The Romance of Everlasting〜異聞・白鳥の王子〜



By ドミ 原案協力:東海帝皇



(2)旅立ち・海を越えて



太陽が西に傾き、山の端に沈みました。
すると、どうでしょう。
白鳥にされた王子達が、それぞれに羽を1枚ずつ落として、人間の姿に戻るではありませんか。

「兄様たち!姉様!」

蘭王女は喜び、姉の由美に抱き付きました。

長男の参悟王太子、次男の重悟王子、長女の由美王女、3男の任三郎王子、4男のワタル王子、5男のミサヲ王子、6男の智明王子、7男の真王子、8男の探王子、9男の元太王子、そして10男の光彦王子。
真王子と探王子は蘭王女との三つ子の兄達です。
また、元太王子と光彦王子は双子で、蘭王女の弟王子達です。

長兄の参悟王子が言いました。

「蘭。我々は魔女ベルモットの呪いで、白鳥の姿にされた。太陽が沈んでいる間だけ、こうして人間の姿に戻れるが、太陽が昇るとまた白鳥の姿になってしまうのだ」
「お兄様。お父様とお母様は?」
「魔力で幽閉されているらしい。残念ながら、今の我々の力では助けられないところのようだ。けれど幸い、魔女の力でもどうしようもない守護の力が父上達には働いているらしく、無事でおられる事だけは間違いないのだが」
「そう。無事なのね。なら良いわ。いつか絶対に助け出すから」
「ああそうだな。必ず!」

そこへ由美王女が口を挟みました。

「でも、参悟お兄様。私達は明日にはこの毛利王国を離れなければならないのでしょう?」
「ええ!?お姉さま、それはどういう事なの!?」

3男の任三郎王子が説明します。

「我々に掛けられている呪いは強力でね。この毛利王国に年に3日以上留まると、身も心も完全な白鳥となり、夜も元の姿にならず、2度と人間に戻れなくなるのだよ。明日にはこの国を離れなければならない」

ワタル王子が言葉を継ぎます。

「明日の朝、白鳥の姿になるのと同時に出発しないと、太陽が沈むまでに海を渡りきる事は出来ないからね。今夜でこの国とはお別れなんだ」
「今夜で・・・お別れ・・・?」

蘭王女は泣きそうになりましたが、グッと涙を堪えます。
ここで泣いてしまっては、兄弟達に更に辛い思いをさせてしまうからです。

「なあ。蘭姉ちゃん1人この国に残していくの、心配だぜ。蘭姉ちゃんも連れて行かねーか?」

蘭王女の弟である元太王子が言いました。

「そうですよ。いつベルモットがやって来るかわかりませんし。兄弟離れ離れになるよりも、一緒に連れて行きましょうよ」

同じく蘭王女の弟で、元太王子とは双子の光彦王子が言いました。

「それは同感ですが・・・でもどうやって?」

蘭の三つ子の兄・真王子が言いました。

「蘭を背中に乗せて飛んでいけませんかね」

同じく蘭の三つ子の兄である探王子が言います。

「ここからお城まで位ならそれで何とか行けるだろうけれど、それで海まで越えるとなると・・・」

自信無さ気にミサヲ王子が言いました。

「海の上では途中で交代する訳にも行かねえだろうしな」

重悟王子が考え込みます。
蘭王女をここに1人置いて行く訳にはいかないと、兄弟達は必死で頭を巡らせました。

「そうだ!皆で力を合わせれば・・・!」

長兄の参悟王子が手を打って言いました。

「兄貴、どういう風にやるんだよ?」

次兄の重悟王子が参悟王子に尋ねます。

「網を作ってそれに蘭を乗せ、我々皆でその網を咥えて飛ぶんだ」
「成る程。幸い網の材料になりそうな丈夫な蔓は、この森にたくさんありそうですね」

任三郎王子が頷いて言いました。

「蘭、一緒に行こう!」

兄弟達の言葉に蘭は頷こうとして、ふと寂しそうな瞳をしたヒカルを見やり、ハッとしました。

「お兄様たち、私は大丈夫だから・・・ヒカルさんを連れて行ってあげて」

兄弟達は戸惑って顔を見合わせました。
ヒカルが智明王子の大切な女性である事は、皆気付いています。
けれど、2人も連れて行く事など出来ません。

「姫様、私などに気を使わないで下さい!兄弟離れ離れになるのは良くありません、姫様が行くべきです」

ヒカルがそう言い、智明王子は何も言えずに目を伏せていました。

「僭越ながら申し上げます」

森の乙女達が声を掛けてきました。

「蘭様が行くべきです。何故なら、呪いを解く事はおそらく蘭姫様にしか出来ないからです」
「ですから、蘭様は皆様と一緒に居なければなりません。でなければ、おそらく決してこの国の暗黒が去る事はないでしょう」
「ヒカルさんの事は、私達にお任せ下さい」
「皆様が帰って来られるその日まで、必ずお守りいたしますわ」

