第八話　町内会の戦い(前編)

名探偵コナン　ＡＮＤ・ＮＯＷシリーズ

第八話　町内会の戦い(前編)

プロローグ、快斗の家。

３連休の最初の日、快斗は家で母親と２人でくつろいでいた。
そこに江古田町商店街の会長小林が尋ねてきた。

「ご免ください。」
「はーい！あら、小林さん？お久しぶりです。どうかしたんですか？」
「おお、相変わらず、お綺麗ですな奥さん…。快斗君は居ますか？」
「ええ、居ますけど、まさかあれを快斗に…？！」
「はい、わし等のような頭の固い老人よりも柔軟な発想の出来る若い物のほうが良いですし、それに…、」
「どうかしたのかよ？母さん。」

話を聴きつけ、快斗がリビングから現れた。

「おお！快斗君か。大きくなって…。若い頃の盗一さんに似てきたよ…。」
「ええっ？！そ、そうですか…？」
「そんな事無いですわよ。この子はまだまだあの人の足元にも及びませんよ…。」
「またまた奥さん、謙遜しちゃって…。」

このまま玄関口で世間話に突入しそうな雰囲気に気付いた快斗は、話を本題に戻した。

「処で、俺に用が有るっていってたけど、如何したんですか？」
「実は…。」

　　☆☆☆

同日夜、米花町の商店街にて…。

「参ったな。すっかり遅くなっちまったぜ…。」

新一はそうぼやきながら、晩飯の惣菜を買うべく商店街をうろついていた。
彼は、毎度お馴染みの呼び出し（目暮からのＳＯＳ）ですっかり遅くなっていたのだ。
そこに、古くから（新一が産まれる前から）の馴染みである店の店主から声をかけられた。

「おや、新一君じないか。如何したんだいこんな時間に…？」
「ちょっと呼び出されましてね…。」
「また、事件を解決したのかい？凄いな、全く…。」
「そんな事無いですよ…。処で、何か美味しそうな惣菜は残ってませんか？」
「如何して事件の事は鋭いのに、こう言う事は駄目なのかな？今何時か判っているかね？」
「えっ！？」

新一はそう言われて、始めて腕時計を見た…。
そこに表示されている時間は既に夜の７時を３０分近く過ぎていた…。

「売りきれですか…。」
「当然だよ。全く…。」

確かに良く見れば既に商品のほとんどが店頭から消えていた…。
その事に気付いた新一はがっくりとうなだれ、呟いた。

「しゃあーねーな…。コンビニで適当な物でも買うか…。」
「あれ？！今日は奥さんの手料理は無いのかね？」

「お、奥さん？！」

新一はその言葉に真っ赤になりながらうろたえていた。

「おかしいな…？今日の夕方、蘭ちゃんがいそいそと嬉しそうに食材を買い揃えているからてっきり…。」
「な、何言ってるんですか、全く…。ど、どうせおっちゃんと２人で夕食をとる為に買ってるんですよ…。」

かなりうろたえながら、話しつづける新一…。

「それは、ますます変だな…？さっき毛利さんがものすごく不機嫌な顔で行き付けの麻雀店に向ったから…。」

だが、彼は途中から独り言をいっているのに気付き、話を打ち切った…。
何故なら、その時既に新一は加速装置が付いているのかと思えるぐらいの速度で走り去っていたからである。
何所に向ったは、あえて語る必要は無いだろう…。

