注意! これを読む前に先に第五話をお読みください。できればこれを読んだ後、もう一度第五話をお読みくださるともっと面白くなると思われます。





黒の組織と最後の対決
〜Reality And Unrealistic In Labyrinth〜




By 架望様



第五・五章 別れという犠牲



コナンは勝ち誇ったように言い放った。

「ああ・・。銀翼のマジシャンに見せてやろうぜ、俺達探偵と警察が作り上げた舞台を!」

「せやかて工藤・・これはリスクが高すぎるんちゃうんか?下手したらお前まで死んでまう。いっちゃん悲しむのは姉ちゃんやぞ!分かっとんのか?」
「俺は死なねーよ。キッドも死なせねーし、俺にはまだ組織をぶっ倒すまで死ねそうにねーからな。」
「そやな。」
「服部キッドの正体らしき人物の近くに来たら、これを何時も通りの声で話し始めてくれ。お前一人だと怪しまれるから和葉ちゃんと一緒に・・それと和葉ちゃんにこれを渡してくれ。」

そう言うと、ポケットから折り畳み式の手鏡を取り出した。

「普通の手鏡やんか、こんなんどうするんや?」
「阿笠博士の発明でな。ここに小さなレンズがあるんだ。1KM先まで拡大してもピントが呆けないって言う優れ物さ、お前が持つよりも和葉ちゃんが持った方が違和感無いだろ?これを使って予告状出したか、確かめて欲しいんだ。」
「わかったわ、で何時も通りの声ってどういうこっちゃ?」
「近所迷惑な馬鹿でかい声・・・」
「あほぬかせー!これのどこが馬鹿でかいんじゃ!」
「十分近所迷惑になりますよ、服部君?」

最後に白馬にきついトドメを指されたので少し落ち込んだ様子だった。

「で、最後に「光と闇の協奏曲」をキッドに盗ませるためにあの子に演技をやってもらうんだな。でも、どうやって言うんだ?」
「簡単ですよ。その子はキッドが大ッ嫌いなのです。その子が、一見価値のなさそうな石をキッドが盗んだら考えを見直すとでも言ってくれれば、彼は断然やる気が起きるでしょうしね。しかし、問題は彼女です。彼女が一筋縄でいくとは思えないんですが・・・」


ー私の学校には盗聴器が至る所に仕掛けられてある。
その犯人はどうやっても尻尾を出さない、出さないなら出すように仕向けてやればいいことだ。
見るところ盗聴器を仕掛けた犯人は、かなりの自信家である。
どんなことでも容易くやってしまうという天才的な技術を持つ。
だが、私はそれが時に自分の首を絞める手口になる事を知っている。ー

コナンの頭脳にある本の一節が映った。
自分の父親が中学生の頃遊び半分で書き、今工藤家の書棚の隠し扉の中に納められている「神津高校・不思議クラブ」その本の内容は、神津高校の高校一年生の男子生徒が学園で起こる奇々怪々な事件を、聞いただけで解いてしまう安楽椅子探偵みたいな話だった。
主人公の彼が、スクールジャックをされた学校から抜け出すために犯人に心理操作をさせて事件を解決してしまうと言うものだった。

「白馬・・その子にこの本の一節をそのまま言ってくれれば良いんだ。探偵であるお前が言えばかなりの人は操られるだろうし、いざとなったら蝶ネクタイ型変声期で彼女の声を出せばいいしな。」

そして、作戦はスタートしていた。









最終作戦が始まっていた頃・・コナン達は元の身体に戻るために小学校で転校手続きをとっていた。

「今日はみなさんに、悲しいお知らせがあります。明日を持って江戸川コナン君はアメリカに、灰原哀さんはカナダの学校に転校することが決まりました。」
「まじかよ?」
「そんなぁ・・」
「あんまりですよ。」

少年探偵団の三人が一番ショックを受けていた。

「ねえコナン君!哀ちゃん!本当に外国に行っちゃうの?」
「えぇ、やっと二人とも両親の仕事が波に乗ってきたみたいだからね。」
「でもよぉ・・コナンと灰原英語しゃべれるのか?」

