C-K Generations Alpha to Ωmega
By 東海帝皇&ドミ
第一部 勇者誕生編
Vol.6 Deep Night Yokohama
「皆様、こんにちは。水無怜奈です。今日は、『初恋物語』のクランクアップを迎えて、主演の風見原陽介さんを、ロケ地でもあるここ、みなとみらいぷかり桟橋にお招きしています。陽介さん、こんにちは。」
「こんにちは。」
「大好評を博した『初恋物語』ですが、とうとうクランプアップですね。」
「そうですね、これから最後の撮影が行われます。」
「お忙しい中、おいで頂き、本当にありがとうございます。」
瑛祐の姉の水無怜奈こと本堂瑛海は、かつてコナンが戦った黒の組織に潜入していたCIAの捜査官で、組織からキールというコードネームを与えられて、日売テレビのアナウンサーを務めていた。
その後、アナウンサーを辞めて、コナン達と協力して組織崩壊の際に多大な貢献をした。
そして、その事情が世間に知らされる事はなかった。
今ではフリーアナウンサーとして復帰して、「水無怜奈」の名前のままで以前にも増して活躍している。
「ところで陽介さん、春先に、このみなとみらいで水上ライブを行うと伺いましたが。」
「はい、そうです。実は、ここでの水上ライブは、まだタレントになる前、幼い頃からの夢だったんですよ。」
陽介の腰には携帯ホルダーがあり、携帯電話が収まっている。
実はこのインタビューは生中継ではなく、録画編集されるものなので、陽介は緊急の連絡に備えて携帯の電源を切っていなかった。
そのストラップが、怪しく点滅していたが。
インタビュアーの水無怜奈も、陽介本人も、それに気付く事はなかった。
☆☆☆
『まあ、小さい頃からの夢だったんですか。歌が上手な神童だったという話は、お聞きした事がありますが。』
『いやいや、ただ歌が好きだっただけで、そのような事はないですよ。』
「さすが、風見原陽介さん。」
「く〜っ、カッコいい!」
ここは、ぷかり桟橋並びの臨港パーク。
その芝地の上に置かれた、一見ラジオのように見える機械の前で、恵子と園子がウットリした表情をしていた。
実はこの機械、盗聴した音の受信機で。
水無怜奈が風見原陽介にインタビューしている様子を、陽介の携帯ストラップに仕込まれた超小型盗聴器で盗聴した内容が、今流れているのである。
仕掛け人は勿論、服部初音警視長であった。
瑛海の弟である瑛祐が、顔色を変えて言った。
「い、良いんですか、こんな事して!?犯罪じゃないんですか!?」
「だって、警視長自らが盗聴してんだもん、ねえ。」
「そーそー、これもきっと、犯罪防止の一環なのよ。」
悪びれずそう言い訳して、尚も聞き入る園子達。
(いや、警視長がやってると言ったって、犯罪には違いねえって。明るみに出たらえらい事になるぞ……。)
普段自分が麻酔針を他人に打ち込んだりなどの犯罪行為を重ねている事は完全に棚に上げ、コナンはジト目でその様子を見ていた。
「大体、どうせこれは放映されるものだから、いち早く聞いたって良いじゃない、ねえ?」
(いや、生放送じゃねえし、拙いところは編集してカットされるもんだから、全部聞くのはやっぱ問題だろ……。)
尚も内心突っ込みを入れるコナン。
彼とて、表立って言えば、何倍にもなって返って来る事が分かっているので、口に出しては言わないのだ。
蘭が、コナンに声をかけて来た。
「新一、退屈してるでしょ?その辺りをちょっと歩きましょうか?」
「あ、ああ……。」
蘭は、ミーハーなところはあるが、覗きや盗み聞き趣味はない。
この場の雰囲気を感じ取って、さり気なくコナンを連れ出したのであった。
「お、工藤。どこ行くんや?」
平次が2人の後を追おうとして、和葉に肩をガシッと掴んで止められた。
「あんたも気ぃ利かんやっちゃなあ。2人にしたらなアカンやん。」
「はあ?あいつ等は同じ屋根の下に住んどんのやから、別にええやんか。」