　　☆☆☆

一方、快斗の家では…。

「引き受けますよ、会長。」

快斗はキッドモード全開の不敵な笑顔で答えていた。
何も知らない会長は喜んでいた。

「おおっ！やる気満々だな快斗君。」

全てを知っている母は驚いていた。

（と、盗一…！！）

その不敵な笑みはかつて盗一がキッドだった時にしていた仕種…。
彼は、今正に父盗一の跡を継げる唯一の人間であると証明した瞬間だった…。

　　☆☆☆

一方、工藤邸では…。

「あー、食った食った。やっぱ蘭の料理は最高だぜ。」

新一はすっかり工藤家の通い妻と化した蘭の料理を平らげ、至福の時を過ごしていた。
蘭はそんな新一を愛しげに見つめていたが…。

「もー！ホントに新一ってコナン君だよね…。」
「えっ？！何が…？」
「はい。」

そう言って、手渡されたのはタオル…。

「もう、コナン君の演技は必要無いでしょ！自分でやりなさい！！口の周り。」
「ハハハ…。」

新一は笑って誤魔化しながら口の周りを拭いていた…。
工藤新一、相変わらず食べるのがヘタな男である…。

　　☆☆☆

数十分後…。

新一は推理小説を読みながらくつろいでいた。
そこに蘭があるチラシを持って来た。

「新一。」
「ん？何だ？」
「今度の３連休に行われる地域親交と、成人の祝いを兼ねたイベントに参加する？」
「ああ、あの成人の日に行われていた、この辺りの商店街対抗で行われている奴か…？」
「そう、新一なら楽勝よ。地域密着型の宝捜し。」
「あのな…。あんな子供だましの暗号なんかやってられねーぜ…。どうせ賞品も大した事ねーし…。」
「そっか…。新一知らなかったんだ。去年から３連休を利用して大会の規模が大きくなって賞品も豪華になったんだよ？」
「そっか、ハッピーマンデー法が制定されて、去年から成人の日は１月の第２月曜になったんだっけ…。」
「そう言えば、新一は去年子供の部で参加したんだっけ…。」
「ああ、そうだよ。悪かったな。」

そう、去年の大会ではコナンとして少年探偵団の仲間と共に出場したのだ…。
もちろん、賞品も暗号も子供向けだったので新一（コナン）にとってはあまりにも簡単過ぎて、やる気を起こさなかったのだ。（それでもコナンが要所要所でヒントを出し、去年は楽勝で優勝した。）

「それでね、賞品なんだけど…。」

翌日、青子の家…。

「ねえ、快斗。」
「ん？何だ…？」
「今回快斗が暗号を出題するんだよね…。」
「ああ、それがどうかしたか？」
「じゃあ、賞品は貰えそうに無いな…。」
「そんな事ねーぜ。」
「えっ？！如何して…？」
「今回は前回の教訓を生かして制限時間をつけるんだ…。」
「そっか、去年は一般の部が終わったのが夜だったもんね…。」

そう、去年は賞品が豪華になった分、暗号の難易度も上がったのだ。
そして、参加者も豪華になった賞品を手に入れようと誰もリタイヤせず、日が暮れても暗号と格闘してしまったのだ。
その為、主催者側が折れてかなりヒントを出して、なんとか夜の７時に終わる事が出来たのだ。

「それじゃあ本末転倒だから、今年から制限時間を設ける事になったのさ。」
「じゃあ、時間切れになったらどうなるの？」
「優勝者無しで、賞品は俺の物になるのさ。」
「じゃあ、賞品のハワイ旅行は快斗の物になるの？！」
「そうさ。」
「じゃあ、お母さんと行くんだね…。」
「俺は青子と行きてーけどな…。」

「えっ？！エエーーッ！！」

妄想劇場その１…。（青子の場合）

「青子、やっと２人っきりになったな…。」
「か、快斗ぉ…。キッドモードになってるよぉ…。」

ハワイのビーチで２人だけの世界を作る快斗と青子…。

「か、快斗ぉ…。お願い！何時もの快斗に戻って！！」
「残念ですね、お嬢さん。黒羽快斗君は日本でお留守番をしてますよ…。」
「え、ええっ？！」
「ですから、ここにいるのは青き宝石に魅了された白き怪盗だけですよ…。」
「だ、駄目ぇ…。あ、青子キッド苦手なんだよ…。」