アースレディースの言葉に、参悟王太子が決断を下しました。

「わかった。蘭、私達と共に行こう。森の乙女達よ、ヒカルさんはわが弟の大切な女性だ。どうか彼女の事を頼みます。」


その夜、兄弟達は夜なべして小屋の前で火を囲みながら蘭王女を運ぶ網作りに精出しました。
森の乙女達が、森の中からたくさんの丈夫な蔓や川柳の枝を運んで来てくれました。

智明王子は兄弟達の中で唯1人だけ、小屋の中に入って過ごしています。
この先いつまた会えるのかもわからないヒカルとの、唯一夜きりの逢瀬なのでした。

「智明、すまない。せめて私達だけのささやかな式でも挙げてやりたいが、時間がない・・・」

参悟王子が呟きました。

「式って、何の事なの?」

蘭王女がキョトンとして尋ねます。

「今夜は智明とヒカルさんの婚姻の夜。けれど、大司教の前での正式な結婚式はおろか、私達だけでの簡略な式すら挙げられないのよ」
「今夜が智明兄様たちの婚姻の夜?」

由美王女の言葉に、純情な蘭王女は意味が分からず首を傾げます。

「次は一体いつになったら会えるのかも分からないのだ。とにかく今夜は誰も2人の邪魔をするんじゃないぞ」

長兄である参悟王太子の言葉に、意味がわかっている年長の兄弟達も、意味が判らない年若な王子2人と蘭王女も、しっかりと頷きました。


「さて、どこの国に行こうか」

長兄が作業をしながら皆に尋ねます。

「ねえ、お母様の実家の妃王国には行けないの?」
「あそこは、残念ながら毛利王国と同じで、呪いの条件付けの所為で私たちが存在する事は許されないのよ」

蘭王女の問いに、由美王女が答えます。

「スコーピオン帝国は一族を滅ぼして帝位に就いた冷酷非道な青蘭女帝が支配する国、避けた方が賢明でしょう」

任三郎王子が言いました。
他の王子達も次々に言います。

「その点では沢木王国も同じで、論外だ」

沢木王国の名が出たので、由美王女は目を伏せました。
沢木王国の公平王は、由美王女の叔父に当たります。
公平王は、宮本王国の庶出の王子だったのですが、由美王女の父親であり自分の兄でもある王太子を殺して、新たに沢木王国を名乗り自分が王位に就いたのでした。

「風戸王国の京介王は、狂介王とあだ名される程に非道だから、あそこも駄目だな」
「森谷王国も、現・帝二王はいささか偏執狂のきらいがある。止めておいた方が賢明でしょう」
「木下王国は賢明な現王が今は病の床に就いて居られるとか。近々内紛がありそうです」
「う〜ん、ここはやはり、友好国の工藤王国か藤峰王国だな・・・」

長兄の参悟王子が言いました。
工藤王国の名を聞いて、蘭の心臓が早鐘を打ち始めます。

『工藤王国に行けば、あの方に会えるかも知れない・・・!』

王子達の会話を聞いていたアースレディースの4人が口を挟みました。

「だったら工藤王国がよろしいですわ」
「あそこは森と湖の国だから、白鳥の姿で過ごしやすいですし」
「それに工藤王国の森には、強い魔力を持った我々妖精の王が居ます」
「必ずや、皆様の力になってくれるでしょう」

12人の兄弟達の行き先は決まりました。
こういう場合だと言うのに、蘭王女は夢の中で出会った青年・新一王子の事を思い、密かに心震わせます。

「工藤王国においでになったら、江古田の森を訪ねて下さい」

森の乙女達が言いました。

「江古田の森・・・?」
「はい。そこに、妖精王国への入り口があります」
「王の1人娘・青子王女は好奇心旺盛な方だから、きっと蘭王女様には真っ先に会いに来る筈ですわ」
「え?それってどう言う・・・」
「それは、ご自分でお確かめ下さいませ」

アースレディース達は意味ありげに微笑みました。









蘭王女は力強い白鳥の羽音で目を覚ましました。
既に日が高く上っており、蘭は網に乗せられて空高く舞い上がっていました。
足元の遙か下方に青い海原が広がっているのが見えます。
既に蘭の生まれ故郷である毛利王国も他の陸地も全く見えません。
どうやら、疲れていつの間にか眠り込んでしまった蘭王女を、兄達がそっと網に乗せて出発したようです。

白鳥の1羽が、蘭に直接日が当たらないように自分の体で陰を作ってくれています。

「智明兄様・・・」

それは蘭たち3つ子のすぐ上の兄・智明王子でした。
ヒカルと別れての旅立ちで一番辛い筈なのに、いつもと変わらず優しい兄の姿に、蘭の胸は詰まります。
網の上には、蘭が目覚めたら食べられるようにと木の実や果物やパンが置いてありました。
兄達が物を食べる余裕もなく飛んでいるので申し訳ない気もしたのですが、兄達やアースレディースやヒカルの心尽くしを無にする方がいけないと思い、ありがたく頂く事にしました。


