BLACK



By 茶会幽亮様



第4話 後ろの正面だあれだ?



あの殺人未遂事件から3週間後。
新一は蘭に買い物を手伝ってほしいと言われ、しぶしぶスーパーへと向かっていた。
新一「ったく、あんまり仕事場を空けられないってのにお前はな〜。」
暇な生活に加え、付き合いたくもないことに強制的に連れ出された新一は心底不機嫌だった。
蘭「後でレモンパイ作ってあげるから。もう少し機嫌直してよー。」
さすがの蘭も少々困惑していた。
が、大好きなレモンパイを大好きな蘭が作ってくれるという事に新一はあっさり機嫌を戻した。
ジョニー「(・・・なんちゅう分かりやすい奴・・・)」
偶然事務所に遊びに来ていて一緒に付き合っていたジョニーも呆れ顔だった。

2時間後、その量は車のトランクは満タン、後部座席1人分を陣取った。
新一「全く買いすぎだっつーの。なんでこんな必要かな・・・。」
運転している新一は呟いた。
蘭「だってー、必要な物がいっぱいあるんだから、いろいろと。」
ジョニー「いいじゃないか、これで結婚してるって自覚できるだろうし。」
新一「てめぇは黙ってろ。」
新一はトーンを低くしてつっこんだ。
買った物は料理器具、材料、調味料などこれからの生活になくてはならない物ばかり。本当はパソコンも買いたかったのだがその量と費用に負けて結局買わず終いだった。
快調に車を飛ばし、無事に事務所に到着。とジョニーが咄嗟に新一を引き止めた。
ジョニー「新一、ちょっと待っててくれ。あと、これ。」
といってジョニーは銃らしきものを新一に渡した。実はこれ、ただの空砲である。
ジョニーは事務所のドアの前に立った。そしてドアノブを回そうとしたその時!!!
ジョニー「!!!!!」
咄嗟にジョニーは後ろに跳んだ。その瞬間、鉄の棒が玄関ドアに刺さっていた。
蘭「ジョ、ジョニーさん!?」
あわてて蘭が駆け寄った。新一は刺さった棒の角度から狙撃地点を予測。そこは道路の向こう側で事務所の左に5メートル離れているマンションの屋上だった。
新一「(あんな所から・・・なんて技術だ・・・。)」
ただのボウガンでこれほどまでに正確に狙撃する。新一は改めて自分を追っている存在に恐怖した。
5分後に警察が到着。現場の捜索が行われていた。
高木「凶器はボウガン。ただし遠隔操作ができるようにカスタマイズされてますね。しかも、長距離用です。」
目暮「またしてもか・・・。ジョニー捜査官、ご協力ありがとう。」
ジョニー「いやいや、当然のことをしたまでですよ。」
そう言って、ジョニーはチラッと蘭を見た。もしジョニーがいなくて蘭がドアを開けようとしていたら・・・。最悪の事態を免れた事にとりあえず一息入れた。

だが、それ以降も新一は狙われつづけていた。封筒の中に剃刀、脅迫状めいた手紙、無言電話、さらには狙撃事件が4回も起こった。
その後も着々と依頼を解決していった新一だったが、いつ狙われているのかわからないという不安感にさすがにまいってしまい、事務所を休業。蘭と一緒に新一の実家に帰っていた。
そこには平次や和葉、快斗、青子、探が居候していた。

同年、9月。工藤宅にて
新一「なんでお前らがここにいるかな〜。」
悪友に自分の実家を占拠されていた新一は怒り心頭だった。
平次「ええやないか、お前ら全くここ使ってへんみたいやし。」
探「それに親友が身の危険にさらされているのにほっておけませんからね。」
快斗「でも、広いし住み心地も良いし。空家にするにはもったいねーよ。」
新一「だからってお前らに貸した覚えは微塵もねーよ!」
そんな喧嘩にもじゃれあいにも見える行動にジョニーは・・・
ジョニー「(全く、いい親友を持ったもんだよあいつは。)」
すこし羨ましがっていた。
蘭「はーい、皆。お菓子が出来たわよー。」
リビングから蘭と青子がケーキとレモンパイを持ってきてくれた。
蘭「はい、ジョニーさん。」
ジョニー「サンキュー。」
あまり甘い物は食べないと前もって言っていたジョニーは代わりにコーヒーを淹れてもらった。
青子「ジョニーさんってインターなんとかに入ってどれぐらいなんですか?」
快斗「インターポールだ。それくらい分かれ、アホ子。」
青子「何よ、バ快斗!!」
いつものように喧嘩が始まりそうになり、慌てて園子が仲裁に入る。新一と平次は『ご苦労さん。』と言いたげな表情を浮かべた。
ジョニー「うーん、臨時になれたのが五年前で、常時いられるようになったのはごくごく最近の事だ。」
蘭「じゃあ、それまではずっとロス市警に?」
ジョニー「ああ、親父に進められちまったもんだからさ。まあ、おかげでここにいられるんだけど・・・。」
和葉「やれやれ、どっかの馬鹿探偵に頼りっきりの警察署が余計アホに感じてしもうたわ。」
平次「誰がバカ探偵じゃ、ボケ!」
和葉「なんやと!ほんとの事言っただけやないかい!」
ジョニー「(やれやれ。全く疲れるなー、ここにいると。)」
次々に喧嘩が勃発してしまい、さすがにジョニーも呆れ果ててしまった。
とその時・・・近くで爆発音が響いた。
新一「な、なんだ!?」
ジョニー「外に出よう!!」
新一とジョニーは急いで外に出た。すると・・・
ジョニー「あっ!!!!」
見ると荷物運搬のために外に停めておいた新一の車から轟々と炎と煙が上がっていたのだ。
その光景を見た新一は呆然と立っていた。
平次「なんや!?何が・・・って車が燃えとる。」
快斗「新一、あれって確か・・・。」
新一「俺の・・・車だ。」
呆然と立っていた新一は膝を落とした。
まだ乗って一年も経っていないのに・・・。新一の頭の中ではこの言葉だけが回っていた。
ジョニー「と、とりあえず警察に連絡だ。」
平次「お、おう。」
平次はポケットから携帯を出した。だが瞬間、携帯が宙に舞った。
平次、ジョニー、快斗「!?」
??「おおっと、サツにちくってもらっちゃ不味いんでね。」
新一達の3メートル後ろにサングラスに黒キャップを被った男が銃をこちらに構えていた。
この男の正体は!!?


第5話へ続く




第3話「絶望へのカウントダウン」に戻る。  第5話「奇跡と軌跡」に続く。