探偵戦隊ディテクティブ・アイズ




Byドミ



第2章



(2)キッド、予告をすっぽかす



「黒羽くん。今夜の予告、取り消した方が良くってよ」

江古田学園二年B組の教室で。長い黒髪の妖艶な美女・小泉紅子が、黒羽快斗に向かってそう告げた。

「んあ?何だよそれ」
「邪神ルシュファーのお告げがあったの。今夜、怪盗キッドは予告通り現れる事が出来ない。ってね」
「だから、俺とキッドは関係ねえって言ってんだろ?」
「・・・じゃあ、言い方を変えるわ。あなたがもし怪盗キッドだったら、今夜の予告を取り消しなさい。でないと、世間の物笑いになるわ」
「・・・・・・」

快斗はふいとそっぽを向いた。
紅子の言いたい事は、分かっているのだが。
天邪鬼な快斗は、ホイそうですかと、「怪盗キッド」の予告を取り消したりなど出来はしなかった。

黒羽快斗は、八年前、マジック中に事故死したと思っていた父親が、実は殺されていた事、怪盗キッドだった事を、先日知ってしまった。
そして、父の敵を取り、父が追っていた命の石パンドラを自分の手で眠らせる為に、今は自身が怪盗キッドをやっている。

勿論、快斗がキッドをやっている事は、誰にも秘密にしてある事。
父の(マジシャンとしても怪盗としても)付き人だった、寺井(じい)を除いて。
母親とは直接その話をした事はないが、おそらく知っているのだろうと思われる。
父の死後姿を消していた怪盗キッドが再び現れたのだから。

快斗のクラスメートで赤魔法の継承者である小泉紅子と、同じくクラスメートで警視総監の息子であり高校生探偵でもある白馬探には、どうやら気付かれているようだった。
ただし、快斗は決して、彼らに面と向かってそうと認めはしないけれど。

そして快斗は、紅子が「今夜は怪盗キッドが予告をすっぽかす事になる」と予言した、その訳の見当もついていた。
おそらく、快斗が最近得たもうひとつの顔・・・探偵戦隊絡みの事であろう。

快斗が探偵戦隊のメンバー・ディテクティブホワイトとして出動する際には、コピーロボットが身代わりを務めるが、ロボットには「代わりに泥棒をして貰う」訳には行かないからだ。

それでも敢えて快斗には、キッドの予告を取り消す事は出来なかった。
天邪鬼さだけではなく、いまだに「探偵戦隊のメンバーとして戦う」事に納得が行かないものを感じていたからでもある。


   ☆☆☆


「なあ、アホ子」
「オリジナルと同じ呼び方しないでよ、コピーバ快斗!」

怪盗キッドが、杯戸美術館に展示されているアレキサンドライト「天と地」を盗み出すと予告したその晩。
厳重な警戒の中、怪盗キッドはついに現れなかった。
そして別の場所では、最近多くなった謎の怪人が現れて、謎の戦隊がそれを倒していた。

そして、主である中森警部が(キッド警戒の為)不在である中森家の居間では。警部の一人娘である中森青子のコピーロボットと、青子の幼馴染である黒羽快斗のコピーロボットが、所在なげにテレビを見ていた。

「・・・今夜、キッドが予告をすっぽかしたみてえだけど、中森警部は早く帰って来れるのか?」
「・・・さあね。それはそれで、対策会議とか開かれるみたいだから、どうかは分からないわ」

彼らは、言外に様々な事を匂わせながら、妙に歯切れの悪い会話をしていた。

実は、コピーロボット同士のデータのやり取りというものがあって、本体の青子はキッドの正体を知らないのに、コピーロボットの青子はキッドの正体やその目的を知っているのである。
コピーロボットの思考回路自体は、オリジナルに移されることはない。
ただし、本体の青子にロボットの記憶を移す時、見たり聞いたり会話したりしたことは全て伝わってしまう。
そのため、コピーロボット同士の会話では、本体が知らない筈のことを表面化させないため、どこか歯に衣着せたものになってしまっていた。