白鳥達はぐんぐん風を切って素晴らしいスピードで飛んで行きました。
蘭の周囲の雲がアッと言う間に後方に去って生きます。
けれども、時間が過ぎ、太陽が西の空に傾き始めても、どこにも陸地が見える様子はありません。

『まさか、飛ぶ方角が間違っていたの?それとも・・・もしや、私を運んでいる所為で、兄様たちは本来のスピードで飛ぶ事が出来ないのではないかしら!?』

太陽はもう大分西に傾いています。
それでも陸地の姿は全く見えません。
太陽はとうとう水平線に接しました。
白鳥達が急降下を始めます。
蘭王女は思わず目を瞑りました。
その瞼の裏に、夢でしか会った事のない青年の姿が映ります。

『新一さまっ・・・!』

ふいに波の音が間近に聞こえ、蘭王女の足が固いものに触れました。
蘭王女が恐る恐る目を開けますと、今は人間の姿に戻った兄達が蘭の周りを取り囲んで立っていました。
12人の王子王女は、全員がようやく立って過ごせる位の小さな岩の上に降り立っていたのでした。
彼らは波飛沫を受けながら、蘭王女と由美王女を中に囲んで全員で手を繋ぎ合わせ、励ましあいながら1夜を過ごしたのです。







「工藤。何や不景気な面しおってからに」
「服部か・・・別に何でもねー。夢見が悪かっただけだよ」

訪れて来た平次公子に、新一王子は仏頂面で、それでも何とか無難な返事をしました。
まさか2晩続けて夢の乙女と出会えなかったから機嫌が悪い、などと言える訳はありません。
会えなかったのは、蘭王女が2晩続けて新一王子と同じ時間に眠る事が出来なかったからだとは、流石の新一王子にも判る筈はありませんでした。

「ところで工藤、王妃様が臥せってはると聞いたんやけど」
「ああ。今から見舞いに行く。服部も一緒に行くか?」

平次公子は頷き、2人は王太子の私室を出て王妃の私室へと向かいました。



  ☆☆☆



「ああ、新ちゃん・・・平次くんも・・・来てくれたのね・・・。私、もう駄目だわ・・・」

そういって弱々しく体を起こそうとした有希子王妃は、顔色も悪くやつれて見え、それまで王妃が病気で臥せるなど半信半疑だった平次公子も『ホンマやったんか』と内心驚いていました。
新一王子が流石に心配そうに声を掛けます。

「母上、何を気弱な事を仰っているのです」
「新ちゃん、後の事はよろしくね・・・ああ、でも、孫を、跡継ぎをこの手に抱くまでは、死ぬに死ねないわ・・・新ちゃん・・・1日も早くお妃を・・・」
「母上?ですが・・・」
「・・・あの4人じゃなくても・・・若くして薬師長になった志保は、腕も頭も良いけど、クールなタイプの美人よ。それに、先頃魔法師団長に就任した紅子は、その魔力もさることながら、年に似合わぬ素晴らしく妖艶な美女。他にも・・・ち、ちょっと新ちゃん、どこ行くのよ!?」

突然新一王子の顔が苦虫を噛み潰したようなものに変わり、マントを翻して部屋の出口に向かい歩き出したのでした。

「母上、そういった世迷言を言えるのなら心配要らないでしょう、服部、帰るぞ!」
「け、けど工藤・・・おい待てや!」

新一王太子は振り返りもせずにそう言い捨てるとさっさとその場を立ち去り、慌てて平次公子が後を追いました。

「何よ、薄情者〜〜〜っ!人がせっかく心配してあげてるのに〜〜〜〜っ!!」

有希子王妃が投げた羽枕が、ドアに当たって床に落ちました。
けれどその時には、新一王子達はとっくに立ち去ってしまった後でした。



王妃の私室の続き間から、2人のうら若い女性が現れました。
1人はやや癖のある赤味がかった茶髪を短く切り揃えており、もう1人はサラサラの長い黒髪を伸ばしています。
2人ともタイプは違うもののいずれ劣らぬ美しい娘達で、顔立ちは似ていないのに何故だか声は双子のようにそっくりでした。

