3姉妹探偵団+α



byトモ様



〜第一章・江戸川コナン症候群〜



「つまり、松本警視の知り合いである、M学園の理事に依頼されて僕と工藤君が呼ばれたんですね」

話しの展開について行けなかった高木だったが、目暮に説明されてやっと理解できた。

「・・・まてよ、M学園と言えば最近何かあったような?」

高木が腕を組んで考え込む

「ほら、ニ週間前に女子高生が自分の通う学校で自殺した事件があったじゃない。確か、その被害者の通っていた学校がM学園だったよ」

新一が隣で考え込んでいた高木に教えた。
3人にお茶を入れてキッチンから居間に戻って来た美和子が怪訝な顔をすると新一に近づいて耳打ちした。

「工藤君、また例の癖が出てるわよ」

美和子に指摘されて新一はハッとなった。
江戸川コナンから工藤新一に戻った新一だったが実はある後遺症に悩んでいた。
最初にその事に気づいたのは新一の恋人、毛利蘭と少年探偵団だった。









その日、新一は自分の家で読書をしていた。
恋人の蘭と2人きりで過ごす静かな休日の午後の筈だったのだが・・・。

「歩美ちゃん、元太君、あっちの書斎にいっぱい本がありますよ」
「ホント!私達も見に行こうよ。元太君」
「俺、本よりもお腹すいた・・・何か食いたいぞ」

元太、光彦、歩美の少年探偵団が工藤邸に来襲して来た事で新一の望んでいた休日の午後は脆くも崩れ去った。
怒りで体を震わせていた新一だったが元太の一言でついにキレた。

「だーっ!!オメーら人ンチに来て勝手な事を言ってんじゃねー!!・・・遊びたかったら博士のトコに行け」
「違いますよ。僕達は新一さんの探偵の仕事の手伝いに来たんですよ」
「そうよ。新一お兄さん、私達を助手にしてくれるって言ったじゃない」
「忘れたとは言わせねえぞ!!」

3人に言い返される新一だったが助手にする約束などした覚えがない。
その事を言おうとした時に部屋の電話が鳴った。
新一が電話を取る前に歩美が電話の所に行き電話を取った。

「はい、工藤探偵事務所です」

自分の家を事務所呼ばわりされた新一は頭を抱えた。

「新一お兄さん、お母さんからだよ」

新一は慌てて受話器を歩美から受け取ると電話に出た。

「もしもし、母さん」
『・・・もしもし、じゃないわよ!その家は私と優作の家であって新ちゃんの探偵事務所じゃないんですからね!』

予想通り受話器の向こうでは有希子ど怒声が聞こえてきた。

「わーってるよ・・・それで?何か用か」
『冷たいわねぇ。親が電話したって言うのに・・・新ちゃん今年の夏休みはロスに来れるわよね?』
「また母さんのトコに行くのかよ」

新一は一昨年蘭と2人で両親の住むロスへ遊びに行った時の事を思い出して嫌そうな顔をした。
なんせロスへ行く途中の飛行機とニューヨークと行く先々で事件に巻き込まれた事を思い出したからだ。

『なあに、その嫌そうな声は。私、子供こっちで生むことにしたから・・・で、予定日は8月なのよ。だからまた蘭ちゃんを連れてこっちにいらっしゃい』
「・・・考えておくよ」

新一が答えるのに間があったのは、蘭と一緒に海外旅行と言う魅力を感じたからだろう。
蘭と恋人同士になってから2人で旅行に行った事がないのに気づきロスに行くのも悪くないかなと考えた新一は有希子に曖昧に返事をして電話を切った。
新一が電話を終えると同時にキッチンでレモンパイを作っていた蘭が入ってきた。

「みんな、レモンパイが出来たわよ」

4人は嬉しそうに蘭のレモンパイを食べ始めた。

「みんな、美味しい?」
「「「「美味しい♪」」」」

蘭のレモンパイの味を4人に聞くと最高の返事が返ってきたが蘭の表情は何故かひいている。
新一が怪訝に思うと元太、光彦、歩美も同じように顔がひきつっていた。

しばらく、ひいていた4人だったが蘭が沈黙を破った。

「新一・・・アンタ、話し方が変よ」
「え?」
ワケが分からない新一に子供達がたたみ掛ける。
「そーだぞ、オメー気持ち悪いぞ」
「なんで蘭さんと話す時、時々媚びを売ったような話し方になるんですか?」
「なんかコナン君みたいでカワイー♪」

無意識の内にコナンの時に身につけた甘える喋り方を使っていた新一。
蘭の話しによると時々コナンの喋り方になっているらしい。
自分の話し方を自覚した新一は堪らず宮野志保に相談に行った。

「・・・あら、気づいてなかったの?」

新一の話しを聞いた志保は何をいまさらと言う表情で呆れていた。

「あなたが江戸川コナンだった時に子供の振りを特によくしていた蘭さんや眠りの小五郎さん、警視庁の人達の前だと、いまだに癖で子供の話し方になってるわ」
「何とか直らねえかな」

新一の必死の頼みも、

「無理ね・・・まあ、そのうち直るんじゃない」

志保にあっさりと無理だと言われてしまう。

「オメーはどうなんだよ?」
「あら、私が灰原哀だった時と今とで話し方に変化があるように聞こえる?」

それを聞いた新一は自分もクールな小学生を演じていたらよかったと後悔したが、時すでに遅し。
しかし、新一は知らない。
そのせいで女性の母性本能をくすぐり人気が急上昇しているのを・・・。









高木と新一は目暮に連れられてM署に来ていた。

「どうも、M署の国友と申します」

M署に着くと国友と言う刑事が向えてくれた。
年齢は20代の中頃、高木より少し若そうで人当たりの良さそうな刑事だ。

「こちらでM学園の理事がお待ちしてます」

国友が理事の所に案内してくれた。

「どうも、私がM学園の理事の町田です」

M学園の理事の町田はいかにも紳士といった感じの初老の男性だった。

「早速ですが2週間前のM学園の事件は自殺と断定された筈ですが?」

高木が町田に訊いてみた。
町田は咳払いをすると手紙を見せた。

「実は先日、この手紙が私の所に届きまして」

手紙はワープロで内容はこう書かれていた。

『M学園の理事へ
 先日、自殺した生徒は当学園で秘密裏に行われている売春クラブのトラブルに巻き込まれて自殺しました。
 その事について是非、調べられる事を願います』

「理事は本当にM学園内で売春組織が存在してると考えてますか?」

手紙を見た新一が町田に訊くが答えたのは目暮だった。

「実は工藤君、その自殺した女性徒を解剖した結果、その女性徒は妊娠していたんだよ」



to be countinued…….




プロローグに戻る。  〜第二章・3姉妹登場〜に続く。