BLACK
By 茶会幽亮様
第2話 新しい生活、新しき事件
引越しが終わってから2週間後・・・。いよいよ探偵業をスタートさせた事務所に最初の依頼者がやってきた。 小五郎からもらっておいた資料を読んでいた新一にインターホンの音が鳴り響く。 新一「おっ、早速開店1人目だ。」 新一は心を弾ませながら扉を開けた。 そこにはショートヘアーの女性が立っていた。 女性「あ、あのー工藤新一さんですか?」 女性は不安そうに尋ねた。 どうやらこの人が依頼者のようだ。 一時はほぼ毎日にわたり新聞に顔が載っていた新一だが3年というブランクで知名度が0同然なことに少しガッカリする新一だった・・・。 新一「はい、そうです。ようこそ、工藤探偵事務所へ。さっ、こちらへ。」 コナンになる前に使っていたさわやかでクールな雰囲気を使い、なんとか依頼人を和まそうとする新一。 女性は応接間に案内され、大人2〜3人は座れるソファーに座った。 新一「ええ、まずお名前と用件ををお願いします。」 女性「はっはい、私は城崎 弥生といいます。実は・・・彼氏を探してほしいんです。」 新一「はあ、彼氏を・・・。詳細をお願いします。」 弥生「分かりました。彼がいなくなったのは・・・」
この『城崎 弥生』という女性からの依頼はこうだ。 3年前に黒木 忠人という男性が失踪、1年半前までは連絡は何度かあったもののそれ以降蒸発してしまい、こちらからも連絡が取れなくなったという。幼馴染で、カップルとして付き合い始めてから4年目の出来事だったという。 以前、新一自身も蘭にこういう心配をさせていたので、ずっと待っていてくれた蘭に改めて感謝をする新一であった。 新一「分かりました、喜んで引き受けましょう。では依頼書にサインを・・・」 弥生「はい。」 新一は潤子に一応のためにサイン・電話番号と用件を記入させ、相談を終了した。
事務所を後にした潤子はサングラスをかけて携帯を手にした。 弥生「私。工藤新一に依頼しといたわよ。」 男性「そうか、よし。次は服部平次だ。もちろん、違う名前でな・・・」 弥生「はいはい、人使いが荒いわね。」 弥生は荒々しく携帯を閉じた。 この依頼が後々新一達にとても大きな災いになっていくとは新一には知る由もなかった・・・。
1ヵ月後、予定通りに新一・蘭夫妻は結婚式を開いた。 工藤・毛利夫妻はもちろん、数十人が出席した。 園子「おめでとー、蘭!でも綺麗ね、ドレス姿。」 和葉「ほんま、よう似合ってるわー。いいなー」 青子「ずーっと、新一君とお幸せにね!」 蘭「ありがとう、園子、和葉ちゃん、青子ちゃん。」 この日の蘭はまさしく「大和撫子」と言い切れる。そんな蘭をゲットできた新一は世界で一番幸せな奴だろう。 さてその新一はというと・・・ 平次「全くお前さんは幸せもんやなぁー。」 快斗「ホントに。絶世の美女を手に入れちゃったんだから。」 探「これで彼女を不幸者にしたら天罰が下りますよ。」 新一「ちぇ、もう少し祝福しようとは思わねーかな・・・」 あいかわらず冷やかされていた。 とそこに・・・。 目暮「工藤君、結婚おめでとう。」 新一「あれ?目暮警部。大丈夫なんですか?仕事を抜けてきても・・・。」 目暮「いやー、有給休暇を取ってな。元後輩のお嬢さんが結婚する時に出ないわけにはいかんからな。」 新一「そうでしたか。」 目暮警部の他に高木刑事、千葉刑事、佐藤刑事ら警察関係者も来ていた。 その横に一人男性が・・・。 新一「ジョニー!?来てたんだ!こっちに。」 ジョニー「よう、新一。ロス以来6年ぶりだな。」 平次「工藤、誰や?こいつ。」 新一「ああ、こいつは・・・。」
ジョニー・ランバーソン 現在23歳。独身。新一と蘭が夏休みの時、親に連れられてロスに行った時に起きた事件を担当した刑事の息子である。
新一「今、なにしてんだ?」 ジョニー「ああ、今はインターポールの捜査官だよ。」 快斗「インターポールの捜査官!?」 ジョニーが答えた時に快斗はおそらくこのメンバーで一番驚いただろう。なんせ怪盗キッドは先代のときは何回も外国で犯行を実行し、世界中でマークされているのだから。 とはいってもジョニーはまだ新米なのでそのことは知らなかったみたいだが・・・。 ジョニー「さぁて、ヤマトナデシコちゃんにもご挨拶に行こうっと。」 ジョニーはそう言ってその場を後にした。 平次「おもろい奴やな〜、あいつ」 快斗「俺にとっちゃ心臓をわしづかみにされそうだったよ。」 探「いかにもアメリカ人らしいですね、彼は」
式も無事終了。 ジョニーは工藤家に居候させてもらう事になった。 さて新・工藤夫妻はというと・・・。 蘭「これから新しい生活か・・・。ちょっぴり不安。」 新一「大丈夫。そんな新天地に行ったわけでもないんだし、おっちゃんとかもすぐに会いにいけるんだし。それにお前の事だからすぐなれんじゃないか?」 蘭「もう、新一ったら・・・」 恒例のアツアツな風景だ。 こんな生活がずっと続くと良いな・・・2人はそう心で思った。 だが、その生活も一時中断、最悪の場合は終了にもなりかねない事態になりつつあった。
第3話へ続く
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