だが、青子は言葉とは裏腹に快斗の行為を受け入れてしまっていた…。
そして、２人は導かれる様に唇を合わせた…。

「青子、なに真っ赤になってるんだ？」
「えっ？！な、何でも無い！！」
「ひょっとして、なんかやらしい事を妄想してたんじゃねーのか？」
「そ、そ、そんな事無いもん！！」

だが、青子は言葉とは裏腹に文字通りユデダコ状態になっていた…。
それを見ていた快斗は…。

（やっぱ、カワイイよな…。）

少し赤くなっていた…。

妄想劇場その２。（快斗の場合）

ハワイのホテルの一室で２人っきりになる快斗と青子…。

「快斗とお泊りなんて久しぶりだよねっ！」

全く状況を把握していない青子は、無防備な笑顔を快斗に向けた…。
それに対して、快斗は少し呆れた顔になり、こう言った。

「やっぱ、オメーはお子様だよ…。」
「何よ！！そんな事無いもん！！」
「嘘つけ。全然判ってねーじゃん…。」
「何よ？何が判ってないって言うの？」
「教えて欲しいか…？」
「うん。」

この時、青子は気付くべきだった…。
快斗がもの凄く不敵な笑顔で微笑んでいる本当の理由に…。
その後、快斗は青子を押し倒した。

「か、快斗！な、何するの！？」

突然の事に真っ赤になってうろたえる青子。
それに対して快斗は…、

「何って…、決ってるだろ？男と女が２人っきりでホテルの同じ部屋にいるんだぜ？やる事は一つだろ？」
「そ、それって、も、もしかして…ウグッ！！」

青子の言葉は快斗の荒々しい口付けによって中断された…。

（作者よりお詫び…ここから先は表サイトで描けません。あらかじめご了承下さい。）

「快斗っ！何ボーとしてるのよっ！！」
「あ、青子…！！お、俺は別に…！！！」

真っ赤になってうろたえる快斗…。
それに対して青子はしてやったりの表情になった。

「あーっ！！快斗もエッチな事考えてたんだぁ！！」

快斗はその言葉に一瞬かなりうろたえたが、不意に不敵な表情になった。

「青子、今お前“快斗も”とか言わなかったか？」
「（ドキッ！）そ、そんな事無いもん！！」

今度は青子が真っ赤になっていうろたえていた…。
その後、快斗の追及が延々と続いたのは言うまでも無い…。
この時、青子は重大な考え違いを犯していた…。
快斗は青子の思っていた以上の事を妄想していたのだ…。（しかも具体的に。）

　　☆☆☆

一方、工藤邸では…。

「新一はハワイなんて何度もいった事有るから良いけど、私は始めてなんだよ？」
「ほーっ…。そんなに俺とハワイに行きてーのか…？」
「えっ！？そ、そう言う意味じゃなくて…。」
「じゃあ、如何言う意味だ？」
「え、えーと…。あの、その、つ、つまり…。」

妄想劇場その３。（蘭の場合）

ハワイのビーチで２人だけの世界に入る新一と蘭…。

「新一…。」
「蘭、ようやく２人っきりになれたな…。」
「えっ？！ど、如何言う事…？」
「日本じゃおっちゃんが五月蝿いし、ロスだと母さんがチャチャを入れるからな…。」

そう言って、新一は不敵な顔で蘭に迫ってきた…。

「し、新一…。」
「蘭…。」

２人はそのまま唇を合わせた…。

「蘭、何赤くなってんだよ？」
「えっ？！！！」

蘭はその言葉にうろたえて頭から湯気を出していた…。
新一はそんな蘭を愛しげに見つめていた…。

妄想劇場その４。（新一の場合）

「綺麗だよ、蘭…。」
「し、新一…。」

２人はお互いを求め合っていた…。
そして２人にとって一生忘れる事が出来ない一夜が始まった…。

（作者よりお詫び…健全サイトではこれ以上の表現は不可能です。あらかじめご了承下さい。）

新一と快斗の思い（欲望）が交錯する中、江古田町商店街が主催する宝捜しイベントが開始されようとしていた…。

続く

　　