「アホ。いっつもお邪魔虫が居てるやん。」
「そないなもんかなあ?」
「そないなもんや。」
平次と和葉がやり取りしている間に、コナンと蘭の姿は遠くに去って行った。
☆☆☆
コナンと蘭がパシフィコ横浜沿い国際大通りを散策していると、
「なあ、姉ちゃん。ちょっと俺達と付き合えよ。」
「いやっ、やめて下さい!」
不良達が女性を強引に連れ出そうとしている所に出くわした。
「おい、やべえんじゃねえか?」
「大変、助けなきゃ!」
コナンと蘭が、女性を助けようと向かいかけたが、それより早く、
「何やってんですか、貴方達!」
何と、小学校四年生位の少年が不良達の所へ駆け寄って、彼等を咎めていた。
「何だてめえ?」
「俺達に何か用か?」
「だめじゃないですか!女性の方に対して、そのような無体なマネは!」
「あー、何だと、この生意気なくそガキがあ!」
「あっ、危ない!」
不良達が少年に殴りかかろうとしているのを見て、駆け出すコナンと蘭。
だが、
「はいっ!」
「ごふおっ!」
何とその少年は、不良の鳩尾に鉄拳を食らわせ、その一撃だけで倒してしまった。
「「えっ!?」」
少年の強さに驚く二人。
「こ、この野郎、やっちまえ!」
「おう!」
激昂して他の不良も、その少年に殴りかかってきた。
だが、
「てぇい!やあ!たあっ!」
「ぶはっ!」
「がはっ!」
「ごあっ!」
その少年になすすべも無く、秒殺の憂き目にあってしまう。
「す、凄え……。」
「あんな子がアレだけの戦闘力を持つなんて……。」
息を呑むコナンと蘭。
「た、助けてーーーーっっ!!」
「ひ、ひえーーーーっっ!!」
少年の強さに恐れをなした不良達は、我先にと逃げ出していった。
「ありがとう、僕。本当に助かったわ。」
「いえいえ、そんな。」
少年に助けられた女性は、深謝した後に立ち去った。
その時、
「ん?」
少年はコナンと蘭に気づき、二人の方へと近づいて来た。
「あ、あの、あなた方はもしかして、江戸川コナンさんと毛利蘭さんですか?」
「!?『さん』!?」
「え、ええ、そうだけど……。」
「ど、どうも初めまして。僕、虎姫武琉と言います。」
「虎姫……武琉……あっ、あなたもしかして!?」
「虎姫武琉。ミカエルグループの御曹司にして、アルファトゥオメガのメンバー『リトルジャガー』、だろ?」
「はっ、はい、そうです!」
「君についてはさっきお姉さんに会って、話を聞いたんだ。所で今、俺の事を『君』ではなく『さん』づけで呼んでたけど、もしかしたら初音さんから俺の事を聞いてるのか?」
「ええ。あなたの事は僕達アルファトゥオメガの間でも、前々から結構話題になってましてね。」
「まあ、そうなの。」
「はい。特に舞さんは、お二人の仲をかなり心配してましたもの。」
「え゛っ、ま、舞ったら……。」
「ほ、焔野の奴……。」
思わず頬を赤らめる二人。
そこへ、
「あら、二人ともどうしたの、このような所で?」
両手に、菓子やら飲み物やらが入ったビニール袋を持った舞が話しかけてきた。
「あっ、舞ちゃん。」
「ハハハ、噂をすればなんとやら、だな……。」
「こんにちわ、舞さん。」
「まあ、武琉君じゃないの。君もここに来てたの?」
「ええ、姉さんの付き添いで。」
「ふーん。あ、ところで二人とも、武琉君と何してたの?」
「いや、今彼が不良達をばったばったとなぎ倒すのを見ててさ。」
「この子、結構強かったのよ。」
「さすがに真さんから空手を教わってるだけの事はあったな。」
「えっ、い、いやあ、まだまだですよ。」
謙遜する武琉。
「あら、ずいぶん奥ゆかしいのね。」
「ところで焔野、オメーは?」
「ああ、私は園子達に頼まれて、コンビニまで買出しに出かけてたんだけど、パシフィコ横浜近くのコンビニが無くなっちゃって、わざわざランドマークプラザ内のコンビニまで行ったのよ。もう、ホントにやんなっちゃう。」
「それは大変だったわね。」