「何か俺たちって、オリジナルとは別の意味で苦労が多いよな・・・」

コピー快斗はそう言って溜息を吐いた。
コピー青子も、その点では異論がなかった。

彼らはロボットではあるが、思考回路も感情もあり、呼吸する必要はない癖に溜息を吐いてみせる芸当は出来る。
どこのコピーロボットも、必要のない溜息まで吐く位に、それぞれに苦労をしているのであった。


そして今後も、怪盗キッドが予告をすっぽかす夜が多くなるのである。

けれど快斗は、どれだけ紅子から忠告を受けようとも、決して予告を取り消す事はなかった。
何故なら、それをしてしまうと、自分がキッドである事を紅子に対して宣言するも同じだからである。

紅子は他の人にキッドの正体を言いふらしたりはしないし、既にばれているのは事実であるが、それと「自分から認めてしまう」のとは、また別の事なのであった。


   ☆☆☆


「この頃、呼び出しが立て続けや・・・アタシ、最近頭が痛くてかなわんわ・・・」

探偵戦隊の呼び出しを受けて、何とか怪人を倒して事件を解決させ、基地に戻ってきた和葉が、弱音を吐いた。

「和葉ちゃん、大丈夫?風邪引いてない?」
「過労かもね、確かに最近立て続けでちょっときついもの」

蘭と青子が、そう言って心配した。

確かに探偵戦隊の活動は、このところかなりハードである。
敵の出現場所は、勿論、東京や大阪だけに限局してはいない。
探偵戦隊は、日本全国あらゆる地域に出動しないといけないのである。

次元トンネルを使うので、出動自体に時間がかかる訳ではないが、今日は宮崎かと思えば明日は青森、という具合で、六人はフル回転していたのである。

「けど、弱音ばかりはいてられへんわ。平次とか、工藤君とかは、戦隊呼び出しがない時に集中して探偵活動してんのやから」
「でも・・・和葉ちゃん、顔色あんまり良くないよ。ホントにちょっとお医者さんに診てもらった方が良いかも知れない」

蘭の言葉に、青子もうんうんと頷いた。

男性陣は、女性陣とちょっと離れたところで、真剣に会話をしているようである。
和葉はちょっとそちらを見て苦笑した。

「平次もやけど、工藤君も黒羽君も、タフやなあ。アタシは平次と一緒に居る為には、もうちょっとタフにならんとあかん思うてるんやけど・・・」

和葉の言葉に、蘭と青子が赤くなる。

「和葉ちゃん、やっぱり服部君の事、すごく好きなんだね」
「なっ・・・!ちゃうちゃう!アタシが平次と一緒に居るんは、あくまでお姉さん代わりとしてやな・・・!」

和葉が手を振ってそう言うのを、蘭と青子は苦笑いして聞いていた。
彼女達も同じ穴の狢。
お互いの立場がよく分かるのである。

「でもホント、顔色悪いし、頭が痛いならお医者様に診て頂いたら?」

蘭がそう言ったところに、灰原哀が現れた。

「あら?灰原さん、博士は?」
「今、WMOの方で会議があってて留守なのよ。それより遠山さん、具合が悪いの?」
「灰原さん、おおきに。大した事あれへんのや、ちょお頭痛む位でな」

和葉がそう言って笑う。
灰原哀はどう見ても七、八歳位の童女なのだが、戦隊のメンバーは、阿笠司令の補佐をしているこの女の子を「さん」付けで呼び、その頭脳に敬意を払って接していた。

「でも、頭が痛いとなったら心配だわ。何もなければ良いけど、ひょっとして脳動脈瘤とかあったら大変だし。ちょっとそのCT‐スキャンで、検査してみない?」

そう言って哀が指差した機械を見て、和葉は飛び上がって首をフルフルと横に振った。

「い、イヤや!それで調べられるんは堪忍や!」

和葉が大声を出したのを聞いて、男性陣も何事かとこちらを見る。

和葉が嫌がったのも道理、哀が指差した機械は医療用のCT‐スキャンと見た目は殆ど変わらないが、阿笠博士が以前、
「これでスキャンすると、その人間の身体的・精神的特徴その他がたちどころに判る様になっておるのじゃよ」
と説明したものだからだ。