「王妃様、王太子殿下には通用しませんでしたね」
「殿下は、悪魔のように狡猾で頭の切れる慧眼の持ち主。私達の力くらいでは、欺くのは困難ですわ」

2人の乙女がそう言って、有希子王妃は溜息を吐きました。

「んもう、新ちゃんってば・・・志保や紅子にさえ全く興味を示さないなんて。不感症かしら」



  ☆☆☆



「おい工藤、良かったんか?」

平次公子が足早にせかせかと歩く新一王太子の後を追いながら声を掛けました。
新一王子は足を止め、忌々しげに言い捨てました。

「ったく、こっちが真剣に心配してみれば、あれだ!狂言に決まってんだろうが」
「へっ!?けどホンマに具合悪そうやったで?」
「母上の演技力は並ではねーからな、服部ほどの奴でも騙されるだろうが、生憎俺は生まれた時からの付き合いだ、あんぐれーじゃ誤魔化されねーよ」
「けどホンマに顔色も悪かったで?」
「母上には薬師長の志保や、魔法師団長の紅子が付いてる。あいつらは、面白がって協力しそうだ。薬草や特殊メイクで、瀕死の病人に化けさせるくらい、お手のモンだろう」
「・・・せやったんか。けど、王妃様の気持ちも解らんでもないで。工藤、早く身を固めたらどないや?」
「・・・ほー、服部まで自分の事棚に上げてそんな事言うのか」
「茶化すなや。工藤、お前、自分の立場わかっとんのか?お前は工藤王国のただ1人の跡継ぎや、真剣に考えんとあかんのとちゃうか?」

平次の言葉に新一王子は立ち止まり、振り返ると意地の悪い笑顔を浮かべて言いました。

「そうだなあ、そろそろ考えてもいいか。母上が送り込んできた娘達はそれぞれに魅力的だが、あの子が特に可愛かったなあ、ホラ、服部と同郷の・・・」
「くくく工藤、まさか・・・!」
「遠山近衛師団長のご息女・和葉姫。あの子だったら良いお妃になれると思わねーか?」
「あ、あかん!和葉はあかんて!だだだ第一、お前には釣り合わんで、あんな女!」
「どうしてだ?遠山師団長のひとり娘だ、身分は充分だと思うぞ。それに、器量も良くて性格も明るくしゃきしゃきしている。何と言っても、母上のお気に入りだ」
「工藤。和葉はな、口うるそうてガサツで気が強うてどうしようもない・・・俺の・・・!」
「ほう。俺の?」
「たったっ只の幼馴染や!せやから手ぇ出すなや!!」

新一王子は廊下の端でお腹を押さえて蹲りました。
肩を震わせ、堪えようとしているようですが、「くくくく・・・」という忍び笑いが漏れ聞こえます。

平次公子は憮然としていました。

やがて新一王子は立ち上がり、笑いを収め真面目な顔をして言いました。

「服部。幼馴染ってのも大変そうだな。けどおめーが母上に付く心算なら、こっちもマジで応戦すっから、覚悟しとけよ」

平次公子は溜息を吐いて白旗を上げました。
有希子王妃と新一王太子のどちらを敵に回したいかと言えば、どちらも嫌ですが、有希子王妃の方がまだしもでした。
長年の付き合いで、新一王太子を本気で怒らせたらどれ程に恐ろしいか、平次公子は骨身に染みて知っていたのです。

「服部。言っとくけどな、俺は好きな相手としか結婚しねえ!」
「・・・まさか工藤、誰か惚れた相手が出来たんか?」

平次の言葉に新一王子は顔を上げ、少し赤くなってふいとソッポを向きました。

「バーロ。んなんじゃねーよ」

その様子に、自分の言った事が当たっていたと分かり、平次公子は驚きました。
和葉の名を出された時にはつい慌ててしまいましたが、新一王太子が周囲に居る女性の誰にも異性としての興味を持っていない事は、ずっと傍に居た平次公子は自信があったのです。
ずっと傍に付き従っていた自分が知らない間に、いつの間にそんな事になっていたのか。
平次公子の頭の中をいくつものクエスチョンマークが飛び交っていました。



  ☆☆☆



「王太子殿下、公子殿下。陛下がお呼びです、急ぎ執務室へおいで下さい」

侍女の美和子が、ドレスの裾をさばきながら、さかさかと急ぎ足で新一王太子達の所に駆け寄って来て伝えました。
新一達は顔を引き締めると、すぐさまきびきびした足取りで国王の執務室へと急ぎました。


「お呼びですか、父上」
「うむ。新一、それに平次くんも。よく聞いてくれ、のっぴきならない事態になった」

いつもは穏やかな顔付きの優作国王ですが、今日は厳しい顔をしています。

「それはどのような・・・?」
「これを見てくれ。つい今しがた、毛利王国に在留していた『赤い彗星』から伝書鳩に託した通信文が届いた」

そう言いながら優作王は、新一にある物を差し出しました。
それは薄く軽く白いもので、折り畳まれていましたが、広げると掌程の大きさになりました。

それを見ていた新一王太子の顔色が見る見る内に変わって行きました。
平次公子はそれに気付かず、のんびりと言います。

「何やこれは、布でもない・・・けったいなもんやなあ」
「紙だよ。遠い東方の国で作られた物を鈴木カンパニーを通じて手に入れてるんだ。っと、服部、問題はそこじゃない、紙に書いてある中身だ」
「ほお。遠い国には色々と便利なもんがある言うこっちゃな」
「感心するのは良いから、早く読め」

平次公子が新一王太子に言われて改めてその「紙」とやらを見てみますと、ぎっしりと文字が書いてあります。
普段石版に石筆で書くよりはずっと細かく読みやすい字が、黒いもので書かれてありました。

