黒の組織と最後の対決
〜Reality And Unrealistic In Labyrinth〜




By 架望様



第六章 銀の弾丸(後編)



パシュッ

ベルモットが銃の引き金を引く寸前にラインバッハビルの隣のエースヘヴンの屋上から何かが放たれた。

「!?誰?こんな事するのは?」

放たれた何かはベルモットの銃を持っていた手に当たり銃は手から落ちた。

「老若男女・変化自由のベルモットも他人の変装は見破れなかったみたいですね・・私の鏡を助けるためにキッドは参上させて頂きました。」
「誰?誰なの?」

シュタッ

怪盗キッドの前に立ちはだかったその人物は、白きスーツに身をまとい片目にモノクルをしてシルクハッドで顔を隠した自分自身(KID)だった。

「お前はいったい・・」

そう快斗が自分自身(KID)に聞くと彼はこう答えた。

「私は貴方とは鏡の関係にある物ですよ。少し時間をいただけますか?まずはベルモットを片づける方が先ですから・・」
「本物だろうが偽物だろうが関係ないわ!二人ともまとめて天国へ送ってあげるから!」

そう言ってベルモットは懐からワルサーPPK/Sを取り出し心臓の高さに標準を会わせた。

「私としてはレディーに手荒な真似はしたくはないんですが・・仕方ないですね。」

KIDはトランプ銃を取り出しワルサーPPK/Sの銃口に標準を会わせて、お互いに引き金を引いた。

ードンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ ドンッ
ーパシュッ パシュッ パシュッ パシュッ パシュッ パシュッ 

銃声が六発ずつ同時に起きて、十二発の弾丸は地面に叩き落とされた。

「バカな、この銃弾はアーマーピエンシング弾(特殊鋼を用いて貫通力を強化した弾)なのに、貴方ご自慢の銃弾のカードに使っている硬質プラスチックなら簡単に貫通するはずなのに・・・」
「おあいにくこのカードは、私の隣人の博士が作った硬質プラスチックと強化ガラスを混ぜ込んだ物でね。貴方の使うアーマーピエンシング弾と互角の強さを持っているのですよ。」
「クッ!」

ベルモットは標準を本物のキッドの心臓に構え銃を放った。それを確認してもう一度ベルモットが放った数と同じだけキッドも銃を引いた。

ードンッ ドンッ
ーパシュッ パシュッ

2発の銃弾をベルモットが放ち終えた瞬間、キッドが勝算の笑みをこぼした。

「どうやら、お前の負けだぜ?ベルモット。ワルサーPPK/Sに込められる弾丸の数は8発・・さっき俺との撃ち合いで放った銃弾の数も八発・・お前の持っている銃はもう役立たずだぜ?」

その言葉を聞いて快斗は自分の振りをしている人物が誰だか分かった。

「何バカなこと言ってるんだ工藤!お前この間スコーピオンと戦ったときのことが、また今回通用すると思ってるのか?」
「まさか・・・貴方は・・」

キッドの振りをしていた新一は、肩に手を持っていくと着ていたキッドの衣装をバッと脱ぎ捨てた。
そこには帝丹高校の制服に身を包んだ工藤新一本人が立っていた。

「工藤新一・・探偵ですよ。」
「Cool-guy・・わざわざライバルを助けに来るなんて・・バカな子ね。私の銃にはまだ弾丸が一発残ってるの。確かスコーピオンは右目をぶち抜いてその人を殺してたのよね。じゃあ貴方もそうして殺してあげるわ。」
「ふっ、それができるかな?」
「なんですって?今からそれを証明してあげるわ。貴方のノーガードな右目をぶち抜いてね!」

新一はトランプ銃からカードを一枚引き出した状態でベルモットの攻撃に備えた。それをみてベルモットは高々に言い放った。

「早々言い忘れてたけど最後の一発は今までのようなアーマーピエンシング弾ではなくてドミノピエンシング弾・・周りを銀でコーティングしているの。たとえ硬質プラスチックと強化ガラスを混ぜ込んだカードで防御しても無駄よ、私の放った銃弾は貴方の持っているカードを貫き右目は跡形無く粉々に砕け散るの・・Good Luck!Cool-guy・・」

そしてベルモットは最後の引き金を引いた。

ーパーンッ

弾に当たって新一は少しよろけた。

「工藤!!!!」

そのまま、新一は立っていた。

「わりぃ・・工藤、お前を弁慶のように殺しちまうなんて・・お前には待ってる人がいるって言うのに・・」
その言葉をきいて、新一は目を開いた。

「人を勝手に殺すな。」

その言葉をきいて、ベルモットは生まれて初めて背筋が凍った。
快斗はビックリして声が出なかった。

「どうして、ドミノピエンシング弾を打たれたのに死なないの?」
「ベルモット、このカードをよく見てみな?」

そういってさっきまで目を守っていたカードをベルモットに見せつけた。

「まさか・・」
「そうさ、お前の銃に9発弾丸が入っているなんて分かり切ったこと・・この銃の9発目にどんな弾丸が来ても絶対貫かない強化ガラス5ミリ板を使用した。まあ、これが前と同じトランプカードだと、思わせるために蘭に絵柄を書いてもらったがな・・」

