教室はもう帰りの時刻。
教室はワイワイと騒ぎながら走り回っている男子もいた。
「ねぇー一緒にかえろーー!」
ある友人が女子生徒に話し掛けた。
「あ、ゴメン今日は一緒に帰る人がいて・・・」
「えっ!?誰よ!私より大切な人!?」
「そ、そんな・・・」
そこまで言われるとは思っていなかったので吃驚して友達を宥める。
「ゴメンね・・・今度は必ず・・・!」
「わかった・・・許してあげる。どーせ一緒に帰る人はわかってるけど・・・」
「ちょっと・・・」
そして話が終わるとドアの方から・・・
「豊ちゃん、帰ろうー!」
「あ、うん今行く〜」
そしてドアの方に走って行った。
走っていく豊を見ながら他の友達が話しかけてきた。
「ねぇーあの二人ってできてるんでしょ?」
「え?長島くんと豊?」
「うん」
「まさか〜・・・。だってあの二人は野球部のエースとマネージャーの関係だよ?」
「うっそ!?誰が見たって・・・。」
「世の中そんなカップルは沢山いるわよ」
友人達はうぅ〜っといいながら話していた。
そして噂の二人は仲良く歩いていた。
「ねぇー長島くん?」
「なに?」
長島と呼ばれる少年はこの高校の野球部のエース。
そして二度も甲子園に連れて行った。
でも全ては隣で一緒に歩いている彼女の言葉がそこまでさせたのだった。
「甲子園に、連れてって」
この言葉で頑張ろうと思った。
「長島くんは何処行くか決めた?」
「何処って・・・進路のこと?」
「うん!あ、もしかして推薦とか来てるの?」
「うん・・・なんか何件か来てるみたい・・・」
「凄いね〜〜!!!」
まるで自分のことのように喜んでくれていた。
それを見て思わず真っ赤になってしまった。
「豊ちゃんは?」
「私はね・・・進路は決めたよ。後は試験だけかな?」
「そっか・・・」
うー・・・と悩んだ。
きっと・・・二人は違う道を歩くんだと思った。
折角出会うことができたのに・・・。
そしてしかもまだ・・・告白していない・・・
早く言えばいいのに・・・その一言がいえない・・・
”好き”という一言が・・・
はぁ〜っと溜息をついてしまった。
「長島くん・・・あのね・・・」
「な、なに?」
「今日、チョコレートいくつ貰ったの?」
「えっ!?」
そして長島の顔を覗いてきた。
いきなり目の前に顔を出されてドキドキが収まらない・・・
「いくつ?」
「えーっと・・・貰ってないけど?」
「えーー!!嘘!!女の子達沢山集まってなかった?」
「全部・・・断ったんだ・・・」
その言葉に吃驚した。
優しい長島のことだからチョコを貰っているかと思ったから・・・。
それを聞いた瞬間嬉しくなってしまった。
くるっと向きを変えて歩き始めた。
「ゆ、ゆたかちゃん・・・・?」
「私ね、今日チョコあげたい人がいるの!」
また向きを変えて、長島の方を向いた。
「誰・・・?」
ドキドキと胸が高鳴る・・・
一体彼女が好きな人は・・・・?
「はい!」
長島の目の前に箱があった。
自分の目を疑うかのように何度も見直した。
「受け取ってくれる?」
「勿論だ!」
箱を受け取りニヤリと笑って豊の方をみた。
その笑った時の顔は野球をやっているときの笑顔に見えた。
一番楽しい時に見せる笑顔だった。
豊もそれにつられて笑った。
「でも・・・長島くんだけじゃなく他の人にもあげたんだけんだけどね」
その言葉にえっ!?という表情をして、目が点になってしまった。
「野球部員にあげるのは当たり前でしょ?」
「な、なんだ・・・良かった・・・」
思わずホッとしてしまった。
豊は前を歩きながら呟いた。「長島くん、ありがとう・・・凄く嬉しかったよ・・・」
「なにが?」
「甲子園!二回も連れて行ってくれたんだもん!ありがとうv」
「そんなことないよ。ここまで頑張れたのは、仲間と・・・豊ちゃんのお陰だよ。」
「私、なにもしてないよ・・・」
「十分力になってくれたよ。」
「良かった。私、力になれたんだね!」
ニッコリ笑って微笑んだ。
「さぁー行こう!おじさん待ってるよ?」
「うん。またお父さん怒ってそうだね?」
「多分ね・・・。」
お互い顔を合わせて笑ってしまった。
そして彼女は真っ赤になりながら一言呟いた。
「本命は・・・長島くんだけだからね・・・」
呟いた様に聞こえてきた一言は・・・胸に染み渡っていった。
そして心に決めた。
仕事が終わったら彼女に自分の気持ちを告白しよう・・・
さっきのメッセージが彼女の精一杯の告白だと思った。
胸が熱い・・・
君が・・・好きだ・・・
Fin…….
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