「何々、毛利王国にて・・・・・・ふんふん・・・ほ?・・・何やて〜〜〜〜っ!!」
「服部、でかい声出すなよ。父上、これは・・・!!」
「わが工藤王国とは友好な関係にあった毛利王国が、魔女の手に落ちた。この『ベルモット』という魔女は、正体不明、今迄どこに居て何をしていた者なのかも今の時点では不明だ。毛利王国王家の方々や民達の安否も心配だが・・・おそらく事は毛利王国だけではすまない。いずれ必ず近隣諸国にも災いが及ぶだろう。毛利王国に付いては引き続き『赤い彗星』に内情を探らせる。2人とも、この先不測の事態が起こり得る事を肝に銘じて、ゆめゆめ油断しないようにしてくれ」
「承知しました」


王の執務室を退室した新一王太子は顎に手を当て考え込みながら言いました。

「おい服部。これは本当にひょっとしたら、全世界を揺るがす大変な事態になるのかも知れないぞ」

そう言った新一王子は、先刻までと違い1国を背負って立つ王太子の顔になっていて、平次はハッとします。

「俺達はどないしたらええんや」
「常にアンテナを張り巡らせて、警戒を怠らねー事だ。幸いと言ってはなんだが、この国は異変をすぐにキャッチ出来るだけの情報網は敷いてある。魔術に関しても、強力な魔法師団がうちにはあるしな。とにかく今はただ、油断しない事だ」
「承知いたしました、王太子殿下」

平次公子は言葉を改めて敬礼しました。

平次が新一王太子を自分が生涯仕える主君と見なしているのは、尊敬する優作国王の息子だからではなく、国王を除けば自分が敵わない唯一の相手と見て惚れ込んでいるからなのです。
普段は対等な友人としてくだけた言葉で会話をしていますが、こういった時には自然と臣下の礼をとるのでした。









小さな岩の上で兄弟身を寄せ合って過ごした一夜が明けました。
朝日が射すと同時に白鳥の姿に戻った王子達は、蘭王女を乗せた網を咥え、再び大空に羽ばたいて行きました。


やがて前方に高い塔が連なる美しいお城や高い山々などが見えて来ました。

「お兄様達。あれが、私達の行く工藤王国なの?」

蘭王女が尋ねましたが、白鳥達は皆首を横に振りました。
近付いて見ますと、それらは皆幻のように消えて、どこまでも広い大海原に時折白い波が見えるだけでした。
蘭王女が見たものは、ずっとずっと遠い国の景色が空中に浮かんで見える蜃気楼だったのです。



蜃気楼は何度も現れました。
美しい町並みや、輝く森や万年雪を頂いた山々・・・それらを見る度に蘭王女は兄達にあれが工藤王国かと尋ねるのですが、その度に兄達は首を横に振りました。

日差しが少し西に傾き始めた頃、蘭は森や湖が多い美しい国を見ました。
見た事がない筈の建物・・・けれど、夢の中で見たのと似ています。
蘭はドキドキしましたが、今度も蜃気楼かも知れないと思いました。
しかし、今度はどうやら蜃気楼ではなく、本物の景色のようでした。

白鳥達はゆっくりと、深い森の中の湖の畔へと降り立って行きました。



  ☆☆☆



蘭王女達は、湖の畔に手頃な洞窟を見つけ、そこを当面の住処とする事にしました。
蘭王女が寝床にする為の草を集めていますと、突然何者かに抱きつかれました。

「あ〜お〜こ〜、何やってんの?・・・あ、あら・・・?」

蘭に抱き付いて来たのは蘭と同じ年頃に見える少女でした。
長い髪を両脇で束ね、目がくりくりと大きく、眼鏡を掛けた可愛い子です。
人間の少女と変わらないように見えますが、背中の羽根で森の乙女の1人だとわかりました。

「あ、あなた、誰?青子そっくりだけど・・・人間の少女ね」

蘭は、青子という名に心当たりがありました。
工藤王国の森の乙女達が言っていた妖精王の娘が、確かにそういう名だったように記憶しています。

「私は、蘭。毛利王国の第2王女よ。あなたは?」
「ああ、あなたが、ヨーコさん達が言っていた王女様ね。聞いてた通りだわ、ホント、あなたって青子にそっくり。私は恵子って言うの、青子の親友よ」
「恵子、どうしたの?」
「青子!」

蘭は振り返り、青子と呼ばれた少女を見ました。
本当に、自分でも鏡を見ているのかと思う程に、蘭にそっくりな少女が立っていました。

「蘭王女、初めまして。あなたの事はヨーコさん達から良く聞かされていたわ。人間だけれども、魂は私達妖精族にとても近い女性だって。青子、あなたに会えてとっても嬉しい」
「こっちこそ、会えて嬉しいわ。初めまして、青子王女」
「何か、王女なんて呼ばれるとむず痒いな。ねえ、私も蘭ちゃんって呼ぶから、蘭ちゃんも青子の事・・・」
「うん、わかったわ。青子ちゃんって呼ぶね」