こう言えば、コナンと灰原が外国に行かないと言う期待があったらしい。
しかしそれは無惨にも散ってゆくのだった。

「「I have to deal with a lot of difficulties coming unexpectedly down on my head・・」」
「どういう意味ですか?」
「人生の中で別れという儀式が無いのは絶対有り得ないっていったのさ。」
彼らは知らないだろう・・この英語の本当の意味は降りかかる火の粉は振り払わねばならない。
つまり、二度とお前等にこの姿で会うことは無い、という残酷な意味だった。

「コナン君、私ね言いたいことが有ったの・・聞いてくれる?」
「あぁ・・いいぜ?」

歩美は、今にも泣きそうな表情で言った。

「私・・吉田歩美は、少年探偵団を始めた頃からコナン君のことがずっと好きだったよ・・」

なるべくコナンは歩美を傷つけないように、優しく断った。

「俺も歩美ちゃんのことは好きだぜ?でもな・・俺は友達として歩美ちゃんのことが好きなんだ。それに、俺は命を懸けても守りたい好きな奴がいるんだ。」
「分かった・・コナン君今までありがとう・・」
「・・・俺からの手紙がついたらさ・・工藤っていうお化け屋敷に探検しに行っても良いぜ?」
「江戸川君・・あなた・・」
「お前も知ってるだろ?変なところで鋭いから、こいつ等に隠し事はできないって・・」
「そうね・・」

コナンは、少年探偵団が知りたければ俺の本当の正体を教えてやろう・・と思ったのだ。
手紙を出してもいつか大人になったら手紙の出所を調べて訪ねてくるかも知れない。
昔の思い出で心に傷をつくるなら、組織を倒し終わった後こいつらの心の中で江戸川コナンと灰原哀を眠らせてほしい・・そう思ったからだった。
二人は「引っ越しの準備があるから・・」といって速やかに早退した、しかし本当の理由は、キッドの予告時間までの時間が無かったのである。
二人は迎えに来た阿笠博士の車に乗って工藤家へ急いだ。
蘭と二人で話し合った結果、元に戻る場所は工藤家の書棚室にすることにした。
理由は、最初にコナンにあったところだから、別れるときもあの部屋で・・ということだった。
元の大きさの服を着ているので動きにくいが、何とか椅子に座ることができた。

「これが、APTXの解毒剤。時間がなかったから元に戻る時の痛みまでは押さえれなかったわ。不完全なデータで作った薬で元に戻れたんだからって安心しないでね。はい・・薬と水ね。」
「さんきゅー、灰原。お前は戻らないのか?」
「あら、私はあなたの身体が完全に戻ったと思ったときに飲むわ。あの薬で本当に元に戻れるかって言う確信なんて無いんだもの・・」

さらりと、灰原は魔性の笑みを浮かべて答えた。

「「えっ!?(おいっ!)」」
「それよりも、蘭さん本当に良いの?江戸川君から工藤君に変わる瞬間は・・酷いわよ。それでもいいの?」
「なんか・・別なことで心配してない?」

蘭は冷や汗をかきながら答えた。

「だって・・大きくなる途中の変化の仕方って自分自身でしか見たことないし・・他人から見たら目をつぶりたくなるほど残酷なんだもの・・それをあなたが耐えられるかとおもって・・」
「大丈夫よ灰原さん。私は大丈夫だから・・ねっ!」

その笑顔を見て灰原は立ち去ることにした。

「はい・・新一。薬とお水よ。」
「ありがと、蘭。」

そう言って、新一は薬を飲み干した。
だんだん表情が苦しそうになってくる。一言で言えば成長期は身長が一気に伸びる・・数センチ伸びるだけでも、結構痛い。
そんな痛みが一気に(集中的に)襲ってくるのだから、かなりきつい。

