「ハックションっ!!!」


家で大きなくしゃみが響いた。
「おい、蘭大丈夫か?」
心配そうに小五郎が部屋を覗きにきた。
「うん、大丈夫!すぐに治るよ」
身体を起こして小五郎に笑顔を見せる。
「まぁー安静にしなきゃいけねぇーんだから今日は学校休めよ?」
「え?休まなきゃダメ?」
驚いた顔をしていた。
「まさかお前そんな風邪で学校行く気だったんじゃねぇーだろうな?」
「だ、だって・・・今日は行かないと・・・」
蘭はカレンダーを見た。
2月14日に印がついている。
そう・・・今日はバレンタインデー。
(新一にチョコ・・・渡せないんだもん・・・)
今日行かないと・・・渡せない。
「なんだかしらねぇーが寝てろよ?俺は出かけて来るからな」
そう言うとドアを閉め、出て行ってしまった。
父を見送った蘭はそっとベットを抜け出しクローゼットの中の制服に手を伸ばした。
だが、手に取ろうとしたとき眩暈がしその場に座り込んでしまった。
「ダメだ・・・思ったより熱あるみたい・・・。どうしよう・・・」
渋々ベットに戻り、毛布を掛ける。
「新一・・・」
思わず出てくる彼の名前・・・。
蘭の机の上には手作りのチョコレート。
一生懸命作った。
新一に食べて欲しくて・・・。
笑った顔が見たいから・・・。
学校にいかないと・・・新一が他の女の子からチョコを貰ってしまう・・・
「どうせ・・・デレデレと鼻の下のばしてチョコ貰うんだから・・・」
毛布を顔まで被る。
本当は凄くそれが嫌だった・・・
新一がラブレター貰った時だって・・・あんなこと言ったけど・・・嫌だった。
「大馬鹿推理之助・・・」
そして蘭はそっと眠りについていた。



蘭が来ないので家まで迎えにいくとそこには小五郎が丁度出て行く所だった。
「あ、おじさん・・・蘭は?」
「あー蘭なら風邪引いて寝込んでんぞ?」
「え?風邪?」
小五郎に言われ驚いた。
昨日まであんなに元気だったのに・・・?
隠していたのか・・・具合が悪のを・・・
「俺はこれから出かけるが・・・蘭を起こして学校に連れて行こうーなんて考えるんじゃねぇーぞ?」
「ま、まさかそんなこと・・・」
笑いながら言った。
(流石の俺でもそこまではしねぇーよ。病人の蘭を連れて行けるかよ・・・)
「じゃぁーな。新一」
「あ、はい」
小五郎はそう言うと歩き出して行った。
「蘭は風邪で休み・・・」
毛利探偵事務所の前でボーっと考えていた。
だがその考えはすぐに纏まった。
「蘭のいねぇー学校に行ったてどうすんだよ。サボリ決定v」
笑いながら階段を上っていく。
コナンの時もよくこの階段を上った。
そして一番上が毛利家・・・。
ドアをノックする。
誰も出てこない。
「蘭のやつ寝てんだな・・・」
新一はそっとドアノブに手を伸ばし、それを回す。
するとドアは開いた。
「不用心だなぁー・・・おっちゃん・・・」
呆れながらも中に入って行く。
中に入っていくと・・・変わっていなかった。
コナンの時と一緒だった。
(ここで食事とかテレビとか見てたんだよな・・・。懐かしい・・・)
茶の間の奥を見ると、蘭の部屋があった。
そしてそこに足を向けて、歩んで行った。
ドアをそーっと開ける。
(勝手に女の部屋に入る俺は一体・・・)
悩んでしまった。
犯罪?だよな・・・。
(まぁー・・・俺だからいんだよ)
勝手に自分で片づける。
ベットを見ると蘭が寝息を立てながら寝ていた。
完全に眠りに入っていた。
その寝顔をみると思わず笑ってしまう。
「可愛い・・・」
なんでこんなに可愛いのだろう・・・
どうしてこんなに愛しいと思えてしまうのだろう・・・
きっとそれは・・・蘭だからだろう・・・
額に手を伸ばし撫でてやる。
少し汗ばんでいた。
ポケットからハンカチを取り出してそっと拭いてやった。
「蘭・・・ゆっくり寝てろ。起きるまでずっと傍にいてやっからさ」
新一はその場に座り込んだ。



ただ君を見ているだけで安心するんだ。
見ているだけで・・・癒される・・・
君は俺に力と癒しをくれる存在。
そして絶対的な存在・・・



蘭は目を開き目覚めた。
そして窓を見てみると日が暮れていた・・・
空はオレンジ色に染まっていた。
もうすぐ今日という日が終わってしまう・・・
(もう一度今日という日が来ればいいのに・・・)
そう思ってしまう・・・
ふーっと溜息をついて横をみると新一が床に座り込んで寝ていた。
「し、しんいちっ!!!」
蘭の大きな声で新一は目を覚まし、背伸びをする。
「あーよく寝た。お、蘭起きたのか?身体大丈夫か?」
「だ、大丈夫だけど・・・いつからそこにいるのよぉーーー!!」
「いつからって・・・8時ぐらいからずっと・・・」
「えぇーーー!?学校は!?」
「んなのサボりに決まってんじゃんv」
ニヤッと笑った。
「信じらんない・・・」
そういいながらも本当は嬉しかった。
新一がずっと傍にいてくれたこと・・・
でも学校サボってまでは・・・考えものだが・・・・
ハッと思い出した蘭はベットから立ち上がり、机に向かって歩き出した。
渡していなかったチョコレート。
「なにもってんだよ?」
蘭の後ろからひょっこと顔を出した。
「な、なにって・・・・」
恥ずかしながら新一のほうを向き、チョコを渡した。
渡された新一はびっくりする。
「・・・まだあげてなかったでしょう・・・」
「ホントに俺にくれるのか?」
「新一以外誰にあげるのよ!!」
恥ずかしくなって顔は真っ赤。
(何言ってるんだろう・・・私・・・)
両手で頬を覆った。
そんな蘭をみて抱き寄せた。
「な、なに!?」
「蘭、俺すっげー嬉しいようvv」
嬉しくて、嬉しくて・・・
「食べていいのか?」
「も、もちろん・・・」
新一は包まれていたものを外した。
そして手に取り、口の中に入れた。
甘くて溶けていく・・・
「すっげぇーうめぇーよv」
「良かったv」
あなたの笑った顔がみれた。
一番見たかったの・・・その顔が・・・。
「なぁー蘭?」
新一は甘えるように蘭に聞いてくる。
「なに?」
「蘭も一緒に食べてもいいか?」
「ば、ばかぁっ!!!!!それとこれとは違うでしょっ!!!!」
抱きついてくる新一を必死に引き離そうとする・・・。
だが無理があるようだ・・・
この分だと一緒に食べられてしまうかもしれない・・・・
でもそんなあなたでも一緒にいたい気持ちは変わらない・・・



小五郎が帰ってくるまで・・・何時間だろうか?




Fin…….






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