蘭王女は、ただ顔が似ているだけではない、何か不思議な縁を青子に感じました。
2人はすぐに生まれた時からの友達であるかのように親しくなったのです。



  ☆☆☆



青子と恵子が協力してくれたお陰で、あっという間に洞窟の中に素敵なベッドが出来上がりました。
ヘトヘトになった白鳥達は、まだ日が沈むには間があるというのに、皆草の上に体を丸くして寝入ってしまいました。

「2晩も眠らずに、私を連れて飛び続けてくれたのだもの・・・ゆっくり眠ってね、お兄様達」

蘭王女は皆の上にそっと妖精たちから貰った不思議な布を掛けてあげました。
向こうが透けて見える程の薄い布ですが、それに包まって眠ると体が冷えず風邪を引く事もなく、疲れが良く取れるのです。


蘭王女も疲れている筈なのですが、目が冴えて眠れません。
草の寝床の上に座って、蘭王女は妖精王の娘・青子王女、その友人の恵子と色々な話をしました。

「魔女の呪いかあ・・・難儀ねえ」
「ヨーコさん達の話によると、事は人間界だけでは済まなくなりそうよ、妖精王国に取っても人事ではないわ」

話を真剣に聞いて考えてくれる森の乙女達に、蘭王女は感謝の気持ちで一杯でした。
青子が考え込みます。

「魔女ベルモット・・・どこかで聞いたような気がするのよね・・・あ、そうだ、快斗!」
「かいと・・・?」
「あ、いや、あの・・・白い魔法使いなら、何か知っているかもしれない」
「白い魔法使い?」
「キッドよ。彼は人間だけど、私達妖精族に負けない位のすごく強い魔力を持っているの。青子と一緒に世界中を旅して回ってるんだ。でも今は、何か気になる事があるからと言って、ちょっと前からこの江古田の森に滞在してるけど」


話をしている内に、いつの間にかとっぷりと日が暮れていました。
今夜は満月で、眩いばかりに世界を照らしています。

月明りを背に、何か大きな白い鳥のようなものが夜空に浮かんで見えました。

「噂をすれば、キッドだわ!」

蘭王女は青子達に連れられて岩山の上へと上りました。
大きな白い鳥と見えたものは、巨大な凧でした。
凧の下に人が居るのが見えます。

凧は岩山の上に降り立ちました。
まるで翼を畳むかのように凧を折り畳んで岩山の上に立ったのは、白いマントを翻し、白いシルクハットを被り、右目にモノクルを掛けた1人の若者でした。

『まさか!』

蘭王女の心臓がどきりと鳴ります。

「こんばんは、森の乙女達」

その男性は、声も夢の中で聞いた新一王子の声とそっくりでした。

しかし・・・。

『違う、あの方ではないわ』

蘭王女はガックリと項垂れました。
実在するかどうかもわからない夢の中の人と、目の前に降り立った白い魔法使いキッドは、本当に良く似ていますが、別人だという事が蘭王女にはすぐにわかったのでした。

「おや、あなたは?美しいお嬢さん」

蘭は一瞬相手が呼びかけたのが自分の事だと分からずにキョトンとしていました。
青子と恵子から脇腹を突付かれて、ハッとします。

「え?わ、私・・・?」
「これは失礼、こちらから名乗るのが礼儀でしたね。私はキッド。白い魔法使いです」
「あ、は、初めまして。私は蘭、毛利蘭。毛利王国の第2王女です」
「おや?蘭王女。あなたから強い魔力の痕跡を感じる」
「キッド、私もそれは気になっていたの。あなたなら、それが何なのかわかると思って」

キッドが言ったのに対し、青子が気遣わしげな声で応じました。

「確かに、ベルモットの魔法だ。蘭王女、あなたはベルモットに呪いを掛けられたね?」
「ええ?で、でも・・・兄様たちは確かに魔女の呪いで白鳥の姿にされてしまったけれど、私は・・・!」
「貴女には、強力な守護の力が働いているんだよ」
「守護の力?」
「最近、夢を見ないかい?夢の中で出会う男性が居るだろう?」

蘭はハッとしました。
白い魔法使いキッドが言うのは、新一王子の事に間違いありません。

「その男、魔力は持たないくせにそれに匹敵する程の大いなる力を持っている。貴女とは、時も空間も世界すら超えて惹かれ合い、転生の度に巡り会って恋に落ちる運命の相手、永遠の恋人だ。そいつ自身は意識していないが、貴女の危機に反応して守護の力が発動している。だから貴女は兄弟達の内で只1人だけ白鳥にならなかった。その時お城を離れていたから難を逃れた訳ではないのだよ。その呪いは時空を超えるからね」
「え、じゃあ、私が最近夢の中でその方と会うのは・・・」
「そう。偶然ではない。守護の力が発動し始めたから夢の世界で会えるようになったのだ。現実に出会ってしまったら、夢で出会う事もなくなるがね。運命の出会いは多分もうすぐそこまで迫っている。けれど・・・」
「けれど・・・?」
「今の時点で貴女がそいつと出会うのが、果たして良いのか悪いのか・・・。反って辛い思いをしなければならないかも知れないよ」
「・・・たとえそうだとしても私は・・・」
「そうだとしても、会いたいんだろう?全く奴も果報者だ」