「あ、そうだ。もし良かったら、僕が持ちましょうか?」
武琉が申し出てきた。
「そう?悪いわね……。」
舞がそう言って、武琉に荷物を持たせようとした。
「あら、武琉君一人じゃ大変じゃない?皆で分担しましょうよ。」
「俺も、この体でも多少の荷物位は持てるぜ。」
蘭とコナンがそう申し出たが。
「良いんです!舞さんの荷物は、僕一人で大丈夫ですから!」
妙に意固地な様子で、武琉が言って、舞から荷物を奪い取るようにして歩き出した。
蘭がそっとコナンに囁く。
「ねえ、新一。もしかして武琉君って、舞ちゃんの事好きなのかな?」
「オメーってさ。どうして他人の事だったらそう鋭いんだ?」
「どういう意味よ!」
「べっつにー。ガキの頃からの気持ちに、告白するまで気付いてくれなかったら、それは鈍いんじゃねえかとか、そういう事言ってる訳じゃねえよ。」
「ななな!言ってるじゃない!って、新一、あの……それって……。」
「だから、何でもねえって言ってるだろ?」
「どうしたの、2人とも?」
舞がいつの間にかコナンと蘭に割り込むようにして、顔を覗き込んでそう言った。
「え。い、いや、別に。」
「そうよ、何でもないんだから!」
それを聞いて、舞が溜め息をついた。
「羨ましいなあ。私、二人の事心配してたんだけどさ。全然、心配するような事じゃなかったよね。園子あたりも、『あれは夫婦のコミュニケーションなんだから、心配するだけ損よ。』って言われてて、その時は意味分かんなかったんだけど、今となっては分かるかな?」
「舞ちゃん?」
「王子様は、いつになったら私の気持ちに気付いてくれるんだろう?」
(いや、多分気付いてると思うぞ。あれだけあからさまだったらな……。で、おそらく彼の方はその気持ちに応えられねえってとこじゃないか?)
コナンは内心思ったが。
流石にそれを口に出すのは憚られたので黙っていた。
武琉が、舞の言葉を寂しそうに聞いているのを見て。
コナンと蘭は、目配せを交し合った。
おそらく武琉は、蘭が思った通りの気持ちを抱いているに違いない。
そしてその思いを伝えられずにいるのだろう。
拒絶される事を恐れて。
コナン達は、各々に色々と複雑な思いを抱きながら、臨港パークへと向かっていった。
☆☆☆
「それでさあ、今日の初恋物語の最終ロケなんだけどね……。」
「うんうん。」
「いやあ、色々と回りすぎて、ホント疲れちゃった。」
「舞殿、ご苦労でござる。」
「やれやれ、相変わらずしゃべりまくってるようだな。」
コナンが、蘭達と共に臨港パークに戻ってみると、園子や恵子達が相変わらず談笑を続けていた。
その時、
「あら、武琉君。」
「おお、武琉殿。」
「まあ、たけちゃん。」
武琉の姿を見た園子と風吹、菫が挨拶して来た。
「あ、こんにちわ、皆さん。」
「やあ、君も来てたのかい、武琉君。」
「真先生。」
「なあ、工藤。あのチビ誰や?」
「彼は虎姫武琉。さっき会った桐華さんの弟さ。」
「って事は、あのミカエルグループの御曹司かいな?」
「まあ、そう言う事になるかな。」
「ねえねえ、武琉君ったら凄いのよ。さっき、女の人を無理やりナンパしようとした不良達をコテンパンにのしちゃったんだから。」
「えっ、そうなの?」
「ああ、俺達が加勢する間も無く、正に『秒殺』って感じだったな。」
「まあ、ホント凄いじゃん!」
「ほおー、そないななりで、ようやるやんか。」
「やっぱり師匠が良いと、その弟子も中々のものよねえ、真さん。」
「えっ、あ、そ、その、あの……。」
園子に絶賛されて、しどろもどろな真。
「ふんふん、これで大体そろってきたようやな……。」
初音は、コナンや快斗達をじっと見回しすや、おもむろに、
「あ、そや。アンタ等にええモンやるで。」
と言いながら、持っていたアタッシュケースを開けて、ある物を取り出した。
「ええモンってなんや、初姉?」
「まあ、見てみい。」
「ん、何だこれ?」
「何か金ピカの腕輪みたいやけど……。」
