのれ貴様等ーーーーっっ!!」
「許さーーーーん!!」

怒りに燃えるオリーブバブーンとユニバースジェルが、初音や陽介に向かって突進してきた。
が、二人は顔色一つ変えずに敵を見据え、そして、

「とりゃあっっ!!」
「ていやあっっ!!」

どがっっっっっ!

「ごはあっっっ!」
「ほぶあっっっ!!」


二体の怪物にハイキックとアッパーカットをお見舞いし、それを食らった怪物は地面に叩きつけられるかのように吹っ飛んだ。

「さあ、ここいらで終わりにしたろかい!マジカルフォースシュート、セットアップ!
「OK!サイコスラッシャー、セットアップ!

そう言いながら二人が武器を構えた瞬間、初音の銃・ピースメーカーの銃口にはビーム粒子のようなモノが集まりだし、また、陽介のブーメラン・イーグルウィングのエッジからは、同じくビームサーベルのようなブレードが形成された。

「「いっけえーーーーーっっ!!」」

二人が叫ぶと同時に、初音はピースメーカーのトリガーを引き、陽介はイーグルウイングを投げ飛ばした。

ドーーーーーーン!
グサッッ!!

「ぐぎゃあっっっ!!」
「がはあっっっ!!」

二体の怪物に必殺技がヒット!!

ドガーン!
ドゴーーン!!
ドグゥーーーン!!!


「ぐ、ぐおお……、こ、この俺が負けるなど……と……ぎゃあーーーーーーーーっっっ!!!」
「ダ、ダルクマドンナ様あーーーーーーっっっ!!!」

ドゴォォォォォォォォン!!!

断末魔の叫びと共に、ユニバースジェルとオリーブバブーンは木っ端微塵に吹っ飛んだ。


「なっ、何いっ!?」
「まっ、まさか!?」
「そ、そんな馬鹿な!?」


ユニバースジェルが倒された事に驚くシャドウドール達。
その時、

「さあ、私達も負けてらんないわよ!」
「了解でござる!」
「OK!」

舞達は、陽介や初音の雄姿を見て、大いに発奮する。

「おのれ、小癪な!」
「まずは貴様等を片付けてやる!!」
「ん゛もおおーーーーっ!!!」


舞達に襲い掛かる三体のシャドウドール。
しかし、

「「「とおっっ!!」」」

どがっっっ!!

「「「ぐおおおおっっ!!?」」」

三人の飛び蹴りがシャドウドール達にヒットし、一気に吹き飛ばした。

「さあ、一気に決めるでござるぞ!アデアット、南十字星!!

ピカアーーーッッ!

風吹が呪文らしきモノを唱えた直後、彼女の目の前に魔方陣が出現し、その中から巨大な十字手裏剣が出現した。


「な、何だあのでけえの!?」
「しゅ、手裏剣!?」

風吹が魔方陣から取り出した巨大手裏剣――南十字星を見て息を呑む快斗と青子。


「さあ、行くわよ!」

続いて舞が龍の文様が描かれた護符を取り出し、

「カモン、ドラグファイヤー!!」

の詠唱と共にそれを天に飛ばした。
その直後、

ボワッッ!

と護符から炎が噴き出し、何かの形を作り出していき、そして、

「グウォォォーーーーーーーーーッッッ!!!」

雄叫びを上げながら、真っ赤な龍が姿を現した。


「な゛っ、りゅ、龍……!?」
「ま、舞ったら、あんなのまで……!?」

舞が呼び出した式神の龍――赤竜王ドラグファイヤーに唖然とする蘭と園子。


「ウチもみんなに負けてられへんでえ!闘気刃!!

菫が持ち武器の日本刀――村雨の刃に手を翳した瞬間、その刀身に淡い紫色の闘気が、ライトセイバーの如く輝きだした。

「な、何や、あの刀!?」
「まるでビームサーベルやん!!」

ほんのりと輝く村雨を見て、目を大きく見開く平次と和葉。



「おのれえ、小癪なあーーーーっっ!!」

怒り狂ったグレイエラスモンが舞に向かって突進して来た。

「はああああ……!」

が、舞は敵をしっかりと見据えながら、深呼吸をしながら身構える。
その上ではドラグファイヤーが、身をコイル状に巻きながら、彼女の周りを旋回する。
そして、

「とおっっっ!」

上空のドラグファイヤーが旋回している中へとハイジャンプし、

「バーニングドラゴンキイーーック!」

と叫びながら一回転し、グレイエラスモン目掛けてキックの構えを取った。
同時に、ドラグファイヤーから舞に向けて強烈な炎が吹き付けられ、その勢いで一挙にグレイエラスモンにキックをヒットさせた。

ドガッッッ!