キッドが少し苦笑いのような表情で言いました。

「ねえキッド、もしかしてあなた、『蘭ちゃんの永遠の恋人』を嫌ってるの?」

青子があっけらかんと言います。

「は?あ、い、いや・・・。別に嫌うとかそんな訳では。第一まだ奴とは会った事がありませんからね。ただ、何となく俺にとっては鬼門と言うか、俺自身にも何らかの因縁があるのは間違いない。多分、いけ好かない相手なんだろう」

キッドはコホンと小さな咳払いをひとつして、再び蘭王女の方に顔を向けました。

『ふふ、可笑しい。キッドって、青子ちゃん相手だと表情が変わるんだ〜』

蘭王女は内心の可笑しさを堪えて表情を引き締めました。
この白い魔法使いは、どうやら妖精王の娘にだけは、ポーカーフェイスを外した素顔を見せるようでした。

「ねえ、キッド。お父様とお母様は無事なのかしら?私、すごくそれが気になって・・・」

キッドはじっと蘭王女を見据えて、表情を和らげ言いました。

「無事だよ。貴女のご両親にも守りの力が働いている。それは、『友情』。それ以上の詳しい事情までは判らないが、少なくともご両親は無事で、ベルモットは手出し出来ない。安心してて良いよ」
「そう。良かった・・・」
「ねえ、キッド。蘭ちゃんたちにかかっている呪いがわかるなら・・・それを解く方法はわかる?」

青子が言いました。

「う〜ん。多分『視る』事は出来ると思うけど・・・かなりの力が必要そうだな・・・」

キッドはそのまま岩の上に座り込み、目を閉じて黙ってしまいました。

「キッド・・・?」
「しっ、蘭ちゃん。キッドは今瞑想中だから邪魔しないで」
「え?青子ちゃん、瞑想って?」
「キッドには様々な魔力があるけれど、『視る』力の大きさは、私達妖精でさえも敵わないものがあるのよ」
「ねえ青子、これだけ強力な呪いの力なら、ベルモットもかなりの呪力を使ったはずよね?」

そう恵子が訊いて来ました。

「うん、多分。呪いを解く方法って、1度発動し始めたら、呪いを掛けたものには直接手出しが出来ない。そして打ち破られると、呪いを掛けた当人にかなり大きなダメージを与えるわ。呪いを掛けるというのは、だから諸刃の剣なの。それだけのリスクを負ってでも毛利兄弟に呪いを掛けたという事は、ベルモットに取って余程邪魔な存在だったのね」

ふいに一陣の強い風が吹き、キッドのマントや蘭の長い髪を靡かせて通り過ぎて行きました。
魔法使いは月の光を背に立ち、朗々とした声で蘭に告げます。

「蘭王女よ、世界の命運は貴女に掛かっている。ベルモットを滅ぼさねば、世界はベルモットに滅ぼされてしまう。
そして、ベルモットを滅ぼすには、まず貴女の兄弟達に掛かっている呪いを打ち破らねばならないのだ。そして呪いを打ち破るのは、貴女にしか出来ない。
この洞窟の周りや墓場に、刺だらけのイラクサが生えている。そのイラクサを摘み取り、それを足で踏みつけて裂いて細い繊維にし、それで帷子を11枚編みなさい。それを貴女の兄弟達に着せたら、呪いが解ける。
けれど、忘れてはならない。その作業は誰の手助けも受けず、貴女1人で行わなければならない。貴女の手で摘み取ったイラクサを、貴女の足で踏みつけて繊維にし、貴女の指で一目一目、編み上げなければならない。
その作業を一旦始めたなら、たとえ何ヶ月、何年掛かろうとも、呪いが解けるその日まで、貴女は決して声を発してはならない。貴女が声を発すれば、それは鋭い刃となって貴女の兄弟たちに降りかかり、その命を奪うだろう。
そして、貴女の夫となった者には決して秘密を知られてはならない。白鳥達が貴女の兄弟である事、貴女が編んでいる帷子がその呪いを解く為のものである事を貴女の夫に知られてしまったら、貴女の兄上達は決して人の姿に戻れなくなる。
その覚悟があると言うのなら、このイラクサを手にするが良い。忘れるな。世界の命運は、貴女に掛かっているのだ」