「これはな、『光の腕輪』言うて、ウチが作ったアクセサリーや。」
「アクセサリー?」
「これ、一個一個初姉が作ったんか、全部?」
平次は、アタッシュケースに入っていた残り12個の腕輪を指し示した。
細い腕輪は、落ち着いた淡い金色で、天然石ビーズを数多くあしらってあるが、上品なイメージである。
男女共に、カジュアルにもシックにも使いこなせそうな、品の良いデザインだった。
「ああ、そやで。よう出来てるやろ?」
「は、初姉が、アクセサリー作りやなんてそないな女みたいな事……!」
げしっ!
「平次、そないな事言うたら、拳骨お見舞いするで!」
「アタタタタ。先に殴ってから言いなや!」
「やれやれ、あの二人……。」
「けど確かに、細身の洒落たデザインにこの細かい細工、素人細工にしては手が込んでるわ。」
精巧に宝飾と文様が施された腕輪を観察する哀。
「そやろ?んでな、これを作ったウチが言うのも何やけど、これは絶対アンタ等の役に立つモンやねん。」
「はあ?俺達の役に?」
「僕達の役にとは、どう言う事ですか、服部警視長?」
「何か胡散臭いわね。」
「全くだな。」
疑わしげに腕輪を見るコナン。
「まーまー、そないな事言わんとホレ。」
「えっ、い、いーよー。第一オレ男だし、アクセサリーなんか……。」
「まあ、ええやないか。別に減るモンや無し。それに、今時の男はアクセサリーの一つや二つ、着けるんが当たり前。お洒落な男やあらへんと、蘭々に振られても知らんで。」
「ばっなっ……!!」
真っ赤になるコナン。
「わわわ私は別に……!」
次いで真っ赤になる蘭。
「男女兼用でおかしゅうないデザインにしたんや、遠慮せんと、ホレホレ。」
そこまで言われると、コナン達も押し切られるしかない。
渋々、腕輪を受け取った。
「つったく、しゃーねーなあ……。」
頭をかきながらぼやくコナン。
そこへ、
「うわあ、何か綺麗ですねえ。」
「ねえ、これホントに私達も貰っていいの?」
瑛祐や恵子が羨ましそうに腕輪を見ていた。
「おう、ええでええで。」
「ありがとう!」
「じゃあ、ありがたく頂いてきます。」
初音から腕輪を貰った瑛祐と恵子は、早速装着した。
「あら瑛祐君、結構似合ってるじゃない。」
「そ、そうですか?」
「そうそう。」
「これで女の子だったら、超完璧なのにね。」
「なななな何て事ゆーんですか、舞さん!!」
「いや、冗談よ、冗談。」
「ほーっ、かなり綺麗ね、この腕輪……。」
恵子は改めて、初音から貰った腕輪を見て、ため息をつく。
「けど、これだけの腕輪を作るのに、結構材料費掛かったんじゃない?」
「確かにそうよね。手作りアクセサリーは流行で、パーツも色々売られてるけど、これは使ってある材料もかなり上等そうだし。」
「あんまり見ないタイプだから、輸入ものか何かだよね?」
「ほら、真さんも。」
「あ、いやあ、済みません、園子さん。」
園子から腕輪を受け取った真は、早速装着した。
「うわあ、かっこいいじゃない、真さん。なかなか似合ってるわよ。」
「いえいえ、そんな事はありませんよ。それよりも、園子さんの方がずっと似合ってるじゃないですか。」
「まあ、真さんたら……♪」
(おいおい……。)
真に褒められて、頬を染める園子に呆れるコナン。
「でも初ちゃん、これ結構高そうやけど、ホンマに貰ってええのん?」
「あー、かまへんかまへん。これ元々、アンタ等にあげる為に作ったんやさかいなあ。」
「ほーっ、そーなんかあ。ほな、おおきに。はい、平次。」
「なっ、何でオレにも渡すねん!?」
「えーやんか、別に。折角初ちゃんが作ってくれたモンなんやから、貰ったってバチ当らへんやろ。」
「……ホンマ、しゃーないなあ。」
和葉に言われて、しぶしぶ腕輪を装着する平次。
「おお、平次。なかなか似合うとるやんか。」
「和葉ちゃんとお揃いやね。」
「なななな何言うてんねや、御剣!大体このワッパ……。」
がんっっ!!