「ぐおああーーーっっ!!」

舞のバーニングドラゴンキックの直撃を受けたグレイエラスモンから、炎が一挙に噴き出した。

「バ、バカな……、こ、このグレイエラスモン様が……ぐ、ぐおあああーーーーっっ!!」

ゴオオオオオオ……!!

グレイエラスモンは、全身の炎が大きく燃え上がると同時に燃え尽きていった。


「おおっ、あの子すげえじゃん!」
「ま、舞凄すぎ……。」
「さすがは蘭や数美先輩とタメを張るだけの空手部員だけの事はあるわ……。」

舞の驚異的な戦闘能力に目を見張る快斗達。



「行くでござる!」

と言うと同時に風吹が南十字星のグリップ部を強く握ると、巨大なブレードが回転し始めた。

「下手な脅しを!!」

ラベンダーマンティスが両腕の鎌を振り上げながら突進してきた。
が、風吹が回転する南十字星を水平に高く掲げた時、

フォンフォンフォン……。

「なっ、何いっ!?」
「おおっ!?」

彼女はまるでヘリコプターの如く、天高く上昇していった。
それに驚くラベンダーマンティスと、目を見張るコナン達。

風吹がある程度の高さまで上昇した時、南十字星は回転を止めた。
そして、

「伊賀忍法奥義・彗星斬!」

高らかに叫ぶや、ラベンダーマンティス目掛けて急降下していった。

「ぬうっ!?」

両腕の鎌を交差させてガードするラベンダーマンティス。
だが、

ぐさっっ……!!

「ごあ……っ……。」

風吹は、落下の勢いでラベンダーマンティスの鎌を叩き割り、同時にブレードをラベンダーマンティス自身に深く突き刺した。
瞬間、ラベンダーマンティスの全身が氷結していく。

「はあっ!」

バックステップでその場を離れる風吹。

「ご、ごはあ……、な、何と言う……強さ……だ……。」

ガシャーーーーン……!!

氷結したラベンダーマンティスはガラスの如く粉々に砕け散った。



「ふ、風吹ちゃん……凄い……。」
「あのねーちゃん、ボケーっとしとる割に、やる時ゃしっかりやるんやな……。」

青子達も、風吹の凄さに息を呑んでいた。




「死ねえーーーーーーっっ!!」

巨大な斧を振り回しながら、菫に向かってもう突進してくるインディゴガウル。
が、菫は村雨を下に振り下ろしたまま、目をつぶっていた。
そして、

「冥府魔道がアンタを呼んどるで……。」

そう呟いた瞬間、彼女は目をカッと見開き、

「神鳴流奥義・菫刃魔破斬(きんじんまっはざん)!」

と猛スピードでインディゴガウルに突進し、

バシュッッッ!

「ぐほああっっっ!!」

すれ違いざまに村雨を振り上げ、インディゴガウルを一刀両断にした。

「ぐ……お……ま、まさかこんな小娘ど……も……に……。」

ドガーーーーーーン!!

インディゴガウルは、大音響と共に木っ端微塵に吹き飛んだ。



「あ、あの子凄すぎる……。」
「スミレちゃんって、もしかしたら平次より強いんじゃ……。」

菫の驚異的な剣の腕前に息を呑む蘭と和葉。



「やれやれ、これで一件落着やな。」
「そうですね。」

と、安心したかのような初音と陽介。
そこへ、

「きゃーっ、王子様ァ★」
「主殿ー♪」
「ダーリーン☆」

舞・風吹・菫が陽介の元へ殺到した。

「ななっ、ちょ、ちょっと!?」
「ひどいじゃない、王子様!今日のデートをキャンセルするなんて!」
「それはこっちのセリフでござる。」
「ウチがダーリンに用があんねん!」
「おいおい、アンタ等……。」

陽介に寄り添う三人に呆れる初音。



「しかしあの人達、ホントに凄いな。」
「全くだぜ。あんな化けモンを倒すなんてよ。」
「こら初姉から、こん事でじっくりと話を聞かなあかんな。」

初音達の方を見るコナン達。
そこへ、

「その前にあなた達の事もじっくりと聞きましょうかしら?」
「んげっ、そ、園子!?」

キツイ目で見据えられるコナン。

「そや。二人が隠しとる事、洗いざらい白状してもらうで。」
「い、いや、その……。」
「ま、まあ和葉。別にそないな事ええやんか。」
「良くないわい!」
「「ハ、ハハハ……。」」

次から次へと巻き起こる思わぬ展開に苦笑いする蘭と青子。



「ふー、やれやれ。どうやらこの先、とんでもない展開になりそうね。」

コナン達を見ていた哀は呆れつつも、

「それにしてもあなた達、そのまま気絶してて正解だったみたいよ。」

芝生で横たわっている探偵団を見て、何気に呟いた。





to be continued…….






Vol.2「出会いと予兆」に戻る。  Vol.4「怪盗キッドVS最強警視長」に続く。