蘭王女は、何かに導かれるようにフラフラとキッドに近付き、その手に握られたイラクサを掴みました。
イラクサの刺が蘭の柔らかな肌を刺し、蘭の手からはたちまち血が吹き出し、火傷のような水ぶくれが出来ました。
キッドの姿も、煌々と輝く月も、水の面に映った像であるかのようにぼやけ、次の瞬間、蘭王女は意識を手放してしまいました。



  ☆☆☆



キッドは岩の上に座り込み、西に傾いた満月を見上げていました。
キッドは決して泣く事はないのですが、その横顔が何だか泣いているように思えて、青子は思わず声を掛けていました。

「快斗・・・」
「ああ?んだよ、アホ子。その名で呼ぶんじゃねーよ」
「いいじゃない、誰も見てないし。蘭ちゃんは洞窟に運んで寝かせたよ」
「ああ。サンキュ、面倒掛けたな」
「ううん。久し振りの大掛かりな『霊視』だったね」
「ああ。疲れた。何だか後味わりぃよ」
「ねえ、辛そうだね。もしかして蘭ちゃんに惚れた?」
「ばっ・・・!アホ子、何言ってやがる、んなんじゃねーって。ただ、昔の事を思い出しただけだよ、まだ魔法使いになる前のな」
「そっか。快斗も昔、魔女ベルモットに滅ぼされた黒羽王国の王子様だったんだよね・・・」
「んな過去の事は、忘れちまったぜ」
「あ〜、矛盾した事言ってる〜。快斗ったら、変なのお」
「うっせーよ。ただ、あんな女の子に世界の命運懸かってんだと思うとよ、何て言うか、気の毒なんだよな。・・・誰かさんと同じ顔してるんでほっとけねーし」
「・・・ねえ快斗。快斗にも、時空を超えた運命の恋人って居るの?」
「ああ、そうらしい」
「ねえねえ、それって誰だかわかる?」
「さあな。自分で自分の事は見えねーようになってっからな」
「そうなの?」
「・・・だけどその相手が、どっかの妖精王らしくない妖精王の1人娘だったら良いなって思ってるよ」

青子は突然キッドの背中に飛び付いて擦り寄りました。
キッドは呆れ顔で言います。

「んだよ急に。危ねえなあ」
「良いじゃない、エヘヘ」

キッドは仕方ないという風に溜息を吐きましたが、青子を見詰めるその瞳が、決して他の誰にも見せる事がない優しく甘いものであったというのは、月だけが知っている真実なのでした。







(3)に続く

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(2)の後書き座談会

真  「アンデルセン童話では、白鳥にされるのはヒロインの11人の兄王子達なんですよね」
由美 「童話では『王子達』なんでしょ。なのに何で私が居るのかしら?」
任三郎「キャストに苦慮した結果でしょう。けど、結果的に良かったとドミさんは言ってましたよ」
探  「そうそう。いくら兄弟設定とは言え、蘭さんを我々男性陣の誰かに抱き付かせる訳にはいかないですからね。僕もまだ工藤君に殺されたくはありませんし」
ミサヲ「ははあ、成る程」
重悟 「山村刑事などは人数合わせの為に連れて来られたのが見え見えだな。まあ、俺なんかもそうだろうけど」
ミサヲ「ほ、ほっといて下さい!」
由美 「そしてどういう訳か、私だけが養女なのよね・・・これってどう言う事かしら」
光彦 「あ、それだったらカップリングの為だって言う話ですよ」
ワタル「な、何だって?っていう事は、我々のうち誰かが由美さんと・・・!?」
小五郎「そうかそうか、宮本巡査が俺の後添えに・・・」
効果音「ドカバキグシャ!!」
英理 「ふん・・・!」(掌をパンパンとはたきながら立ち去る)
元太 「大変だ、オッチャンまた死んじまったぞ!」
光彦 「つくづく学習能力のない人ですね」
恵子 「ねえねえ、この時代、眼鏡ってあるの?ひょっとして英理王妃も眼鏡掛けてんのかな」
青子 「何か時代考証無視してるよね〜」
快斗 「眼鏡ぐれーあっても良いんじゃねーか?どうせ御伽話だし」
志保 「それにしてもこの話、コナン・まじ快メンバー入り乱れで、何だかすごい事になってきたわね」
紅子 「ドミさんも設定を忘れそうになって、何度もメモを見直してるらしいですわよ」
新一 「ところで、俺はいつになったら蘭と会えるんだ?黒羽の奴、俺より先に蘭に会いやがって!」
蘭  「そうよね、私も早く新一に会いたい。仮にも新蘭メインと銘打ってるんだもん」
優作 「やれやれ、若い人はこらえ性がありませんねえ」
有希子「新ちゃんと蘭ちゃん、早く巡り会って頂戴!でないと、跡継ぎが、跡継ぎが〜〜!」
優作 「・・・・・・」
アースレディース「「「「次回予告!新一王子と蘭王女がとうとう出逢いま〜す!」」」」
平次 「嘘予告にならへん事祈っとるで」
和葉 「せやな」


(1)魔女の呪いに戻る。  (3)邂逅に続く。