「「ワッパ言うなや、アホたれが……。」」
「はっ、はひ……。」
和葉と初音にどつかれて、芝生に沈む平次。
「全く……。」
平次の進歩の無さに呆れるコナン。
「ともかく、この腕輪、工藤達が付けとんのとまるっきり同じやんけ!!集団で同じもん着けるやなんて恥ずかしいて敵わんわ。」
「わっ、バカ!!」
げしっ!!
「あいたーーーーーっっ!!」
コナンが血相を変えて、平次の脛にキックをかます。
「こ、こら、オマエいきなり何すんねや!?」
「それはこっちのセリフだ!白馬の近くで俺を工藤呼ばわりすんじゃねえ!!」
「あっ、これはすまんかったなあ。」
「つったく……今のが白馬に聞こえてたら……。」
コナンと平次は、探の方を向いた。
「ホレ、白馬っち。」
「は?白馬っち?僕の事ですか!?」
初音に突然、「白馬っち」と気安く呼ばれ、目を白黒させる探。
「アンタの他に該当者は居らへんやろ。アンタも恋人とお揃いでこの腕輪、どないや?」
「わ、わたくしは、白馬君の、恋人などではありませんわ!」
「そうでござるか?紅子殿はよく探殿と話をしているところを見かけるでござるが。」
風吹の突っ込みに、
「あ、あれは別に……!ただ……。」
むきになったように赤くなって言い返す紅子。
「固い事言いなや。お似合いやんけ、白馬っちの方はアンタの事熱い目で見てるで。」
憮然とした面持ちながら、いつの間にか腕輪を受け取っている探と紅子。
「初音さんって、人を丸め込む天才だな……。」
何のかんの言いながら、いつの間にか初音のペースに巻き込まれている探と紅子を、コナンは興味深そうに見ていた。
「いかがなさいましたか、紅子さん?」
「この腕輪、何やら魔道的な細工が施されているような……。」
装着した光の腕輪をじっと見詰める紅子。
「ほう、魔道ですか……。」
探も同様に、装着した腕輪をじっくりと観察した。
「「!?」」
探の態度を見て驚くコナンと平次。
「なっ、あ、アイツ今……。」
「何か当たり前のように、あの姉ちゃんと魔道の話をしとったで!?」
「……って事は……もしかしてアイツ、俺が何者なのかも知ってんのかもしんねーな。」
「いや、そればかりか、キッドの正体も知っとんのんちゃうか?」
「大いにありうるな。初音さんって、誰にどこまで話をしてんだろう?キツネ目だが、案外タヌキかも知れねえな。」
「ハハ、初姉がタヌキなんは否定せえへんけど。何か今夜は、色んな意味で波乱が起きそうやな。」
「ああ、そうだな……。」
コナンと平次は、改めて一同を見回す。
そこに集った面々は、ある者同士は親しく協力し合い、また、ある者同士はお互い腹の探り合いをしながら、この先何かが起こる予感を感じつつ、時を過ごしていた。
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