コツッコツッコツッ・


「やだな・・夜の道を一人で歩くなんて・・しかもここ人の通り少ないし・・」

コツ コツ

「何?コンクリートに跳ね返る私の足音かしら?早く帰らなきゃ」

自宅まで後数メートル、少女は不安な気持ちで歩いていた。

ギラリッ

少女の後ろで銀の刃が光った。

「ふっふっふ・・殺してやる!」

男がそう呟いた。音もなく少女に忍び寄っていく。
少女がふとカーブミラーを見ると男が銀の刃を持ってくるのが分かった。

「殺される!」

少女の頭にその文字が浮かんだ。
逃げなきゃ殺される!
少女は全速力で走り出した。

「神様・・助けて・・」

男との距離はもう少ししかない、少女は必死で逃げた。





「工藤新一・・おまえの一番大切なものを滅茶苦茶にしてやる・・」

そう男は呟いた。





黒の組織と最後の対決
〜Reality And Unrealistic In Labyrinth〜




By 架望様



第二章 現代によみがえったJTR



警視庁の郵便受付係は捜査一課宛の手紙を運んでいた。

「えっと差出人は・・JTR?JRの親戚かしら?」

ポタッ ポタッ

手紙が入ってる封筒から赤い液体が滴り落ちた。
警察ならどこかで絶対見る赤い液体を・・

「やだ・・これってもしかして・・キャー!!」
「ちょっとどうしたのだね?赤川君。こっこれは!」

倒れている赤川の持っている封筒には、あと一人と血で書かれた紙と本物の薬指が一本入っていた。

「くそっ・・ついに5人目の犠牲者が・・」

ダンッ

目暮は床に拳をぶつけた。
米花町にJTRと名乗るものが次々と女性を滅多差しにし薬指を切り取って警視庁に送りつける。
犯罪コーディネーターが現れたのだった。
JTR目暮にはその単語の示す文字がすぐに分かった。
ベイカー街の亡霊で被害者が死ぬ間際に書き記したダイイングメッセージ
工藤親子なら知っている。
意味・・Jack The Ripperの略し言葉、かつてロンドンに実在した最低最悪の凶悪犯の名を犯人はかたってきたのだった。




平成の切り裂きジャック ついに5人目!


テレビでも新聞でもこのニュースは大きく取り上げられた。

「平成のホームズにルパン・・次は切り裂きジャックか〜おもしろくなってきたな。」

記者達は不謹慎にも事件が起こるのを舌なめずりで待っていた。
一方警察は女性は特に夜遅く一人で外に出ないことと呼びかけたが、事件は病まずついに五人目の死者が出てしまった。

「工藤君はいったいどこで何をしてるんだね?君しかこの凶悪犯を捕まえられる者はいないというのに。」
「まぁまぁ警部、彼は一般庶民の学生なんですから!本来学生は勉強が仕事ですし、彼には蘭さんがいるじゃないですか!」
「そうだったな高木君、彼が凄すぎてすっかり忘れて追ったよ。警察の面子にかけても絶対に逮捕しようじゃないか!高木君。」
「はいっ」

そう元気良く言った高木刑事だったが、本当に自分たちだけで解決できるか心配で資料を持って毛利探偵事務所によることにした。



  ☆☆☆



ピンポーンッ

ガチャッ

「あっ!高木刑事!こんな遅くにどうしたの?」
「(さすが女優の息子だな〜)いや、毛利さんに切り裂きジャックの犯人を捕まえてくれるヒントをくれないかな?と思って資料と共に来たんだけど」
「おじさんなら、競馬で出かけてるよ。ねえ僕にも資料見せて!」
「う〜ん、本当ならダメなんだけどコナン君だしいいか。」

そういって持ってきた資料を机に出し始めた。

「えっと一人目の被害者の桃城 陽子さん。順に右京 幸代さん、次は中国人の李・尊壌さん、来島 七海さん、本郷 宏美さん・・共通点さえ分からないんだ。それに切り裂きジャックにしげきされて通り魔が出てきたし・・」

そう言って紙にひらがなで縦に書いていった。

「高木刑事、被害者の写真ってある?」
「あるよ。ほらっ!」
(勢員髪が長い・・共通点はこれだけか?あれっ・・)

コナンが名前の書かれた紙を見ると一人の名前が浮かび上がってきた

 ももしろ ようこ
 うきょう さちよ
 りー そんやん
 らいとう ななみ
ほんごう ひろみ

(そうか・・犯人がわざわざ髪の長い女性を無差別に殺したのも、殺しの本命を予告するものだったんだ・・)