「蘭姉・・ちゃん、僕・・のこと・・忘れ・・ないでね。」

襲ってくる痛みに耐えながら、新一は最後の最後まで演技し続けた。もう一人の自分、江戸川コナンを・・・

「私も、コナン君のことわすれないよ・・」

ドタッ
元に戻った新一の身体が崩れ落ちるように落ちた。
それを蘭が支えようとしたが、正しくは新一が蘭を包み込んでいると行った方が正論だろう・・

「うぐぐっ・・」
「新一?!新一!?」
「ったく、・・うるせーなぁ・・」

まだ身体が悲鳴を上げていたが、蘭を安心させるため、とんでもないことを言ってしまった。
そして呼吸を整えてずっと言いたかった言葉を言った。

「ただいま・・蘭。」
「お帰りなさい・・新一・・」

そして、二人はお互いの唇を重ね合わせた。
甘い、甘いキス・・このまま時間が過ぎてしまえば良い、二人はそう思った。だけど・・

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴った。
その物音に気付いて二人はパッと唇を離し真っ赤になっていた。

(俺って奴はホントに人間できてねーよなぁ・・蘭傷ついてないだろうか・・)
(きゃ〜私ったらなんてことを・・)
「すみませ〜ん、工藤君と蘭さん居ますか?佐藤ですけど迎えに来ました。」
「は〜い、今行き向かいます。らっ蘭行くぞ!」
「うっうん。」



  ☆☆☆



佐藤刑事の運転する車の中で、新一は自分で立てた計画だがやはり恥ずかしがっていた。

「しかし・・良く用意できましたね。あれ」
「そうなのよ〜、交通課の由美達がね偶然検問でファンが引っかかっちゃって・・見逃す変わりに、あれ作ってくれるように頼んだのよ。」
「そんなので・・警察大丈夫なんですか?」
「蛇の道は蛇よ・・工藤君・・」

そういって、対策本部へ新一達は向かった。
言ってみると、そこではもう白馬がスタンバイしており現場を仕切っていた。
そしてにっこりとある物を手渡された。

「中森警部にはちゃんと言っておりますから、捕まることはありませんよ。そういえば初めてでしたね直接お会いするのは・・」

そういって、渋々その服を着ていた。
時々女の子達が来ては、一緒に写真を撮ってくれませんか?とお願いしに来る子が多かった。
新一はこれから起こる戦いに不安を感じながらネオンサイトが光る夜の闇をずっと見ていた。



to be countinued…….






座談会

新一「やっと元の身体に戻れたぜ、もうコナンの姿には戻りたくねーな。」
蘭「でも、コナン君だった新一もかわいかったよ?」
新一「そうか?(////)それよりもさ・・作者の表現力だんだん話ごとに落ちてねーか?」
蘭「うん・・なんか私もそう思う・・」
新一「そうそう、第五話には幻のストーリーがあったらしいぜ?」
蘭「幻の?」
新一「何でも、今の第五話と五・五話の前に書いたらしいんだが、内容は黒羽の奴が聞かされたショックで絶望するってストーリーだったらしいが、俺達青山キャラに絶望という文字は似合わないって言うから、メールで会長にあの話をデリートしてもらうように頼んだらしいぜ?」
蘭「へえ〜、あら?速達で郵便が来てる。工藤新一・毛利 蘭様だって!」
新一「なんてかいてあるんだ?」
蘭「じっ次回予告よ!なんでも黒の組織と銃弾戦があるんだって、阿笠博士の発明品大活躍の巻きって書いてあるわ!スコーピオンとの戦いをイメージして書いたのと、迷宮の十字路をモチーフにした真剣勝負があるとか、ないとか・・」
新一「どっちなんだよ!」
蘭「怒らないでよ!怒るなら作者に怒ってくれる?」
新一「じゃあ、作者をはっきりさせるために脅しに行くけど一緒に来るか?」
蘭「行く!」

ドガッ!バコッ!ドコッ!




第五章「トラップ仕掛け」に戻る。  第六章「銀の弾丸(前編)」に続く。