哀は、和葉や他のメンバーの説明を目を丸くして聞いていた。

「何を馬鹿な事を。これは、WMOの最高水準で作られているけど、只の医療用スキャンに過ぎないわ。いざとなった時にメンバーの体をすぐに調べられるよう、設置してあるだけで」
「でも、青子と快斗はその機械で調べたんだって、博士が言ってたよ。工藤君と蘭ちゃんと間違えて攫ってしまったんだけど、その機械で調べてメンバーに加える事にしたって言ってたんだもん」

青子がそう言うと、哀は更に目を丸くした。

「そんな筈ないわ。だって、黒羽快斗君と中森青子さんは、最初からメンバー候補に挙がっていたのだもの。当初男性隊員の候補に上がったのは五人、内三人がほぼ確定で、それに同数の女性を加えた六人での戦隊発足は、WMOの当初の構想通りなのよ」
「何〜〜〜〜っ!?」

哀の説明に大声で叫んだのは、快斗であった。


   ☆☆☆


「で?あなた達ともあろう者が、阿笠博士のそんなお粗末な説明を信じてしまった訳?」

最初は、訳が分からず目を丸くしていた哀だったが、六人から、快斗と青子が隊員に加わった経緯及び、阿笠博士が六人に機械をどういう風に説明したのか聞いて、呆れ顔で両手を広げていた。

「けど、俺が元々メンバー候補だったって、どういう事だ?工藤と服部の親はWMOのメンバーだから分かるにしても、俺は・・・ん?まさか!?」
「そう、流石に察しが良いわね、黒羽君。あなたのお父様もWMOのメンバーだったのよ」

哀の言葉に、一同は驚いた。
他の五人は単純に、「そうだったのか」と思っただけだが、快斗は思わず反論していた。

「けどよ、作家だけど実際の探偵能力は折り紙つきの工藤優作や、警察のお偉いさんである服部平蔵なら分かるけど、何で親父が?親父は・・・えっと・・・有名だったかも知んねえけど、ただのマジシャンだろ?」

快斗は、父親の裏稼業(いや本当はこっちが表だったのかも知れないが)を口に出せず、歯切れの悪い口調で言った。
彼としては、泥棒という世間一般では正義に反する存在が、WMOのメンバーとして迎えられていたと言うのが信じ難い事だったのだ。

「黒羽君。あなたの疑問も、もっともだと思うけれど。WMOの入会基準は、法を守るのとは別のところにあるの。まあ私も全てを知っている訳ではないけどね。で、実はその最大の目的は、Black Organizationの侵略を阻止する事。何らかの人並み外れた知恵や力を持ち、人類を守る側に立てる、それが入会の基準。だから、会員は必ずしも社会的地位や名誉を持っている人ではないし、中には・・・泥棒さんもいるみたいよ、流石に人殺しは居ないけどね」

哀の悪戯っぽい目つきに、哀もまた博士と同じく、黒羽盗一が怪盗キッドであり、快斗がその後を継いでいる事を知っているのだと分かる。

「で?黒羽が俺達と同じく、WMO会員を父に持ち、最初から隊員候補に上がっていた事は分かったが。何でまた、俺と蘭とに間違って攫ったなんて、手の込んだ筋書きを作ったんだ?」