カードには銃弾が潰れた状態で突き刺さっていた。

「俺も今、お前に麻酔銃を撃ち込んで捕まえてやりたいが、けが人を手当てしなきゃいけないんでね。お前等のボスに伝えとけ!ぜってーおまえら黒の組織を破滅へと導いてやるからな!ベルモット!」
「ふふ・・分かったわ。ボスに伝えといてあげる。ただし・・・あなた達が死んでからね。」
「それはどうかな?ベルモット・・天使の羽ばたく音が聞こえないか?」

バサバサバサッ

「この音は・・鳩?」

新一はキッドの腕をしっかり握り駆けだした。

「おい、工藤探偵。この先は道が無くて行き止まりだぜ?」

キッドは本来の自分を取り戻したのか、意地悪そうに言った。

「屋上から下へ飛ぶんだよ・・」
「えっ?」
「下に、ちゃんとマットレスが引いてあって落ちても大丈夫なようになってる。キッド・・頼む信じてくれ!」
「分かった。俺は、けが人だから丁寧に扱えよ?」
「ったく、文句が多いな・・1・2・3で飛ぶぜ、覚悟してろよ。」
「1・2・3!」

ヒューーーッ 

下を見るとマットレスを地面に引いた警官達が息を殺して俺達が無事マットレスに収まるのを待っていた。

ボスッ

俺達は無事マットレスに身体が収まった。
幸いケガは軽く身体を打つ程度ですんだみたいだ。
マットレスから降りるときに向こうから女の声が聞こえた。

「新一!新一!」
「蘭ッ!」
「よかったーいきなりビルの十階から飛び降りてくるなんて命知らずだよ・・どれだけ私が心配したと思ってるの?」
「すまねぇ・・蘭」

そんな二人を俺は見ていると、ポンッと肩に手を置いてくる奴が居た。

「黒羽君・・ケガの手当をしないといけませんね。工藤君に感謝してくださいよ。」
「(げっ?白馬の野郎)俺が何時キッドだっていったんだ。」
「バレバレですよ。黒羽君・・それから日本の警察も今までキッドがやって来たことに目を瞑ってくれるようです。その変わり組織打倒に手伝ってくださいね。」
「はいはい・・分かりましたよ。お前等、まさかそのつもり(キッドの正体を見破る&仲間にすること)でワザと警備の手を抜いたり青子を使って俺に宝石を盗ませようとしたな?」
「ええ、工藤君のアイディアですがね。」
「なんていう野郎だ・・」

とひねくれた表情で快斗が言ったが白馬がそこで鋭い突っ込みをさらりと入れた。

「君も人のこと言えませんよ。」
「ははははは・・・・」

ただ、快斗は苦笑いをするしか言えなかった。

「さすが女優の息子だな・・俺でさえ自分が目の前に立ってるかと思ったぜ・・」
「僕も警視庁内でヒヤヒヤしましたよ。何度も中森警部が工藤君を本物のキッドだと思って捕まえようとするんですから・・」
「そう言えば、キッドの衣装どこから手に入れてきたんだ?一応これ母さんの手作りなんだけど・・」
「交通課の人たちが貴方のファンに飲酒運転を見逃すからキッドの衣装を作ってくれと頼んだそうですよ。」
「そんなんで、警察大丈夫なのか?」
「組織を倒すためならこれぐらいは目を瞑るといってましたよ。」

お互いに事件のことを語りながら長い夜は更けていくのであった。



  ☆☆☆



そのころベルモットの部屋・・


ベルモットはお酒を飲みながら今日の対決を振り返っていた。

「ふふ・・これから面白くなりそうね。本当に楽しみだわ・・・Cool-guyに続いてKidまで出るんですもの・・。あの方は赤石秀一を銀の弾丸だと思ってらっしゃるけど・・本当の銀の弾丸は・・この子達なのにね。そうでしょ有希子に盗一先生?」



to be countinued…….






あとがき


架望「つっ疲れた〜最後に探君と黒羽君のコントを作るのが・・・」
黒羽「じゃあ、作るなよ!俺はゴメンだぜ白馬の野郎と漫才をするのは!」
白馬「僕だって勘弁してもらいたいですね。」
新一「まあまあ、二人とも。そう言えば黒羽・・お前はもう一つやらなきゃいけないことがあるんじゃねーか?」
黒羽「何だよ。それ?」
新一「中森さんに自分の正体を言う事だろ?」
黒羽「それがあったな・・・そういえば気になってたんだけど鏡ってどういう意味だ?架望」
架望「それはですね〜工藤君お願いします。」
新一「げっ!言わなきゃいけねーのかよ。」
黒羽「あぁ・・」
新一「鏡=映る物は本物でも左右違うだろ?怪盗キッドの逆は探偵キッドって言う作者の洒落だ。」
黒羽「ちなみに探偵キッドって言うのは?」
新一「あぁ、それは俺がコナンの時に、蘭に探偵キッドって書いて送ったんだよ。」
黒羽「それは寒いんじゃねーのか?」
新一「蘭にも言われたよ・・」
白馬「おや?君の鳩が何か持っていますよ。」
黒羽「なになに・・次回予告だ。次回予告・・快斗と青子の中が今まで以上最悪って言うほど拗れる。以上!」




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