冬の八時となるとあたりはもう真っ暗だった。

「そういえば、今日は空手の特訓で遅くなるって言ってたな・・蘭が危ない!」

事務所の入り口に立てかけてあった、ターボエンジン付きスケボーを持つと乱暴にドアを開けて出ていった。

「えっ?ちょっとコナン君!どこに行くんだい?」

高木刑事がそう叫んだが、もうコナンの姿はなく道路に舞う砂埃しか彼の足跡をたどるすべはなかった。



  ☆☆☆



「あ〜、すっかり部活で遅くなっちゃった。コナン君おなかをすかせて待ってるだろうな〜最近通り魔が出るって言うけど・・近道していこうっ!」

そのころ蘭は部活が遅くなったため滅多に使わない、細道を通っていた。

「る〜ん る〜ん る〜ん」

鼻歌を歌いながら帰っている蘭は後ろに不気味に光る銀の刃に気がついていなかった。



「くそっどこにいるんだ、蘭!蘭の通る道はこれであってるんだが・・まさか、蘭あの細道をつかったんじゃ・・」

コナンはポケットから携帯をとりだし高木刑事に電話した。

プルルルルッ

「もしもし高木刑事、切り裂きジャックを捕まえたいなら米花町の二番地へすぐに来て!蘭姉ちゃんが狙われてるんだ!」
「えっ本当かい?それはー」

ブチッ ツーッツーッツー

「工藤君?しかたない、今は彼の言葉を信じよう・・」

そういって目暮警部の電話番号を押した。

「どうしたんだね?高木君。」
「JTRをコナン君が見つけました。応援を願います。」
「分かった。場所はどこだね?」
「米花町二番地です。これから僕もそちらへ向かいます。」

高木刑事も現場へ車を飛ばして向かった。



「蘭・・逃げろ!蘭・・逃げるんだ!」
「蘭・・」
「新一?どこにいるの!」

かすかに、蘭の耳には新一が自分を呼ぶ声が聞こえた。
蘭は足を止め、必死に新一を捜した。

ギラリッ

暗い闇の細道に銀の刃がぎらりと光った。
レストランなどで使う大きな包丁・・ただでさえ不気味な包丁が十倍不気味に光った
何か来る・・空手で鍛えた感がそう告げた、後ろを振り返ると包丁を持った男が突進してきた。
とっさに空手の技を使おうと思ったが、技を出すチャンスがない。
力が抜けて道に座り込んでしまった。

「たすけて・・新一〜!!」
「蘭ーー!!」

バコッ

犯人の頭にサッカーボールが当たった。
キック力上層シューズを極限までダイアルを会わせたので相当な威力だった。

「誰だ!俺様のじゃまをするのは!」
「江戸川コナン・・探偵さ!」

そういって座り込んで何もできない蘭の前に立ちはだかった。

「探偵だと?」
「もうすぐ警察が来るよ?JTR・・蘭には手を出すな!なぜ蘭を狙う!」
「上からの命令でね・・ウォッカとベルモットの姉貴から毛利蘭を殺すか、生け捕りにしろと言われてるんだ・・」
「お前は黒の組織の何なんだ!」
「ほう・・組織のことを知ってるのか・・じゃあ教えてやろう・・俺のコードネームはJTR・・情報屋と殺し屋をやっている」

ウゥーッ

パトカーが近づいてくる。

「お前の破滅への音楽が流れてくるぜ?俺も一つ教えてやるよ、切り裂きジャックはホームズに捕まるんだぜ?」
「ほう・・・おもしろいことを聞いたな。じゃあ、これは知ってるかな?ホームズは一生一人の女しか愛さず、その女を永遠に手に入れられないっていうのを」
「まさか・・」
「ベルモットからのメッセージだ Good bye Angel 」

JTRは胸から拳銃を取り出し標的を蘭に合わせ引き金を引いた。

「危ない蘭!」

バンッ

「あれ・・痛くない。打たれたのに・・」
「大丈・・夫?蘭・・ねえ・・ち・ゃん・・」

たしかにJTRは蘭を打った。
しかしコナンが蘭をかばったので蘭は擦り傷一つしなかったのだ。
しかし、銃弾はコナンに当たった。

「The EndだJTR。警察が来る・・までお・・寝んねしてな。」

パシュッ

麻酔銃をJTRに向けて打った。
そしてJTRは崩れるように地面に倒れた。

「コナン君?大丈夫?」

コナンの脇腹から凄い量の血が出てアスファルトの地面が血で染まった。
ポタポタと蘭の瞳から涙がこぼれていく・・
それを見てコナンは蘭を落ち着かせるために言った。痛みに耐えながら一気に・・

「泣くなよ、蘭・・おめぇに泣かれると俺が一番困るんだからさ。それに言っただろ?俺は死なない、お前の元に生きてもどってやっから。」
「・・新一?」

そうしてコナンは佐藤刑事の運転する車で病院へ運ばれていった。
蘭は自分も着いていくと言ったが、高木刑事の車に乗って着いていくことにした。

17時間に及ぶコナン(新一)の命を懸けた大手術がはじまった。



to be countinued…….







あとがき

いってみればこの話はまだプロローグ、これから物語は続きますよ。
今度からはちゃんとしたトリックを使わせてもらいます。
では、




第一章「気づき始めた警察」に戻る。  第三章「演目のフィナーレ」に続く。