新一が皆を代表して疑問を口にし、哀が答える。

「その理由は、博士でないと分からないけれど。多分そのシナリオを書いたのは、工藤君のお父様だと思うわ」

「あっ!!」

青子がいきなり大声を出したので、皆の目が集中した。

「快斗、やっぱり快斗と青子ははめられたんだよ。ホラあの日、何でトロピカルランドに行く事になったか、覚えてる?」

青子の言葉に、快斗は首をかしげて考え込んだ。

「・・・ん?確か、あの日限りの招待券を二枚・・・中森警部が大阪府警の刑事部長から・・・げっ!」
「はあ。お父ちゃんも、一枚かんどったって事なんやな・・・」

そう言ってため息を吐いたのは、大阪府警遠山刑事部長の一人娘・和葉であった。

「じゃあ、探偵戦隊のメンバー候補は、全てWMOメンバーの子弟と言う事か!?」

新一の台詞に、哀は首を横に振った。

「世の中全ての若者をしらみつぶしに調査出来る訳でもないし、調べられる範囲で知恵と力と正義感を持った若者を探せば、自ずとWMOメンバーの子弟が多くなっただけで、別に限定している訳ではないわ。残る二人の候補の内一人は、WMOメンバーの子弟ではないし。女性隊員になると、親がWMOメンバーであるのは遠山さん一人だけだしね」

実はこの時隊員全員が、女性隊員の選別基準について、訊きたいけれど訊くのが怖い気がして、結局、誰も口火を切らなかった。
特にいつも真実を追究している筈の新一や平次までもこの問題を避けたのは、不思議と言えば言える。

彼らは、その問題に触れると、藪を突付いて蛇が出てしまう事に、本能的に気が付いていたのだった。

新一が急に話題を変えた。

「で?結局その機械は医療用のCT‐スキャンだって事なんだな?和葉ちゃん、せっかくだから、調べてもらったら?」

新一の進言で、和葉は頭痛の検査をする事にした。
結果は、慢性の疲労が血行を障害し、頭痛を起こしていたものだと分かった。

「う〜ん。確かに最近、皆オーバーワーク気味になっているわね。隊員を増やす算段を、早急に考えなければならないかも。多分、今、博士が参加している会議でも、その事が議題になってるのだと思うけれど」

哀が和葉の検査結果を見ながら言った。

「ところで、灰原」
「なに?工藤君」
「Black Organizationの攻撃は、まさか日本に限局している訳ではないよな?って事は、もしや・・・」
「そう、勿論各国各地域に、WMOによって結成された戦隊が存在しているわ。あなた達は日本限局の戦隊。でもたった六人で北海道から沖縄までカバーしないといけないからね、大変なのよ」
「なあ、隊員になるのって、あらかじめ候補に上がってた奴じゃなきゃ、駄目なのか?」
「別に。でも、あなた達と同等の頭脳や戦闘能力を持ち、なおかつ正義感に溢れ、二十歳以下の若者、という条件に当てはまるような人って、そうそう居ると思う?」
「・・・ちょっと待て。何だその二十歳以下ってのは?」
「探偵戦隊の制服や装備は飾りじゃないのよ。ある程度以上年がいった人は、使いこなせないだけではなく、無理に使おうとすれば体の組織が破壊されてしまう。だから、若者しかメンバーになれないの」

哀の言葉に、六人は改めて自分達の格好を見る。
見た目は冗談で作られたような制服だったが、どうやら機能は満載らしい。
そしておそらく自分達はまだ、この制服の機能の一部しか使いこなせていない。

その事に改めて気が付いたのである。


   ☆☆☆


警視庁。
白馬警視総監の執務室に、優雅な足取りで入って行く長身の人影があった。

「おお、探よ。よくぞ帰って来た。待ちかねたぞ」

警視総監は、入って来た若者――自分の息子である白馬探の姿を認め、感極まった様子で手を広げて迎え入れた。

「お父さん。妙な噂を耳にしたのですが。最近の怪盗キッドが、しばしば予告をすっぽかすという・・・」
「あ?ああ、その事か・・・イギリスにまで噂が届いて居るとは・・・」
「ふん。奴の『現在の』活躍場所は日本に限局されていますが、元々は国際的な犯罪者ですからね。むしろ日本よりヨーロッパの方が、奴の悪名は高いですよ。ただ、それとは別に、妙な噂を耳にしたのです。お父さん、『探偵戦隊』とかいうけったいな連中の事はご存知ありませんか?」
「・・・まあ何だ、最近悪質で大掛かり、なおかつ悪ふざけとしか思えんような組織的犯罪が立て続いていて、それを、怪人と探偵戦隊の戦いなど、漫画の読み過ぎのような風評を立てる嘆かわしい輩が居るのだよ」
「ええ、そうですね・・・けれど、僕には許せないのです」
「ま、まあ、探、ただのデマゴギーだ、気にするでない」
「・・・この僕を差し置いて、『探偵戦隊』を名乗るなど、片腹痛い。それに最近、日本を留守がちな僕に代わって、工藤新一君が高校生探偵として脚光を浴びているようだが。『平成のホームズ』と言えば、やはり、この僕しか居ませんよ。そうでしょう、お父さん」
「あ、いや、決してお前を差し置いている訳ではなく・・・」
「・・・?お父さん、何かご存知の事でも?」
「あ、ああ、い、いや・・・ときに探、お前は浮いた話の一つもないようだが、好きな女性の一人や二人、居らんのかね?」
「はああ!?何を突拍子もない事を?そうですねえ、女性は皆美しい花ですが、今の僕は誰か決まった相手を作る気は・・・」

探の言葉を聞いて、父親である警視総監は、何故か深い溜息をついてうな垂れた。
それを不得要領な顔で見やっていた探だったが、ふいにある女性の顔が鮮やかに脳裏に浮かび、驚いた。

『小泉紅子さん?何故あの女性の顔が・・・』

探は幼少の折から何度もヨーロッパを訪れており、さまざまな人種の美しい女性達を見て来たが。
今、脳裏に浮かんだ小泉紅子ほどに艶やかで人を惹きつける女性はいなかったと感じた。

長いサラサラの黒髪、白皙の肌、切れ長の黒い瞳、赤い唇。
名前通り、深紅のオーラをまとった、美しい女性。

彼女は、江古田高校のクラスメイトで、今迄そう何度も顔を合わせた事がある訳ではない。
言葉も交わした事がない。
けれどいつの間にか、探の心の内に忍び込んで、深い所に住み着いてしまっていたようである。


   ☆☆☆


探が帰国して父親と会談するちょっと前、ある場所にて。

数人の人物による秘密の会合が行われていた。
そのメンバーは、政治家・財界の大物などそうそうたるメンバーから、一介の市民まで、幅広い人材で構成されている。
彼らは円卓に着いて、社会的地位などの分け隔てない立場で、話し合いをしていた。

「阿笠博士、探偵戦隊は今のところ素晴らしい働きをしているようだね、結構結構」
「ん、まあ、あの子達が頑張ってくれてますのでの。しかし最近いささかオーバーワークのようじゃ。少しは休ませてあげたいものですじゃが」
「ふむ、その点ですが。白馬警視総監、新隊員については、どうなってます?」
「二人の候補者については、残念ながらまだ時期尚早のようで。今のところ他に目ぼしい候補者も見つかって居りませんし・・・」
「それにしても、男性隊員たり得る資格の一つが、愛する女性が居る事、その女性と共に隊員となる事とは・・・何ともはや、陳腐ですな」
「いや。命を懸けてでも救いたい相手が居ない人物に、ただ優秀だと言うだけで武器や人殺しの道具を与えたらどうなるか。青い正義感は、それだけでは一歩間違うと命取りになる事は、貴殿とてお分かりの筈。我々が目的としているのは、国体守護などではなく、あくまで人類の自衛なのです。百を守る為には一を犠牲にしても構わぬなどと『効率』を考えられるようでは、非常に困る」
「・・・そうでしたな。これは、失言をお詫びします」
「まあせいぜい我々に出来るフォローをして、彼らに少しでもリフレッシュして貰わなくてはな」
「現場の警察官にも、色々手は回しているのですが。何しろ一課も二課も、任務遂行に燃えている面々ばかりの上、戦隊メンバーの彼らは優秀ですから。どうしても、高校生探偵の出番要請は多いし、怪盗キッドの警備は厳しくなりますて」

会合の結果、何らかの成果はあったのか。
彼らは元々紳士である所為か、会談中は、終始言葉は穏やかだった面々だが、それぞれの顔の疲労は色濃い。

日々攻撃が強まる正体不明の敵に対して、打てる手はあまりにも少ないのが現状であったのだった。



探偵戦隊ディテクティブアイズ第2章(3)に続く





に戻る。